ええやんけ。:

店長に挨拶もせず、厨房の什器に蹴りを入れ、無断欠勤、逃亡を繰り返した非行少年が、10数年後に立派な店長としてかつての自分と同じような少年を辛抱強く指導している・・・・。そんな光景が、お好み焼き「千房」ではよく見かけられるそうです。

　お好み焼き「千房」の中井政嗣社長に店長からＳＯＳの電話がかかります。「社長、どうしたらいいんでしょうか？」中井社長は答えます。「どうしたらいいのかを考えるのが店長の仕事」。「もう、私の手にはおえそうもありません。」。社長は答えます。「何が彼をそうさせるのか。しかし、入社した時の君よりましや。本来、彼はそんな人間やない。」こうして、店長は辛抱強く部下を指導してゆくことになります。

　そのとき、店長が部下に投げかける言葉が「ええやんけ」。大阪弁で、「いいじゃないか。」という意味の言葉です。部下がほんの少しでもよい仕事をしたら、「ええやんけ。」。部下のよいところを見つけ、ほめる。率先してトイレ掃除をする。部下の嫌がる仕事をまず自分がやってみせる。そうこうするうちに、心を閉ざしていた少年達が少しづつ心を開き始め、やがて立派な店員に成長してゆく・・・・。

　部下を人として徹頭徹尾信頼し、その長所を引き出そうとする中井社長の情熱に敬服しました。真の指導者とは、経営者とは、上司とは、中井社長のような方の事を言うのかもしれません。