ぶんぶんトークの会 ~横浜市栄区で脱原発に向けてあらゆる方法を勉強し話し合い行動する会~

本郷台の「SAKAESTA」で毎月第3日曜日に定例会を開いてきましたが、都合により当分の間、会合を見合わせています。

フクシマの今をつむぐ新刊

2014-09-04 14:41:45 | 日記
「食と農でつなぐ 福島から」  かーちゃんたちの善戦苦闘の記録

「読んでから観るか 観てから読むか」……これは映画と原作の文庫の販売キャンペーンに用いられた往年のカドカワ文庫のキャッチ・コピーですが、ここでは福島の現実をなまなましく伝えるドキュメンタリー映画とルポルタージュそれぞれが対象。9月3日(水)午後、横浜地裁で開かれた「福島原発神奈川訴訟」の第5回口頭弁論終了後に地裁近くの会場で開かれた報告集会で紹介された1冊の新刊本についての紹介記事です。

午後3時から開かれた集会では公判担当の弁護士による裁判の進行状況解説やこの日の公判で意見を述べた原告や井戸川克隆前双葉町長、またポーランドの女性研究者などの挨拶に続き、神奈川訴訟を支援する会の呼びかけ人のひとりでもある中川弘福島大学名誉教授が挨拶したのですが、中川さんが「福島再生に向けた動き」として紹介したのが岩波新書の8月新刊の1冊。

ご自身もまだ読み始めたばかりで読了していないとの前置きながら手に掲げて紹介したのは、事故から3年以上たった福島における県民、とりわけ女性たちの苦闘の日々を克明に記したルポルタージュ。映画『遺言』観賞と併せて、ぜひ手にしてみたい1冊です。

なおこの日、横浜地裁には第1回公判に次ぐ122名もの市民が傍聴を求めて並び、1階ホールは人波で暑いほど。
「ぶんぶん」からもメンバー6名が参加したのですが、あいにく抽選による傍聴券を手にできたのはこのうち2名だけで、残りは報告集会へ。


以下、岩波書店の新書PRページから転載します。すでにお読みの方はぜひ読後感をお寄せください。

塩谷弘康・岩崎由美子著 (新赤版1497)
『食と農でつなぐ 福島から』

 

 原発事故は大きく、人間はあまりにも小さい。
 しかし小さなものの中にこそ希望がある。

カット(省略)

 見出は漫画家の山本おさむさんが本書の帯に寄せたメッセージです。山本さんは漫画『そばもん』(小学館『ビッグコミック』連載中)で、福島の食の「風評被害」と実際の数値、それが何を意味するのかをリアルに描きました。『今日もいい天気 原発事故篇』では、自宅がある福島県天栄村の震災後の不安、コメ作りに賭ける人々の熱意、福島に生きる人の胸のうちを、抑えた筆致の迫力で描きました。

 本書『食と農でつなぐ 福島から』の主人公は、その同じ福島で、故郷を離れての避難生活のなかで、食と農で結ぶ信頼を再生しようと奮闘し続ける女性農業者―「かーちゃん」たちです。

 その小さな挑戦、「かーちゃんの力・プロジェクト」に併走し続ける著者と、震災以前から県内の女性農業者の活動=農村女性起業に長年コミットメントしてきた著者とが、被災当事者たちの肉声をひろいながら、震災と「その先」を問う報告にまとめました。プロローグは、大学の研究者として、震災・原発事故にどう向き合えばよいかと暗中模索した著者の一人称語りで始まります。

 どの目線も低く、日々の営みの手を動かし続け、原発事故とその後の社会の理不尽な力を跳ね返すすべを模索した4年の経緯とその根拠とを、読者はリアルに知ることができるでしょう。

 福島県の浜通りと中通りのはざまに広がる、平地が少ない寒冷な阿武隈地域。その一部は、福島第一原発から流れてきた放射性プルームを抱きかかえるようにうけとめてしまいました。過疎と高齢化、市町村合併の大波にもまれていた「かーちゃん」たちは、「農家の嫁」の位置から抜け出し、食品加工、商品開発、グリーンツーリズムなど地元の価値の発掘を通して、地域を担う力強い存在に変貌する途上にありました。その活動を支える山里の恵みを奪い、地域で培った信頼を断ち切った原発事故。

 いま、かーちゃんたちは何をめざし手を動かし続けるのか。支える人々は何を託すのか。現在進行形の挑戦あり、被災地だけの問題ではない現場の肉声を、受け止めてください。


■著者紹介
塩谷弘康(しおや・ひろやす)1960年生まれ。早稲田大学大学院法学研究科博士後期過程単位取得退学。93年より福島大学行政社会学部助教授。現在、同行政政策学類教授。専攻は法社会学。
 著書に、編著『共生の法社会学―フクシマ後の〈社会と法〉』(法律文化社)、清水修二他編『あすの地域論―「自治と人権の地域づくり」のために』(八朔社)ほか。

岩崎由美子(いわさき・ゆみこ)1964年生まれ。早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。91年より(社)地域社会計画センター研究員、98年より福島大学行政社会学部助教授。現在、同行政政策学類教授。専攻は農村計画、法社会学、農業法。
 著書に、松野光伸他編『小さな自治体の大きな挑戦―飯舘村における地域づくり』(八朔社)、編著『女性の参画と農業・農村の活性化』(全国農業会議所)ほか。


話題のドキュメンタリー作品上映迫る

2014-09-02 00:31:18 | 日記
『遺言 原発さえなければ』 19日、関内で午前・午後2回上映へ

91年前に関東大震災が起きたことを記念する「防災の日」の9月1日、福島県の佐藤雄平知事は原発事故に伴う除染で出た汚染土などを保管する「中間貯蔵施設」の県内への受け入れに同意する方針を表明しました。
これにより政府は来年1月の搬入開始をめざし大熊・双葉両町内の建設予定地約16万平方キロの買い取りや賃借に向けて地権者との交渉に入るとされています。

「中間貯蔵施設」は汚染土を30年以内に県外へ持ち出すことを政府が約束、その約束を法制化することが条件というのですが、これが原発事故によって苛酷な状況に追いやられた被災地・被災者にとって新たな希望に向けた歩みの一歩となるとは誰も考えてはいないでしょうね、きっと。

さて、そんな折も折、原発事故に見舞われた福島県の様子を、東日本大震災直後から800日間にわたり記録した3時間45分におよぶ長編ドキュメンタリー作品『遺言 原発さえなければ』の県内初の自主上映会がいよいよ今月中旬に迫りました。

 
 
映画は震災翌日の2011年3月12日、福島第一原子力発電所の事故現場にかけつけたフォトジャーナリストの豊田直巳と野田雅也が、13年4月まで、その土地の人々と過ごした日々を記録し続けたもので、全5章に及ぶ圧倒的なボリュームです。
 ・1章 汚染 取り残された住民たち
 ・2章 決断 酪農家人生の崩壊
 ・3章 避難 ご先祖さまを残して
 ・4章 故郷 つなぐ想い
 ・5章 遺言 原発さえなければ

総時間225分を通し、苦境の中で気づいた、本当に守るべきものの存在とは何かを描き出していく作品です。
なお自主上映会の開催にあたって「ぶんぶん」も協賛団体に名を連ねています。