満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

200のハディースその27

2010-09-27 | ハディース&子どものための物語
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

祈りに応えられるアッラー(さまざまなハディースより②)

 〈アナス(رضى الله عنه)によると、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は常々言われていた。「アッラーよ、心配、悲しみ、弱さ、怠惰、吝嗇、負債、人々からの迫害から私をお守りください。」اللهم أعوذ بك من الهم والحزن،والعجز،والبخل والجبن ،ضلع الدين و غلبة الرجال アッラーフンマ インニー アウーズ ビカ ミナルハンミ ワルハザン。ワルアジュズィ ワルカサル。ワルブフリ ワルジュブン。ワ ダライッダイニ ワ ガラバティッリジャール〉(アル=ブハーリー)


 この祈りの言葉は預言者ムハンマド様(صلى الله عليه و سلم)も悩みや心配を持つひとりの人間であることを表していますが、普通の人との決定的な違いは預言者さま(صلى الله عليه و سلم)がウンマの統率者であり最高指導者であったことです。頂点に立つ人が祈りをささげていたことに、ウンマを率いる重責感が伝わってきます。私の感じた言葉の背景とこのハディースとは直接関係はないのですが、クルーアンの言葉を並べてみました。
 
 心配:ウンマの指導者として人々を正道に導いているか、アッラーから与えられた使命と十分に果たしているか、反省と責任感による心配。
【かれらを(正道に)導くことは、あなた(ムハンマド)の責任ではない。アッラーは、御心に適う者を導かれる。】(2-272)
 
 悲しみ:ウンマ建設のために生死を共にしてきた教友を失った悲しみを受け入れなければならない時。
【アッラーの道のために殺害された者を、死んだと思ってはならない。いや、かれらは主の御許で扶養されて、生きている。】(3-169)
 
 弱さ:自分の判断に絶対の自信や確信が持てなかった時。
【アッラーは、あなたがたを弱い者に創られ、それから弱い者を後で、強壮にされ、強壮な者を弱い白髪になされる。かれは御自分の望みのままに創られる。かれは全知にして全能であられる。】(30-54)
 
 怠惰:自らの使命に対し気を緩めそうになり自己を叱咤した時。
【あなたがた信仰する者よ、アッラーを畏れ自分の義務を果してかれに近づくよう念願し、かれの道のために奮闘努力しなさい。あなたがたは恐らく成功するであろう。】(5-35)
 
 吝嗇:アッラーの道のために財産を費やすことに迷わないように自戒された時。
【言ってやるがいい。「仮令わたしの主の慈悲の宝物があなたがたの手中にあっても、それを費やすことを恐れて、あなたがたは必ず仕舞込むことであろう。」人間は常に吝嗇である。】(17-100)
【施した良いものは、完全にあなたがたに返されよう。】(2-272)
 
 負債:負債を持たず、また死後に負債を残すことを恐れた時、他のハディースに、アッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)は、「殉教者は(人と人の間における)負債を除き、全ての罪は許される」とおっしゃています。負債を救済するための行為は施し(サダカ)となります。

 迫害:イスラームの宣教を開始してから預言者さま(صلى الله عليه و سلم)や教友たちは幾多の迫害を受けました。特にマッカ時代に受けた迫害は過酷なものであったでしょう。
【わが道のために迫害され、また奮戦して殺害された者には、われはきっとかれらから凡ての罪業を消滅して、川が下を流れる楽園に入らせよう。」これはアッラーの御許からの報奨である。アッラーの御許にこそ、最も優れた報奨がある。】(3-195)
【われは本当に(しもべたちの)近くにいる。かれがわれに祈る時はその嘆願の祈りに答える。】(2-186)
とあるようにアッラーは常にわたしたちを見守っていらっしゃいます。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام


200のハディースその26

2010-09-27 | ハディース&子どものための物語
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

アッラーの恩恵(さまざまなハディースより①)


〈アブー・フライラ(رضى الله عنه)によると、アッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「自分よりも地位の低い者に目をやりなさい。自分よりも地位の高い者を見てはいけません、あなた方に対するアッラーの恩恵を軽んじないためには、そうすることが最も適当なことです。」〉(ムスリムによる伝承)

 上記と同じような内容を伝えるハディースがあります。「あなたたちは、富や体格において優れている者を(うらやましく思いながら)見る時には、その優れている人に比較して、より劣っている人のことを思うべきである。」(ムスリムによる伝承)
 人は自分より地位が高く、裕福fらり、また容姿の優れた人ばかりを気にしだすと、自分が恵まれていないと感じ自分の境遇を恨み、嫉妬にとらわれるかもしれません。これは何でも自分の思い通りになるという人間の力を過信するところからきます。一般的に言えることは、地位が高い人はその地位にいる力量がある人たちです。社会的地位はそれに相応しい人がなっています。その地位にいるには、それなりの理由があり評価を受けているからです。その道理が分からない人が他人と比較し苦悩するではないでしょうか。
 自分の地位や経済状態に不満を持つ人の中には社会に正義が行われていないとして、社会を悪者扱いします。また容姿に不満を持つ人は自分の親に対し不満を持つかもしれません。このような人は人間が生かされている存在だという謙虚さを忘れた人で、どんなに良い生活が与えられても満足することはないでしょう。当然アッラーの恩恵など思いもしないでしょう。そこで預言者さま(صلى الله عليه و سلم)はそのような不満や悩みを持たない方法として、自分よりも優れている人と比べてはならない、下の人を見てみなさいとおっしゃっている訳です。自分よりも下の者に目をやるといっても他人をさげすむことではなくて、その人と比べ自分は恵まれていることに気づき、その恵まれていることに感謝するということです。
 また、下位を見られる人でも、自分を劣っているとは考えず、一つの試練を与えられているのだと受け止める姿勢が求められます。人はその試練をアッラーがこれから善い事を与えてくれるための徴であると考え、それをアッラーの恩恵と受け止めるのです。たとえば事故や病気になったとしたら、その現象はその人に何かを気づかせるアッラーからの徴であると受け止めるのです。健康のままであったら自分が知ることの出来ないことが、事故や病気を通して知ることが大いにあるからです。アッラーの存在もその一つです。そう考えると今の自分の境遇に対して謙虚な気持ちとなり、他人と比較して優劣を競うことは無意味なこととなり、どのような境遇にも平然とする気持ちが持てます。
 下の立場になろうと、上の立場になろうと常に謙虚な気持ちを持ち、この世はアッラーの恩恵に満ち溢れていると悟ったとき、人は物事を一喜一憂することもなく心も平穏になります。その平穏さを与えてくれるお方がアッラーです。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام


 

クルアーンにある25人の預言者たち・使徒たち その4

2010-09-27 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم


24.使徒عيسىイーサー(イエス)(عليه السلام)
 場所:西暦1年~33年
 場所:パレスチナ
 年齢:33歳
 クルアーンでは第3章、第5章、第19章
 イーサー(عليه السلام)は、30歳のとき啓示を受けました。そしてインジールإنجيل(福音)を受けました。その頃、ユダヤの民は、悪行に身を染め、十戒に逆らい、アッラーからの正しい内容も否定していました。イーサー(عليه السلام)は、彼らに対してダアワしました。ユダヤの民は、怒って、ローマの統治者に偽りの情報を伝え、ローマの統治者はイーサー(عليه السلام)を処刑することに決めました。彼らが、イーサー(عليه السلام)を捜していると、ある男が「イーサー(عليه السلام)はあそこにいますよ」と教えました。そのときアッラーはイーサー(عليه السلام)を天にあげて、同時にイーサー(عليه السلام)の居場所を教えた男の顔をイーサー(عليه السلام)そっくりに変えました。居場所を教えた男は十字架にかけられて殺されました。三日後、イーサー(عليه السلام)は自分の弟子たちの前にあらわれ、彼らにダアワをしっかりするように言いました。キリスト教のダアワは300年ぐらい秘密に行われていました。ローマの統治者の弾圧が厳しかったからです。
 イーサー(عليه السلام)はそのように昇天したので、再臨するまでの間、生きている状態なのか亡くなった状態なのか誰にもわかりません。
 
25.使徒ムハンマド(صلى الله عليه و سلم)

 時代:西暦570年~632年
 場所:マッカ(メッカ)
 世代:イスマーイール(عليه السلام)の29世代以上あとの子孫
 年齢:63歳
 啓示を受けたのは40歳のときでした。アッラーから受けたメッセージは、マッカのアラブ人のみならず。すべての人間に向けられたものです。マディーナ(メディナ)に53歳のとき、移住しました。
 彼の伝記はアッスィーラالسيرةと呼ばれ、単なる過ぎ去った歴史(التّاريخ)的偉人伝とは異なり、ずっと語り継がれ、私たちムスリムの日々の生活の中の指針として脈々と生き続けているものです。詳細はイスラーム勉強会ブログ週間アラブマガジン The religion of Islam などから一部ご覧になれます。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام


クルアーンにある25人の預言者たち・使徒たち その3

2010-09-26 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم


14.預言者ذو الكفلズル・キフル(عليه السلام)本名はビシュルبشر

 時代:はっきりは分からないが、紀元前15世紀~16世紀
 場所:ダマスカス
 世代:アイユーブ(عليه السلام)の子ども・・他の説もあります。アッラーフ アアラム
 年齢:75歳
 クルアーンには第38章。名前だけ登場。預言者とは、はっきり書かれていないが、預言者たち(عليهم السلام)と一緒に名前が並んでいる。

15.使徒موسىムーサー(モーセ)(عليه السلام)

 時代:紀元前1436年~1316年
 場所:エジプトで生まれました
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)の6世代あとの子孫。(イスハーク、ヤアクーブعليهما السلام、ラーウィーの血筋 父の名前はイムラーンعمرانだが ウンム・イーサーのマルヤムの父とは別人)
 年齢:120歳
 年齢:クルアーンには多くの章に登場するが、詳しいのは第2章、第7章、第10章、第20章、第26章、第28章
 ムーサー(عليه السلام)は最も優れた使徒の一人です。エジプトで生まれましたが、時の権力者ファラオがムーサー(عليه السلام)を罰しようとしたので、マドヤンにしばらく逃げていました。マドヤンでサフラまたはセフォラ(ツィボラ)(彼女はシュアイブ(عليه السلام)の娘、または彼の甥であるヤズリの娘との説もあり)と結婚し、約10年暮らした後、エジプトに戻ろうとしていました。しかしマドヤンとエジプトの間にあるシナイで啓示を受けました。アッラーは、ムーサー(عليه السلام)をファラオの民のもとにお送りになり、ダアワをするようにお命じになりました。ファラオとかれのまわりの人々は、受け入れませんでした。ファラオと軍隊は滅ぼされ、ムーサー(عليه السلام)はユダヤ民族と一緒にエジプトを出ました。エジプトを出た後、ムーサー(عليه السلام)は十戒を受けました。またエジプトを出たユダヤの民とともにパレスチナに行くように、アッラーは命じられました。しかしムーサー(عليه السلام)はパレスチナに着く前に死んでしまいます。

16.使徒هارونハールーン(アロン)(عليه السلام)

 時代:ムーサー(عليه السلام)と同じ
 場所:同上
 世代:同上 ムーサー(عليه السلام)の兄
 年齢:122歳
 クルアーンではムーサー(عليه السلام)と共に登場。
 ムーサー(عليه السلام)は自分のことを補佐してもらうために、アッラーに自分の兄であるハールーン(عليه السلام)を預言者にして欲しいと頼みました。

17.使徒داودダーウード(ダビデ)(عليه السلام)

 時代:紀元前1043年~973年
 場所:パレスチナ
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)の13世代あとの子孫(イスハーク、ヤアクーブ、(عليهما السلام)ヤフーザーの血筋)
 年齢:70歳
 クルアーンでは第27章、第34章、第38章
 ムーサー(عليه السلام)が亡くなってからユダヤの民はパレスチナに入りました。しかし、世代が下るに従って信仰が弱くなっていき、ムーサーに下された十戒も守らなくなっていました。悪行がはびこり、偶像崇拝も行われるようになっていました。ユダヤの民族間でも戦いがおこり、他の民族とも戦争がおこりました。ダーウード(عليه السلام)は20歳になる前に軍隊を率い、30歳でユダヤの民の王となりました。周辺の敵との戦争にも勝利し、統治し、ユダヤの民の王国の領土は拡大していきました。アッラーはダーウード(عليه السلام)を使徒にして、アッザブールالزبورという詩篇を授けられ、ユダヤの民にお送りになりました。ダーウード(عليه السلام)がタスビーフتسبيح(スブハーナッラーسبحان الله「アッラーに讃えあれ」と唱えること)するとき、山も鳥も応じて同じようにタスビーフしました。ダーウード(عليه السلام)は鳥同士のコミュニケーションも理解できました。

18.使徒سليمانスライマーン(ソロモン)(عليه السلام)

 時代:紀元前985年~932年
 場所:パレスチナ
 世代:ダーウード(عليه السلام)の子ども
 年齢:53歳
 クルアーンでは第27章、第38章
 スライマーン(عليه السلام)は、父親のあとを継いで王となりました。王国は、更に広がり、現在のシリア・アラビア半島・イエメンまで統治しました。その民は、アッラーからの正しい信仰を守っていました。スライマーン(عليه السلام)の王国ほど、素晴らしい王国はありませんでしたし、これからも存在しません。إن شاء الله そこでは、ジンも動物も風もスライマーン(عليه السلام)のいうことに従っていました。スライマーン(عليه السلام)も彼の父親同様に鳥同士のコミュニケーションが理解できました。

19.20使徒إلياسイルヤース(エリヤ)、使徒اليسعアルヤサア(عيهما السلام)
 
 時代:はっきり分からないが、紀元前9世紀
 場所:パレスチナ
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)の10世代あとの子孫(イスハーク、ヤアクーブ(عيهما السلام)、ラーウィー、ハールーン(عليه السلام)の血筋)アルヤサア(عليه السلام)は他の説あり。アッラーフ アアラム。
 年齢:不明
 クルアーンでは、イルヤース(عليه السلام)第37章、アルヤサア(عليه السلام)第6章(名前だけ登場)
 ユダヤの一部の部族は偶像崇拝をしていました。アッラーはイルヤース(عليه السلام)をお送りになり、正しい信仰に戻るようにダアワをするようにお命じになりました。この中で、唯一信じたのが、アルヤサア(عليه السلام)でした。イルヤース(عليه السلام)が亡くなった後に、アッラーはアルヤサア(عليه السلام)を使徒になさいました。その後、アッラーの信仰を否定していた人たちは、滅ぼされました。
 イブン・カースィールの「預言者たちの物語」474pによるとイルヤース(عليه السلام)が送られたのは、ダマスカスの西にあるバールベクという民族で彼らはバールという偶像を崇めてました。彼らはダアワをするイルヤース(عليه السلام)を殺そうとしましたが、彼は彼らから逃げて10年洞窟の中で暮らしました。王が交代した後、新しい王にも正しい信仰を紹介し、ダアワを再開し、それにより多くの人々が正しい信仰に戻ってきました。しかし、最後は王の命令によって、一人残らず殺されてしまいました。アルヤサア(عليه السلام)もイルヤース(عليه السلام)が洞窟にいたときに共にいました。イルヤース(عليه السلام)がダアワを再開したときは、共に行動し、イルヤース(عليه السلام)が亡くなったあとは、彼のダアワ活動を引き継ぎました。

21.使徒يونسユーヌス(ヨナ)(عليه السلام)

 時代:はっきり分からないが、紀元前8世紀
 場所:生まれたのはパレスチナ
 世代:不明だが、ヤアクーブ(عليه السلام)の血筋
 年齢:不明
 クルアーンでは第21章、第37章
 アッラーは、ユーヌス(عليه السلام)を使徒になさり、バビロン帝国のニナワという都市(現在のイラクにある)にお送りになりました。ユーヌス(عليه السلام)は偶像崇拝をやめて、アッラーだけに礼拝するように懸命に人々にダアワしました。しかし、彼はアッラーのご命令がないのに、勝手にニナワを出てしまうという間違いをしてしまいました。アッラーからのメッセージを完遂していないにも関わらず、ニナワから出て、パレスチナに戻るために船に乗り地中海まで航行します。アッラーは彼に教訓をお与えになるために、くじらにお命じになって、ユーヌス(عليه السلام)を飲み込ませられました。

22.23.使徒زكرياザカリーヤ(ザカリア)、使徒يحيىヤフヤー(ヨハネ)(عيهما السلام)

 時代:ザカリーヤ(عليه السلام) 紀元前100年~紀元前20年
    ヤフヤー(عليه السلام) 西暦1年~30年
 場所:パレスチナのエルサレム
 世代:ダーウード(عليه السلام)の血筋
 年齢:ザカリーヤ120歳 ヤフヤー30歳(عيهما السلام)
 クルアーンでは第3章、第19章、第21章
 ザカリーヤ(عليه السلام)はエルサレムの聖殿の司祭でした。司祭の長はイムラーンعمرانでした。イムラーンの妻ハンナとザカリーヤ(عليه السلام)の妻アシュヤ(エリザベツ)は姉妹でした。ザカリーヤ(عليه السلام)の妻は子どもができませんでした。イムラーンの妻は30歳のときに結婚し、その後マルヤムمريم (イーサーعيسى عليه السلامの母)を産みました。マルヤムは心を込めて礼拝する貞淑な女性でした。ザカリーヤ(عليه السلام)はマルヤムをみて、自分たちにもそのような子どもを授けて欲しいとアッラーにドゥアーしました。そのようにしてアッラーがザカリーヤ(عليه السلام)にお授けになったのがヤフヤー(عليه السلام)です。ヤフヤー(عليه السلام)が生まれて何ヶ月かのち、マルヤムはイーサー(عليه السلام)を産みました。ザカリーヤもヤフヤー(عيهما السلام)もパレスチナの統治者によって殺されてしまいました。


インシャーアッラーإن شاء الله続きます。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام


クルアーンにある25人の預言者たち・使徒たち その2

2010-09-26 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم


6.使徒إبراهيمイブラーヒーム(アブラハム)(عليه السلام)

 時代:紀元前1861年~1686年
 場所:生まれた場所はバベル(バビロン・・現在のイラクにある)で、その後シリア・パレスチナ・エジプトと移り住み、その後は再びパレスチナに戻り暮らします。
 世代:ヌーフ(عليه السلام)の11世代あとの子孫です。(預言者ムハンマドさま(صلى الله عليه و سلم)のハディース)
 年齢:175歳
 物語が書かれているクルアーンの章は、第14章、第21章、第37章
 イブラーヒーム(عليه السلام)の父親はアーザルآزرという名前で(クルアーン6-74)呼ばれていました。意味は偶像好きという意味です。人々が崇拝する偶像を作って売っていたからです。息子のイブラーヒーム(عليه السلام)は、そういう父も含めて自分の民族が偶像崇拝しているのを否定し、アッラーだけを崇拝するように呼びかけました。人々は、反発し、怒り、王と民はイブラーヒーム(عليه السلام)を火に投げ込み彼を殺そうとしましたが、アッラーが彼をお助けになりました。
 彼の妻はサーラسارة(サラ)といい、イブラーヒーム(عليه السلام)とパレスチナに住んでいました。サーラには高齢になっても子どもができず、奴隷ハージャルهاجرة(ハガル)をイブラーヒーム(عليه السلام)と結婚させました。そうして生まれたのがイスマーイールإسماعيل(イシュマエル)(عليه السلام)です。アッラーは、ハージャルとイスマーイール(عليه السلام)がマッカ(メッカ)に住むようにお命じになりました。イブラーヒーム(عليه السلام)は、ハージャルたちをマッカに送ってからパレスチナに戻りました。戻ったあと、サーラとの間にできた子どもがイスハークإسحاق(イサク)(عليه السلام)です。サーラの死後、イブラーヒーム(عليه السلام)は別の女性Qanturah(KeturahもしくはKatura)と結婚し、6人の子どもが生まれました。ザムラーンزمران、ヤクシャーンيقشان(ヨクシャン)、マーダーンمادان(ミダン)マドヤンمدين(メディアン)ワシュヤークوشياق(イシュバク)シャウハشوح(シュアー)という名前の子どもがいました。さらにハジューンという女性と結婚し、二人の間にはカイサーン、スラジュ、ウマイム、ロターン、ナーフィスという名前の5人の子どもが生まれました。(イブン・カースィール「預言者たちの物語」194pより)
 イブラーヒーム(عليه السلام)のあとに来た預言者たち(عليهم السلام)は、全てイブラーヒーム(عليه السلام)の子孫です。

7.使徒لوطルート(ロト)(عليه السلام)

 時代:紀元前1861年~1686年
 場所:生まれた場所はバベルで、後にイブラーヒーム(عليه السلام)と一緒にパレスチナに移り住みました。ルート(عليه السلام)はハーラーンهاران(ハラン)という名前の父を持ち、イブラーヒーム(عليه السلام)の甥です。
 世代:ヌーフ(عليه السلام)の12代あとの子孫です。
 年齢:175歳
 クルアーンでは、第11章、第15章
 アッラーはルート(عليه السلام)をサドームسدوم(ソドム)という村に送られました。サドームは、現在のヨルダンとパレスチナの間の死海の場所にありました。そのころは現在のような湖はありませんでした。サドームには、男性の同性愛者が多く、人々は村の外で強盗を行っていました。ルート(عليه السلام)は、アッラーを信じて、女性と結婚することを勧め、強盗をやめるように人々によびかけましたが、人々は彼の言うことに耳をかさずに、逆に村から追放するぞと脅しました。アッラーは、大天使ジブリールجبريل(ガブリエル)(عليه السلام)をお送りになり、サドームを滅ぼされました。

8.使徒إسماعيلイスマーイール(イシマエル)(عليه السلام)

 時代:紀元前1800年~1653年
 場所:現在のマッカ(メッカ)
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)の子ども
 年齢:147歳
 クルアーンには、第2章、第37章(イブラーヒーム(عليه السلام)と共に)
 イスマーイール(عليه السلام)は、マッカمكة المكرمةで育ちました。アラブ部族と一緒に住んでいたのでアラビア語を学び、アラブ人の妻と結婚しました。アッラーは、イスマーイール(عليه السلام)をアラビア半島のアラブ部族とイエメンのアラブ部族にお送りになり、ダアワをするようにお命じになりました。
 二つの有名な話があります。
 (1)アッラーからイブラーヒーム(عليه السلام)はイスマーイール(عليه السلام)をアッラーへの供物として捧げるように命ぜられる。
 (2)イブラーヒーム(عليه السلام)と一緒にカアバكعبةを建設する。

9.使徒إسحاقイスハーク(イサク)(عليه السلام)

 時代:紀元前1761年~1581年
 場所:パレスチナで生まれて、パレスチナでダアワしました。
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)の子ども
 年齢:180歳
 クルアーンには第37章、第38章。物語ではなく、名前のみ登場。
 アッラーは、現在のパレスチナに住んでいたフェニキア文明の担い手のカナン部族に、イスハーク(عليه السلام)をお送りになり、ダアワをお命じになりました。子どもは二人いて、名前はイースعيص(エサウ)とヤアクーブيعقوب(ヤコブ)(عليه السلام)といいました。

10.使徒يعقوبヤアクーブإسرائيل(イスラーイール・・「アッラーの僕=アブドッラー」の意味)(ヤコブ)(عليه السلام)

 時代:紀元前1781年~1638年
 場所:パレスチナで生まれて、バベル(バビロン・・現在のイラクにある)に移り住み結婚して12人の子どもに恵まれたのち、家族をみんな連れてパレスチナに戻りました。死ぬ17年前に、エジプトに移り住みました。
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)の孫
 年齢:143歳
 クルアーンには第2章、第12章

子どもたちは12人は、1.ルービールروبيل(ルベル)2.シムウーンشمعون(シメオン)3.ラーウィーلاوي(レビ)4.ヤフーザーيهوذا(ユダ)5.イーサーハルايساخر(イッサカル)6.ザーブルーンزابلونまたはズーブルーンزوبلون(ゼブルン)7.ユースフيوسف(ヨセフ)(عليه السلام)
8.ビンヤーミンبنيامنまたはビンヤーミーンبنيامين(ベンヤミン)9.ダーンدان(ダン)10.ナイフターリーنيفتالى(ナフタリ)11.ジャードجاد(ガド)12.アシールأشير(アシェル)です。

11.使徒يوسفユースフ(ヨセフ)(عليه السلام)

 時代:紀元前1610年~1500年
 場所:生まれたのはバベル。家族とともにパレスチナに移り住んだが、10人の兄に嫉妬されて、追放されてしまいました。その後エジプトに移住し、死ぬまでエジプトで暮らしました。
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)のひ孫(3世代あとの子孫)
 年齢:110歳
 クルアーンには第12章
 アッラーはユースフ(عليه السلام)に夢の解釈をお教えになり、それによってエジプトにおいて大臣クラスの高い地位につきました。そして、パレスチナにいた家族や親戚をみんなエジプトによびました。ユースフ(عليه السلام)の家族。親戚はエジプトで何十年も暮らして、大きな民族になりました。この人たちが、ユダヤ民族بني إسرائيل(バニー・イスラーイール)です。ユダヤ民族は、ムーサー(عليه السلام)の時代までエジプトに住んでいました。

12.使徒شعيبシュアイブ(عليه السلام)

 時代:はっきりは分からないが、紀元前15世紀~16世紀
 場所:生まれたところはパレスチナ
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)の4世代あとの子孫(マドヤンمدينの血筋)
 年齢:不明
 現在のヨルダンの南にマドヤンという民族がいました。アッラーはシュアイブ(عليه السلام)を彼らにお送りになり、ダアワをするようにお命じになりました。彼らは、偶像崇拝をし、その上、商売のときにごまかすなど堕落していました。シュアイブ(عليه السلام)はダアワしましたが、人々は拒絶し、マドヤンから彼を追放すると脅しました。アッラーは、結局マドヤンを滅ぼされました。

13.使徒أيّوبアイユーブ(ヨブ)(عليه السلام)

 時代:はっきり分からないが、紀元前15世紀~16世紀
 場所:ダマスカス(現在のシリアの首都)
 世代:イブラーヒーム(عليه السلام)の6世代あとの子孫(イスハーク(عليه السلام)、イースの血筋)
 年齢:92歳
 クルアーンには第21章、第38章
 アイユーブ(عليه السلام)は人格も立派な金満家でした。アッラーを信じて、貧しい人々をよく援助していました。アッラーはアイユーブ(عليه السلام)を試されました。お金は全部なくなり、子どもたちもいなくなりました。その上、ひどい病気にかかり、妻以外は周りに誰もいなくなりました。アイユーブ(عليه السلام)も妻も、ずっと耐え忍び、アッラーにドゥアーしました。しばらくすると。病気は治り、お金も家族も戻ってきました。子どもも、前より増えました。アイユーブ(عليه السلام)は、アッラーのテストに見事合格したのです。アッラーは彼を使徒の一人になさいました。そのころダマスカスはローマ帝国の支配下でした。アッラーはアイユーブ(عليه السلام)をダマスカスにいるローマ人のもとへ行かせ、ダアワをするようにお命じになりました。子どものうちの一人に、ズル・キフル(عليه السلام)がいます。

インシャーアッラーإن شاء الله続きます。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام


クルアーンにある25人の預言者たち・使徒たち その1

2010-09-25 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم


 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のハディースによると。預言者12万4千人、その中に使徒は315人います。このハディースは、ムスナド・アハマド(イマーム・アハマド出典のハディース集)にあります、アル=ブーハーリーやムスリムのようなサヒーフ(真正)のものとはされていませんが、ある程度受け入れられるハディース・・ハサン(良好)とされています・

【われはあなた以前にも、使徒たちを遣わした。その或る者に就いてはあなたに語り、また或る者に就いては語ってはいない。だがどの使徒も、アッラーの御許しによる外、印を齎すことはなかった。そしてアッラーの大命が下れば、真理に基づいて裁かれる。そのとき、虚偽に従った者たちは滅びる。】(40-78)

 この節によって、私たちは12万4千であっても、それより多かったとしても。預言者・使徒たちを信じています。とりわけ、クルアーンに出てくる25人の預言者たち(عليهم السلام)については強く信じています。

 アッラーは最初にアーダム(عليه السلام)を創造し、アーダム(عليه السلام)からハウワー(イブ)を創造しました。そして人間の最初の世代は、アーダム(عليه السلام)とハウワーから生まれました。そのあと、次々と子孫が生まれ、人間は世代を重ねていきました。アーダム(عليه السلام)は使徒でした。正しい信仰の内容とシャリーア(アッラーからの宗教的なルール)を授かっていました。しかし、アーダム(عليه السلام)の時代の後、人間は数も増えて、生活のために移動するようになり、それぞれ離れて暮らすようになりました。長い時間が経つと、アーダム(عليه السلام)の受けたシャリーアを守らず、シャイターンや自分の欲望に従ったり、どんどんひどい悪行をするようになりました。ついには約千年後、偶像に礼拝する人まで現れるようになりました。だからアッラーは、預言者・使徒たちをすべての人間の共同体(ウンマ)に送りました。それは預言者・使徒たちが、人々に正しい信仰の内容を教え、人々が正しいシャリーアに戻ることができるようにするためでした。

【本当にわれは、各々の民に一人の使徒を遣わして「アッラーに仕え、邪神を避けなさい。」と(命じた)。それでかれらの中には、アッラーの導かれた者もあり、また、迷誤が避けられない者もあった。それで地上を旅して、(真理を)拒否した者の最後がどんなものであったかを見るがいい。】(16-36)

1. 使徒آدمアーダム(アダム)(عليه السلام)

 預言者ムハンマドさま(صلى الله عليه و سلم)のハディースとイスラーム学者の大部分によるとアーダム(عليه السلام)は使徒でした。

 時代・場所:アーダム(عليه السلام)の時代がいつだったのか、地球のどこだったのか、私たちはわかりません。
 年齢:彼は、950歳~100歳くらいまで生きたと言われています。

(ちなみに。アーダム(عليه السلام)に限らず、預言者たち(عليهم السلام)の生きた時代、彼らの歳などはクルアーンにはあまり書かれていません。歴史学者の研究や、旧約・新約聖書によって時代や年齢が算出されています。)

 アーダム(عليه السلام)の物語が書かれているクルアーンの章は、第2章、第7章、第15章、第20章です。

 アッラーは、人間の祖を恩恵により預言者にしてくださいました。アッラーは、人間を最初からお導きになり、正しい信仰の内容とシャリーア(ルール)を教えてくださったのです。


2.預言者إدريسイドリース(ハヌーフ)(عليه السلام)

 (歴史学者と弱い伝承のハディースによると。アーダムとイドリース(عليهما السلام)の間に、シェイスという預言者がいますが、クルアーンには登場しません。)

時代・場所:よく分かりません。
 世代:アーダム(عليه السلام)の6世代あとの子孫です。つまりアーダムとイドリース(عليهما السلام)の間には、5人のお父さんがいることになります。
 年齢:83歳まで生きたといわれています。

 クルアーンにはイドリース(عليه السلام)について、19章に単純な文章で述べられています。

【またイドリースのことを、この啓典の中で述べよ。かれは正直な人物であり預言者であった。そしてわれはかれを高い地位に挙げた。】(19-56&57)

 物語や詳細な説明はありません。私たちは、この節を信じます。イドリース(عليه السلام)については歴史学者の研究では他にも出てきますが、私たちは、それに関しては信じなければならないというわけではありません。

3.使徒نوحヌーフ(ノア)(عليه السلام)

 時代:紀元前3900年~2900年
 場所:はっきり知られていませんが、エジプトと言われています。
 年代:ヌーフ(عليه السلام)はアーダム(عليه السلام)の9世代あとの子孫です。
 年齢:950歳(彼の寿命なのか、ダアワ(宣教活動)をした年月なのか不明)
 ヌーフ(عليه السلام)の物語が書かれているクルアーンの章は、第11章と第71章です。

 預言者ムハンマドさま(صلى الله عليه و سلم)のハディースによると、アーダムとヌーフ(عليهما السلام)の間に1000年ぐらいあります。この1000年ぐらいの間の人たちは、正しい宗教を守っていましたが、だんだん信仰が弱くなってきていました。そしてヌーフ(عليه السلام)の時代のころから人々はアッラーのことをないがしろにしたり、偶像を崇拝したり、し始めました。そこでアッラーはヌーフ(عليه السلام)を使徒としてメッセージを送られました。ヌーフ(عليه السلام)はいっしょうけんめいダアワ(宣教)しました。しかしほとんどの人々は受け入れず、ヌーフ(عليه السلام)を侮辱しました。結局ヌーフ(عليه السلام)は、アッラーが自分の民族を罰するように祈願しました。アッラーは応じられて、「すべての無信仰者を沈める。」とヌーフ(عليه السلام)にお伝えになりました。ヌーフ(عليه السلام)と彼のことを信じた人は、箱舟をつくって乗り込み、さらにすべての動物のつがいを乗せました。そうして。大洪水の中、助かったのです。大洪水のあとヌーフ(عليه السلام)の家系にだけに子どもが生まれ、舟に乗ったほかの信仰者には子どもが生まれませんでした。これにより、ヌーフ(عليه السلام)は人間の2番目の先祖となりました。ヌーフ(عليه السلام)の子どもたちは少なくとも3人いました。彼らの名前は、サームسام(セム)、ハームحام(ハム)、ヤーフィスيافث(ヤフェト)でした。サームはアラブ・ペルシャ・ローマの祖(つまりヨーロッパと中東)、ハームはコプト・スーダン人・ベルベルの祖(つまりアフリカ)、ヤーフィスはトルコ・サカリーバ(スラブ)・ヤジュージュとマアジュージュ(ゴグとマゴグ)の祖(つまりアジア)になりました。(イブン・カースイールの「預言者たちの物語」88pより)

4.使徒هودフード(عليه السلام)

 時代:紀元前2500年~2200年
 場所は:アフカーフというところで、現在のオマーンとイエメンの間にあります。
 世代:フード(عليه السلام)はヌーフ(عليه السلام)の7世代あとの子孫です。(サームの血筋)
 年齢:150歳
 フード(عليه السلام)の物語が書かれているクルアーンの章は、第11章、第46章です。フード(عليه السلام)の民族はサームの子孫でアードعادと呼ばれました。アードは、とても強い民族でした。体格も大きく、自分たちの強さを誇示するために、石を積み上げて建物を建てていたほどでした。しかし、偶像を崇拝し、来世を信じていませんでした。フード(عليه السلام)はいっしょうけんめいダウワしていましたが、人々はフード(عليه السلام)をあざ笑いました。そしてついにアッラーは、この民族を風で滅ぼされました。

5.使徒صالحサーリフ(عليه السلام)

 時代:紀元前2000年~1900年
 場所:アルヒジュルというところで、現在のヨルダンとサウディアラビアの間にあります。今はマダーイン・サーリフ(マダイン・サーレー)と呼ばれています。
 世代:サーリフ(عليه السلام)は、ヌーフ(عليه السلام)の9世代あとの子孫です。(サームの血筋)
 年齢:58歳
 サーリフ(عليه السلام)の物語が書かれているクルアーンの章は、第15章、第26章、第27章です。
 サーリフ(عليه السلام)の民族はサームの子孫でサムードثمودと呼ばれていました。経済的にも繁栄していました。彼らは、山に自分の住居を掘っていました。彼らは偶像を崇拝していたので、サーリフ(عليه السلام)は、アッラーの信仰に戻るように人々にダアワしました。しかし、人々は拒絶し、サーリフ(عليه السلام)には岩から巨大なラクダを出して奇跡を見せるように言いました。アッラーはサーリフ(عليه السلام)のドゥアーを受け入れられ、実際に岩からラクダを出してくださいました。しかし、人々は再度拒絶しただけでなく、ラクダも殺してしまいました。それで、アッラーはサムードの民族を滅ぼされたのです。

インシャーアッラーإن شاء الله続きます。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام



アッラーのご満悦のために カファンを施す者の徳

2010-09-24 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم



アッラーのご満足のために、
亡くなった方の体を洗い、布を着せる者の徳


預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、言われました。
≪誰でも、死体を洗って、彼を布で包み、保存し、運び、彼のために(葬儀の)礼拝をし、彼が間違いからしたことを暴露しなかった者は、まるで、母親から産まれたときのような(罪のない)状態になります。≫ イブンマージャ出典

≪誰でも、死体を洗って、彼のアマーナ(信頼)を守り、そのときの彼の状態を暴露しなかった者は、罪を許されて、母親から生まれたときのようにな状態になります。≫ アハマド出典

≪誰でも、死体を洗って、彼の秘密を守った者は、アッラーが彼の罪をきれいにしてくださり、もし死体に布を着せれば、アッラーがスンドゥスを彼に着せてくださいます。≫ タバラーニー出典

彼の秘密を守る: いくつかの死体に見られることがある、どす黒い顔(罪が多い印)や、性質の変化などを、人々に言わない事。反対に、もし彼の顔に、光が見えたり、輝きや、微笑が見られたときには、それを人々に言う事が、奨励されます。特に、彼が、生前、敬虔で良い人だった場合は、奨励されます。アッラーのみが最もよくご存知ですが。

スンドゥス: 天国の住民が着ることができる絹の長い衣(洞窟章 31節(日訳P360)、煙霧章53節、 人間章 21節(日訳P744)参照)

≪誰でも、死体を洗って、彼の秘密を守る者は、アッラーが、40回彼を許し、死体に布を着せる者は、アッラーが、彼に天国のスンドゥスとイスタブラクを着せてくださり、死体のために、墓を掘って埋めた者には、アッラーが、彼のために、最後の審判の日まで住むことのできる住まいを与える報酬をくださいます。≫ タバラーニー、ハーキム(ムスリムの条件を満たす)出典

イスタブラク: 天国の住民が着ることができる、厚い絹(にしき)の衣裳(洞窟章 31節 参照)

アッラーは、クルアーンの中でこう仰っています。
【あなたは、視線を向けると、幸福な壮大な王国を認めるであろう。彼らは、美しい緑色の絹と錦の外衣をまとい、銀の腕輪で飾られ、主は、かれらに純良な飲み物を飲ませられる。「本当に、これは、あなた方に対する報奨である。あなた方の努力が報いられ、感謝されたのです。」(とおっしゃられる。】 76章人間章20-22節 日訳P744

葬儀の礼拝については→こちらを


アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام



最後の審判の日 ハウド(水場)

2010-09-24 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم


最後の審判の日 ― 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の水場


前回は、死後に起こることを順番に見てきました。

死の天使が、体から魂を抜き取る。→ ②(墓の中の)バルザフの世界 → ③最初のラッパによって、生きている物がすべて死ぬ → ④次のラッパによって、全員復活、再生する。 

この後、私たちが復活した後に何が起こるか?についてのお話です。復活が起こる日が「最後の審判の日」と呼ばれている日です。その日にいったい何が起こるのか?墓の中から復活させられた後、私たちに待っているものは、何か?!

まず「最後の審判の日」と言われる日は、アラビア語で「يوم الأخرヤウム=ル=アーヒル」とか、「الساعةアッサーア」と言われます。「ヤウム」が「日」で、「アーヒル」が「最後の」という意味です。直訳すると「最後の日」です。また「アッサーア」というのは、「その時」という意味です。つまり、この日の後には時間の観念そのものが消滅してしまうため、もう「日」というものも「時」というものも存在しなくなるため、この日のことを「最後の日」と呼ぶのです。この「最後の日」を信じることはムスリムの5行6信の中の信仰の6つの柱のひとつです。そしてこの日の存在は、アッラーの公正さ、正義の証明となっています。アッラーは、最も公正であるため、この世だけでなくあの世も私たちのためにお創りくださいました。

「最後の日」に起こることは、たくさんありますが、まず最初は前回お話したように
①復活
です。2番目のラッパによって、その日、墓の中からすべての人間が復活させられます。今回は復活の後、その次に起こること、墓の中から出てきたばかりの私たちに、まず最初に待っていること「ハウドー天国から流れ出る水場」についてお話します。インシャーアッラー。

②ハウド(水場) : すべての人間が、「最後の日」に復活後最初に行うことは、ハウドの水飲み場に行くことです。墓の中から出てきた私達は、とても喉が渇いているので、私達は、ハウドという水場に急ぎます。そこには歴代の預言者たち(عليهم السلام)の水場がそれぞれあり、その数は星の数ほどあると預言者さま(صلى الله عليه و سلم)はハディースで言われています。

ある人が「アッラーの使徒よ、ハウドの器とは何ですか?」と質問した。すると彼(صلى الله عليه و سلم)はこう応えた。
≪ムハンマドの魂を手にするお方(アッラー)に誓って、その器は、空の星の数よりも多い。それは雲のない闇夜の晩に見られる星の数と同じです。そのように天国の水場はある。そしてその水を飲んだ者は、決して喉が渇くことはない。そこには、天国から二つの水口(とい)が流れ込んでいる。その水を飲んだ者は、決して喉が渇くことがない。その広さは、縦も横も同じで、アンマンからアイラまでの距離ほどである。その水は、ミルクよりも白く、蜂蜜よりも甘い。≫ ムスリム出典

アッラーは、預言者ムハンマドさま(صلى الله عليه و سلم)に、カウサルという天国の川をお与えになられました。その天国の川、カウサルからつながっている水口(とい)があり、その先が天国の外にあるこのハウドに流れ出ています。ムスリムとして亡くなった人は全員、預言者ムハンマドさま(صلى الله عليه و سلم)の水場ハウドに行きます。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)はこう仰いました。

≪私はまことに私の兄弟たちに会いたいものです。≫

この言葉を聞いた人達は、「み使い様、私達はあなたの兄弟ではありませんか?」と言った。彼はこれに対し、

≪あなた方は、私の教友です。私の兄弟とは、まだこの世に生まれていない人たちのことです。≫
と答えた。これを聞いて人々が、「み使いさま、まだ生まれてもいないあなたのウンマ(イスラーム共同体)の人たちを、あなたはどうやって見分けるのですか?」と質問した。み使いはこう言われた。
≪ある人が、全身が真っ黒の馬の群れの中で額と両足のところに白い星型のはんてん斑点のある何頭かの馬を所有している場合を想像してみなさい。その人には自分の馬たちを見分けられないでしょうか?≫
これに対し人々は、「確かに見分けられます。」と答えた。み使いさまは続けてこう話された。
≪彼らはウドゥーを行ったため、顔・両手・両足を白く輝かせながらやって来るのです。私はかれらより先に私の水場へ到着していますが、丁度、迷ったラクダが追い出されるように、ある人たちは、私の水場から追い出されるでしょう。私が大声で、「こちらに来なさい!」と呼びかけようとするとき「彼らはあなたの死後、信仰を変えてしまった者たちです。」と天使から告げられ、それで私は「遠ざけたまえ、遠ざけたまえ。」と言うだろう。≫ ムスリム出典

注:信仰を変えてしまった者たち : イスラームを捨て不信に戻った人たち

死ぬときに、どういう状態で死ぬかは、誰にもわかりません。今はこうしてアッラーが私たちをイスラームの勉強会に参加しているムスリムの中に入れてくださっていますが、死ぬ直前に邪心が起こって、不信となって死ぬかもしれません。そうすれば、行き先は地獄です。それは誰にもわかりません。現在お酒を飲んで酔っ払って、人に迷惑をかけて、人をだまして、盗みを働いて、さんざん悪い事をしている人が、死ぬときには、心を入れ替えて、改心して、よいムスリムとなって死に、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)と一緒に、一番高い天国に入るかもしれません。私達は、どんな人を見るときも、彼がどうやって最後には死ぬかはわからず、自分も最後にどうやって死ぬかわからないという事実をきちんと思い出すべきです。どんな人に対しても、それが例え悪い事をしている人であっても、彼が自分よりも劣っているという気持ちが起こったら、それは、まったく自分の無知から来る態度だと知るべきです。自分の最後がわからないことを知らない無知な人だけが、他人の信仰心が低いとか自分より劣っていると言って、他人を裁きます。他人のことをとやかく言っている自分は誰か?よく考えてみることです。自分が死ぬときに、ムスリムとして死ねる事が既に確実に決まっているのでしょうか?アッラーからその確約をもらっているのでしょうか?
どんなに悪い事を行っている人に対しても、私たちがすべきことは、今ひどいことをしている彼のような状態に、アッラーが、自分をしなかったことに対して、アッラーに感謝して、アッラーから大きな試験、試練を受けている彼に対して、「どうか彼を正しい道にお導きください。」とドゥアーをしてあげることです。本当に自分が、彼と同じ悪いことをしなかったとしたら、それはひとえに、自分へのアッラーからの贈り物に他ならないからです。

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、私たちにこうおっしゃ仰っています。

≪私の死後、あなた方は、否認すべき様々な事柄を見るであろう。
天国の水場で私に会うまで、耐え忍びなさい。≫ 
アルブハーリー出典

私たちがすべきことは、ハウドで預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に会うまで、どんな状況に会っても、耐え忍び、信仰を守り、どんな人に対しても、常に善いことをしていくことです。
私たちが、天国から流れ出ている水場ハウドで、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に、「こっちに来なさい!」と呼ばれるときに、水場に行ける人たちの中に入れますように。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のハウドから水を飲める人たちの中に入れますように。
アーミン。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام




死後におこること

2010-09-24 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم



前回は、インシャーアッラーこれから私たちが全員必ず行くバルザフ(墓の中)の世界についてお話しましたが、今週はその続き、バルザフの世界の後に私たちが体験する最後の審判についてです。


質問: 死が訪れる時間は、遅れたり早まったりすることがありますか?

回答: すべてのムスリムが、確信していなければならないことに、死の瞬間というのは、遅れたり早まったりすることがまったくないということがあります。例えそれが殺人のような人の手によるものであったとしても、殺人犯が、殺害された人の死を早めたというわけではなく、実際には殺害された人は、アッラーがお望みになられた時間に亡くなっただけなのです。

アッラーは、こう仰いました。
【それで、かれらの時期(死の時期)が到来する時は、一刻も遅らせたり、早めたりはできない。】
16章蜜蜂章 61節 日訳P330 

【定められた時がやって来た時、アッラーは誰にも猶予を与えられない。】 63章偽信者章 11節 

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、仰いました。

《神聖な天使が、私の心に告げたことには、本当に、どんな魂も、その富と寿命を完全に終えるまでは、死ぬ事がありません。》 イブンハッバーン出典

質問:墓の中の世界の後には、何がありますか?


回答:ムスリムは、誰でも、墓の中の世界の後に、「来世」と呼ばれる世界があることを確信しなければなりません。それは、私たちが今生きているこの世の後にあり、その証として、様々な出来事が段階を追って、起こります。

① 来世の兆候     ② 最後の審判の日     ③ 復活の時

質問: いつ最後の審判の日が起こりますか?

回答: ムスリムは誰でも、最後の審判の日や復活の時がいつ起こるのかは誰にも知らされていないこと、アッラーのみがご存知のことだと確信しなければなりません。預言者たちや使徒たち(عليهم السلام)にさえ、それは知らされず、また天使やジンやどんな創造物にも、知らされてはいません。

アッラーはこう仰いました。
【彼らは最後の審判の時について、いつそれがやってくるのかとあなたに問うであろう。言いなさい。「それを知る方は、ただ私の主だけである。その時(最後の審判)を知らせてくださるのは、かれの他にはない。その時は、天でも地でも重い(重大事)となる。全く突然あなた方にやってくる。」 】 7章 高壁章 187節 日訳P206

【人々は、(審判の】時について、あなたに尋ねよう。言いなさい。「本当にその知識は、アッラーの御許にある。どうしてあなたに分かるだろうか、その時は近いであろう。」】 部族連合章 63節

それが、私たちにとって、近い、ということは告げられていますが、いつなのか?は、アッラー以外の誰にもわかりません。

最後の審判の時とその前兆

最後の審判の時には、それが近づいたという前兆が起こります。それは、3段階に渡って起こります。

① すでに起こって終わっている前兆 : 預言者ムハンマド様(صلى الله عليه و سلم)が遣わされたこと。

② 一部はすでに起こっていて、一部は今もそれが続いており、一部はまだ起こっていない前兆 : これらは、中間の前兆と呼ばれます。信託物(アマーナ)の紛失、殺人の多発、大災難の多発(大地震、火山の噴火など)、婚外交渉の多発など。

③ まだ起こっていない前兆 : 大きな前兆と呼ばれ、クルアーンとハディースによると、それは、10個あります。(例: イエスキリストの再来、太陽が西から昇る、など)

質問: 最後の審判が起こったときには、どうなりますか?


最後の審判が起こったときが、この世に生きるありとあらゆる生物すべてが破滅します。
【その日、われは書き物を巻くように、天を巻き上げる。われが最初に創造したように、繰り返す。これはわれの定めた約束である。われは必ずそれをかんすい完遂する。】21章 預言者章104節 日訳P403

【天が微塵に裂けるとき、諸星が散らされるとき、諸大洋があふれ出るとき、墓場があばかれるとき、それぞれの魂は、すでにしたことと、後に残した事を知る。】 裂ける章 1-5節

質問: 最初のラッパが吹かれるときには、何が起こりますか?

回答: ムスリムは、誰でも、アッラーが、選任した天使に最初のラッパを吹くことを命じると、すべての被造物が、消滅すると確信していなければいけません。

【ラッパが吹かれると、天にあるもの、また地にあるものも、アッラーがお望みになられる者の他は、気絶しよう。】 39章 集団章 68節 日訳P576
【すべての魂は、死を味わうのである。】 イムラーン家章 185節
【かれの御顔の他、すべてのものは消滅する。】 28章 物語章 88節 日訳P481

質問: 2回目にラッパが再度吹かれたとき、何が起こりますか?

回答: ムスリムは誰でも、2回目にラッパが吹かれたら、消滅した被造物が再生すると確信していなければなりません。
【そして、ラッパが吹かれると、かれらは墓場から(出て)、主の御許に急いで行く。彼らは言う。「ああ、情けない。私たちを臥所から起こしたのは誰でしょうか。これは、慈悲深き御方が約束された通りではありませんか。使徒たちの言葉は、真実であったのか。」】 36章 ヤーシーン章 51,52節 日訳P543

これは、復活と呼ばれます。そして、このときには、宇宙のすべてが、今私たちがいる状態とまったく異なった状態になることを、アッラーはこう仰っています。
【大地が大地でないものに変えられ、諸天も変えられる日、人々はいっせいに唯一の御方、全知全能の御方、アッラー(の御前)にまかり出るであろう。】 14章 イブラーヒーム章 48節 日訳P313

質問: 復活とは何ですか?

回答: ムスリムは誰でも、アッラーが、すべての創造物を死なせ、その後また復活させると確信しなければなりません。
アッラーはこう仰いました。
【本当に(審判の)時はやって来る。それについて疑いの余地はない。本当にアッラーは、墓の中の者をよみがえらせる甦らせるのである。】 22章 巡礼章 7節 日訳P406

そして、この復活は、何でもできるお力を持ったアッラーにとっては、とても簡単なことで
す。

アッラーは、こう仰いました。
【かれこそは、まず創造を始め、それからそれをまた元に戻される御方。それは、かれにおいては、とても容易い事である。天と地における、(考えうる)最高の姿は、かれに属する。】 39章 ビザンチン章 27節 日訳P494

【かれら(マッカの多神教徒)は、天と地を創造なされ、その創造に疲れることもないアッラーが、死者を甦らせることくらい、できるとは思わないのか。】 砂丘章 33節

【人間は考えないのか。われは一精滴からかれを創ったではないか。それなのに見よ、かれは公然と歯向かっている。また彼は、われになぞらえる準えるものを引き合いに出して、自分の創造を忘れ、言う。「誰が朽ち果てた骨を生き返らせましょうか。」言いなさい。「最初にお創りになった方が、かれらを生き返らせる。かれはすべての被造物を知り尽くしておられる。緑の木から、あなた方のために火を造られたのもかれであり、だからこそあなたがたはそれによって、燃やす。」天と地を創造なされたかれが、これに類するものを創りえないであろうか。いや、かれは最高の創造者であり、全知であられる。何か望まれると、かれが『在れ』とお命じなれば、すなわち在る。かれにこそすべての称賛あれ。そのみて御手で、万有をとうぎょ統御なされる御方、あなた方は、かれのみもと御許に帰されるのである。】36章 ヤースィーン章 77-83節 日訳P546

質問: この世と来世というのは、何ですか?

回答: ムスリムは誰でも、アッラーが、この世の人生を試験とテストのためにお創りになり、あの世を精算と報酬のためにお創りになられたと確信していなければなりません。

アッラーは、こう仰いました。
【かれは死と生を創られた方である。それは、あなた方のうち、誰の行いが優れているかを試みるためで、かれは威力並びなく、寛容であられる。】 67章 大権章 2節

【あなた方は、われが、たわむれにあなた方を創ったとでも考えていたのか。また、あなた方は、われに帰されないと考えていたのか。】 23章 信者たち章 節 日訳P

【本当にアッラーを畏れる者に対しては、主の御許に喜びの楽園があろう。われは、信心深い者たちを罪人のように扱うとでも言うのか。あなた方はどうしたのか。あなた方は、どう判断するのか。】 68章 筆章 35、36節 日訳P718

あなたが、もし試験会場に入って試験を受けているとすると、その最中は、どんな気持ちで受けていますか?試験中に試験を受けている事を忘れてしまって、ただリラックスして、自分の好きなことをしていたら、試験に落ちてしまうように、この世でただ自分のしたいことだけして、自分が試験中だということを忘れてしまうと試験に落ちてしまいます。学校の試験は、一度落ちても、またやり直す事ができますが、アッラーの試験は一回だけです。落ちてしまったら、もうやり直す事はできません。もう一回この世に戻してください、ちゃんと頑張りますから、と言っても、もう終わってしまった人生は、やり直す事はできません。私たちは、今、試験中だということを忘れないようにしましょう。

勉強会で勉強するイスラームに関する知識は、アマーナ(信託物)といって、アッラーが、あなたに預けている信託物です。アッラーは、こういった知識をあなたから他の人に渡してもらうために、あなたに預けているので、聞いたことは、他の人に伝えなければいけません。もちろん家族に伝えてもいいし、お子さんに伝えるのもとてもいいでしょう。とにかく自分のところでストップしないように、他に伝えていかないといけません。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のハディースに、知識を伝えられた人の方が伝えた人よりも、よく理解することがあるかもしれませんという意味のものがあります。あなたの大好きな人たちが、もっとアッラーのことを思い出して善いことに向かえるよう、この世とあの世で成功者になれるよう、聞いたことを伝えていきましょう。ここにいる一人ひとりがムスリマである以上自分のことだけ考えていてはいけません。自分の後ろにいる人たちのために、人から聞いた役に立つ知識は、すべて他の人にも伝えていきましょう。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام




イスラームにおける死とは

2010-09-24 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم



質問 :イスラームにおける死とは?

回答:死とは、この地上での生が終わることであり、実際にこの世に生きるすべての創造物が体験することです。体は消え、土に溶け、何も残りません。そして魂だけが他の世界で最後の審判まで残る事になります。この世界のことを「墓の中の世界」と言います。
アッラーは、これについてこう仰っています。

【本当にあなたは、いつかは死ぬ。彼らもまた死ぬのである。】 39集団章 30節(日訳P571)
【誰でも皆、死を味わうのである。】 3イムラーン家章 185節 日訳P89

質問:では、実際には誰の手の中に死というのはあるのでしょうか?誰が魂を抜き取るのでしょうか?

回答:生かせ死なせるお方、そして彼の手の中に生と死があるお方は至高なるアッラーのみで他の誰もそれに参加しているものはないとムスリムは確信していなければなりません。

アッラーはこう仰っています。

【天と地の大権は彼の有(もの)である。彼は生を授け、死を授ける。】 57鉄章 2節(日訳P676)

【アッラーは、(人間が)死ぬとその魂を召され、また死なない者も睡眠の間(それを召し)、かれが死の宣告をなされた者の魂はそのままに引きとどめ、その他のものは定められた時刻に送り返される。】 39集団章 42節日訳P573

そしてアッラーには「死の天使」という死の仕事をする専任の天使がいます。彼の仕事は、寿命が尽きた命を死なせる事です。アッラーはこう仰っています。

【言いなさい。「あなた方を受け持つ死の天使があなた方を死なせ、それから主に帰らせる。」罪を犯した者たちが主の御前にうなだれて、「主よ、私たちは見ました。聞きました。私たちをお返しください。私たちは善い行いをいたします。私たちは、本当に悟りました。」(と言う姿を)あなたに見せてやりたいものである。】 32アッサジダ章 11-12節 日訳P506

アッラーの命令によって魂を抜き取るとき、この死の天使と共に多くの天使たちがいます。

アッラーはこう仰いました。
【死があなた方の一人に臨(のぞ)むとき、われが遺したもの(天使たち)は(わが命令に)怠慢ではない。】 6家畜章61節 日訳P158

質問:死後、何がありますか?

回答: ムスリムは、この世とあの世の間に「墓の中の世界」という中間の世界があることを確信していなければなりません。この世界は、死と最後の審判の日までの間の世界です。

アッラーはこう仰いました。
【だが死が訪れると彼らは言う。「主よ、私を(生に)送り返してください。私が残してきたものについて善い行いをします。」決してそうではない。それはかれの口上に過ぎない。甦りの日まで、かれらの後ろには戻れない障壁(バルザフ)がある。】 信者たち章 99-100節

質問:墓の中の世界では、何がありますか?


回答:墓の中の世界には、この3つがあります。
①天使二人による質問  ②墓の圧迫  ③墓の恩恵とその罰

①天使二人による質問:アッラーは、死後、人間に天使二人を送り、彼の人生についての基本的なことを聞きます。

その質問は、「あなたの主は誰ですか?」「あなたの宗教は何ですか?」「あなたたちに遣わされたこの男(預言者ムハンマドさま(صلى الله عليه و سلم)について何を言いますか?」 です。

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)はこう仰いました。
≪アッラーは、こう仰いました。【アッラーは、この世においても、またあの世でも、堅固なお言葉で、信仰する者たちを確立させる。】14イブラーヒーム章27節 日訳P310 
墓の中の罰について下りたアーヤ(クルアーンの節)であると言いました。(墓の中にいる人は)こう聞かれます。「あなたの主は誰ですか?」そうしたら、こう応えます。「私の主は、アッラーで、私の預言者は、ムハンマドです。」 ≫ アルブハーリーとムスリム出典

②墓の圧迫 : 墓の中で圧迫を受ける事で、これは墓に入っていても入っていなくても死んだ人に起こります。本当のところはアッラーのみがご存知ですが、不信者に対しては、とても厳しい圧迫で、信者に対しては軽いものです。

③墓の中の恩恵と罰 : これも②と同様、墓に入っていてもいなくても、例えば死体を海に流したりしていても、すべての死んだ人が体験することです。

アッラーは、こう仰いました。

【あなた方は、われが、悪行を追及する者を、信仰して善行にいそしむ者と同じに扱うと思うのか。生(この世)と死(あの世)が同じであるとでも思うのか。彼らの判断こそ誤算である。】 45ひざまづく章21節日訳P622

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は二つの墓を通り過ぎるとき、こう仰いました。 

≪本当に彼らは、罰を受けています。≫ムスリム出典

墓の中の恩恵については、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が信者の墓についてこう仰いました。

≪70日の間に墓の中の彼のために70ズィラーア(腕の長さ)広がり、彼のために墓の中が光で照らされます。≫ ティルミズィー出典

質問:墓の中の世界の後には、何がありますか?

回答:ムスリムは誰でも、墓の中の世界の後に「来世」と呼ばれる世界があることを確信しなければなりません。

 死というのは、まったく恐れるに値しません。ただ、私たちを本当に恐れさせるものは、私たちのした行いです。今日は行いがあり、それに対する精算はありません。しかし明日には精算があり、行いはもうありません。私たちは、間違いを犯したとき、その間違いが大きいか小さいかを考えるべきではありません。そうではなく、本当に考えるべきことは「自分が誰に対して不服従な行いをしたのか?」ということです。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام