茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

『本のお茶』

2010年09月02日 | Weblog
今日は、岡倉天心忌。
『茶の本』で天心はこのように述べています。

 茶道は日常生活の俗事の中に存する美しきものを
 崇拝することに基づく一種の儀式であって、
 純粋と調和、相互愛の神秘、社会秩序の
 ローマン主義を諄々と教えるものである。

100年ほど前にかかれたこの文章は、
今ではちっと難しくて、
よけいに茶道が大変な世界のものに
感じられたりしちゃいます。 
では、こんな文章だったらどうでしょう。

 茶道。
 それは日々の雑多なものごとの中にひそむ美しさを
 深く愛すること。
 茶道の精神は、
 ピュアな心や、世界と自分が奏でるハーモニー、
 ひとがおたがいを慈しむ気持ちの深遠さ、
 この社会の中で
 ロマンティストとして生きることを教えてくれます。

これは、
『茶の本』をカフェ風に翻訳した
『本のお茶』の引用です。
美しさを深く愛すること・・・
なんて素敵な表現でしょう

『茶の本』の口語訳は何種類かでていますが、
カフェ風には、
天心もくすぐったがっているようですね。

書  名:本のお茶
抄訳・文:川口葉子
写  真:藤田一咲
企画編集:三枝克之
発  行:角川書店

ちなみに、原文はこれです。
Teaism is a cult founded on the adoration
of the beautiful among the sordid facts
of everyday existence.
It inculcates purity and harmony,
the mystery of mutual charity,
the romanticism of the social order.