王様の「秘密の参謀本部」

田端到&ビンゴ本郷の実験創作プロジェクト

電子出版は古い水夫の新しい船

2010-12-18 14:02:36 | Weblog
 シャープのガラパゴスとソニーのリーダーが発売になり、相変わらず電子書籍の話題が花盛りだ。しかしいまだに「紙かデジタルか」とか、「旧大陸vs新大陸」みたいな構図で語られていて、どうにもピンとこない。
 旧勢力の紙出版vs新勢力の電子出版という、このとらえ方はだいぶズレていると思う。結論から言うと、電子書籍って旧勢力サイドの出版業界にとって、希望の光であり、最後の頼みの綱なんですよ。

 出版業界がここまで地盤沈下し、息を切らしているのは、言うまでもなくインターネットという無料怪物の影響が大きい。ただで読める文章があふれていたら、有料で購入する文章が苦戦するのは当たり前の話である。
 だから、旧勢力=紙、新勢力=デジタルじゃなくて、旧勢力とは「有料でコンテンツを買ってもらう仕組みのビジネス」のことで、新勢力とは「無料でコンテンツを提供して広告収入を得る仕組みのビジネス」のことだ。

 出版社や新聞社はどうにかネット経由でお金を出してもらえる仕組みを模索してきたが、ことごとくそのハードルの高さに挫折してきた。
 大ヒット漫画というキラーコンテンツを多数持つ講談社でさえ、有料配信のビジネスモデルを確立できず、09年に最前線のデジタル部署を解散。映像にしても、フジテレビのヒットドラマが1本100円に落としてやっと売れるレベル。
 ネットでお金を出すのはバカバカしいという心理的な抵抗以上に、ネットは課金手続きが面倒くさく、だからケータイの小さい画面にすら負けてきた。

 それが今、これだけ出版業界が電子書籍に熱心になっているのは、ipadやキンドルのような有力なプラットホーム、電子書籍リーダーの登場によって、インターネット経由の課金システムの確立に光明が見えたからですよ。
「電子書籍の波に乗らないと、新しい時代に乗り遅れちゃうぞ」じゃなくて、「今度の電子書籍の波に乗れば、昔からのうちらの商売のやり方でもなんとなりそうだぞ」という、旧勢力サイド歓迎の展望。
 無料で何でも読める巨大な敵の前に、歩いても歩いても砂漠と屍だらけだったところに、町の灯りがともったのだ。
 
 だから電子書籍は一見、新勢力のシステムに見えて、じつは旧勢力のための道具。
 出版社にとって、お金を出して「本」を買ってもらうという古い仕組みを守るための頼みの綱が、新しい端末ルートの電子書籍であり、古い水夫はようやく新しい海に出るための船を手にしたのだ(copyrightよしだたくろう)。
 まあ、書店さんや印刷業者さんは困るだろうけど。
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戦艦ヤマトとサザエさん

2010-12-07 17:07:19 | エンタメ
・また動画を貼っておく。「宇宙戦艦ウーチャカwith黒木メイサ」。我ながら感心するくらい、あっというまに作った。



 ストーリーもセリフも脈絡も考えなくていいのなら、この程度のショートムービーってこんなにすぐできるのかと自分で新発見だった。適当に動画パーツをこしらえて、つぎはぎして、エフェクトかけただけ。
 それでもそれっぽく見えるんだから、苦労してストーリーを考えてもしょうがない気がしてきた。波動砲の場面などはなかなかカッコいいと思うがどうか。

 ヤマト、space battleship、予告編、爆笑問題なんてタグを付けても、今はヒットしすぎて役に立たないと知りつつ、3DCGも入れておこう。

・黒木メイサといえば、映画「昴」には驚かされた。今頃。
 たぶんあの映画を見た人の90%が同じ感想を持ったはずだが、黒木メイサってこんなに踊れるんだ、という驚き。私は原作のファンなので、彼女がバレエの天才少女を演じるというところがピンとこずに、見るのが遅くなった。
 でも、謝る。人の才能ってのはどんな形で掘り起こされるのかわからないもんだ。

・同じような意味で、映画「マンマ・ミーア」のメリル・ストリープの歌にもぶったまげた。今頃。
 特に「The Winner takes it all ウイナー・テイクス・イット・オール」は圧巻だ。勝者が全部持っていくのよと大迫力で歌う大女優のあの場面は、そこだけ5回ほど繰り返して観た。

 私が週刊誌記者をやっていた20年ほど前、取材で会う若い女優さんやアイドルの多くが、口を揃えたように「将来の目標はメリル・ストリープさん」と答えていた時期があったことも思い出した。なんだったんだろう、あれは。

・あとはDVDで昔の連続ドラマばかり見ている。「寺内貫太郎一家」に「熱中時代」に「だいこんの花」に。
 昔のドラマは今と何が一番違うかと言うと、季節感だ。節句や祝日など、暦に合わせた習慣や小さなエピソードが盛り込まれ、話が展開していく。最近の連続ドラマで暦の話題といったら、せいぜいクリスマスくらいだろう。

 ……というような話をしていたら、「いや、今でもそんな暦の季節感が豊富なドラマはありますよ。サザエさんと、ちびまる子ちゃんです」と教えてもらった。
 なるほど、昭和はアニメにしか残ってないってことか。

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