ぶんぶんトークの会 ~横浜市栄区で脱原発に向けてあらゆる方法を勉強し話し合い行動する会~

本郷台の「SAKAESTA」で毎月第3日曜日に定例会を開いてきましたが、都合により当分の間、会合を見合わせています。

「もんじゅ」廃炉決定

2016-12-28 01:26:36 | 日記
核燃料サイクルから撤退を 原子力資料情報室が声明 

今年も余すところ3日。本日28日はお役所の「御用納め」。
というわけで、遅ればせながらようやくお役御免=廃炉と決まった「もんじゅ」をめぐる動きについてのレポートに代えて、21日にプレスリリースのあった原子力資料情報室の声明をど~んと全文掲載します。


高速増殖原型炉もんじゅ廃炉決定
――政府は現実を受け入れ、核燃料サイクルから撤退を――
                             2016年12月21日
                             NPO法人原子力資料情報室

 

 2016年12月21日に開催された第6回原子力関係閣僚会議は、高速増殖原型炉もんじゅの廃炉を決定した。まずはこの決定を率直に歓迎したい。
 振り返ればもんじゅは、1983年に原子炉設置許可を受け、1992年には試験運転を開始した。しかし、それから24年間で稼働したのは僅かに5300時間、内、発電したのは883時間であった。一方でコストは1兆410億円、今後、廃炉には3,750億円超を要し、2047年までかかるとされる。壮大な無駄遣いだったが、過酷事故を引き起こすこと無く最後をむかえることができることは幸運に恵まれていたといえる。
 一方、同会議は高速炉開発については、ロシアのBN-800が商用発電をおこない、フランスがASTRIDの開発を進めているとし、今後もフランス、米国などとの国際協力のもと、継続するとした。そのうえで開発の3つの目標と4つの原則を提示している。すなわち【目標1】安全性の向上、【目標2】経済性の追求と市場環境への適合、【目標3】国際協力を通じた最新知見の獲得、そして【原則1】国内の人材・技術などの資産の徹底活用、【原則2】.世界最先端の知見の吸収、【原則3】コスト効率性の追求、【原則4】責任関係を一元化した体制、である。
 しかし、高速炉開発は事故の歴史であった。たとえばロシアの高速増殖原型炉BN-600では27回のナトリウム漏れを経験し、そのうち14回はナトリウム火災に至っている。フランスの高速増殖実証炉スーパーフェニックスも繰り返しトラブルが生じた結果、ほとんど稼働できないまま廃炉に至っていることを忘れてはならない。小さい事故にとらわれていては高速炉開発を進めることはできないと主張する一部の高速炉推進論者が存在するが、高速炉で扱われるのは反応性の高いナトリウムであり、ウランやプルトニウム、超ウラン元素である。『小さな事故』が大きな惨事に発展しない保障はどこにもない。
 経済性の追求においても、高速炉はそれ単体で構想されるものではなく、再処理施設やMOX燃料加工施設などを含む核燃料サイクル全体で考えられなければならず、そうしたコストを外部化した形で経済性の追求と言ってみたところで、まさに机上の空論に過ぎない。
 また国際協力による知見の獲得についても、それによって開発が円滑に進むようになるとは限らないことは、海外の技術を多く導入した六ヶ所再処理工場の稼働が延期に次ぐ延期を重ねてきたことからも明らかだ。
 高速炉開発は1956年策定の最初の原子力長期計画でも開発の必要性が記載されていた。それから60年間積み重ねてきた決定、そして開発のために生み出された様々な組織、こうしたものを覆すことは容易ではないだろう。しかし、高速炉は開発したところで導入される可能性がほとんどない。そのようなものに事故のリスクを負ってまで、今後コストを投じていくことに一体何の意味があるのだろうか。もんじゅを廃炉にした以上、高速増殖炉を軸とした核燃料サイクルが回ることはない。今こそ、政策を転換すべき時だ。

雨ニモマケズ 待望ノ新刊紹介シマス

2016-12-24 00:37:33 | 日記
雨ニモマケズ 外国人記者が伝えた東日本大震災

ルーシー・バーミンガム (著) デイヴィッド・マクニール (著)
定価:2160円 えにし書房 2016/12/21

 

2016年も余すところ1週間。
天皇誕生日の23日は気温がぐ~んと上がって9月並みの陽気だったとか。
そんな異常気象もあってか、22日には糸魚川ではフェーン現象の南風に煽られて150軒もの民家が炎上するという大火が発生、歳の瀬を控え多くの市民が路頭に迷う大惨事となってしまったのですね。

さて、そんな折も折、ぶんぶんの有力メンバーであるNさんが翻訳グループの一員として出版に携わったという新刊がようやく書店の店頭に並んだという知らせが届きました。

「雨ニモマケズ」……東日本大震災の翌2012年にアメリカで出版され話題になったそうですが、なぜか肝腎の日本では訳書の刊行が遅れ、年末ぎりぎりセーフという次第。
あいにくぶろぐ制作本舗の編集子も未読のため、版元の口上をそのまま転載させていただきます。


《本書の概要》
日本在住の外国人記者二人による迫真のルポルタージュ。東日本大震災を生き延びた6人の証言者(タイ系アメリカ人英語教師、保育園の調理師、漁師、高校生、桜井勝延南相馬市長、原発作業員)への震災直後のインタビューを中心に、客観的視点からバランス良くまとめ、2012年アメリカで出版され話題となる。「民」の驚くべき底力と、政府、東京電力を中心とした「官」と大手マスコミの脆弱、醜悪ぶりが、淡々とした筆致によって鮮やかに浮かび上がる。市民グループ有志の翻訳を元に日本語版として改めて問う。

《著者について》
ルーシー・バーミンガム
東京在住のジャーナリストで、脚本家・編集者・フォトジャーナリストとしても活動している。長年、米国タイム誌とそのインターネット版であるTIME.comの記者として働き、またウォールストリートジャーナル、ニューズウィーク、ブルームバーグ、アーキテクチャル・ダイジェストなどの有名新聞・雑誌にも寄稿している。2000年よりNHKの番組に携わる。著作に "Old Kyoto - A Guide to Shops, Inns and Restaurants."がある。
デイヴィッド・マクニール
エコノミスト誌、ザ・インディペンデント紙の記者で、クロニクル・オブ・ハイヤーエデュケーションのアジア地域特派員。社会学の博士号をもち、アイルランド、英国、中国の大学で教鞭をとった経験を持ち、現在は上智大学講師としてメディアと政治の講義を担当している。2000年より、妻と息子と共に日本に在住。


なお本書の版元は2014年6月に設立された「えにし書房」という小さな出版社。
Nさんへのエールと本の宣伝をかねて版元の素顔を紹介しちゃいましょう。


◆設立趣旨
(当面)ひとり版元を設立しました。
どうにも生き(息)ぐるしいのは、世間だけでなく出版界も同じですが、
「どうせ苦労するなら、自分のやりたいようにやってみようか」ということで、
思い切って版元を立ち上げてしまいました。
まずは、つぶさずに続けることが大前提ですが、超低空飛行でも30年、
500点出版を目標にしています。
また、この新しい流通方式は、小生がずっとやりたくてできなかった形です。
ささやかながら、出版界に新風を送り込む一翼を担うことができれば、
と考えています。
しばらく、戦争モノが続きますが、歴史を中心にちょっと変わったものを月イチで出していく予定です。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
                       えにし書房代表 塚田敬幸

◆所在地:〒102-0074 千代田区九段南2-2-7-北の丸ビル3F
        Tel. 03-6261-4369 Fax. 03-6261-4379