「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

チェーザレ 破壊の創造者2~8巻

2011-01-31 | 
先日第1巻を読んで引き込まれた「チェーザレ」をいま出ている8巻まで一気読みです。中世からルネサンスへと移り行く時代を背景に、権謀術数渦巻く国際政治を詳細で精密なタッチで描く秀作だとあらためて思いました。

なにせ当時の中世ヨーロッパ、特にイタリア半島は小国乱立で、教皇と皇帝、大国フランスとの関係などもあって複雑極まりありません。そのため相当意識して人間関係などをおさえておかないとワケがわからないことになりそうですが、それがまた面白い。駆け引きや人間の欲望などを見事に描きます。

主人公のチェーザレはまだ8巻の段階では17歳になったばかり。これからいよいよ政治の表舞台に出ていくところです。1492年というレコンキスタが終わり、新大陸が「発見」される激動期を、マキャベリが君主論の模範としたチェーザレがどう切り開いていくのか。ワクワクです。

巻末の解説文書が学術書のようなレベル。大変に勉強になります。「カノッサの屈辱」が実は皇帝側の勝利と当時は受け止められていたことなど、最新の研究や思い切った仮説・推理の展開に、中世という時代を少し見直しています。やはり歴史は人間が動かしているのだ、と。そしてたとえば第7巻の巻末を見るとわかるのですが、何気ない一枚の絵柄を描くのにいったいどれほどの時間と労力をかけているのかという驚き。極力当時の建築物などの姿を再現しようとする努力に頭が下がると同時に、なるほどだからまるで実際に時代を経験したように気分にもなるのだ、と感心することしきりです。それにしても、このペースだとチェーザレの死去までにいったい何巻かかるのか。気長に付き合っていきたいと思います。

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