毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「伊藤詩織さんが見せてくれたもの」No.3954

2020-08-24 23:40:09 | 人間

伊藤詩織さんが私たちに教示したもの、

目を開けてちゃんと見ろと突き付けたもの、

……そういうもののことを感じる今日この頃です。

私は自分で感受性がないわけではないとは思うのですが、

感受したものを自覚し、分析するのが遅いのです。

ま、ニブイということです。

 

今日、娘が珍しく本を貸してくれたので数時間で読み終えました。

これは韓国の名門校梨花女子大出身の作家チョ・ナムジュさんが

2016年に発表し、韓国国内のみならず、

ベトナム、アメリカ、カナダなど17か国で翻訳が決まった

フェミニズムのベストセラー小説で、

主人公のキム・ジヨンという名前は

1982年生まれで最も多い韓国の女性の名前です。

この小説がベストセラーになった背景には

発表された年に起きた「江南駅通り魔事件」、

23歳の女性がソウルの繁華街江南駅近くのビルのトイレで

見知らぬ男(女性を嫌悪する男)に殺された事件があると言われます。

この事件をきっかけに韓国内で女性に対するヘイトクライムとの闘いが、

若い女性たちを中心に本格的に始まったとのこと。

この「女性嫌悪」とは厳密にいえば異なるのですが

根強い儒教思想は伝統的に「男尊女卑」を当然としてきました。

それは日本社会にも今もかなりしぶとく草の根のように蔓延っています。

「蔓延っている」と書くと、すでにその言葉に違和感を覚える人も

多くいるでしょう。

男性のみならず、杉田水脈、はすみとしこなど、

女性が女性差別を支える者として、

別の言葉で言えば、女性が男性を支える性として存在する体制は

実にしぶといものがあります。

私の人生で言うと、子どもの頃、

北海道知床の山奥から平野部に転校した一年目、

ある決まった男の子(クラスメートじゃなかった)に

廊下ですれ違う度にお腹をパンチされたこと、

小学校に登校する途中、近所の中年男にお尻を撫でられ(2回)、

ゾッとしたこと、

中学生の時、ジャガイモの収穫時に近所の畑に来た季節労働者に

抱きすくめられてこれまた凍り付いたことなど、

忘れがたいあれこれがありました。

また、高校のクラスでは

女子だけの時はガサツなのに、男の子の前ではくねくねして

「あら~ん、やあねえ」とかいう女の子が

男子にとても人気があったので、

その女の子の態度も嫌悪しましたが、

男子に対してはジワジワと

(男は酷くて、且つ、馬鹿である)という思考が膨らみました。

しかし、それとは別に、青春のアコガレで

高校の世界史の先生(既婚男性)にポーッとなり、

特に世界史を熱心に勉強したものです(笑)。

 

そういうわけで、

1970年代初め頃に登場したウーマンリブは非常に興味深く、

進学先の京都で、

ピンク旗を掲げたリブの集会が三条河原であったときは

一瞬参加しようかと思ったほどです。

参加しなかったのは、

ピンクを女性のイメージカラーにするのは

自分の美的感覚と相当ずれていたこと、

女性の性と男性の性を社会的、体系的にとらえるには

ちゃんと勉強しなければならないと思ったこと、

さらに、軽薄に書きたてるマスコミの餌食になりたくない、

といった思いが交錯したためです。

ウーマンリブを否定も賛同もしませんでした。

その後、上野千鶴子さんたちがフェミニズムの立場から

あちこちで発表し始めたとき、

私は仕事と子育てで日々忙しく、勉強から遠ざかっていました。

女性差別、女性軽視、女性蔑視、女性嫌悪など

女性を生き難くさせる様々な社会的風潮にうんざりしながらも

自分自身が発信することはなかったのです。

 

そして、今、伊藤詩織さんが登場しました。

もはや男性に対して憎しみも愛も恋もなくなり、

「清々しいおばあさん」として生きることを信条にしつつある私に

若い彼女が投げかけたものは、

決して面倒くさがらず、諦めず、

女性の命と人生を貶めるものと対峙し続けなければならない

という基礎基本です。

「女性が襲われるということは女性に落ち度がある」

と言って憚らない杉田水脈自民党議員や、

「枕営業大失敗」とレイプの事実を捻じ曲げたはすみとしこ

伊藤詩織さんが提訴したことに私は心を揺さぶられました。

ちっぽけな存在の私ですが、

財務省が自殺に追いやった赤木俊夫さんの御連れ合い、雅子さん同様、

伊藤詩織さんの裁判闘争を精いっぱい応援したいと思います。

 

 

 

 

 

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