ぶらりと散歩に出たN氏は、庭先を掃除しているリッチマン氏に遭遇。
「やあ、先日は孫に結構な品を頂き、ありがとうございます」
「???」
「孫がたいへんに喜んでおりました」
「???・・・・いや・・・・」
「ちょっとお待ちください」
リッチマン氏は家の中に入って行く。
(孫・・・、結構な品・・・何のことだろう)
リッチマン氏が日本酒を持って現れる。
「これは先日のお礼です。納めてください」
「いや、そんなことは・・・・」
「気持ちだけのモノですから、遠慮なさらずに」
(この人の孫に何もした覚えはないけれどな)
リッチマン氏は強引に日本酒をN氏に手渡すと家の中に消える。
「セルやさん、というわけなんだよ。身に覚えがないのにこんなモノをもらってしまった」
「リッチマン氏の孫に何かあげたのではないですか」
「孫がいるのか、いないのか知らないよ。リッチマン氏とは道で会うと挨拶をする程度の付き合いさ」
「じゃあ、だれかと勘違いされたのかな」
「たぶん、そうだろう。オレと似た人が孫に何かプレゼントしたようだ」
「それじゃ、間違いだと言えば良かったのに」
「言う暇もなく、酒を手渡すと奥へ引っ込んでしまったんだ」
「あとから返しに行けばいいでしょう」
「いやあ、それがつい封を切ってしまって・・・一口、飲んじゃった」
「それじゃ、返すわけに行かないね」
「と、言うわけで家に持って帰るわけにも行かないので、ほとぼりが冷めるまで酒を預かって置いてくれないか」
曰(い)わく因縁のある酒を黙って預かるわけにも行かないので、
「どれどれ私も味見をしてみよう。一杯、ついでください」
と、そんな酒を飲んでしまった私には、一蓮托生の罪があるのだろうか?
自分のミスが恥ずかしいので知らぬ振りをするのでは?
なのでN氏もセルやさんもそのことには触れないでいてあげるのが
優しさだと思います、ハイ!( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
今日もN氏が来て、ボトルキープした酒を飲んだので、残り少なくなりました。