暖かくなってきたので
両親の遺品整理
もう
何度目かな
やっては、やめて
また、始めてやめて
そうこうしてしているうちに
残したいものと
使えるものと
だいたいのものが分けられてきた
残しても、使えるものか
残しても、思い出になるものか
いろんな葛藤の中で
有難いことに
母と私は服のサイズがほとんど同じ
私と娘もほとんど同じ
『ほとんど』の許容範囲の中に
足の長さだけは差があると書いておこう
母が昔来ていたもので
薄紫のスーツがある
私の従姉妹の結婚式にと
買い求めたものだ
有名なホテルでの披露宴だと言うので
奮発して買ったスーツだそうだ
奮発と言っても
他にも来ていけるだけの
地味なスーツに落ち着いたとは言え
そのときの母にとっては
少々高い買い物だったらしい
私にはサイズがオーダーメイドしたようにぴったり
いかんせん
その当時の洋服は
ざっくばらんに言うと80年代バブルの最後の頃のもの
肩パットがガッチリ
ふんわりパフで
上着は、もう、それこそ
その時代のデザインと言ったところ
それじゃ、リフォームしたらどうかと
町一番の洋服のリフォーム屋さんに訪ねて行った
やはり、袖付けの部分を
リフォームされる方はいらっしゃるようで
それさえ、多少のお金は出しても
スーツ自体を買うことを思えばいいかもしれないと
私にはまだ
よく言うと、若干大人しめなスーツだけどこの時だとばかりに
そのリフォームのお店で
お願いすることにした
出来上がりを待って
10日目の昨日
そのスーツを取りに行って
帰宅してから試着
うんうん、いいじゃない⁈
ね、見てーって
母の写真に見せた
どうして
遺影の写真って言うものは
写真なのに
喜んで見えたり、悲しんで見えたりするものなのかな
その時々で、顔が違ってみえる
もちろん
母のスーツを着た私には
母も
一緒にスーツを買いにいった父も
その顔は、笑顔だった