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Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

外から内へ、あるいは持続可能性の喪失(7)

2025年07月14日 06時30分00秒 | Weblog
 「1960年、安保闘争で岸内閣が倒れた後に登場した池田勇人内閣は、「所得倍増」をスローガンに高度経済成長政策を提唱した。その後、1960年代は年率約10%の成長が続き、日本は屈指の経済大国となった。その象徴として1964年10月10日にはアジア最初のオリンピックである東京オリンピックが開催された。この成長は同年10月1日開業の東海道新幹線に代表される技術革新に支えられていたが、アメリカがベトナム戦争期にあたっており、日本の輸出が増大したことが大きな要因であった。
 「しかし、その反面、60年代の日本の経済繁栄とベトナム戦争の泥沼化という相反する現実に、若者のいらだちは強まっていった。1968年5月にはフランスの五月危機(五月革命)やアメリカのベトナム反戦運動の盛り上がりの刺激もあり、日本でも各地の大学で学生運動が盛り上がり、その高揚は70年代まで続いた。
 ベトナム戦争の長期化がアメリカ経済を疲弊させたことと、日本の経済が急成長したことによって、アメリカ合衆国経済の相対的低下をもたらし、1971年にドル危機(ドル=ショック)が表面化、代わってヨーロッパの統合(EC)が進んだことによって、1970年代の世界経済はアメリカ、EC、日本の三極構造といわれるようになった。さらに1973年のオイル=ショックによって世界経済は低成長時代に入った。
 日本は高度経済成長のもとでの急激な工業化、エネルギーの転換(石炭から原油へ)をとげたが、それによって農業人口の低下と食糧問題、過疎の問題、そして公害問題、自然環境の破壊などの新たな問題が深刻になってゆき、高度経済成長期を境に、戦後日本社会を大きく変貌させることとなった
。」

 高校世界史の教科書的な要約だが、信用の「一極(一元化)マシーン」という観点から読み直すと興味深い。
 50年代前半は「朝鮮戦争」という「マシーン」が稼働し、これがやがてアメリカというお得意さんへの極端な依存へとつながった。
 60年代に入ると、今度は「ベトナム戦争」という別の「マシーン」が生み出される。
 この過程で、戦場となる国・地域の人々が日本の繁栄の”犠牲”となっているだけでなく、お得意さんであるアメリカからも「失業の輸出」などと厳しい批判を受けた。
 もっとも、この時代のことはあまり教えない中学・高校が多い(現代史にたどり着く前に時間を消費してしまうため)。
 こうした「外」における”犠牲”だけでなく、国内でも環境問題を筆頭とする「内」なる”犠牲”が生じていたが、経済成長の蔭に隠れ、大きな問題となるのはだいぶ後のことだった。
 こうして現代史を読み直すと、信用の「一極(一元化)マシーン」の問題は一向に解決されなかったばかりか、「マシ―ン」は形を変えて次々と現れてきているように思える。
 もっとも、この流れが長く続くはずもなく、(日本人の水道使用量のピークである)1997(平成9)年頃を境に、日本社会は、今度は「オートファジー」路線(最後の棒倒し(10))を歩むこととなる。
 私見では、この「オートファジー」の仕組みは、例の、信用の「一極(一元化)マシーン」における「内」に向けての”犠牲”強要と同じである。
 そして、その最も分かり易いあらわれが、「アンダークラス」という新しい階級の出現だった。
 これは、資本家階級と(一部の)新中間階級が求めたものであり、彼ら/彼女らとその支持を受けた政治家、官僚や知識人たちが設計して作り上げた”人身供犠”のシステムにほかならない。
 しかも、これは極めて巧妙に仕組まれていて、ゆっくりと30年以上の時間をかけて形成され、その実態はかなりの部分覆い隠されている。
 例えば、「日本は生産性が低い」(実際は「労働分配率が低すぎる」)などといったプロパガンダをマスコミなどが垂れ流すと、これを大衆が真に受け、非正規雇用が正当化されてしまう、などといった具合である。
 なので、このシステムに気付いていない当事者も多く、何と「アンダークラス」の相当数までもが「自己責任論」を支持してしまっている(橋本・前掲p313~314)。
 そして、静かに進行してきたこの問題は、解決しないまま静かに終焉を迎える可能性が高い。
 なぜなら、「アンダークラス」に属する人々は、政治過程で力を持っていない上、(橋本先生によれば)子孫を残すことなく死んでいくからである。
 他方、資本家階級と(一部の)新中間階級は、「アンダークラス」が存在することによって、つまり彼ら/彼女らが”犠牲”となることによって、何とか存立している(再生産可能な階級にとどまっている)仕組みとなっているのであるから、「アンダークラス」が死滅してしまうと、今度は資本家階級と(一部の)新中間階級も、「アンダークラス」への転落という過程を経て、あるいは経ないまま、滅びてしまうことになるだろう。
 いったい、この流れを止めることは出来るのだろうか?
 結論をごくおおざっぱに言えば、
 「誰かが犠牲にならない限り、みんなが生き残ることは出来ない
という妄想(あるいは宗教?)から脱却しない限り、この状況を改善することは難しい。
 なので、このまま行くと、木庭先生の予想通り、数年以内に「防衛増税」によって我が国の「オートファジー」は完成し、「内」から破滅することになるだろう。
 そうなった場合、これまでカイシャがため込んできた”脂肪”(=内部留保)を燃焼させることによって、「オートファジー」を続けることは不可能である。
 なぜなら、その段階ではもはやマネーに信用があるはずもなく、「現物の掴み合い」となることは必定だからである。
 今回も、第二次大戦直後のような、食料の争奪戦になる可能性があるわけだ。
 ・・・いっそのこと、その前に日本を脱出しようかな?
 他の誰をも犠牲に供することなく生きていける、そんな国に。


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