逃げる 戻る
若松丈太郎
わたし、わたしたちは逃げ出した/ 逃げなかった人、人たちがいた
逃げ出したかったのに逃げることができなかった人、人たち
逃げたくなかったのに逃げざるを得なかった人、人たち
逃げた人、人たち/ 逃げなかった人、人たち
それぞれに事情があって/ それぞれに判断があった
それぞれの判断が許されない人、人たちがいた
わたし、わたしたちは戻ってきた/ 戻ってこなかった人、人たちがいる
戻って来たかったのに戻ることができない人、人たち
戻りたくはなかったのに戻らざるをえなかった人、人たち
戻った人、人たち/ 戻らない人、人たち
それぞれの事情があって/ それぞれの判断があった
それぞれの判断が許されない人、人たちがいる
メルトダウンした<核発電>施設から二五キロ
わたし、私たちは求められるのだろうか
それぞれの判断をふたたび/ それぞれの判断を許さずに
わたし、わたしたちはふたたび
さかえ区民活動フェアのパネルにも展示した、若松丈太郎さんの詩です。
写真だと見づらいので、改めてここに載せます。
昨年11月に「原発訴訟と憲法」というテーマで弁護士の海渡雄一さんの
お話を聞きに行きました。(福島みずほさんのお連れ合いです)
そのとき、海渡さんがこの詩を読み上げられたのですが、
途中で声をつまらせて、泣くのをこらえて読んでおられました。
きっといろんな人たちのことを思い出されたのだろうな、と思います。