まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「一度きりの大泉の話」萩尾望都

2021-06-20 19:37:22 | 読書のすすめ
今日の群馬は 曇りがちな晴れ。
午後はかなり暑くなりました。
そんな中 図書館まで予約本を取りにお散歩。
9000歩。

さて 萩尾望都の「一度きりの大泉の話」を読んだ。

萩尾望都のファンなので 何の小説だろう?と思って
あらすじを見た。



ご存じない方にご説明すると 萩尾望都は 
日本を代表する少女漫画家さんです。
今なお 昭和24年組と言われる名だたる女性漫画家さんのなかでも
よく竹宮恵子と 並んで挙げられることが多いです。

私より少し上の世代の方から
私は もちろんですが 
今なお 様々な作品を紡ぎだしている
美しい抒情的な絵と素晴らしいストーリーの漫画家さんです。
代表作は たくさんあり 挙げるのが難しいですが
「11人いる」「ポーの一族」「トーマの心臓」でしょうか。

私も学生時代 胸を高鳴らせながら
様々な作品を読みましたし
そのどれもが 今も大切な蔵書です。

この本に書かれていることは 
まぎれもない事実なんでしょう。
少なくとも萩尾さんにとっては。。。
感情を差しはさまず 淡々と事実をつらねていらっしゃり
それが 却って 読んでいるだけでも辛かった。(><)

萩尾さんは 九州のご出身で
親御さんは 漫画と言っても
新聞に載っている4コマ漫画以外は認めないという感じで
いろいろな努力を重ねられたうえで
東京の大泉で 当時華々しくデビューされていた竹宮さんと
同居するという前提で ようやく上京を許してもらった。

最初の1年くらいは この大泉で 
萩尾さんと竹宮さんは お互いの原稿を手伝ったり
読みあったりして 楽しく過ごしていた。

しかし・・・

突然 竹宮さんから 別居と絶縁をつきつけられる萩尾さん。

何が悪かったのか さっぱり分からず
全く眠れず ご飯も食べられず
自分を責めてしまった萩尾さん。

倒れてしまったり 目が痛みで開かなくなったりしならがらも
漫画を描き続けながら
それでも 原因は 理解できなかった。
おそらく 今もなお。

周りの人から
竹宮さんに才能を嫉妬されていたんでは?
と言われても 嫉妬の意味が分からなかった萩尾さん。

もうこれ以上 竹宮さんたち(もう一人の女性が絡んでいる)を怒らせたくないがために
それ以降 一切 竹宮さんの作品を読まないし
情報も聞かない努力をしてきた萩尾さん。

そんな中で 「トーマの心臓」が描かれたと知り
かなりショックでした。

おそらくですが ここに悪者はいないのでしょう。
萩尾さんはもちろん 竹宮さんも もう一人の女性も悪くない。
けれども 竹宮さんが 数年前に自伝を書かれたことで
大泉サロンのことが 話題となり
ドラマ化や小説家を希望する人が後を絶たず
いくら断っても断っても 再燃するため
この本を出版された。

ずっと すべての人に沈黙を守り 
呪いのように竹宮さんを避けて生きていた萩尾さん。

辛い・・・ただ辛い。

興味本位で読むんじゃなかったなと思いました。
ただ 名だたる漫画家さんが 次々に登場し
萩尾さんの未公開イラストなども挟まれており
ちょっとお高いですが その価値はあると思います。

が ファンでない方は読まない方がいいし
ファンの方も 読むのがつらいと思います。
感情移入してしまいがちな私は とても辛く感じました。

読後に願うのは 萩尾さんの心の平穏です。
これからも もちろん応援します。
でも 頑張りすぎないでほしい。
一ファンからの切なる願いです。

路に咲いていたアジサイ。縁から色付いていくのですね。

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2 コメント

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ファンとして (アナザン・スター)
2021-06-20 22:05:58
概要は略分かるが、読む読まないは自由であり
感じ方にも多々あるものと思える。

その時代を作品としての価値で観るか、単なる描かれた物語として捉えるか?

NHKの少年ドラマシリーズ、萩尾望都さんの11人いるが放送されたのを知っていますか?

竹宮惠子さんは、時代の流れに上手く乗り、萩尾望都さんは岸辺で筏を組んでいた例えです。

誰しも触れて欲しくない部分は持っています。
この本を読み解くのは、皆違っていて正しいのです。
返信する
アナザン・スターさんへ (まんじゅう)
2021-06-21 20:11:48
こんにちは。

そうですね。おっしゃられるように私は萩尾さんに感情移入してしまい読むのが辛いなあという感じになってしまいましたが、この本のすべてがそうだったわけではないですし、感じ方は人それぞれですよね。
11人がいるがドラマ化されているのですね。
見てみたいような見るのが怖いような・・・(;'∀')

そうなのでしょうね。
もしかしてアナザン・スターさんも読了済みでしょうか?
返信する

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