満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

200のハディースその23

2009-12-13 | ハディース&子どものための物語
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

商売について(信頼されること)

 アブー・バクル(رضى الله عنه)によると、アッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)が、食料(穀物)の積んである傍らを通られ、手を中に入られらるとみ使い(صلى الله عليه و سلم)の指が湿り気を帯びた。それで、「ご主人、これはなんですか。」と尋ねられた。食料販売者が、「雨でぬれたのです。アッラーの使徒様。」と答えると、「人が見て分かるようにそれを食料品の一番上に置かなかったのですか。人を欺くのは私の仲間ではありません。」と言われた。(ムスリムによる伝承)(注:「私の仲間ではない」とは、信仰が完全ではなく敬虔なムスリムとは言えない者を指す。)
 ワースィラ・イブン・アル=アスカウ(رضى الله عنه)によると、私はアッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)が、「欠陥商品を売り、それを買い手に伝えない者は、アッラーのお怒りのうちに留まるでしょう。あるいは、天使が売り手を呪い続けるでしょう。」と言われるのを聞いた。(イブン・マージャによる伝承)


 商品の不利な状態を隠し販売しようとする売り手の不正に対し、預言者(صلى الله عليه و سلم)は「人を欺くのは私の仲間ではない。」と注意されましたが、商売のことで、「私の仲間ではない。」という表現が使われた意味を理解しなければなりません。このような表現は他のハディースにおいても、ムスリムに敵対する者や不誠実な者に対して使われているからです。たとえば「我らに向って武器を取る者は。我らの仲間ではない。我らに対して不誠実なる者は、我らの仲間ではない。」とあります。このように売買においても人を欺くことは信頼関係を裏切り、仲間意識の否定につながります。またアナス(رضى الله عنه)は信頼の大切さについての次のようなハディースを伝えています。「信頼されない者に信仰はなく、約束を守らない者に宗教はない。」
 それで「仲間ではない」には二つの意味があります。一つは個人の信仰面で、他人に対して不正を働くことは、信仰が完全でなく敬虔なムスリムでなくなることです。他人を欺き欠陥商品を売る者はアッラーのお怒りのうちに留まるということは、アッラーはその者の願いを封じ込められるということです。また天使が売り手を呪うとは、その心に魔が入りやすくなり、愚かな行為を続けるので信仰は弱まり宗教から遠ざかることを意味します。
 もう一つの意味は共同体(ウンマ)を守るという社会面です。健全な社会の維持に必要なのは、みんながお互いに共同体の一員であり、同胞であるという意識です。商売で買い手のことを考えないのはこの仲間意識が欠けているからです。みんな仲間だという意識があれば損得勘定に際し良い意味での情が入ります。仲間意識が弱まると道徳も低下し人々の間に不信の念が生じ、社会が不安定となります。それで、預言者(صلى الله عليه و سلم)は信仰の力で共同体を強固にし、連帯分裂の芽を摘み取るため、人を欺く者を「私の仲間ではない。」と言われたと思います。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام