馬頭琴日記

交通事故療養中に還暦を迎えた馬頭琴奏者が、馬頭琴に関する知識を書き遺します

内モンゴル・呼和浩特、布和工房の馬頭の彫刻の変遷

2017-11-08 22:54:25 | 馬頭琴の基礎知識
本日掲載した写真は、いずれも内モンゴル自治区・呼和浩特にある、布和工房製の馬頭琴の馬頭である。
左が私の愛機で、2001年製。真ん中が、2003年製。右が定かではないが、2010年製辺りだと推測される。モンゴル国の場合はボディの内側にラベルが付けられているが、布和工房製には付けられておらず、ロシアを経由してヨーロッパの技術が流入したモンゴル国と、独自の発展を遂げた内モンゴルとの、違いが感じられる。


私の愛機は、工房設立直後に作られたようで、ネックの材質や太さなど、その後の楽器とは大きく異なっている。真ん中は大変豪華な、杢の入った素材&黒檀で作られている。
2本ともチ・ボラグ先生から譲っていただいた。
私の愛機は、馬頭琴製作者としての能力を試すために作られ、真ん中は馬頭琴製作者としての名声を確たるものとするために、作られたのではないかと推測する。


愛器の馬頭は、大変シンプルで、モダンなフォルムをしていて、大変気に入っているが、単に彫刻の能力が至らなかったようだ。その後はこのようにシンプルな馬頭は、見たことが無い。下に掲出する、2001年・2002年の馬頭を見ても、それなりの彫刻が施されている。


2001年後期に作られたと推測される、茶色い立髪の馬頭。愛器よりは彫刻の達者度が上達してはいるが、下記の2002年製と比較すると、まだまだシンプルである。


2002年に作られたと推測される、黒い立髪の馬頭。2003年製と比較すると、かなり微細に彫り込まれており、最も絢爛豪華な時期だったのではなかろうか。またこの辺りで、通常ラインと高級ラインの、立髪の処理の違いが、確立されたのではなかろうか。


2003年製と、2010年製を比較してみると、全体の雰囲気や彫る順番のようなものは踏襲されている。サイズが一回り大きくなっていて、鼻筋の幅なども明らかに違っている。彫刻の方法論が確立され、一刀彫りのように、効率化されたのかもしれない。工房を訪れる機会があれば、このあたりの真相を、尋ねてみたいものだ。


陰鬱な気分にさせる暗い空から、時折り霧雨のようなものが落ちてくる。肌寒く、気温は13−20℃。商店街の八百屋で、大所帯の撮影隊が活動中。スマホをポケットに入れて移動していると、電源落ちという状況が、最近頻発している。(78−125)
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