話題の「新聞記者」を観てきた。まずこの映画を作ったことに拍手。内容には触れないでおくが、この作品をドキュメンタリーではなく、映画として成立させるためのいろんな仕掛けが効いている。
と、ツイッターに書いたんだけど、質問が来たのと、せっかく強烈な映画を観たんだからもうちょっと何か書いておこうと、こっちにメモしてみる。
以下、ネタバレもあるので、これから映画を見る人は注意してください。
●内容に触れないツイートにしたのは、ネタバレしないほうがいいだろうという理由と、具体的な感想を述べることで、現政権への立場を表明したかのように受け取られることを避けるため。
さすがに内閣情報調査室の描き方は画一的すぎてホニャララだし、野党の政治家までこの映画を見ろ見ろと騒いでいる便乗っぷりは、危険だ。
創り手たちのジャーナリスト魂には賛同するし、現実に即しているのは明らかとしても、ドキュメンタリーではないのだという冷静さは必要だと思う。(*7月1日23時頃、一部の表現を書き換えました)
●この作品を成立させるための映画的な仕掛けについて
・主人公を「日本語はたどたどしく、場の空気を読むという日本社会の特性にもなじめずにいた」という設定にしたこと。
・内閣情報調査室の、意図的であろう漫画チックな描き方。どんよりとした灰色をバックに、わかりやすい悪役として、1960、70年代のスパイ映画のような。
・本田翼パート。記号的なまでにありふれた、家庭の幸せパート。これが効いている。
・松坂桃李の最後のセリフを無音にしたこと。あれは正解だったのかどうか。本当に伝えたいことがあるなら、あのラストはずるい。話題作りを狙った映画的な手法としては成功なのかも知れない。