萩の旅(3日目)
旅先の夕食と温泉は良し
朝の温泉と朝食は、さらに良し(笑)
萩の宿の翌朝
起きると、部屋には、
5ヶ月の小さな孫と
うちの息子が同じような格好で寝ていた。
ああ、出遅れた!
他のみんなは、もう温泉に行った?
前の夜より、朝は、息子は孫と部屋に居ることにすると宣言していたので、私はそのまま温泉へ向かった。
広い浴場は、庭園を中庭にして
取り囲むように幾つもの浴槽がある中、探せるかしらと思いながら
可愛らしい声を頼りとして
嫁と孫に出会うことができた。
寄り添い、手を回してくるスベスベの、まだ生まれて5年しかたっていない柔肌
羨ましい〜、嬉しい〜。
孫が言う『やっと来たね、バァバ』
ほんと、出遅れたゎ。
多分、嫁から何か言われたのかもしれない、ヒソヒソ声で聞いてくる
『ばぁば〜、ねぇ〜、ほんとうに、
きょうは 帰っちゃうの?』
『そうだよ、今日帰るんだよ。でも、お昼ご飯を食べてから、少ししてからだから、大丈夫だよ。まだまだ遊べるよ』
そう私が言うと、ニッコリとしていた。
手を繋いで、部屋に帰り
朝食会場へと向かう
テーブルの彼女の座る場所は、
ジィジの横でもなく
パパやママの横でもなく
旅の間は、必ず、私の横だった。
朝食は、半ビッフェとなっていた。
ほとんどが、小さな小鉢を取っていく形式か、目の前で給仕を受けるような形だったので、列のビッフェの混雑はなく、とてもスムーズだった。
テーブルにつくと
家族の誰が何を持ってきたのか、目を一順させていく
これが美味しいか!
どれどれ、それ、どこにあった?
えー、それあったの?
いじましく(笑)
次のコーヒーをもらいに行く途中に
また、目新しいものを見つけ
テーブルに着くと誰かがそれを見て
『えー、それ、どこ?』といいながら探しにいくような。
誰がどんな珍しいものを持ってこれたか。
それを持ってきた人に賛辞でも送るようにして、次はそれを自分が探しに旅に出るような。
無事にゲットしてかえってきたならば、微笑んで、また、微笑み返ししたり。
隣のテーブルには、つい立てと
充分な間があり
気を使うわけでもなく
キャッキャッとしながら出たり入ったり。
朝食が済めば、宿を後にして
車へ乗り込み、いざ行かん!
以前に萩に来た時は
そのまま角島を目指して、仙崎をすっ飛ばしてしまったので
今回は、じっくりと、海を見ようと計画してくれていた。
長門市仙崎は、日本海に小さな半島が突き出て『海上アルプス』と呼ばれている、青海島(おおみじま)と言う景勝地がある。
クルージングの船もでているけれど
船は苦手なもので
青海島自然研究路という陸路を取ることにした、、、。
坂道を歩け歩け、、、。
それこそ、山に沿って登っていく。
どれだけ歩いた頃だろう
ある時から視界は開けていく
眼下は日本海
まさに、青海島と文字通り、透き通った青い海と、奇岩の風景が次から次と繰り出されていく
お天気は良く
清々しい風
ああ!来て良かった〜
ダイビングスポットらしく
海や渚近くには、
トドの群れのように見えなくもない人達が見えるけれど
歩いてきた道には、数人しか出会わなかった
その自然路を降りるころには、
お天気にも翳りがでて
青い海が見れてよかったと話していたら、どうやら、うちの孫娘は、ちょー晴れオンナらしいと判明。
へぇ〜とばかりに、
下界の観光基地へランチを取る場所に行けば、そこには、溢れんばかりの、人、人、、、。
しばらく待って
海鮮丼の店にやっと入れたが
帰りの新幹線の時間が段々と気になり始めてきていた。
人出の多さに、少しタイムロス
それでも、車に乗れば
孫との遊びが始まる。
呆れているのは、最前列にいるパパ(息子)
『よくもまぁ〜それだけ狭い車の中で次から次、遊べることに、もう尊敬しかない』と、、、。
いいや、君は、忘れてしまっているのさ。
母がどれだけ遊びの引き出しをもっているのかを(笑)
その母のもと、君も、こうして遊んだじゃないの。
車は、あの有名な『大谷山荘』の横を通り抜けて宇部市の厚狭(あさ)へと。
新幹線、こだましか止まらない大きな工場群のそばにある、小さな駅
少し早めの到着となった。
もう少し先の時間を見てみれば
駅の一階の構内
階段を登ったところに到着する新幹線に乗り込んでゆく2人が想像できたのか、わがまま一つ言わずに
『ねぇ、少しだけ遊ぼう』
人がほとんど居ないから
走り回り、かくれんぼしたり
追いかけっこしたり。
写真を順番に撮って
もうそろそろね〜って。
駅のホームまでお見送りしてくれることになった。
止まった新幹線は、キティちゃん仕様
キティちゃん、見れたね〜って、喜んでいた。
孫の泣く顔は見たくなかったから
うまく誤魔化せたかなって
新幹線に乗り込む前に
『ありがとう、元気でね』
その言葉を言うだけで胸がつまりそうになった。
今度はいつ、会えるんだろうと思いつつ、今は、そのことは、考えず、
ホームから見えやすい席を取り、
息子家族に、窓から大きく手を振った。
新幹線がゆっくり動き出すと
パパの手を振り切って
手を振りながら走り出す孫娘
あ、危ない、お願い、止まって!!
まさか、走り出すとは思いもしなかった息子の慌てよう
走ってやっと、その小さな体を捕まえてくれた。
気持ちだけ、ありがとう。
いただいていくゎ。
またね〜
そんな気持ちだった。
そうして、新幹線、飛行機と乗り継いで、帰途についた私達。
次の日、LINEで送られてきた写真には、新幹線を追って
駅のホームを走り切って抱き止められ、振り返った孫娘の写真があった。
遠ざかる新幹線がほんのすこし写って、ホームで泣きじゃくる孫娘の顔が写っていた。
昔から
見送られるのが嫌いだからと
そのシーンをなるべく避けてきた私。
それは、見送るほうの切なさを嫌と言うほど知っていたから。
見送る方の人に切なくなってほしく無いから、自分が去るときの口実にしていたのに、可愛いい孫娘に
多分、初めての経験だろう
見送る切なさを感じさせてしまった。
その日、寝る前まで、
夕飯を食べる時以外は、ずっーと泣いていたらしい。
気持ちは見えないもの
形がないもの
だけど、一緒にいた時の楽しさの分だけ、切なさが答えで残るもの
次会うときは
私のほうが先に泣いちゃうかも。
今回行った、山口市長門市仙崎は、詩人『金子みすゞ』さんの故郷
3.11のあと、一時CMが無くなった時に、広告機構からテレビに流れていた詩のひとつ
星とたんぽぽ
青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
家族や、大切な人への気持ちなんだろうね。
『星の王子さま』を書いた、サン・テグジュペリが、
「大切なものは目にみえないんだよ」と書く、26年も前のこと。
金子みすゞさんの、この詩が生まれたときく。
生家にはいけなかった。
また、訪れてみたい街となった。
旅の宿題が、またひとつ。
山口、萩の旅
長々とした文を読んで頂き、
ありがとうございました。
私の旅日記として
記しておきたかったもので。