転職ヒストリア⑦ 秋山好古

弟の真之と共に、日露戦争で大活躍した秋山好古陸軍大将が、地元松山の中学校の校長に転職したのは65歳の時でした。
百戦錬磨の猛将だけに、その容貌は勇壮でしたが、秋山校長が怒った顔を誰も見たことはなく、つねに笑顔で校内を巡回し、時に生徒達に様々な談話を聞かせ、生徒達も校長先生の談話を聞くのを楽しみにしていました。また、秋山校長が就任してからは、にわかに校風が改まり、教職員は皆勉強家となり、生徒の遅刻、休みも著しく減ったということです。
私が今の仕事をしていて最も残念に思うのは、企業で活躍され、勇退されたシニアが新たな職を見つけるのに苦労されているケースが多いということです。素晴らしいキャリアと人間性を持つ方々であれば、若い人達も、共に働き、あるいは学んで、得るものが少なくないはず・・・。政府や地方自治体が目指すべきは、老人ホームの増設ではなく、優秀なシニアが第二の職を得て、生きがいをもって長く社会に貢献できる環境を整えることではないか・・・と、強く思う次第です。