かしこジャーニー

「日々しるし」と「難聴のこと」

日本の作家

2013-09-07 23:15:15 | 映画・本・美術館

横尾さんの「日本の作家222」をみたくて、京橋にある南天子画廊へいった。

「奇縁まんだら」で覚えのあるあの人この人がずらりとならぶ。
奇縁まんだらは、島崎藤村、岡村かの子ほか名だたる作家のほかに淡谷のり子さんといった有名かつ鬼籍に入られた方とのエピソードを綴る寂聴さんの言葉に、横尾さんの描く人物画が魅力的で、つぎのページをめくるのがたのしみだった。

画廊の白い壁にさまざまな顔顔顔。その描きかたは同じでなく、個性を表現しているかのよう。例えばある人はふたつの顔をずらして並んでいたり、別の人は真っ赤なバックに黒だけで描かれている。さまざまな色の背景にうかぶ人もいたりして、その人に会ったことがないにもかかわらずこれほど伝わる感じられるなんて、じつにたのしい。
それは横尾さんフィルターを通しているけれど、ひとつひとつがとてもユニークで、ひとりひとりに話しかけたくなってくる。

なかでも向田邦子さんはどきりとした。じんときた。だいすきな猫といっしょにいる向田さんのきりりとした、そしてやさしい女性らしい表情。
その左側に、つよい眼差しが赤と黒で少し大きく描かれている。たくさんの色や線ではないのに、すごく向田さんをかんじて苦しいくらいだった。

もう一周ぐるりと観たけれど、まだみていたい気持ちが残る。

横尾さんの絵は不思議だ。世田谷美術館の冒険王を観てから惹かれているが、みればみるほど好きになっていくのに、ますますわからなくて、迷宮にはいりこんでいくようで、どこがいいと説明できない。
なんだろう、これは。


最新の画像もっと見る