命のカウントダウン(健康余命3605日)

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2月12日はペニシリンの日 でも・・・・

2023-02-12 11:43:21 | 治療薬
「今日2月12日はペニシリンの日です。」
車に乗り込むと、ナビがそう教えてくれた。毎日、乗り込むたびに同じようなことを喋ってくれるのだが、殆どは無視している。
でも、今日は、ペニシリンを始めとする抗生物質、抗菌剤について考えてみたいと思った。

アレキサンダー・フレミング博士が、シャーレに混入したアオカビの周囲に、育てようとしていたブドウ球菌が育っていなかったことに注目し、アオカビが細菌を抑制する物質を作っているのではないかと考え、それを抽出したのがペニシリンだと言う話は有名ですよね。

上の写真のシャーレでも、中心部のアオカビの周囲には細菌のコロニー(白い点状のもの)がありません。
これを見て、アオカビが、細菌を抑制する物質を出しているはずだと考えつく所が先ず凄いですよね。この発見が1928年。そして苦労してその物質を抽出し、オックスフォード大学で臨床実験に成功したのが1941年の2月12日なのだそうです。その後、第2次世界大戦の負傷兵などに対して多大な貢献を果たしたペニシリンなのですが・・・

近年では、抗生物質、抗菌剤の「使いすぎ」が、問題化しています。


 新型コロナやインフルエンザは勿論、ほとんどの風邪の原因が細菌ではなくウィルスであることは皆さんご存じですよね。しかし、風邪をひくと、「マイシン」を希望される方は多いです。そして、風邪に対して漫然と抗生物質を処方する医者も多いですよね。ウィルス感染に抗生物質、抗菌剤は無効であるばかりか、有害であることがしばしばです。肝障害を引き起こしたり、重症型の薬疹に罹患し、生命の危機にさらされることもあるのです。私も何度かそのような患者さんに遭遇しました。自分が処方した抗菌剤で重症の薬疹が出現してしまったこともあります。健康な方が突然重病人になり、時には命を奪われるのです。薬害は非常に恐ろしいです。

 無駄な抗菌剤投与は、抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性菌」を発生させやすくもなります、勿論医療費の無駄使いでもあります。政府も抗菌薬の使用の適正化、即ち無駄な投与を減らすよう啓発しています。

 そして、あまり話題に居はなりませんが、私は、幼少時の抗生物質、抗菌剤投与は、肥満の原因にもなると考えており、これも重要だと感じています。


 少し古い資料ではありますが・・・風邪で医療機関を受診した患者に抗生物質(抗菌薬)が処方された割合は、2017年度では奈良県が48.9%で全国で最も高く、福井県が26.6%で最も低いことが30日、全国健康保険協会(協会けんぽ)が初めて実施した都道府県別調査で判明しました。全国平均は35.9%で地域差が目立つという結果でした。


奈良県の医師は何を考えているのだろうか?
と、天に向かって唾を吐いても始まりませんね。ご近所でも、風邪にはフロモックスをほぼ全員に「配っておられる」方おられますから。
全員配布タイプの医者が良く使う薬にフロモックス、メイアクトがあります。
これらの薬が悪いわけでは決してないですが、非常に広い範囲の細菌に効果がある薬なので、「まあ、抗生剤出しておこうか」という処方に向いているのです。

私が親しくしている医師たちは、風邪での抗菌剤処方は1割以下だと言っているし、私も1割以下です。ほぼ全員に「配る」なんてあり得ない。

風邪と言われる状態で、抗菌剤処方が全く無駄だと言っているわけではないです。中には溶連菌感染症の扁桃炎の方もおられるし、細菌性の気管支炎、肺炎の方もおられます。そのような方には強力な抗生物質治療を必要期間施行します。

しかし、抗菌剤投与の必要な患者さんは感冒様症状を呈する患者さんの多くても1割程度なのではないかと感じてはいます。

抗生物質、抗菌剤を風邪症状で来院された患者さんにもれなく配っておられるのは・・・・〇〇にも育っていないタケノコ医者?失礼しました!



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3 コメント

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Unknown (kikokikonoriko19888888)
2023-02-12 22:58:58
薬学の学会でイギリスのセントメリー病院い立ち寄りました。
ペニシリン発見のフレミングのタブレットがかかっており、ロビーにはエリザベス女王陛下のお写真入りのフレミングへのお言葉とガラスケースが保存されていました。1990年ごろです。
ペニシリンのアオカビ発見の当時のシャーレが展示されていました。
ついでに地下の薬局にも立ち寄って、発見当時の実験試料も見せてもらい、ウエルカム博物館に行きましたら、そこにもフレミングのシャーレ―が展示されていました。
発見当時のフィーヴァーは
画期的なものだった熱気が伝わってきました。
私は卵巣腫瘍で、16センチお腹を切ったのですが
その時は、はじめはペニシリンを処方されましたが、途中で
フロモックスに変えていただきました。抗生剤にすくわれた一例報告ですが、外科系には、ありがたい薬だと使い方を勉強しています。内科的には、抗菌スペクトルで先生は病気によっては薬剤師はびっくりするような処方も30年前は勉強させられた薬です。ペニシリンの日が有ったなんて、初めて知りました。先生のサイトでは、いつも新しい知識が戴けます。感謝です。昔話ですがお礼に30年前のペニシリン情報を述べてみました。時代とともに、、良い薬が、出てきますね。
返信する
Unknown (camper)
2023-02-14 01:12:05
花鳥風月さん、ペニシリンに対する体感的な貴重なお話ありがとうございます。重厚な歴史を感じますね。

ペニシリン、現在の日本で使われるのは梅毒位でしょうが、梅毒、増えているそうですから、ペニシリンの処方も増えているのだと思われます。歴史は繰り返すのしょうね。

私個人としては、医者になって35年以上になりますが、狭域ペニシリン未だに処方したことないです。
広域ペニシリンのオーグメンチンなどは何度も何度も処方しております。いい薬ですよね。ほんと、時代と共に薬も進化していきますよね!!

此処からは少しネガティブです。
超進化した・・・・超広域セフェムのフロモックス、メイアクト とてもとっても良い薬だとは思うのですが・・・私は、好きになれないのです。
気軽に使われ過ぎなのです。
何で、こんなに凄い薬を、子供のお使いみたいな簡易に事象に対して、気軽に使うのかが理解できないのです。
私は、こんなスーパー使いやすい薬は「取っておき」に残しておきたいのです。普段に使うのは、事象に応じた、効く範囲の狭い即ち抗菌スペクトルの狭い薬を使って欲しいのです。

相手の菌種がどうしても分からない場面で、こんなスーパーに広範囲に有効な薬は限定的に使って欲しいのです。

私の抗菌剤使用の趣味を語ってしまいました!!


、そんな選択は医者の好見かもしれません。でも、広域スペクトルの抗菌剤が気軽に使われ過ぎているのは、MRSAなどの耐性菌を侍らせる原因だqとも思っていますので、良くないと感じております。何とかそれはやめさせるべきだ思っています。私が気軽に抗生物質、抗菌剤 特に効く範囲の広い万能?抗生物質、抗生剤のフロモックスやメイアクトをを出さない、気軽に処方している医師を非難している理由をご理解していただけたら幸いです。そんなことは、十二分にご理解していただいていると思いますが!!
返信する
Unknown (kikokikonoriko19888888)
2023-02-15 05:09:15
臨床現場の医師の考えを聴くことが出来て
勉強になります。
ペニシリン発見に時代は、戦後で
外科医の父は総合病院の仕事から軍医へと、
終戦直前に疎開地開業でした。
准看さんが多くて、手術の機械だしの時も、
コンクリーの床に落ちた器具を
拾ってしまうというレベルの職員も居て、
院内換気や、院内消毒の不備。注射針も消毒して使う時代。
薬品も、その日の分を使い切らないという、、、
感染症に意識も低い時代に、天然痘の流行、チフスや赤痢。
医師は術後の感染に悩まされた戦後だけに
ペニシリンは、当時は梅毒だけではなくて、
「医療貧者だった戦後の日本」の救世主の様な薬でしたね、
ぶっとい長い針で、お尻にブチュ!!、、、
「まじかよ~~!」先生なら、気絶するかも、、、(^^
医療貧困の戦後を生きた私たちにとって、
日進月歩の薬の世界は、わくわくする進歩でしたね。
大学病院勤務の時は先生方の薬の使い方を学ぶ方でしたので、普段と量的に異なったときは確認をしていましたが、
Dr.は勉強をするので
使い方に置いては
副作用の文献と配合禁忌の薬品文献を添えるぐらいで、
ドクターの日ごろの患者さんに対するデーターや
オンド版をPCに共有して、科学的に問題の有る事や
薬が変った場合、量や種類が極端に増えた場合、、、
明らかに
アリナミンとアリメジンを書き間違えたと、、
周りの薬品からわかる場合、
以前よりも良い薬が発売になった場合など、
文献をもって行くというように、
各先生の臨床データが個人差の多い患者さんにとっては、
何よりも大切だと考えていましたので、
「先生の薬の使い方」に関しては、薬剤師の判断は、逆に、、こんな使い方もあるんだ。。。と。
メモ帳に書いていましたね。」
先生方同士では
内科医の兄は、先生と同じような事を言っていますね。
ダンナは外科医なので、
抗生剤の使い方は、ダイナミックに短期に使い、、、
兄なら、気絶するかもしてませんね。
薬剤師は,「その科の先生方の使い方の平均」を
極端に超えた量でない限り問い合わせはしない時代でしたね。第一世代より次々と良い薬が出ますので、
旧世代の薬品を使っている先生には、
すぐに文献を上げていましたが
頑固に旧世代のを使う先生もいましたね。
患者さんを知り尽くしているのは先生方ですから、
患者さんの薬への感受性やリスクは知り尽くさないと、、、
構造式から、「系」が分けられている場合もあり、
化学ですから、元素や側鎖や環状構造などから、
副作用が解る場合もあります。
たとえば
モルヒネのメチル基とアリ―ル基が入れ替わると「拮抗薬」に成るとか。薬の組み合わせには、確認しましたね。
先生方から、学ぶばかりでした。今もそうですが、、、
いろいろな使い方の違う先生は、、マークして
薬剤師ノートには筆跡まで書いて、
処方箋のDr.の名前だけで、
ショウホウを暗記しているぐらい注意しましたね。
「今日の治療薬」は、今でも毎年買っていますね。
「今日、、、クスリはやっぱり、、、今日、、」
必要なデーターが豊富で、重宝しています。
貴重な先生のサイトは、いつも勉強になり、感謝しています。
お役に立つかどうかわかりませんが、、、???
タダ読みさせていただいていますので感謝の代わりに
ありのままを書かせていただきました。
今は総合病院は「オーダリング」なので、
先生のご苦労は、どんなに大変か、
在宅医療の大変さを、国は
もっと理解してくれるといいですね。
老人子供の体内蓄積の推測される
薬品選びをしていらっしゃることが、、伝わってきます。
勉強になりました。
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