まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「クジラアタマの王様」伊坂幸太郎

2020-04-22 12:58:06 | 読書のすすめ
今日の群馬は薄曇り。
気温は低くも高くもない感じです。

さて 伊坂幸太郎の「クジラアタマの王様」を読みました。



大手菓子メーカー広報部お客様センター勤務の岸は
ピンチに陥っていた。
最近 有名芸能人の小沢ヒジリに「美味しい」と言われ人気が出てきていたお菓子に
異物混入のクレームが。。。。
しかも 子供が食べようとしたお菓子に入っていたのは
画鋲だったという。
画鋲なんて入るわけがないと思う一方で
絶対なんてないとも思い 揺れ動く社員たち。
そんなピンチを救ったのが
若き政治家の池野内議員だった。

画鋲混入クレームを言い出したのは
池野内議員の妻で 
子供が画鋲を飲み込んでしまったが
姑たちに叱られるのが怖くて
お菓子のせいにしてしまい 
さらにクレームを入れなくてはならなくなってしまっていた。

池野内議員は 自身の愛人スキャンダルも同時に暴露されるが
それをものともせずにこの件を公表した。
その挙動が世間に受け入れられ 人気が急上昇していく。

岸はそんな池野内議員に 
同じ夢の中で一緒に戦ったことを覚えていないかと聞かれる。
岸は なかなかそれを思い出せずにいると
一緒に戦った仲間に小沢ヒジリもいた。
だから 岸から彼に聞いてもらえないかという。

最初は疑心暗鬼だった岸も
過去に池野内議員や小沢ヒジリと
同じホテル火災で九死に一生を得たことがあるのを知り・・・・



ごく普通の会社員が 夢の中でRPG(ロールプレイングゲーム)よろしく
様々な猛獣を倒していく。
その夢の中のシーンは 小説ではなく
短い漫画で度々描かれている。
なんとも風変わりな小説である。

本の小口(腹の部分)を見ると
漫画(挿絵?)の部分が黒っぽく見えるので
ツートンカラーの本みたいになっている。

本自体は 去年の夏に刊行されたものであるが
内容は 現在の日本人にとって
決して笑えないものだ。

そうか。私たちは何度も危険にさらされてきたのに
なんとか乗り切りそれで喉元過ぎれば熱さを忘れる的な
人生を送ってきたのだな・・・・

とやや自嘲気味にもなってしまう。

ただ 伊坂幸太郎が描きたかったことは
人間は何度も困難を乗り越えてきたってことなんだろうなと思う。
軽快なタッチで描かれつつも
読んでいると身につまされてしまう本作は
乗り越えるとき人間は 必ずしもヒーローみたいに
武器ふるって 一撃必殺でなぎはらうのではなく
大勢で なんとか倒している。
そんな感じなのかもしれない。

一般人の私たちにできることは 
ヒーローとしての活躍ではなく
ヒーローが倒れた時にさっと汗をぬぐう手ぬぐいを出したり
水を差し入れたり 武器を手渡したり
といったことなのかもしれない。

読んでもらえないとこの感じ
伝わりにくいと思いますが
おすすめです。

「クジラアタマの王様」とは 
作中に出てくるハシビロコウの別名だそう。
あの灰色っぽい色で くちばしが大きく
眼光鋭く あまり動かないので有名な鳥です。


これも黄色いお花。
春になると見かける可憐な花です。



いがぐりおは ハシビロコウ見たことある?
いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
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コメント (2)
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