モンゴル国と内モンゴル製では馬頭琴の大きさに多少の違いがあるが、主に弦長の違いでボディに極端な
違いは無い。2国の馬頭琴のボディの厚みの違いはあるけれど、ほとんど構え方に影響は無い。が、問題
になるのは弾き手の身長・足の長さである。モンゴル人の平均的な男子と同程度の身長であれば、普通に
構えれば弓の位置は、ボディ上端と下駒の真ん中辺りに収まる。ここがスイートスポットで、音量的にも
ベストポジションである。が、私のように身長163センチだと、意識的に馬頭琴を上の方が構えないと
ボディの上端の辺りに弓が位置されて、音量的にも音質的にも・・・劣る。右腕を下げても、解決しない
で、大事なのが「椅子の座面の高さ」である。ベストな椅子の座面の高さとは、太腿が地面と水平になる
高さだ。年間100ステージくらい演奏していた頃は、専用の椅子を持ち歩いていた。写真の様な既存の
折り畳み椅子の足を、パイプカッター(自転車のハンドルを切る道具)で切り、ベストポジションを維持
出来る様に加工していた。金鋸で切るよりも簡単に、パイプカッターなら軽く回すだけで切る事が可能だ
一般的な演奏場所には、標準サイズのパイプの折り畳み椅子が用意されている。標準の体型なら、問題は
発生しない。が、私の様に身長が低めだと、踵を浮かせて爪先立ちするなどの調整が必要で、以前はマイ
椅子を持ち歩いた。今日の生徒の身長も同じくらいで、ベストポジションの維持には苦労していて、厚底
ブーツを履くと良かったりする。まあ、標準サイズの椅子でベストポジションの、標準的体型が羨ましい
背もたれ付きの椅子の設計は、背中を背もたれに触れさせて座るように、座面は前側よりも後に向かって
微妙に傾いている。この傾斜がきつめだと、後に傾きそうになる上半身の維持の為に、腹筋や背筋で支え
なければならない。椅子の座面は平らなのがベストである。くたびれたパイプの折り畳み椅子というのも
要注意だ。座面の前側が後ろ側より下がってしまっていると、前側にずり落ちそうになるお尻を、両足で
踏ん張って耐えねばならず、余計な運動をすることになってしまう。同じ規格で生産されている椅子でも
個々の基本設計であったり、経年劣化や消耗度によっても、弾き易くなったりも弾き難くなったりもする
雲の隙間から稀に陽射し、冷たい南のそよ風、気温3〜12℃。 午後3時の気温10.2℃、湿度57%
午前中は馬頭琴レッスン。記譜をお願いした「モンゴルの子守唄」の二重奏は、3つのフラットの曲だが
何故か小節中の3つのフラット音に、ナチュラル(元に戻す)が付いてしまっている。なので再生すると
なんとも明るい曲になっていて新鮮で面白いが、レッスンを始めるのには支障をきたす。どうやら鍵盤の
白鍵のみで入力した為に生じたようで、3つのフラットの音を黒鍵で入力する様に指導し・・・解決した
(11・154)36.3℃(78〜121)