毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「戦争が 廊下の奥に 立っていた」No.2104

2017-11-09 10:58:10 | 反戦平和

 戦争が廊下の奧に立っていた (渡辺白泉)                                 1939(昭和14)年

 

 フェイスブックの記事です。
4年前に記事を書いた五十嵐裕治さんがご自身で再掲し、
それに共感された大久保正雄さんという方がシェアしたものでした。
「あした、戦争が始まる」と同じ緊迫感を持って読みました。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんなことを言ったらアブナイからやめておこう、とか、
「見ざる言わざる聞かざる」で知らんぷりしていよう、とか、
何かを恐れて本来の主張を自己規制していたところで、
目と耳と口を塞ごうとする邪悪な力は、向こうから押し寄せてくるもの。
...

下に紹介した俳句「戦争が廊下の奧に立っていた」は、
そういう不気味な気配を鋭く五七五に定着させた、ぞっとする名句です。

戦争が廊下の奧に立っていた

1939(昭和14)年、京都大学俳句会で活躍していた、
渡辺白泉という学徒が詠んだものです。

白泉はとくに政治に関与していたわけではありません。
もちろん、左翼でもありませんでした。
戦争を嫌い、平和と文学を愛するごくふつうの大学生だったのです。

ところが、特高警察はこの俳句にまで目をつけ、
「反戦思想の持ち主だ」
と言って、渡辺白泉に治安維持法違反の嫌疑をかけ、投獄しました。

仲間も俳句を作れないほどの言論弾圧を受けました。
いまに伝わる「京大俳句事件」です。

たった一句の俳句にまで弾圧が及んだ暗黒の時代。
そのおぞましい暴力は、まだ大丈夫だろう、と思っている矢先に、
突然に襲ってきたのです。

国民の目と耳と口をふさぎ、
自分たちの思うがままに独裁的な政治をしようという勢力が
居丈高に振る舞っているいま、
すでに不気味な圧力は
あなたの背後にしのび寄っているかもしれないのです。

戦争が廊下の奧に立っていた

戦前、京大生・渡辺白泉がこの俳句を詠んだときには、
もう戦争は廊下の奧どころか、茶の間に軍靴で侵入していたのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 渡辺白泉さんの句には、下のようなものもありました。

私たち日本庶民は、知らないうちに戦争が始まったという

超愚かしく、情けない経験を持っているのに、

「日本を存続させるためには戦争も辞さない」という声が聞こえる今日この頃。

また、想像を絶する数の人々が

殺されたり、殺したりしないと目が覚めないんですかね。

私たちは、何のために、歴史を学んだのでしょうか。

 

  ・街燈は 夜霧にぬれるためにある

  ・鶏(とり)たちに カンナは見えぬかもしれぬ

  ・銃後といふ 不思議な町を丘で見た

  ・玉音を 理解せし者前に出よ

                     (渡辺白泉)


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6 コメント

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今回の選挙で、もう襖の陰に戦争が❗ (雀(から) )
2017-11-09 13:15:53
と、思える危機感、絶望感を感じて居ます😱 
なんで? (こきおばさん)
2017-11-10 07:03:40
私たちが親に「なんで戦争に反対しなかったの?」と聞いた言葉を、孫世代に言われそうです。

平和でないと、幸せはありません。
絶望の中から、それでも・・・・・・ (ブルーはーと)
2017-11-11 13:13:53
雀(から)さん
森友・加計をはじめ、数々の犯罪にまみれたこの政権がいまだ安定多数を占めている現実には、たまりません。
本当に絶望的ですね。
でも、そんな自分を奮い立たせてくれるのは、この腐敗に異議申し立てをする人々が、この腐った日本に、まだまだたくさんいてくれることです。
私たちは最後に残されたたった一人ではありませんよね。たくさんの仲間たちと、自分のできることを愚直に続けていきましょう。
私にとっては、雀(から)さんが毎日、くたびれたり、沈んだりしながらも、また、気を取り直して生活に向かう姿をブログで読ませていただくことで、どんなに力づけられるか・・・・・・。いつもコメントも書かずにただ読むだけで失礼していますが、これからもどうぞ日々の思いを書き続けてくださいね。

 
私たちの勇気も伝えましょう (ブルーはーと)
2017-11-11 13:52:48
こきおばさん様
本当に私たちは恐ろしい濁流の中に生きていますね。
生まれて4歳と1歳になったばかりの私の孫はこんな有様の国で生きていかなければなりません。
しかし、庶民の全てがこんな時代の国の方向に手をこまねいてボーッとしていたわけではないことをも、孫たちに伝えましょう。

私は歴史で、小林多喜二が29歳で日本国の特高警察(自民党の高村、町村はこの特高の子孫です)に殺されたことを学び、胸に刻んできました。
私には多喜二ほどの勇気も才もないけれど、自分なりに最後まで表現するつもりです。その姿を、孫たちに見せて死にたいと思っています。
チベットの民は? (やまもとたろう)
2017-11-20 16:50:31
いまチベットの民はどの様な状況にあるのでしょうか?戦時中の日本より民の声は反映されていますか?今の日本より民主的でしょうか?他国のことながら気になる。
やまもとたろうさん (ブルーはーと)
2017-11-22 21:02:02
無理やりチベットと戦前の日本を重ねるのは愚かです。
チベットの民主化、あるいは独立運動に対してあなたは何か一つでも役に立つことをしているんですか。
ただ、中国中央政府のイメージダウンを図るためにチベット問題を利用しているだけなのが見え見えです。
やまもとさんのくだらないコメントに返事をするのもこれが最後です。私は忙しいのです。
次回はスパム報告します。

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