「現在はウィーンを拠点に活動する兄弟ですが、実はハンガリーのロマ音楽を伝承する一家に生まれ、幼い頃から音楽とともに育ちました。 ・・・
※ロマ音楽(ジプシー音楽)…ヨーロッパなどで生活する、ロマと呼ばれる移動型民族を中心に発達してきた音楽。 」
「ロマはインドを発祥の地とし、6~7世紀から移動を始めたと言われています。彼らは現在、ヨーロッパを中心に世界中で暮らしています。
全人口はおよそ800万人〜1200万人です。「ロマ」は従来、「ジプシー」などと呼ばれてきた人たちです。彼ら自身は「ロマ」「ロマニ」と呼称しており、ここでは「ロマ」とします。
彼らの長い歴史のなか、周囲の無理解やエキゾチックな風貌から、「流浪の民」といったロマンティックでステレオタイプなイメージで語られたり、いわれなき憎悪によって差別的に扱われ、迫害されてきました。
奴隷としての500有余年と、ホロコーストによるジェノサイドは、その不幸な歴史の典型例です。ナチスはユダヤ人に対してと同様、ロマを迫害しました。しかし、ユダヤ人の悲劇に対して、ロマの悲劇は忘れ去られた歴史です。」
ピアノ演奏&プロデューサーのクトゥレーロさんは、”聴衆参加型”のコンサートで有名な方で、今回も観客に拍手を求めるなどのパフォーマンスがあった。
ちなみに、横浜公演では客席に降りてきて演奏したそうだが、本日はややおとなし目の感じである。
客席には、在日本ハンガリー大使がいらっしゃっていたので、ちょっと遠慮したのかもしれない。
さて、さすがクトゥレーロさんというべきか、選曲が絶妙で、「カルメン幻想曲」でハバネラが始まった瞬間は時間が止まったかのような錯覚をおぼえた。
そういえば、カルメンはロマ(ジプシー)であり、これぞロマ音楽の頂点なのだった。
迫害の歴史をもつロマだが、「流浪の民」は、見方を変えれば自由を体現したものとも言える。
なので、ニーチェ先生のような”自由精神”の持主からは、熱狂的な支持を受けるのである(汗をかかない)。