満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

200のハディースその16

2008-08-22 | ハディース&子どものための物語
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

生き物に対する思いやりについて[その1]

アブー・フライラ(رضى الله عنه)によるとアッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「ある男が道を歩いた時、ひどく喉の乾きをおぼえた。彼は井戸を見つけてそこに下り、水を飲んで上にあがると、一匹の犬が激しい乾きから舌を垂らし、湿った土を食べていた。彼は『この犬も私が激しい乾きをおぼえたと同じ程に喉が乾いているのだ。』と言った。そこで彼は再び井戸に下り、自分の履物に水を満たし、それを口にくわえて這い上がり犬に飲ませた。アッラーはこの行為を愛でられ、彼(の過去の罪)をお許しになった。」人々は「アッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)よ、われわれにとって、そのような畜生に奉仕することにも報酬があるのですか。」と言った。み使い(صلى الله عليه و سلم)は「その通り。全ての生き物に対する奉仕に報酬があるのです。」と言われた。(アル・ブハーリーとムスリムによる伝承。引用はムスリムの伝える表現)

 最近になって自然環境や動物の保護を真剣に考える人が増えてきておりますが、イスラームの世界では1400年の昔に、すでに動物をはじめすべての生き物を愛護するする精神が説かれていたことに驚きます。さらに当時アラブの犬に対するイメージといえば、「犬のいる家には天使が入って来ない」とか、「犬のなめた食器は、砂を用いて清め、七回洗いなさい」と言われ、家の中で飼うことは避けられていました。犬は番犬や猟犬としての役割を果たしていました。そのような状況の中での犬への愛護のすすめですから当時の人にとって、まさに驚きであり信じられないことでした。話は続きます。人々の意識がまだ目の前の犬だけにとらわれた狭い視野で質問を発しているのに対し、み使い(صلى الله عليه و سلم)はすべての生き物を大切にすることが大事なのだと言って、人々の意識をより高い次元へと導いていきます。師の教えはこのように人々を教化していきます。
 そして重要なことはこの見識がすでに備わっていた人物の行動です。この話の描写から見る限り、この人は修行を重ね偉くなった人でも、また聖人や何か秀でた達人でもないようです。ある男とありますから、ごく普通の人のようです。そんな普通人の取った行動ですが、実は自然界の運営はアッラーから委託された人間の大事な役目なのです。宇宙を創造し、自然界を創り、人間や動物など命あるものを創られ、世界の管理を人類に一任されたアッラーの見方からすると、たとえ一匹の犬といえども命あるものを大切に扱い愛情を注ぐ人は、自然界運営の責務を果たしたとしてアッラーからの報償を受けるに値するということです。
 人を助ければ、ありがとうという感謝の言葉が聞けますが、助けた動物や他の生き物からは言葉はもらえません。その代わり人はアッラーに愛でられる存在になることができるのです。生き物を思いやり助ける人はアッラーが味方になってくださるのです。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام