じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

じいたんのいびき。ばあたんの匂い。

2005-08-30 02:46:32 | じいたんばあたん
例によって、じいたんの書斎からアクセス。

明日は、ばあたんが入院している病院で、じいたんも診察を受け
そしてばあたんを二人で見舞う予定。
片道一時間半はかかるので、結構、強行軍。
お手洗いの問題や、水分補給のタイミングなど
きちんと考えながらルートを選んだ。

隣の部屋からは、じいたんの豪快ないびきが聞こえてくる。
それを聞くと、ちょっと、ほっとした気分になる。
ばあたんがいない寂しさの中でも、きちんと眠るじいたん。
がんばってくれているなあって思う。

今日は、じいたんの隣の、ばあたんのベッドで休むつもり。
ほんの少しだけ、ばあたんの優しい匂いが残っている、
その枕で
明日は私を認知できないかもしれないばあたんに、
こっそり甘えてから
面会に行こう
そう思って。



看護師さんに聞いたら、食が細くなってしまっているとのこと。
昼には、もし私のことがわからなくても、
食事介助をさせてもらえたらうれしい。

ばあたんに頬ずりする夢を見る。
しょっちゅう見る。
ばあたんが頭をなでてくれる夢を見る。
しょっちゅう見る。

「たまちゃん、そんな悲しまないで。
 おばあちゃんまで悲しくなってしまうわ」

私が、家族のことで悩んで彼女の前で涙ぐんでしまったとき、
一緒に泣いてくれた、ばあたんの、
やさしい、おおきい、暖かい手を思う。

じいたんのいびきを聞きながら、そんなことを思い出している。