じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

バッハ「インベンション」と、ショパン「幻想即興曲」

2005-06-23 13:54:56 | 音楽
※設定ミスで「コメント受け付けない」になっておりました(ToT)
 修正しましたので、どうぞどしどしお願いいたします…(修正6/25 6:18)

たかがアニメのエンディングテーマである
wind (明星)

以前のエントリでご紹介した、この曲を演奏してみようと試みるとき、

何故か、全然似ていないはずの、「幻想即興曲(ショパン)」を思い出す。
(ピアノを弾く方はなんとなく解ってくださるのでは。)


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小学3年の終わりくらいのこと。

ソナチネは小2の夏で卒業し、
ソナタも簡単にやってすっ飛ばし、

私の先生が、私だけのために選んだ、カリキュラムは
バッハの「インベンションとシンフォニア」だった。
(ハイドンとかシューベルトとか、そういうのは弾かせてくれていたけど、 
 メインの教材が「インベンションとシンフォニア」だったのだ)

子供の私には本当に本当に苦しい訓練だった。

…けれど、
「両手の筋肉をバランスよく鍛え、全ての指のコントロールを均一にする」
という目的があったから、
すごい我慢しながら頑張った記憶がある。

曲は嫌いじゃなかった。むしろ好きだった。
だけど、本当に本当に手ごわくて、奥が深くて、辛かった。


(間の時代は、複雑なので省略。またいずれ)


その後、とうに親元からも離れた16歳の頃、
バイト代で通っていた、新しいピアノの先生に
「たまちゃんは、本当はこっちのほうが向いているんじゃない?」
と、
ショパンの「幻想即興曲」を弾かせてもらえたときのこと。


愕然とした。


あれほど鍛えたはずの左右の手。筋肉のバランス。
苦しい苦しい訓練に耐えてきたはずの、あたし。
そんなものは土台に過ぎないと、思い知らされた。

あの、ダイナミックなのに繊細な曲を弾く感性を、
自分の中に育てる努力を怠ってきたのではないかと、怯えた。
楽譜を見るのが、怖かった。


だか、幻想即興曲を練習していくうちに、段々と、何かを「手が」理解した。

幻想即興曲は、聴き手に合わせて
弾き方を変えることができる、とても自由な曲なのだ。

確実な指の動き、音をコントロールできる筋力と持続力。
これがあって初めて、聴き手の心に、そして自分の心に
寄り添うような演奏を実現できるのだ。
 
そう思ったら、弾くのが、楽しくなった。
そうだ、あの訓練に耐えたからこそ今、あたしは自由に
この曲を弾けるんだ。

だったら、あたしにしか弾けないショパンを。
自信をもって。
上手くなくてもいい。精一杯のショパンをあたしは、弾きたい。


…今でも、介護に挫けそうなとき、あのときのことを思い出す。

下に紹介している本は、ショパンを割と本格的に、演奏してみたい人に
いいかなと思う練習本です。CDついてます。

私自身は、例の、あの、一曲ずつの楽譜で練習したのですけど、
アレ何ていいましたっけ?教えてはれうさん&偉い人!


珠玉のショパン名曲選〈幻想即興曲〉

ドレミ楽譜出版社

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◆追記(7/16)"三日でひとまわり"の、「バッハとわたし」にTBしました。

◆追記(7/19)"かっこうのつれづれ"「ミュージカル・バトン」にTBしました。