にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

Cathy Segal Garcia's workshop report vol.4

2012年11月05日 | 2012 Cathy's workshop rep
♪~Lullaby of birdland~♪


次のかたは「バードランドの子守唄」を歌われました。

「歌うと思っていなかったので、下手だと思います。すみません。」と恐縮されていましたが、とっても素敵な歌でした。

(Cathy)
なんて素敵なの。あなたはとっても魅力的な声(interesting voice)を持っていますね!

(参加者)
ありがとうございます!とっても緊張しました。


―――ここで、参加者の方が、「So 緊張しました。」と英語と日本語をまぜて言ったので一同大爆笑になりました。


(Cathy)
あなたはよくライブで歌っているの?

(参加者)
いいえ。時々・・・年に一回か二回です。

(Cathy)
歌うのってとってもいい気持ちじゃない?楽しいわよね。
すごくいい演奏でしたよ。
最初は緊張していたと思うから、次は3回歌ってみてくれないかしら?
そうしたらどうなるか見てみましょう。


―――参加者の方が、今度は3回続けて歌われました。
音も、リズムも、一回目とすこしずつ変化しているのがわかります。
いいフレーズが出たり、チャレンジングな音で歌われた時には、ところどころで、Cathyさんから”Hey”と励ましの声がかかりました。
参加者のかたが、最後のほうでスキャットをされ、
演奏が終わると、みんなの拍手に包まれました。


(参加者)
すみません。スキャットってやったことがなくて、今日初めてだったんです。

(Cathy)
素晴らしいわ!
なにが素晴らしかったのか伝えさせてくださいね。
まず、なによりもあなたが勇敢(brave)だったこと。
それから、ふたつめは、とてもよくフィリップの音を聴いていたこと。
これは歌を聴くとよくわかりました。
フィリップの演奏によって、あなたの歌は変化していましたね。
それは、とても素晴らしいことです。
声が綺麗で、ピッチ(音程)もいいです。
それから感情表現も豊かでしたね。
たとえば”kiss"というときなんか・・・わたしはあの歌い方、とっても気に入ったわ!
(この参加者の方は、kissという単語を歌うときに、ささやくように歌っておられて、とてもセクシーで印象的でした――筆者注)。


(Cathy)
それから、あなたはスキャットをしましたね。
いま、フィリップはVamp(*1)と呼ばれる演奏をしていましたが、通常スキャットをするときは、曲の一番はじめの部分にもどって、新しいメロディーをつくりますよね(You are rewriting melody)。
もちろん、曲の半分だけスキャットするときもありますけれども――ピアニストは、あなたが新しいメロディーをつくっている間、コードを演奏します。
でも今回彼が演奏したのは、2種類のコードだけでしたね。

(Phillip)
そう。いま弾いたのは3―6―2―5(*2)です。


(Cathy)
それは、曲の一番最後に使われる、演奏パターンなのです。
これをVampといいます。
フィリップ、もう一度演奏してもらえるかしら?

(Phillip)
もちろん。
この曲のキーはDbですから、3-6-2-5は、F―Bb―Eb―Abになります。
まあいまは2-5-3-6となっていますが。


―――フィリップさんが、2-5-3-6といいながら、しばらくの間Vampを演奏してくださいました。


(Cathy)
さっき何が起こったかというと、フィリップは、あなたが演奏を終えようとしているということがわかって、Vampを演奏したんですね。
あなたはそれを聴いてスキャットを始めましたね。
そしてフィリップはそれを聴きながら、ここで終わり、と決めてエンディングを演奏した。
あなたはそれを聴いて、自分も一緒に終わったんですよね。
それはすごいことなんですよ。
音楽的なタイミングがあうって、ほんとに楽しいことですからね!
素晴らしかったですよ。


―――キャシーさんのお褒めの言葉のなか、参加者のかたはしきりに照れておられました。
大きな拍手のなか、参加者のかたが席に戻られると、キャシーさんがVampについての説明を続けられました。


(Cathy)
Vampにはいくつか種類があって、よく曲の最後に演奏されますが、時々、曲の途中でソロの代わりに演奏されることもあります。
ドラム奏者がソロをしているときにピアノ奏者がVampを演奏すると、ソロが面白くなるんです。
ハーモニーができますからね。

(Phillip)
そう。よくドラム奏者が「なんでみんなのソロのときにはちゃんと伴奏があるのに、僕のソロのときだけ僕独りなんだ?」と言うので、その気持ちを直してあげるためにVampをいれます(笑)
ピアノで静かにVampを演奏しながらベースにも入ってもらって、ドラムソロをやると、けっこうエキサイティングになります。

(Cathy)
そう。エキサイティングね。

(Phillip)
それからイントロ(*3)でやるときもある。

(Cathy)
そうね。そうそう、イントロについてもうひとつ話したいわ。
わたしは、イントロは長めが好きよ。短いイントロって、ちょっとせわしないでしょう?
イントロを演奏している間、バンドはなにかをつくりだして(create something)いますよね。
そこにわたしは自然に入っていきたいの。
だから、ちょっと長めのイントロが好きなんです。

では次のかたに歌ってもらいましょうか。


(vol.5に続く)

~Lullaby of birdland~
lyrics by George David Weiss
music by George Shearing


*1)Vamp:種類のコードを繰り返すこと。Bossa Novaのエンディングなどによく使われる。

*2)3625:4度ずつ動くコード進行のこと。

*3)イントロダクションintroductionの略。前奏のこと。


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