matta

街の散歩…ひとりあるき

吉原で...とらと〜ら、と〜らとら...『北斎漫画』十二編

2018年01月22日 | 絵画・彫刻

«和藤内の休息»
あの近松門左衛門«国性爺合戦»の勇士。
和藤内…和・唐・内
明王朝の家臣が父、母が日本人。
明王朝の危機におよんで韃靼征伐に中国へ。
途上、千里ヶ原の竹林で猛虎と決闘。
武器をつかわずに闘い
ついには虎をてなずけてしまう。

そんな和藤内とこの«北斎漫画十二編»
右上の削り節削るは日本の老母か。
右下から左へ。
仕出しの凾をもつ中国人風男
「新吉原中之町 竹村伊勢大禄」の文字。
その左におなじチャイナ服の男
湯を沸かそうと火をおこし
さらに左のチャイナ服男
松葉杖つき大刀を腰に。
…それぞれ和藤内の父のつもりか。

左上は虎…頭に袋、首に護符か
そしていよいよ和藤内が左下
女の着物をかけてもらって眠りこけ…
で、ここは吉原…
とらと〜ら、と〜らとらあそびに興じた後か…
虎は和藤内(武士)に負け
和藤内は母親に負け
母親は虎に負ける

和藤内の生地は肥前国
さらに明朝とお江戸後期の吉原とは
時代にずれがあるけれど...そこが洒落。

参考:近松門左衛門『国性爺合戦』虎との闘い
「…和藤內ちつとも臆せず、「讀めたり讀めたり。扨(さて)は異国の虎狩な。
あの鉦(かね)太鼓は列卒(せこ)の者、爰(ここ)は聞こゆる千里が原、
虎嘯(うそぶ)けぱ風起る、猛獸の所爲と覺えたり。
二十四の楊香(ようきゃう)は、孝行の徳によって、自然と脫れし惡虎の難。
其孝行には劣るとも、忠義に勇む我が勇力、唐へ渡って力始。
神力ますます日本力、刃でむかふは大人気なし。
虎はおろか象でも鬼でも一挫(くじ)ぎ。」と、尻引からげ身づくろひ、
母を圍うて立つたるは、西天の獅子王も恐れつべうぞ見えてけり。
案に違はず吹く風と、共に荒れたる猛虎の形、ふし根に頰(つら)をすり付け すり付け、
岩角に爪硏ぎ立て、ニ人を目がけいがみかかるを事ともせず、左手に擲(なぐ)り右手に受け、
捩って懸くれば身をかはし、撓(たゆ)めばひらりと乘移り、
上になり下になり、命競べ根競べ、聲を力にえいいえい。
虎の怒毛怒聲、山も崩るる如くなり。和藤內も大童、
虎も半分毛をむしられ、兩方共に息疲れ、石上につつ立てば、虎も岩間に小首を投げ、
大息吐いだる其響、吹鞴(ふいごう)吹くが如くなり。母藪影より走出で、
母「ヤアヤア和藤內、神國に生れて神より受けし身鉢髮虜、畜類に出合ひ力だてして怪我するな。
日本の地は離るるとも、神は我身に五十鈴川、大神宮の御祓い、納受などかなからんや。」
と、肌の守を渡さるれば、和「實に尤(もっと)も。」と押戴き、虎に差向け差上ぐれば、
神國神秘の其不思、猛りに猛る勢も、忽ち尾を伏せ耳を垂れ、じりりじりりと四足を縮め、
恐れ戰き岩洞に隱れ入る、尾筒を摑んで跳返し、打伏せ打伏せひるむ處を乘懸り、
足下にしっかと踏まへしは、天斑駒素戔嗚(あまぶちこますさのお)の、
尊(みこと)の神力天照神の威德ぞ有難き。かかる處に列卒の者、群り來る其中に、
大將と思しき者大音上げ、「ヤアヤア奴(うぬ)は何國の風來人、我が功名を妨ぐる。
其虎は忝くも主君右軍將李蹈天より、韃靼王へ獻上の爲、狩出したる虎なるぞ。
早早(そうそう)渡せ。異議に及ばは打ち殺さん。しやぐわんしやぐわん。」と、喚きける。
李蹈天と聞くよりも、願ふ處と笑つぼに入り、和「ヤア餓鬼も人數(にんじゅ)、しほらしい事ほざいたり。
身が生國は大日本、風來とは舌長し。さ程ほしがる虎ならば、主君と賴む李蹈天とやら、
爰へ突き出し詫事せい。直に逢うても用もある。さもない內はいかな事、ならぬならぬ。」と睨付くる。…


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ロード・バイク | トップ | おかしな顔、顔、顔...『北斎... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

絵画・彫刻」カテゴリの最新記事