家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

サラダ油ランプ

2011-04-28 07:13:51 | Weblog
先日下田のペリーロードにある骨董屋をのぞいたとき気になるものを発見した。

我々がイチバン客で店内には、まだ電灯が点けられていなかった。

店主は電灯を点けて回ったあと鉢の中に入れられたヒモに点火した。

聞いてみるとサラダオイルを利用したランプだという。

雰囲気が電灯より良いし廃油を利用しているし、もし倒れても消えてしまうから安全だという。

それをヒントに自分の物を作ってみた。

毎日点灯する店とは違うのでフタの付いた容器がよい。

使わないときにはフタをしてしまって片付けておける。

ジャムの入っていた容器と先日友人からいただいたプリンの入っていたガラス容器にした。

器の中に入れる油から芯が上に出ていなくてはならない。

ワインのコルクを留めている針金を使ってみた。

芯は家にあったヒモを使う。

充分に油を浸透させて点火してみた。

かなり長い間点火し続けないと火は点かない。

「おお点いた」

しかしすぐに消えてしまう。

芯材に問題があるようだ。

芯の先端が熱で丸くなってしまい、それ以上油を揮発させる能力がなくなってしまうようだ。

ホームセンターに行き綿で出来ているヒモを購入してきた。

しかしうまく点火しない。

編み方に違いがあるようだ。

思いついた。

アルコールランプの芯なら、うってつけだろう。

しかしアルコールランプの芯は、どこで売っている?

プリンをくれた友人に聞いてみた。

理機販売会社の支店が近所にあった。

1メートル100円なので2メートル取り寄せてもらった。

ワインのフタ用の針金細工に芯を通した物をプリン容器に挿入し上からオイルを注ぐ。

しばらく待ってからチャッカマンで点火した。

煌々と輝く廃油の光。

しかし少し炎が大きすぎてススが出始めた。

一旦消して芯を少し引っ込ませた。

今度は適度な大きさの炎でススも出ない。

我が家の防災グッズの一つとしてストックしておこう。



錆に魅せられて

2011-04-26 08:16:31 | Weblog
浜名湖2&4スワップミート(http://hamanakosm.hamazo.tv/)に行ってきた。

久しぶりにヤマハメイトで走ると、いつも乗っているジャイロの癖が出て車体を寝かし過ぎてしまい怖い思いをした。

会場は異様な雰囲気がした。

男 おとこ オトコ   老若男男 

錆び付いた鉄の塊を笑顔で眺める人ばかりだ。

また売り手も買い手も「好き」な物についての話を嬉々として繰り広げている。

私は、もうずいぶん前に足を洗った。

しかし好きなことは好きなのだ、これらの錆物。

「ドン ドン ドン」

会場全体にバスドラムのような安定した重低音が響き渡る。

極端にゆっくりなエンジン音だ。

心拍より遅い。

石油発動機なる機械だ。

近づいてみると輪になって出てくる排気ガスの臭いとカムの音が心地よかった。

私は車両の部品とは無関係のジーンズを3本買った。

ちょっと前まで31インチを穿いていたが最近30インチにし、それでも太すぎて29インチを購入した。

1本800円2本で1500円3本目からは700円合計2200円だった。

帰宅した後TVを1台無料回収に持っていった。

残念ながら無料ではなく1000円とられた(盗られた?)。

その場に置いてあったSINGERミシンの脚部を見つけた。

これまたサービ錆。

「これ売り物?」

「はい」

「いくら?」

「1500円」

「よし買った」

錆た鋳物を車に乗せた。

これは、きれいにして天板を着けてテーブルにする。

捨てても買ってもお金を払った。

この商売「モウカルナ」と感じた。

捨てていった物を、その場で売る。

そして皆嬉しそうな顔をしてその場を去るのだ。

私も相当嬉しそうな顔をしていたに違いない。

遊び道具を与えられた子供の笑顔だ。



中伊豆ワイナリー

2011-04-18 08:36:19 | Weblog
地元民O氏が仕事を終えて駆けつけてくれた。

地元民S氏から道案内はO氏に交代だ。

途中3台が一般道を選んだ。

残りモーガン5台がO氏のルノーを追いかける。

農道あり生活用道路あり。

わき道だから青信号の時間が短い。

こげ茶色のキャトルの後を白いキャンバストップのD氏。

D氏のモーガンは今回エンジンの調子も良さそうで、いろいろな所で「おおー、走るなぁ」と感心した。

続いてシルバーと濃紺のO氏。

40歳になるモーガンは老体ながらも元気だ。

A氏のプラス8は「ガルルルルルル」と吠えて急加速していく。

すべるような出足とコーナリングは思わず「美しい」と感じた。

続いてH氏のモーガンも「グオーン」と良い音で走り抜ける。

隣に同乗している奥様がこのあと、どう変化するのか気になるところだ。

嫌いになるのか、このスリルと躍動感が癖になるのか。

最後尾を走る私は常に列に、はぐれまいと神経を使った。

少し短めの一旦停止。

信号が黄色になった後、色の変化に気付くのが遅れ気味になった。

長い信号待ちで昨日と今日の出来事を思い出す。

10台のモーガンが走っているのをコンビニで休憩中のオートバイ一団が見ていた。

こちらは40歳代から70歳代。

あちらは10歳代から40歳代。

彼らの熱く強い目線を受けて

「あれがこれになっただけで心の中は同じだ」と言ってやりたかった。

夕暮れ時ほとんど渋滞ナシで東名高速道路に進入できた。

さてそれから驚いたことがある。

O氏は子供の頃から父親母親の運転する良い車に乗ってきた。

今でも、もちろんモーガン以外の素晴らしい車を足にしている。

彼は走行車線をノンビリ走りたい私の走法は気に入らない。

一応走行車線を走って前が詰まると追越しするという基本はあるが常に追い越し車線をガンガン飛ばしたいのだ。

ところが彼の車は40歳の御長寿で、思うように加速しない。

私が気を使って走行車線に戻っても、まだ追い越し車線にいる。

私も、もういちど追い越し車線に戻って次の車を追い越すということになった。

「スピリット」とでも言おうか。

車で走るとき熱い心が彼自身の初老の身体を許さない。

東名を下りた後でも私の車を追い越して右折していった。

ニヤリと笑って手を振って別れた。

「我先に」という若い頃の競争したい気分ではなく、充分にわきまえた上で、それでも自己主張をする。

「モーガン乗り」全般に言えることだが、その精神は尊いものだと今回のツーリングで感じた。

さてもう自宅だ。

もう一度アクセルを踏んでその加速を味わい放してエキゾーストノートを楽しんだ。



散歩の景色

2011-04-12 07:32:18 | Weblog
今でも続けている夕食後の散歩。

気がついてみれば帽子を被っていないし手袋も不必要になった。

サクラ並木の下を気分良く歩く。

最近気付いたことがある。

決まったサクラの木に2羽の黒い鳥のシルエットが。

といってもカラスだから昼間でも影絵のようだが。

寄り添っているわけではなく、それでいて離れてはいない。

考えてみりゃ鳥は羽を広げるから、その分の距離は必要か。

で、いつしかその2羽を見るのが楽しみになっていった。

まだ薄暗い時刻にカメラを持っていった。

彼らを見つけて撮ろうとした途端、彼らが気付き飛び立ってしまった。

鳥目の彼らだから暗くなってからの飛翔は酷であろう。

それからは無理やり写そうとは思わなくなった。

夜になると家の中に電灯が灯される。

すると窓を透して中の様子が見えることがある。

トイレットペーパーが2袋重ねられているのが見えた。

たぶん買占めした口であろう、このおばさん。

すれ違う人の中で怪しい動きの爺さんがいる。

いつもくわえタバコだ。

毛糸の帽子を被りレジ袋を左手に持ちラジオを鳴らしながらフラフラと歩く。

サクラの木の1本1本手で触れて歩くこともある。

仲良しおばあさんが二人今夜も元気に歩く。

片方のおばあさんは赤く点灯するリングを腕に巻いている。

これなら視認しやすい。

犬との散歩も多い。

黒いラブラドールの首にも赤い電灯が着けられていた。

「夜の散歩に黒のラブラドールじゃ見えにくいよなぁ」

可愛がられているなぁ、と思うだけで幸福感に充ちる。

「お名前は?」と聞くと

「ユズです」と答えた。

「そうか。ジョンだと思ったのに」というと苦笑いしていた。

お好み焼き屋さんの看板の上にネコが乗っている。

そこに居れば食べ物にありつけるようだ。

「常連さんだな」

医院のケヤキの木の上に巣を作り始めたのは、いつも一緒に眠るカラスの番(つがい)であろう。

45分間の散歩でも、いろいろな場面に出会い、それぞれの生活を見ることになる。

私たち(番)を見ている人もいるに違いない。


伊豆であれこれ

2011-04-11 07:50:21 | Weblog
この2月に中伊豆に行ってきたばかりだ。

モーガンで気の置けない仲間と会ってきた。

今度は妻とSLKで行った。

東名高速道路浜松インターから入った。

すぐに走行車線から無理やり追い越し車線に飛び出してきたベンツVクラスの女性ドライバーに腹が立った。

「ブレーキをかけさせるほどの位置関係で車線変更するなよ」

先ほどもインター取り付け道路で割り込みをされたばかりだ。

吉田インターまでズット不愉快な運転をするVクラスの後を走った。

清水インターで下りて順調に伊豆半島に入った。

「ここだよ。このあいだ昼食をとったのは」戸田の町を走っていた。

「じゃ、ここで食べよ」

急遽車を止めて店に入った。

「違った」

小声で妻に伝えた。

まだ2ヶ月にならないのに入った店を間違えてしまった。

だが美味しい物を食べさせてくれたことは一緒だった。

下田のS氏の別荘で待ち合わせをしている。

海岸線を回って行くつもりだった。

だが気がついたら中伊豆方面に向けて走っていた。

しかたなく下田経由で行った。

店は間違えるし道は間違えるし、老人になったものだ。

東電のせいでトンネル内は、どこも停電状態。

まっすぐなトンネルはいいが内部の曲がった出口の見えないトンネルは闇に入り込む感じがして恐怖心が湧く。

ナヴィは全く違う場所で「目的地周辺です お疲れさま」と言う。

「ここは、ただの森林じゃないかよ」

かろうじてナヴィ画面に目的地のマークが表示されているので、あとは勘で走って行き着いた。

S氏の別荘には先客が居た。

ドイツ人のロビンだ。

楽しく喋って再び下田へ。

翌日は海岸線を回って西伊豆に向かう。

前の軽自動車の後を走っていると「止まれ」と書かれた赤い旗を持った若い警察官が飛び出てきた。

すぐ止めて「私ですか?」と言った。

若い警官も戸惑っている。

そこに無線が入った。

「4517 シートベルト確認」

「失礼しました。シートベルトが見えにくかったようです」と丁寧に詫びた。

久しぶりに、あの赤旗で止められたが「間違い」でよかった。

順調に沼津千本松まで走ってきたが大渋滞している。

ナヴィには頼らずに、この際は地元の車の真似をして迂回することにした。

何台か入り込んでゆく路地が迂回路に違いない。

私も、そこに入り地元の車を追いかけた。

ラジオをつけると「下り線沼津と富士インター間閉鎖」と言っていた。

「やはりな」

動かない道路から抜け出て少しずつでも動く道路に出られて渋滞脱出作戦は成功だった。

渋滞は富士インターに向かうための交叉点までだろうと踏んでいた。

果たして、やはりその通りだった。

いつも通り私は清水インターまで走ることにした。

それからは、すんなり走行できた。

富士川を渡るとき見た目には分からない境界線を意識した。

富士川は電力供給会社の違いで東電と中電に分かれる境界になっている。

「あっちの電気と、こっちの電気は違うのだ」

ぼんやり考えながら高速道路並みの速度で流れる一般道の中の一台となった。



眼下が海の宿

2011-04-10 07:50:36 | Weblog
伊豆は下田市須崎にある眼下に海が見える宿(海辺のお宿 いそかぜ)に行ってきた。

17時にチェックイン予定で17時15分に到着した。

宿帳に記入しながら貸しきり露天風呂を予約しようとすると

「済みません。貸し切りの風呂は休ませていただいております。代わりに大風呂を貸し切りに致しますが、それでよろしいでしょうか?」

悪かろうはずもなく即OKした。

宿泊客は私たち以外には1組1名だけだった。

荷物を持って案内してくれた従業員に

「停電でたいへんだったでしょう」とエレベーターの中でネギライの言葉のつもりで言ったのだが

「いえ。お客様には迷惑になりませんので」と答えさせてしまった。

二人には広過ぎて落ち着かない感じはあるが目の前の明るい海を見ての大風呂は最高の気分だった。

トンビが手に届きそうなところでヒラヒラと空を漂っていた。

伊豆7島が遠くにかすんで見える。

とりあえず風呂上りのビールを飲もうとしたが部屋の冷蔵庫は電源が切られている。

その分従業員が運んでくれるということになっていた。

夕食は部屋に持ってきてくれた。

通常、部屋食は2000円増しなのだが事情が事情なだけに無料だ。

女将さんらしき人が料理を運び並べてくれる。

少し話しては「ありがとうございます」と何度も何度も言う。

よほどキャンセルが相次ぎ困り果てているように感じた。

料理はホームページに出ていた写真の通り値段のわりには豪華なものだった。

漁師鍋と舟盛りとカサゴのから揚げの付いた基本プランだ。

ビールを久しぶりに5本飲んだので、ご飯だけは残してしまったが他は全て美味しく平らげた。

眠っていると地震が起きた。

テレビをつけてみると「津波に気をつけてください」と言っていた。

これじゃぁ海辺の宿はキャンセルが相次ぐだろうなと実感した。

しかし構わず気持ちよく眠りを続行した。

朝風呂もついでに貸し切りにしてもらって今度は別の大風呂に入った。

朝食後目の前に見えていた恵比須島を散策してから宿を発った。

ペリーロードにある骨董屋をのぞき海岸線をぐるりと回りながら西伊豆方面に走った。

南伊豆町にあるガソリンスタンドでガソリン補給をした。

めったに入らなくなってしまった客に大喜びする従業員の老夫婦。

長年連れ添った奥さんから「白い線付いていない?」と確認され

「付いていないよ」と答えたお爺さん。

丁寧に拭いてくれた窓だったが少し走ると白い線がはっきり現われた。

伊豆は海の横が、すぐ山だ。

この季節濃い海の青さに対して山は一面の白やピンクの桜の花で圧倒する。

伊豆が、こんなに多くの桜に満たされているとは驚きだ。

「自粛ムードから応援ムードに」と静岡県知事の言葉に後押しされて出てきた今回。

伊豆を楽しむだけで社会に少し貢献できた気がした旅だった。


男の子と春野

2011-04-05 10:08:24 | Weblog
「それでは今日の予定を言います」

姉の孫二人を連れて春野に出発する前に実家の玄関で話した。

二人は大きな声で元気よく返事した。

なにより嬉しそうだったのは残る母親祖母そして曾祖母だった。

到着してすぐに枯葉を集めてシチリンに火を起こした。

燃え盛る火の中にさらに枯葉を投入するのは少し勇気が要った。

煙が立ち込め臭いが充満する中で、その火を炭に移す。

今度はウチワで扇ぐあおぐ。

暑くなって下着姿でウチワを振る、その横で火バサミを持って立つ私の姿は、まるで子供達を働かせる酷い大人だ。

起きた炭火で肉や魚や野菜を焼いてほおばる。

「美味しい」

私が山から切り出して立てかけておいた丸太は、そのまま滑り台になった。

まだきれいに磨いてないから枝は落としたが突起は出ている。

光君(来年小学生)が下向きに降りてくる途中で股間を打った。

痛そうな顔をして私に近寄り「股間打って勃起した」と言う。

そんな難しい言葉を、もう使うことに驚いた。

しかし使用方法は間違っている。

今度は仰向けになって下りてくると突起を尻に当てたが勢い余って、そのまま着地した。

痛さをこらえた。

しかしあまりの痛みにジットしていられない。

門から出てウロウロし、そのまま悪顔して戻ってきた。

「おお、どうした、打ったか。可愛そうに。どれどれ」は言わない絶対に。

自己責任で遊ぶのが原則であり危ない場所で遊ぶのだから痛みは付き物だ。

15分歩いて滝まで行った。

といっても歩いたのは大人だけで子供達は棒を持って坂を追いかけっこして下ったり登ってきたり。

滝ではカワガラスを見つけた。

長靴に履き替えてズボンの裾を長靴の中に入れた。

その5秒後光君は、いきなり深みに入って長靴とズボンの裾はびしょぬれだ。

虎太郎君(小学4年生)はひょいひょいと川の中の石の上を飛んで向こう岸を散策した。

光君も同じように付いていこうとするから、それは危険だ。

「待った。だめだよ、そのまま行っちゃ。こっちの浅瀬を行きなさい」

と目は放せない。

虎太郎君が鹿の角を発見した。

私が4年間探しても見つからなかったものだが頭骸骨付きで2本の角が着いた完璧な物だ。

石垣と水路の中でカエルと出会いカモシカの糞を見つけサワガニを掴み地上に盛り上がった木の根の下に入ってみた。

家に戻る途中で光君が急に燃料切れを起こした。

今の今まで走り回っていたのに「もう歩けない」と言い駄々をこねだした。

すかさず兄貴がなだめたりおんぶしたりする。

「いいよ。そこに居ろ」とつっけんどんに私が言う。

しぶしぶ歩いて家まで辿り着いてお茶を飲みお菓子を食べると、もう充電完了だ。

「外で遊んでいい?」

と家の中から二人で飛び出していった。

あきれるほど強いバイタリティー。

普段家の中で大人しくしているほうが不思議に思える。

帰宅して自宅に解き放つ犬と飼い主のような、みなの笑顔。

私たちの笑顔は義務から解き放たれた安堵。

子供達は土産話をし始める。

迎えた大人たちは一日ゆっくり出来た余裕が見える。

めでたしめでたし。



スペアタイヤ水没

2011-04-01 07:29:01 | Weblog
ヴィッツのトランクに植木を入れて運んだ。

植木を下ろした後に土が少し残っていた。

土を取り除くためにトランクのシートをめくり上げてみた。

シートが何故か湿っぽい。

植木に水は掛けていない。

めくり揚げたシートの下には格納されたスペアタイヤのフタがある。

そのフタにも水滴が付いている。

フタを外してみて驚いた。

スペアタイヤは水没していた。

「チャプチャプ」という音の発生源はこれだった。

少し前からチャプチャプ音が聞こえていたがガソリンがタンク内で立てる音だと思っていた。

雑巾で水を吸い取って外で絞る。

何度繰り返しただろうか。

水が坂道を下り長い線を描いた。

タイヤを外してさらに続けた。

水を完全に吸い取り乾くまでトランクと後部ドアを開け放しておいた。

ジャッキを見ると錆だらけだ。

14万キロ走行しているが幸いまだ一度も使ったことがない。

「ひょっとして」

やはり錆び付いていてジャッキは動かない。

スプレー式のオイルを吹き付けて少しは稼動するようになった。

だが使い物にならない程度でしかない。

スペアタイヤの存在というのは今では、たいした意味はないようだ。

車検に出しても、この部分は別に点検する必要もないらしい。

スペアタイヤ自体乗せていない車もあると聞いた。

ジャッキは別の物を持っているが純正品でないとキチッと納まらない。

しばらくしたら、もういちどジャッキの稼動範囲を広げる処置をしてみる。

だがその間はタイヤ交換をしなくて済むように祈るだけだ。