◆優駿の条件◆
当たり前だが、ダービー馬になるためには、まずはダービーに出走しなければならない。だが、フルゲートの18頭の中に潜り込めたとしても、そうは簡単に栄冠を手にすることはできない。
皐月賞は「速い馬」、菊花賞は「強い馬」、そしてダービーは「運の強い馬」を狙え!
そうは言われてもどの馬が「運が強い」がどうかも分からない。強いていえば、圧倒的に有利な内枠に入った馬となろうか。確かに近年のダービでは内枠有利ということが分かる。ただ、頂点を極めるには数々の難関、即ち「優駿の条件」を突破しなければならないことは、余り知られていない事実とうことも、また確か。(データはすべて03年以降の過去12年)
1.重賞連対実績
馬券になった36頭すべてに重賞連対実績がある。ダービーに出走するには、トライアルで優先出走権を確保するか、重賞で連対を果たし賞金を積み重ねるしかないので、これはいわば当然のこと。
<重賞連対実績のない馬>
09コスモナインボール
12アダムスブリッジ
16スピリッツミノル
重賞実績がないダービー馬といえば、「音速の末脚」を炸裂させ、3戦目にしてダービーをぶっこ抜き、世の競馬オヤジたちを仰け反らせた96年のフサイチコンコルドが思い出される。そんなコンコルドとダブってくるのがアダムスブリッジだと、キャロットの一口馬主の間で盛り上がっていると聞く。だが、アダムスはアダムスであって、フサイチコンコルドではない。
2.重賞勝利実績
馬券になった36頭中、32頭が重賞勝利実績がある。重賞未勝利で馬券になった4頭は、05年シックスセンス、08年ブラックシェル、11年ベルシャザール、13年アポロソニックで、いずれも3着だった。
よって、重賞連対はあるものの、重賞未勝利の馬、つまり重賞最高着順が2着の馬は、あっても3着までということ。
<重賞最高着順が2着の馬>
02タンタアレグリア…青葉賞2着
03コメート…ホープフルS2着
05ダノンメジャー…ラN杯京都2歳S2着
06ポルトドートウィユ…京都新聞杯2着
ダービー6勝目を狙う武豊、23度目の正直でダービー初制覇を目論む蛯名だが、残念ながら3着まで。
ここまで生き残ったのは11頭。だが、ダービー馬になるための更なる試練は、まだまだ続く。
3.前走着順
過去12年で連対した24頭中、20頭が前走4着以内。また、勝馬に絞れば、12頭中11頭が該当し、唯一の例外が09年のロジユニヴァース(前走皐月賞14着)。したがって、百歩譲って前走で掲示板に載ることができなかった馬は、ドサクサに紛れて2着に来ることはあっても、勝つことはそうそうないということ。
<前走5着以下>
04グァンチャーレ…NHK12着
08ベルラップ…皐月賞14着
10ミュゼエイリアン…皐月賞7着
11サトノクラウン…皐月賞6着
18タガノエスプレッソ…皐月賞13着
これで、だいぶ絞れてきた。
生き残ったのは、内から順に01サトノラーゼン、07レーヴミストラル、13リアルスティール、14ドゥラメンテ、15ミュゼスルタン、17キタサンブラックの6頭。
と、ここで、清水成駿がその名を不動のものとした「伝説のポッツン◎」を打った98年のダービーの時の「1馬」の「今日のスーパーショット」の一部を引用させて頂く。
「◎はボールドエンペラーとする。
皐月賞をテープが擦り切れるまで見たところ味のある競馬をしている馬がいた。
ボールドエンペラーだ。
ダービーにおいてここまで評価が落ちるのは評論家、トラックマンの責任もある。
皐月賞一戦で見限るのは早計、穴は過去のレースの本質を見抜いた者のみが与えられる神からのギフト。
きさらぎ賞ではダービーの主役スペシャルウィークの2着。地力はある。
対抗はスペシャルウィークで鉄板。
ダービーくらい一点でしとめたいものである。
たまには女房に帯の札束を渡すのも悪くはあるまい。」
ボールドエンペラーに「ポッツン◎」を打った、根拠とは何か?
それは、「皐月賞をテープが擦り切れるまで見た」結果、「上がり3Fの切れ味」に気付いたからに他ならない。
当時の上がり最速は、3着のスペシャルウィークの36.1だが、上がり2位は6着のボールドエンペラーで、36.5だった。成駿は、この切れ味に目を付けただけではなく、ゴール板を過ぎてからの伸び脚にも注目したのだ。
昨年も、皐月賞上がり最速を叩き出したにもかかわらず、4着だったワンダンドオンリーが、見事ダービーでリベンジを果たした。
94年以降の過去21年で、皐月賞で上がり最速の馬のダービーの成績は【7-3-4-11/25】で、勝率28%、連対率40%、複勝率56%である。
そして、皐月賞に限らず、この上がり3Fの切れ味というのが、ダービーという栄光に辿り着くための最後の関門なのである。
4.前走上がり3F3位以内
過去12年のダービー馬のうち、09年ロジユニヴァース、12年ディープブリランテを除く10頭は、前走で上がり3F3位以内で、7頭が上がり3F1位。
また、12頭中10頭が、ダービーまでの上がり3F3位以内率が80%以上である。80%未満でダービー馬になったのは、06年メイショウサムソン(70%)と12年ディープブリランテ(60%)の2頭のみである。
特上の切れ味―これがダービー馬の必須条件。
前走上がり3F順位3位以内かつ3位以内率80%以上。この条件をクリアできない01サトノラーゼンと17キタサンブラックが、ここで脱落。残念ながらサブちゃんの「祭」は、お預けとなる公算が大である。
というわけで、優駿の条件をすべてクリアしたのは、次の4頭。
07レーヴミストラル
13リアルスティール
14ドゥラメンテ
15ミュゼスルタン
これはまずいことになった。どれも、帯に短し襷に長しだ。
まず、有利といわれる内枠の馬が1頭もいないし、奇しくも4頭中3頭がキンカメ産駒であるということ。
ダービーの血統傾向、コース傾向からいえば、ディープの流れ。だったら、素直にリアルスティールから入ればよさそうにも思えるが、なんせ冴えない2番人気というのが、気に入らない。
キンカメ産駒も、府中の芝2400mで好走していないわけではないが、レーヴミストラルは、前走青葉賞組からダービー馬は誕生していないこと、ドゥラメンテの1番人気は信頼できるのだが、母父SSはダービー未勝利。そして、ミュゼスルタンについては、3歳になって未勝利、芝2000m以上の経験なし、とデータ的には決して買いサインは出ていない。極めつけは、なんといっても鞍上が大先生ということだ。
というわけで、結論は、明日の8R青嵐賞(芝2400m)の結果を見てから決めることにします。
当たり前だが、ダービー馬になるためには、まずはダービーに出走しなければならない。だが、フルゲートの18頭の中に潜り込めたとしても、そうは簡単に栄冠を手にすることはできない。
皐月賞は「速い馬」、菊花賞は「強い馬」、そしてダービーは「運の強い馬」を狙え!
そうは言われてもどの馬が「運が強い」がどうかも分からない。強いていえば、圧倒的に有利な内枠に入った馬となろうか。確かに近年のダービでは内枠有利ということが分かる。ただ、頂点を極めるには数々の難関、即ち「優駿の条件」を突破しなければならないことは、余り知られていない事実とうことも、また確か。(データはすべて03年以降の過去12年)
1.重賞連対実績
馬券になった36頭すべてに重賞連対実績がある。ダービーに出走するには、トライアルで優先出走権を確保するか、重賞で連対を果たし賞金を積み重ねるしかないので、これはいわば当然のこと。
<重賞連対実績のない馬>
09コスモナインボール
12アダムスブリッジ
16スピリッツミノル
重賞実績がないダービー馬といえば、「音速の末脚」を炸裂させ、3戦目にしてダービーをぶっこ抜き、世の競馬オヤジたちを仰け反らせた96年のフサイチコンコルドが思い出される。そんなコンコルドとダブってくるのがアダムスブリッジだと、キャロットの一口馬主の間で盛り上がっていると聞く。だが、アダムスはアダムスであって、フサイチコンコルドではない。
2.重賞勝利実績
馬券になった36頭中、32頭が重賞勝利実績がある。重賞未勝利で馬券になった4頭は、05年シックスセンス、08年ブラックシェル、11年ベルシャザール、13年アポロソニックで、いずれも3着だった。
よって、重賞連対はあるものの、重賞未勝利の馬、つまり重賞最高着順が2着の馬は、あっても3着までということ。
<重賞最高着順が2着の馬>
02タンタアレグリア…青葉賞2着
03コメート…ホープフルS2着
05ダノンメジャー…ラN杯京都2歳S2着
06ポルトドートウィユ…京都新聞杯2着
ダービー6勝目を狙う武豊、23度目の正直でダービー初制覇を目論む蛯名だが、残念ながら3着まで。
ここまで生き残ったのは11頭。だが、ダービー馬になるための更なる試練は、まだまだ続く。
3.前走着順
過去12年で連対した24頭中、20頭が前走4着以内。また、勝馬に絞れば、12頭中11頭が該当し、唯一の例外が09年のロジユニヴァース(前走皐月賞14着)。したがって、百歩譲って前走で掲示板に載ることができなかった馬は、ドサクサに紛れて2着に来ることはあっても、勝つことはそうそうないということ。
<前走5着以下>
04グァンチャーレ…NHK12着
08ベルラップ…皐月賞14着
10ミュゼエイリアン…皐月賞7着
11サトノクラウン…皐月賞6着
18タガノエスプレッソ…皐月賞13着
これで、だいぶ絞れてきた。
生き残ったのは、内から順に01サトノラーゼン、07レーヴミストラル、13リアルスティール、14ドゥラメンテ、15ミュゼスルタン、17キタサンブラックの6頭。
と、ここで、清水成駿がその名を不動のものとした「伝説のポッツン◎」を打った98年のダービーの時の「1馬」の「今日のスーパーショット」の一部を引用させて頂く。
「◎はボールドエンペラーとする。
皐月賞をテープが擦り切れるまで見たところ味のある競馬をしている馬がいた。
ボールドエンペラーだ。
ダービーにおいてここまで評価が落ちるのは評論家、トラックマンの責任もある。
皐月賞一戦で見限るのは早計、穴は過去のレースの本質を見抜いた者のみが与えられる神からのギフト。
きさらぎ賞ではダービーの主役スペシャルウィークの2着。地力はある。
対抗はスペシャルウィークで鉄板。
ダービーくらい一点でしとめたいものである。
たまには女房に帯の札束を渡すのも悪くはあるまい。」
ボールドエンペラーに「ポッツン◎」を打った、根拠とは何か?
それは、「皐月賞をテープが擦り切れるまで見た」結果、「上がり3Fの切れ味」に気付いたからに他ならない。
当時の上がり最速は、3着のスペシャルウィークの36.1だが、上がり2位は6着のボールドエンペラーで、36.5だった。成駿は、この切れ味に目を付けただけではなく、ゴール板を過ぎてからの伸び脚にも注目したのだ。
昨年も、皐月賞上がり最速を叩き出したにもかかわらず、4着だったワンダンドオンリーが、見事ダービーでリベンジを果たした。
94年以降の過去21年で、皐月賞で上がり最速の馬のダービーの成績は【7-3-4-11/25】で、勝率28%、連対率40%、複勝率56%である。
そして、皐月賞に限らず、この上がり3Fの切れ味というのが、ダービーという栄光に辿り着くための最後の関門なのである。
4.前走上がり3F3位以内
過去12年のダービー馬のうち、09年ロジユニヴァース、12年ディープブリランテを除く10頭は、前走で上がり3F3位以内で、7頭が上がり3F1位。
また、12頭中10頭が、ダービーまでの上がり3F3位以内率が80%以上である。80%未満でダービー馬になったのは、06年メイショウサムソン(70%)と12年ディープブリランテ(60%)の2頭のみである。
特上の切れ味―これがダービー馬の必須条件。
前走上がり3F順位3位以内かつ3位以内率80%以上。この条件をクリアできない01サトノラーゼンと17キタサンブラックが、ここで脱落。残念ながらサブちゃんの「祭」は、お預けとなる公算が大である。
というわけで、優駿の条件をすべてクリアしたのは、次の4頭。
07レーヴミストラル
13リアルスティール
14ドゥラメンテ
15ミュゼスルタン
これはまずいことになった。どれも、帯に短し襷に長しだ。
まず、有利といわれる内枠の馬が1頭もいないし、奇しくも4頭中3頭がキンカメ産駒であるということ。
ダービーの血統傾向、コース傾向からいえば、ディープの流れ。だったら、素直にリアルスティールから入ればよさそうにも思えるが、なんせ冴えない2番人気というのが、気に入らない。
キンカメ産駒も、府中の芝2400mで好走していないわけではないが、レーヴミストラルは、前走青葉賞組からダービー馬は誕生していないこと、ドゥラメンテの1番人気は信頼できるのだが、母父SSはダービー未勝利。そして、ミュゼスルタンについては、3歳になって未勝利、芝2000m以上の経験なし、とデータ的には決して買いサインは出ていない。極めつけは、なんといっても鞍上が大先生ということだ。
というわけで、結論は、明日の8R青嵐賞(芝2400m)の結果を見てから決めることにします。