湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

自分さがし

2018-08-24 17:06:19 | ポエム
友達と一緒にいたりすると
明るくしていられる

時として
自分の感情はさておき
相手の身になって
相手が喜ぶことはなんだろうと
その場しのぎでもいいから
どうしたら一番良いのかしらと
思ってしまう


それは
自分をおなざりにしてるとか
どうなってもいいとかの感情ではなくて
自分の感情を素直に
どこかに置いてきてしまっている


一人になって
どこかに置き忘れた感情が
自分に帰ってきた時に
もうなにもかも
終わってしまったような
ただ今は
もがきながら
意味もなく
生きようとしてる自分がいる


楽しくないわけじゃない
苦しいわけでもない


しかし
この思いということ事態
贅沢な時間の中に置かれていると思っている


なのに
枯葉を見つけると
私と同じようだなって


役目を終えたものは枯れていく
その摂理に
ほんとうは身を任せちゃいけないのに


私の中の水は
水は‥
どこにあるのだろう


ずっと探してる


見つけたものは
私のものではなくて誰かのもの


私がずっと探してる


私自身が
私をさがしてる







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砂の城のカフェ

2018-08-24 11:47:31 | ポエム
年老いた女性が一人
波打ちぎわのカフェを営んでいた


崩れかけた城のように見えた
外にあるデッキは傷み
腰掛けた椅子は錆びついたまま
見晴台になっているような部屋は
すこし傾いたまま立っていた


メニューにあるのは珈琲だけ


『こんなはずではなかったの』

私は心でつぶやいていた


しわがれた声と
化粧っ気のない
年をごまかそうともしていない

ありのままの姿を見てくれと
言わんとしているのだろうが
抗われないままのものに
美しさを探そうとしても
カフェの名前がチラついて
どうもしっくりとこないまま


手に刻まれたシワには
言わんとすることの
数よりもきっと多いだろう


昔を語り始めた老婦


半生記と聞こえるその話は
注いでくれた珈琲の
黒く淀んだ色よりも濃い


『こんなはずではなかったの』

私は
それを聞きたいがために来たわけじゃない


かつて
小さな町のはずれにも
津波はやってきた

今はそれを昔話にしょうと
防潮堤が作られれていて
時々、潮の音より大きく響いていたなかで聞く話は
珈琲の味より苦く、にがく。



おおいなるロケーションさえあれば良かったのに


考えさせられてしまった


人の人生の数奇なもの


人がたどり着く夢の端っこに
私は立って見ていた



外を見れば
海に浮かぶヘッドランド
浅瀬の砂が流れていかないように
人工的に作られたもの


しかし
すこしづつ
すこしづつ
どれだけしても
砂は波間に持っていかれてしまう



崩れかけたこのカフェを

守りたいと老婦は言うが

まるで砂の城のようだ

先に足元の砂が流れさるのか

老婦の夢が崩れ去るのか


壁に貼られていた一面の紙切れ

潮風にさらされ
日焼けしたままの幾枚もの写真を眺めながら

私は最後の珈琲を飲み干した











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