まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「天と地の守り人」上橋菜穂子

2013-11-17 21:18:11 | 読書のすすめ
今日は過ごしやすい秋の一日でしたね。
明日はまた過ごしやすい晴天のようですが 明後日の最低気温3度。
凍りますがな。TT

さて 上橋菜穂子の「天と地の守り人・新ヨゴ皇国編」を読み終えました。

「精霊の守り人」「闇の守り人」「夢の守り人」「虚空の旅人」
「神の守り人 全二巻」「蒼路の旅人」「天と地の守り人 全三巻」

全十巻。
読んでいる時は夢中で世界に入ってしまうので 全く苦にならないです。
が こうやって並べてみると長いですね。

その全十巻の最終巻が 「天と地の守り人・新ヨゴ皇国編」です。

天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)
上橋 菜穂子
新潮社




「精霊の守り人」で出逢い 深い絆を築きながらも 
それぞれの道を行くことになる皇太子チャグムと守り人バルサ。
その二人の運命が再び交じわるのが この最終巻。

チャグムは 神に守られた国 聖ヨゴ国の皇太子である。
その身に水の精霊の卵を宿しているために 父である帝に疎まれているチャグム。
チャグムの母 二の妃は 短槍使いのバルサに 父に殺されかけたチャグムを連れて逃げてくれるように頼む。
チャグムは父だけではなく その身に宿る卵を食べようとする怪物からも追われていた。
チャグムを連れ出したバルサは 果たして卵がチャグムの身から離れる夏至まで チャグムを守ることができるのか。

この物語は 人間が暮らすこの世(ユグ)と異世界(ナユグ)が重なり合い つながって関係している世界。
呪術師のトロガイやバルサの幼馴染でトロガイの弟子であるタンザ 
そして精霊の卵を宿すチャグムなど限られた人間は異世界との重なりを見ることができる。

多くの人間たちは異世界を見ることができないため 
素朴な民は 伝説として時として自然現象として現れるそれらを畏れている。
しかし 支配者たちは 己の領土を広げることに執着し 畏れを知らない。

この最終巻 各国の支配者たちの思惑が交錯し 
ついに不可侵の存在であった聖ヨゴ国がタルシュ軍に追いつめられる。
一方 ナユグでも大きな変動が起こっており 
それがこの世(ユグ)にも大きな自然災害をもたらそうとしていた。



「精霊の守り人」の幼いチャグムから見守ってきました。 
過酷な運命に翻弄されながらも 自分に課せられた責務から目をそらさず
決して逃げずに立ち向かおうとするチャグム。
バルサやタンザをはじめとするさまざまな人々との出逢いが チャグムを心身ともに成長させる。
その様を見て もうほとんど『近所のおばさん』的な視野に立ってしまうので
チャグム~ あんたは本当に偉いわよ!おばちゃん泣けてきちゃったよ~。
最後にチャグムの数々の努力や苦難の結晶が 人々に『神物語』にされちゃうところ・・・
凡人として理解するけれど 切なかった。

そして 女性なのにあえて用心棒としての生き方を貫くバルサ。
自分の過去の罪に向き合っているからこそなのですが 武骨ともいえるその生き様がすごい。
最終巻では30代後半となっているらしいが
旅人の用心棒として生き抜いてきた数々の経験や短槍の使い手としての実力は衰えることはない。

でも 彼女がまわりに向ける目は 強いからこその優しさ。
なかでも かつて生死をともにしたチャグムのことを見守り なんとしてでも力になろうとする姿や
戦死した可能性の高いタンザを戦場に探しに行く姿。 

いや・・・もう ぜひ読んでください。


読み終えた後 うならされました。
上橋菜穂子は 語り部だなあと。
昔はどの村にもいたんであろう ご長寿の語り部。
昔話を雄弁に あるいは朴訥に語り 最後は 「・・・だったそうな。」で終わる。

あるべきものがあるべき場所に すうっと還っていく感じ。

もともと児童文学として書かれたものですが 大人向けに新潮文庫から文庫が出ています。
本好きなお子さんなら小学生高学年なら余裕ですし 中高生でももちろん大人でも 
どんな方でもOKだと思います。

ちょっと長いかもしれまえせんが 読みだすと気になりません。
ぜひご一読ください。


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