じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

「介助犬ばう」のこと。

2005-06-18 23:42:39 | 介護の周辺
前回のエントリについての、Kenさんのコメントを読ませていただいて、
色々考えてみたんですが…
(といいつつ、話が微妙にずれるんですけれど)

介護猫一匹では、老夫婦の介護を十分には、できなかったと思います。

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「介護猫たま」には、そしてじいたんばあたんには
「介助犬ばう」がついています。

私の彼氏=「ばう(もともと”ばう”というあだ名)」は、
まるで「介助犬」のような人です。

「ごく具体的な援助」を惜しまずしてくれる、彼は
まるで介助犬のような人です。

祖父母宅でのばうは、一緒にじいたんとテレビをみたり、
くつろいでいて、あまり余計なことはしないし、言わないけれど、

たとえば、
じいたんが話したそうにしているときは、
いっぱいお話し相手をします。

たとえば、
じいたんの会計に私がつきっきりで、
ばあたんに構ってあげられないときは、
二時間くらい、しりとりやら、紙風船やら、
色んなことをして、ばあたんの遊び相手になっています。

たとえば、
じいたんとお風呂に入りに行くとき、ばうばうは
そーっと、傍にいて
じいたんが、ふら~っとしたときや
しりもちをついたときだけ
ささっと手助けをします。

たとえば、
ばあたんが、大勢の来客のなか
おいてきぼりになったような気分を味わっているとき
介助犬ばうは、さりげなく
「おばあちゃん、ばうちゃんと散歩に行きませんか?」
と、ばあたんを連れ出します。

たとえば、
介護猫たまが、事故に遭って
じいたんばあたんのところにいけなかった日、
介助犬ばうは、人間たまに
やるべきことリストをメールで送らせて、

会社帰りに、自分ひとりで祖父母の家を訪ね、

服薬、ヘルパーの記録のチェック、そして、
じいたんが困っていることがないか、
男同士の立場で色々とリサーチして、たまのところへ寄り、
二時間かけて自宅へと帰っていきます。


じいたんやばあたんに甘えたりすることはありませんが、
静かにそこにいて(あ、口は悪いけど(笑))、

「信頼しています」というメッセージを常に、送り続けます。


そして、何より

介護猫たまが、祖父母宅から出て「人間たま」に戻り、
今後の介護の行方、皆がハッピーに過ごせる方法を
色々考えながらうんうん悩んでいるとき
具体的な提案をいくつも出しながら、一緒に問題を考えてくれます。

介護猫が、人間に戻れなくて、ごはんをつくる気力がないとき
台所に立ってごはんをつくってくれます。

介護猫は、猫ですので
自分の生活をきちんと維持していくことが、苦手です。
介助犬ばうは、そういうとき、ささっと
スケジューリングや、プライオリティ付けをして、
水先案内をしてくれます。

そして、たまが、悲しくておいおい泣くときは
黙って横にいてくれます。

不思議な、不思議なひとです。

私が「介護猫」でいることができるのは、
介助犬のように、ばうが、寄り添ってくれるからかもしれません。


追伸:
もちろん、お世話はちゃんとしなければなりません。
介助犬ばうが大好きなのは、耳かきや、頭のマッサージです。
それから、あたたかく二人で眠る時間です。
二人でいろんなことを話すのが好きです。
かまってあげないと、すねます。

普段のばうは、めちゃめちゃ活動的な人です。
でも「忙しい」という言葉を一度も言ったことがありません。
(そこを私は一番、信頼しています)
ちょっと風変わりな、うたれづよい、謎のひとです。