若狭の名勝三方五湖のひとつ日向湖に沈む男の死体。一方、東京で絞殺された広告代理店勤務の細野久男。――細野は死の直前、同人誌に若狭を舞台にした短編小説「死舞」を発表していた。そこに描かれた黒い服の男の謎の行動と暗い過去。・・・・・・浅見光彦は、この小説をもとに、二つの殺人事件をむすぶ接点を求めて、単身若狭へ向かった。そこには、四十年の時間の壁が・・・・・・!?裏表紙より。
・・・・・・今度こそ異色作じゃありませんね?
元の本は1992年2月。
プロローグ「日向(ひゅうが)」ではなく、「日向(ひるが)」。
こうして、水中綱引きの神事で賑わう、陽気でのどかな日向浦は、殺人事件の現場へと一変したのである。
現実にある場所やイベントをネタに使うのって、
「(宣伝になるから)どうぞ何人でも殺してください!」って感じなのかしら。
第一章 ミステリー同人ヤな奥さんだなぁ・・・・・・気力下げるのやめてよ(´・ω・)
「あまり仕事、熱心にしないほうがいいんじゃないの。どうせ、あの会社にとって、社員なんか使い捨てみたいなもんなんだから」
「そう熱心でもないんだけどね」・・・・・・どうしろと(´・ω・)
細野は言い訳のようなことを言って、洗面所へ向かった。
「それもそうね」と、菊代は細野に聞こえない程度の声で呟いた。
仕事熱心にやってくれていれば、いまごろはもっと楽ができたのに――と不満なのだ。
名前の通り、旦那の方が細野久男(39歳既婚、娘1人)。
今日、死にます。
私はこの人に賭けるわ――と結婚して、それから何年間かは、細野と夢を共有する日々を送った。『賭ける』から失敗するんじゃよ・・・・・・
幸せを目指すなら「懸ける」必要があるのだ!(`・Д・´)クワッ
今夜は兼業ながらプロ作家として活躍している大学の先輩・樹村のパーティ。
細野と樹村は、同人雑誌『対角線』に参加する作家(志望)仲間でもある。
「十時までには帰ってね」いつもいつでも「次はないかもしれへん」の精神。
菊代は念を押したが、細野は振り返らず、「ああ、わかった」と、右手を軽く振ってみせただけであった。
それが菊代と清佳が細野の姿を見た最後になった。もし、彼らがそのことを知っていれば、もう少し優しい会話を交わしていたかもしれない。
本人の健康状態と無関係に突然死が発生するシステムでもあったら、
人は優しくなれるのかしら。
日明物産は、実際の内容はともかく、ネームバリューはあるし、経営もしっかりしている会社だから、学生のあいだではかなり評判がいい。ことに女子学生にとっては狭き門だが、江梨香は筆記試験をトップで合格した。面接のとき、試験官が成績表と顔を見比べて、妙に納得したように、「女性は結婚して辞めてしまう人が多いのですが、あなたなら、将来は当社の幹部を目指していただけそうですな」と言った。日明物産はセクハラ企業・・・・・・っとφ(..)メモメモ
※この物語はフィクションです。
常時社員の子供がいるんなら、会社が「預かり役」を雇うこともできるんだろうけど・・・・・・
いっそのこと、幼稚園を経営しよう(提案)
まったくの話、江梨香はこれまでの二十数年間、男にもてた経験がない。学校生活を通じて、江梨香は「勉強のひと」というレッテルを貼られつづけてきた。中学でも高校でも、なみいる男子生徒を押し退けて首席を貫いた。大学に入ってからはランクづけがさだかではなくなったけれど、男子学生に一目置かれる状態に変わりはなかった。しかしこの江梨香、決して男には媚びぬ!
そんな『「智にはたらけば角が立つ」を地でいっているような』彼女ですが、
『対角線』に参加していたため事件に巻き込まれることになるのです。
同人仲間が殺された――
事件を知った「対角線」の会員は『追悼集会』。
なお集まったのは70人中8人の模様。そんなもんだわさ・・・・・・。
『対角線』も創刊当時は、作家を志す者たちが、たがいに自作を持ち寄って、同人誌に発表し、切磋琢磨しあうグループを創設したつもりだった。それがいつのまにか、どの同人誌にもありがちな、他人の作品のアラを探し、徹底的に叩きつぶしあい、足を引っ張りあう場に変容した。・・・・・・『ありがち』なの?(´・ω・)
「オレの作品が評価されないのはどう考えてもお前らが悪い!」的な?
「それにしたって、あの細野が死ぬの生きるのっていう騒ぎになるかねえ」結局は素人の集まり、不思議なこともあるもんだねえな空気でお開きかナ・・・・・・
というところで、プロ作家である樹村が「ある男」を連れて登場。
「彼、浅見光彦さんていうんだけど」文章で稼いでるんだから「評論家気取り」よりプロだよね。
樹村に紹介されて、男はにっこり笑って「浅見です、よろしく」と軽く頭を下げた。
「浅見さんは、内田さんの紹介で来たんだ。まあ、われわれと同業みたいなひとで、おもにルポルタージュを書いているのだが、私立探偵みたいなこともやっているそうだ」
・・・・・・で、内田さんてのは誰だい?
樹村が言った「内田」というのは、やはり推理作家で、いつも『対角線』の読書会で槍玉にあげられるような、駄作ばかり書いている男だ。その内田の紹介だというので、会員たちのあいだには「なーんだ」と言いたげな、倦怠感のようなムードが漂った。なーんだ。
じゃーこの『私立探偵』もどきも、たいした男じゃなさそうっスねノ( 。A 。)ヽ
第二章 死神の幻影『自認する』のは己の未熟さだけにしとけって話だよ\(^o^)/
「浅見さんは、表向きはルポライターだが、その実体は名探偵なのだ」
樹村にそう紹介されても、同人たちは浅見のことを知らなかった。
内田の小説を読んでいれば、浅見光彦の事件簿のことも、少しは理解していたかもしれないが、何しろ彼らは内田の「駄作」などは歯牙にもかけない、純粋本格ミステリーの担い手を自認する面々なのだ。
『名探偵』光彦は、細野と『最後に会った』前田正和、
そして『最後に電話で話した』諏訪江梨香をロックオン!
前田曰く、細野は『「まずいことになった」と言っていた』らしいけど、
『まずいこと』がなんのことかは今のところ不明。
電話の件は、なぜその日「江梨香にだけ」電話したのかをしつこく追及。
ただの同人仲間でしかない江梨香に思い当たる点は無いのだけど・・・・・・
「できるなら、文字どおり言葉の端ばしまでを再現していただければありがたいのですけどね」無茶言うな(´・ω・`)
「それじゃ、いつかふっと思い出すようなことがあったら、ぜひこの番号に電話してみてください」新手のナンパだな(確信)
※20年以上前の作品です。
後日思い出したことで連絡をよこす江梨香はとても律儀。
(まったく、女性は魔物だな――)一休さん的なことが出来る人もいるかもしれない。
スネの痛みに耐えながら、浅見はひそかに感嘆の吐息をついた。
「あなた方は私ではなくこれをお待ちだったのでしょう」って化粧品だけ置い(以下略)
「ああ、岩間ですか。涸沼の近くですね」ルポライターに学ぶモテ男テク。
「あ、涸沼、知ってるんですか?」
「知ってますよ、涸沼くらい。いくら無知な僕だって」
「よかった・・・・・・うちの社の連中なんか、誰一人として知らないんです。嬉しいわァ」
男女問わず、相手の地元を「知っている」のはポイント高いですぞー。
・・・・・・リョコー?何それ食えるの?
江梨香が思い出したのは、「対角線」に細野が載せた作品『死舞』を誉めたこと。
会員たちが例の『引っ張りあい』をする中、自分だけは率直に誉めた・・・・・・と。
「じゃあ、細野さんは喜んだでしょう」(´・∀・`)ヘー
「と思いますけど・・・・・・でも、なんだか照れたような顔をして、さっぱり張り合いがありませんでしたよ。むしろ、前田さんのほうが同調してくれたのに」
その内容は、福井県の若狭を舞台にした、とある老婆の回想。
作品の良し悪しはよくわからないものの、描写に『リアリティを感じ』、
光彦は細野と若狭の繋がりを調べ始め・・・・・・
第三章 北の岬うわー、サイテーのクズじゃないですかーやーねー(´・ω・)(・ω・`)ネー
「へえー、未亡人と共同捜査か。そいつは願ったり叶ったりだね」
内田は無邪気に喜んだ。この男にとっては殺人事件の被害者やその遺族の不運よりも、それが自分の書く小説のネタになるか否かが重大関心事なのだ。
「そうか、若狭ねえ・・・・・・行ったことはないが、ムードはあるんじゃないの。まあ、せいぜい頑張って、いい事件簿をまとめてきてよ。ちょうどカッパ・ノベルスの締切りが迫って、困っていたところだから、それに使わせてもらうかな・・・・・・うん、『若狭殺人事件』なんて、タイトルも悪くない。そのためには高島平じゃなくて、若狭で事件が起きてくれないと困るのだが・・・・・・若狭へ行ったついでに、何か事件をみつくろってきてよ」なんてトンデモナイ作家だ!
こんな奴の小説、たとえ中古であっても買う奴は頭がおかしい!!
「あ、やっぱり気分を害したでしょう。殺人事件に関わるのに、趣味だなんて言うのは、なんとも不謹慎だと思うでしょう? しかし、正直な気持ちを言えば、やっぱり趣味としか言いようがないのですよ。謎が複雑だったりすると、ワクワクするし、事件が解決する瞬間なんて、パチンコでオール7を出したときみたいに興奮したりして・・・・・・こんなのが世のため人のためだなんて、とても言えたものじゃありませんね。でも、うまいこと事件が解決したりすれば、結果的には多少、世の中のためにはなると言えるかもしれません。その点、パチンコやファミコンゲームにうつつを抜かすよりは、いくらかましかな――と思っています」ルポライター・浅見光彦が、私立探偵・浅見光彦になる理由でした。
俺がネットゲームのがちゃを回すことで□_ヾ(^ω^ )カタカタ
だれか一人、生活が潤う□_ヾ(^ω^ )カタカタターン
□_ヾ(^ω^#)
俺はそういうことに幸せを感じるんだ(ノ^ω^)ノミ◇/
「なるほど・・・・・・」細野の遺作となった『死舞』の秘密。
浅見はポツリと呟いた。いろいろな意味を込めた「なるほど」であった。これなら、未亡人が『対角線』の同人である諏訪江梨香の来訪を拒んだわけも納得できる。
事件の謎を解くため、光彦は若狭へと向かったのであります。
第四章 三方五湖「事故った危ない廃止しろ」だけで終わるのは確かに頭悪い。
「いや、ご謙遜でしょうが、しかし、本当のところ、大多数の一般市民が、いま浅見さんの言われたような状況なのです。エネルギー問題を真剣に考えている人間なんて、国民のうちの何パーセントか、とにかくほんのわずかです。それ以外のほとんどの人は、漠然と、原発は危険なもの、恐ろしいものと感じている。感じているだけで、ではどうすればいいのか――という問題意識を持つまでには至らないのです」
「原発廃止」を訴えるなら、「その分の電力はどうするか」もセットで主張するべき。
参考→なぜ水力・太陽光・風力発電などの自然エネルギーだけでは日本の電力をまかなえないのですか? よくあるご質問[関西電力]
「エアコン点かねー、今日は朝から雨だもんなー」と流せるかどうかじゃよ。
・・・・・・はっきり言って、現代人には無理だろ。
時の流れは不可逆なればなREYYYYYY!!!
「へえー、あの先生も大したものなのですねえ。私は一冊も読んだことはないけど」内田センセ、知り合いに舐められすぎだろwww
山本が感嘆の声を発したところを見ると、知り合いとはいっても、内心では、あまり評価は高くなかったにちがいない。その点では浅見も同じだ。
「殺人事件?・・・・・・」東京で小説家志望の男が死んだ事件と、
浅見はギョッとした。内田が「何か事件を見つくろって・・・・・・」と冗談のように言っていたことが、頭の中で稲妻のように光った。
1年以上前、若狭で祭りの最中に『死体が流れてきた』事件。
2つの事件のまさかの接点、小説を鍵に鋭く見抜く!
見た目はイケメン!暮らしはフラフラ!
その名は!名探偵・光彦!
事件の真相は・・・・・・コレハヒドイ・・・・・・
浅見光彦「らしい」というか、浅見光彦「だから許される」(?)終わり方も含めて、
『パチンコのオール7』よろしくスッキリ爽快!・・・・・・とは言い難い。
浅見光彦シリーズにはよくあるパターンだけど、
推理小説として考えるとこのシリーズ自体が「異色作」かな。
推理小説を読むならとりあえず1冊は欲しい。
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