湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

2人が眠る海

2018-04-11 15:34:29 | 日記
有明の月

いつまでも
夜がしらじらと明けてきても
まだ
お月様が有る空


夜明けの前の静寂の中
まだ、神々しく光を放つ月


父と母は
こんな有明の月のころ
互いが申し合わせたように
きっと選んであの世に旅立ったのだろう


私は
その2人の抜け殻を
2人が暮らした和歌山の海に返したくて
有明の月のころ
手元から送り出した


1週間
毎朝毎晩
2人の金ピカに光る箱を
両腕に抱えながら
『大好きだよ、和歌山の海に返すからね』って約束をした


私が行くことも考えた


けれど
私の手からは放てないよ
海に返せないよ


簡単に
海洋散骨なんて言うけど


自分では
到底離せないことが分かる


泣き崩れてしまうことが分かる


人の手を介して
お願いすることが
今の私の精一杯の気持ち


いつか
その場所にいくから


って、、、かつて
その場所に行ったことがあるのよ
もしかしたら
何か先を見据えた縁だったのかもしれないね、、なんて。


だから
あの海は
あのホテルから見える海ではなくなって

あの海は
2人が眠る海に
もうすぐなるんだよ







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