「差不多」的オジ生活

中国語の「差不多」という言葉。「だいたいそんなとこだよ」「ま、いいじゃん」と肩の力が抜けるようで好き。

戸塚洋二さん死去

2008-07-11 | つれづれ
ニュートリノ研究実績で、ノーベル物理学賞に最も近い日本人といわれていた戸塚洋二さんが昨日亡くなったそうです。ご冥福をお祈りいたします。なんで反応したかというと、まさに昨日発売の月刊「文藝春秋」に立花隆さんとの対談「がん宣告 『余命十九ヵ月の記録』」という文章が掲載されて、それを読んで感動していたから。

この文章を読んでから死去の報に接し、慄然としたのです。文春の記事は感動します。この方は徹頭徹尾、まさに死のそのときまで物理学者だったのだ、と。

自己の病状を逐一データとして記録し、医学が個体差を理由にデータベースの構築を怠っている現状を憂い、「個体差がありすぎるから、各個体に対してデータや数値を細かく出して分析するべきなんですよ。そうすれば固体ごとの違いが見えるはずなのに、それをやらない」と発言されています。こうしたデータの蓄積で、「この抗がん剤はこのステージで効く」などより適切な治療ができる、というご主張です。

ご自身のことをここまで客観的にみられる精神、実践は驚きです。そして、記事の話題は輪廻転生や死の受容といったことに踏み込んでいくのですが、そこでも物理学者ならではの時空の消滅や多元的宇宙論などを踏まえて話されている。やはり「その道」を極めた方はすごい、と頭が下がりました。心よりご冥福をお祈りいたします。