茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

揉む

2009年05月17日 | Weblog
田舎のない私が
九州で静岡で
よそ様のおうちに泊まらせていただき
よそ様の畑に入らせていただき
お茶を摘んだり揉んだり楽しませていただき
本当に感謝感激の春でした

「摘む」ところから「飲む」までを一気に体験できて
初めて気づくことがたくさんありました
朝の天気、土の温度、お茶の体温
全身が温度計になってお茶の声を聞いています
籠の中のお茶の葉が
「あ、もう揉んで欲しがっている」とか
「もう少し萎えたがっている」とか
そんな感じがなんか伝わってくるのです
シロートのくせに~
なのですが、それがいいのです

お母さんがホウレンソウを茹でる時の感じです
おみそ汁にするのか、バター炒めにするのか
しゃきしゃきが好きな子供が食べるのか
歯が悪いおじいちゃま食べるのか
その時々でゆで加減があります
一番おいしくなるように茹でる
こころはそれだけ

蒸したお茶を揉むときも全く同じ
教科書を見て
何分揉んだら何分乾かしてと数字できめてはつまらない
でもやっぱり
これはとっても難しいです
お茶を揉むというのは
壊してしまいそうで崩してしまいそうで
お茶のおいしいエキスが筵(むしろ)に行っていまいそうで
なかなか感覚がつかめません
そうしていつも揉み足りない・・・
つまりよく出ないお茶になる
「揉捻」の加減がどうもわからないです

製茶工場の揉捻機は見ていて飽きません
よくぞつくったものと感心します
人の手の仕組みの素晴らしさと
お茶の葉の性質と
おいしいお茶に仕上げたいという愛と
それらを全部引き受けたロボット
ロボットもやるもんです

でも
焼き茶は揉まずにおいしかった
碾茶も揉まずに甘い抹茶になるし
やっぱり頭がいろいろうるさくて・・