満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)に平安を送ること

2010-11-13 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم


【預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)に平安を送ること】


前回まで、死後に起こることを順番に見てきました。①死の天使が体から魂を抜き取る。→ ②(墓の中の)バルザフの世界 → ③最初のラッパによって生きている物がすべて死ぬ → ④次のラッパによって全員復活する。 → ⑤ 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のハウド → ⑥全ての人類が、結集され自分の清算の番を待つ。 → ⑦執り成し(預言者さま(صلى الله عليه و سلم)とクルアーンなど)

 前回の勉強会で、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が私たちのためにアッラーに執り成ししてくださって、天国に最終的には全ムスリムが入ることができるという話をしましたが、最後の審判の日に預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にとって最優先される人というのは、彼に一番多く祝福を送った者だというハディースがあります(ティルミズィーとイブンハッバーン出典)。天使によって録画されているこの世で行った自分の行いが全て上映される最後の審判の日に、アッラーに最も愛されている預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が一緒にいてくださって、彼の執り成し(シャファーア)を優先的に受ける事ができたらどんなに心強いかわかりません。

 一般的に、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のお名前を聞いたら「(صلى الله عليه و سلم)サッラッラーフ アライヒ ワ サッラム」(彼にアッラーの祝福がありますように。)と言って、彼に祝福を送るのは良く知られているかもしれませんが、お名前を聞かなくても、私達は預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に祝福を送ることが大切です。それはクルアーンでアッラーが私たちに命令されています。

【本当にアッラーと彼の天使達は、聖預言者を祝福する(サラートを送る)。信仰するもの達よ、あなた方は彼を祝福し、最大の(敬意)を払ってあいさつしなさい。】 33章 部族連合章 56節 日訳P519

また、別のハディースによると、私たちが預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラートを送るとき、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のところに、私たちの名前と私たちの父親の名前が届けられ、≪○の娘の○が、あなたにサラートを送っています。≫とそれを伝える専用の天使が、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のところに行って、私たちのサラートを伝えてくれます。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が、私たちの名前を聞いてくださって覚えてくださるかもしれません。
 今回は、そのサラートを預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に送ることに関しての、イエメンのシェイフ、アリージェフリー先生の講義のお話しようと思いますإن شاء الله・
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アリー先生の講義「アッラーを求める者よ」からの抜粋

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、私たちが彼に「サラート」を送ることを必要となさっているでしょうか?
もちろん、そんなことは必要とされていません。

【本当にアッラーと彼の天使達は、聖預言者を祝福する(サラートを送る)。信仰するもの達よ、あなた方は彼を祝福し、最大の(敬意)を払ってあいさつしなさい。】 33章 部族連合章 56節 日訳P519

アッラーは、ご自分が預言者さま(صلى الله عليه و سلم)を祝福し、天使たちがみな預言者さま(صلى الله عليه و سلم)を祝福していると伝えた後で、私たちに預言者さま(صلى الله عليه و سلم)を祝福するようお命じになられています。これにはアッラーの英知があり、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が、私たちが「サラート」(祝福)を送ることを必要としていると間違った想像を私たちがして、誤解しないためということがあります。アッラーは、ご自分がすでに預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラートを送っていることを伝え、アッラーに祝福を送られている預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、あなた方がサラートを送ることを必要としていませんよと伝えた上で、それでもあなた方は、もっと上に上りたいですか?もしそうなら、この祝福に入りなさいと言われています。ご自分もされ、天使たちもしている祝福された行為をあなたもしなさいと言われています。アッラーは、この行為をご自分に帰し、天使たちにも帰しています。

この預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラートを送るようにという命令のアーヤが啓示されたとき、あるサハーバが預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のところに行って尋ねました。「預言者さま、私達は、あなたに挨拶をするのは、「アッサラーム アライクム ワ ラフマトゥッラーヒ ワ バラカートゥフ(あなたにアッラーから平安とご慈悲と祝福がありますように)」と言うことは知っていますが、どうやって、あなたに「サラート」を送ればいいのでしょうか?」すると、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、

≪「اللهم صل على سيدنا محمد و على آل سيدنا محمدアッラーフンマ サッリ アラー ムハンマディン ワ アラー アーリ ムハンマド」と言いなさい。≫(日本語訳:アッラーよ、どうかムハンマドとそのご家族を、祝福してください。)

と言われました。

また、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に「サラート」を送ることには、すべての悩み事・心配ごとからの解決があります。ハディースで伝えられている通りです。あるサハーバが言いました。

「預言者さま、あなたにどのくらいサラートを送りましょうか?」
≪あなたがお好きなだけなさい。≫
「では、私の4分の1の時間を使いましょう。」(注:クルアーンを読んだりズィクルをしたりするアズカールの時間の内の4分の1)
≪好きなだけ。もし増やせば、それもいいでしょう。≫
「では、3分の1の時間を使いましょう。」
≪好きなだけ。もし増やせば、それもいいでしょう。≫
「では、私の時間の半分を。」
≪好きなだけ。もし増やせば、それもいいでしょう。≫
「では、私の3分の2の時間を使いましょう。」
≪好きなだけ。もし増やせば、それもいいでしょう。≫
「では、私の時間の全部を使いましょう、預言者さまよ。」
すると預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は言われました。

≪では、あなたの心配ごとは、補償されて、なくなります、そして、あなたの借金は返済されます。また、あなたの罪は許されます。≫

私たちが、それを必要としているのです。誰も、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)がサラートを必要としていると間違った想像をすることはできません。これが、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に「サラート」を送ることの徳です。
でも更に、これ以上にすばらしいことが、あります。人生の心配事を補償され、悩みがきれいさっぱりなくなり、借金も全部なくなり、しかも罪まで許される、でも、これ以上のものをアッラーは用意なさっています。
ハディースサヒーフによると、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。

≪誰でも、私にサラートを送った者は、アッラーが、それによって、彼に10のサラートをお送りくださいます。≫

アッラーから私たちへのサラート(祝福)というのは何でしょうか。アッラーの「サラート(祝福)」というのは、アッラーのご慈悲です。クルアーンに詳しく述べているアーヤ(節)があります。
【かれこそは、あなた方を暗黒から光明に連れ出すために、天使たち共々、あなた方を祝福なされる方である。】 33章 部族連合章 43節 日訳P516

私たちが預言者さま(صلى الله عليه و سلم)を祝福する徳は何かというと、アッラーが私たちを祝福してくださることです。では、私たちがアッラーから祝福されることで、何を得られるのでのしょうか。【あなた方を暗黒から光明に連れ出すために】 
アッラーが、私たちを暗闇から光へと救い出してくださるということです。もし、私たちが預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラートを一回送ったら、アッラーが私たちを10、暗闇から光へと救い出してくださり、もし私たちが10回送ったら、私達は100、暗闇から光へと救い出され、もし100回送ったら、私たちは1000、暗闇から光へとアッラーによって救い出されます。

では、これよりももっと奥深い意味があるでしょうか。暗闇から光へ救い出されるのは、すごいことですが、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に祝福を送ることに関して、もっと奥深い意味があります。

では預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は私たちにサラートを送られる権利があるでしょうか。もしこういった徳がなくても。それともないでしょうか。
預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、私たちに、よくしてくださいましたか?
預言者さま(صلى الله عليه و سلم)には、私たちに対する権利がありますか?
彼はあなたに善いことをしてくださいましたか?

アッラーに誓って、すべての人類の中で預言者さま(صلى الله عليه و سلم)ほど私によくしてくださった御方はいらっしゃいません。私たちを暗闇から光へと救い出してくださいました。不信・多神の状態から、信仰へと救い出してくださいました。忘恩の状態からアッラーの存在の実感へと導いてくださいました。背かれていた状態から受け入れられる状態に、地獄から天国に導いてくださいました。この世の人類の中の誰ひとりとして、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)よりも、私に権利のあるお方はいらっしゃいません。もし預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラートを送ることが、先ほど言ったものすごくたくさんの徳、利益がなかったとしても、私たちが預言者さま(صلى الله عليه و سلم)への愛を誠実に実現したら、私たちのすべての時間は、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラートを送ることに使われてもいい程です。では、それによって私たちが手に入れることのできる多くの徳がある場合は、どのくらいそれをすべきでしょうか。
どうか毎日、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラート(祝福)を送ってください。

アリー先生の講義「アッラーを求める者よ」からの抜粋より
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 シリアにいたときに訪れたシェイフで、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に何万回とサラートを送る会をしていらっしゃる、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のことが大好きなことで有名な先生に、あるムスリマからの質問をしたことがあります。「非イスラーム国で暮らしているムスリムたちには、指導してくれるようなシェイフもいなくて、イスラームの知識を教えてくれるような先生もいない中で、どうやって信仰を育てていけばいいのでしょうか?」こう尋ねると、先生は即答で、「預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラートを送りなさい。そうすれば、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が、その方たちに必ずイスラームを教えてくださいます。」ときっぱりと、即答でお答えになりました。私は相談を受けた非イスラーム国にいたその人に、その言葉をそのまま伝えて、先生が仰った「一日に1000回彼に祝福を送ってみなさい。」というのをそのまま伝えました。彼女がそれをし始めると、本当にびっくりすることに、すぐに、誰も教える人がいなかった彼女の町に遠くの村から突然、イスラームを教える先生が引っ越してきたのです!すぐに電話がかかってきて、先生が来たからいらっしゃいと言われ、彼女はその先生のところに毎週通うようになり、その先生は本当に尊敬できるとてもすばらしい方で、先生からムスリマとしてのあり方や信仰など、いろいろなことを教わることができました、アルハムドゥリッラー。まさに、ハディースで言われた、≪誰でも、私にサラートを送った者は、アッラーがそれによって、彼に10のサラートをお送りくださいます。≫ というアッラーのサラート、【暗黒からこうみょう光明に連れ出す】 をアッラーが実現してくださったような状態でした。私たちのような非イスラーム国に住んでいるムスリムにとっては、直接預言者さま(صلى الله عليه و سلم)とつながりを持つことが、とても大切です。

今月は、聖なる月ズルヒッジャ月(巡礼月)で、私たちは今、この期間に崇拝行為をすることが聖戦に参加するよりもよいと預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が仰った、月の最初の10日間の最中にいます。今日は、ズルヒッジャ月7日目です。

ハディース:預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が、≪巡礼月の最初の10日間に行われる崇拝行為は、他のいかなるものにも勝ります。≫と仰ったとき、人々が、「アッラーのための聖戦よりも、ですか?」と尋ねると、≪そうです、聖戦よりも。ただし、生命と財産を投げ出して出陣し、何も得ずに帰還する者は別です。≫と仰いました。  ― アル・ブハーリーの伝承 ―

この期間にズィクル、「لا إله إلا اللهラー イラーハ イッラッラー」と「الله أكبرアッラーフ アクバル」をたくさん言うとよいというハディースがあります。また、他のハディースでは、この9日間は、ドゥアーが拒まれないというものや、この9日間の中にする一日の断食が、一年の断食に相当するというハディースや、善行に700倍の報奨がつくというハディースもあります。
特に、アラファの日(巡礼月9日目)の断食について、預言者ムハンマド様(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。
≪前の一年と、残りの一年(前後2年間)の罪を許されます。≫ ムスリム伝承

アラファの日には、アッラーのご慈悲が、アラファの丘にいる巡礼者たちに降り注がれ、そこから、世界中に広がる日です。その日に、たくさん言うといいズィクル:

≪لا إله إلا الله وحده لا شريك لهラー イラーハ イッラッラーフ ワハドフ ラー シャリーカ ラフ
(訳:アッラー以外に神はなし。唯一で、他に並べるものない御方、
له الملك وله الحمد وهو على كل شيء قديرラフルムルク ワ ラフルハムド ワ フワ アラー クッリ シャイイン カディール≫
彼に大権は属し、彼に全ての賞賛はあり、彼にはすべてのことが可能であられる。)

 この祝福に満ちた10日間に、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に祝福を送ることも、一日に10回でも始めてみるといいでしょう。言い方は、いろいろありますが、最初にご紹介したハディースで、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が言われている形式、「アッラーフンマ サッリ アラー ムハンマディン ワ アラー アーリ ムハンマド」(アッラーよ、どうかムハンマドとそのご家族を、祝福してください)という形が一番簡単です。また、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)を「ムハンマド」と呼び捨てにするのは、失礼な感じがして、お名前の前に「سيدناサイイディナー(敬称)」をつけることもあります。また、他のハディースで、彼に祝福を送りながら、彼の家族に送らないのはよくないというものもあるので、「اللهم صل على سيدنا محمد و على آله وصحبه وسلمアッラーフンマ サッリ アラー サイイディナー ムハンディン ワ アラー アーリヒ ワ サハビヒ ワ サッリム」(アッラーよ、我らのムハンマド様と彼のご家族と教友たちに祝福と平安がありますように。)という形式もあります。

16日の夜(マグリブから翌日のファジュル前まで)、イードの日の前夜は、起きて崇拝行為をする人の天国入りが義務となる夜です。夜間中礼拝をずっとするのは、疲れて難しいかもしれないですが、ズィクルやクルアーンの読誦をしたり、今回お話した、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にサラートを送るというズィクルも、できるだけたくさんできるといいですね。إن شاء الله

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام



ズ=ル=ヒッジャの最初の10日間の徳

2010-11-01 | アキーダ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم



インシャーアッラー6日が新月ですので、ズルヒッジャは7日か8日スタートです。イードルアドハーまでの10日間は徳があるので、逃さないように今のうちから予習して備えておきましょう

【ズ=ル=ヒッジャ月最初の10日間の徳について】


 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)はズ=ル=ヒッジャ月について言いました:《これよりもアッラーのもとで偉大な日々はありませんし、この10日間に行われる行いよりもアッラーに好ましいものはありません。ですから、この間にタスビーフ(سبحان اللهスブハナッラーと言うこと)とタフミード(الحمد لللهアルハムドゥリッラーと言うこと)とタフリール(لا إله إلا اللهラーイラーハイッラッラーと言うこと)とタクビール(الله إكبرアッラーフアクバルと言うこと)を多くしなさい》(アフマドとアッ・タバラーニー出典)

★ズ・ル・ヒッジャ月最初の10日間の徳について★

1 アッラーがクルアーンの中で、この10日間で誓いをしている。(アル=ファジュル章参照)

2 アッラーがこの日々に、タスビーフとタフミードとタフリールとタクビールを多くすることを命じている。

3 この10日間にタルウィーヤの日が含まれていて、タルウィーヤの日はズ=ル=ヒッジャの8日目に当たります。8日目にマッカに到着した巡礼者たちは、9日までをミナーで過ごすために出発します。彼らはズフルとアスル、マグリブとイシャーの礼拝を短縮して行い、ファジュルを行うまでミナーにとどまります。その日はちょうど、ズ=ル=ヒッジャ月9日目にあたります。8日目にミナーに泊まることは巡礼におけるスンナですので、ムスリムはこれを遵守し、避けるべきではありません。

4 この10日間には、巡礼が成り立つ柱の一つであるアラファの日が含まれています。これがないと、巡礼は有効になりません。「ハッジ(巡礼)はアラファだ」と、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)も言われました。巡礼者たちはズ=ル=ヒッジャ月9日目に太陽が昇った後、アラファへ一斉に向かいます。アラファに着いたら、ズフルとアスルを前者の時間に短縮かつ一緒に行います。その後はひたすら祈願し、アッラーの御前にたたずんで、この偉大な日を過ごします。

5 アラファの日の断食。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は巡礼に参加していない人々に断食するよう促しました。しかし巡礼に参加している人は、礼拝や祈願に体力を使うべきなので、断食しません。巡礼に行っていない者はこの日に断食をすることが好まれますが、これは預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の残して言葉によるものです:アラファの日の断食は、2年間(の過ちなど)を洗い流す。過去と、未来と。(ムスリムとアフマドとア=ッ=ティルミズィー出典)

6 この10日間は、アッラーの道のためのジハードよりもいい。これも預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の言葉に拠ります:
「この日々(ズ=ル=ヒッジャ月の最初の10日間)に行われる善行よりもアッラーが好まれるものはない。」皆が言いました:「アッラーの預言者よ、アッラーの道のためのジハードよりもですか?」「アッラーの道のためのジハードよりもです。しかし自分自身と自分の財産を持って(ジハードに)出かけて、何も戻ってこなかった者は別です。」(アル=ブハーリーなどが出典)

7 この10日間には、動物を犠牲にする日があります。これは預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の慣行で、アッラーにお近づきできるものとして、彼は人々に犠牲をささげるように促しました。これにより、貧者の必要を埋め、私たちの父であるイブラーヒーム(عليه السلام)の慣行を体現することが出来ます。巡礼者・非巡礼者、男性・女性にかかわらず富に余裕がある者は犠牲を捧げるべきです。なぜなら、純正なイスラームの教えの大切な儀式であるからです。
アッラーはおっしゃっています:(犠牲の)肉も血もアッラーに届かないがアッラーに届くのはあなたがたの畏敬の念である、
他の箇所ではこう仰っています:あなたの主のために祈り、犠牲を捧げなさい。

善行を多くしましょう

★断食を行う

★親族訪問

★サダカ(喜捨)

★ズィクル(念唱)

★任意の礼拝

★畏敬の念を持って集中してクルアーンを読む

★アッラーにたくさんのドゥアー(祈願)をする

★預言者たちや使徒たちの中で最良の方であり、私たちの模範である預言者ムハンマド(صلى الله عليه و سلم)に祈願する


アッラーはこう仰せになっています。
《本当にアッラーと天使たちは、聖預言者を祝福する。信仰する者たちよ、あなたがたはかれを祝福し、(最大の)敬意を払って挨拶しなさい。》(33-59)
アッラーが聖預言者(つまりムハンマドさまのこと)に信者達は祝福し、挨拶をするようにお命じになっています。
イスラーム学者たちがこの聖句をもとに判断したイスラームの諸規則(フィクフ)があります。学者の間で見解の相違があります。日本語で簡単に説明すると

1.預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のお名前が言及されるたびに「義務」となる

2. 一度の集まりごとに、たとえ何度もお名前が言及されようとも少なくとも一度は義務となる。

3. 生涯一度では不十分であり、数や機会に限定されることなく何度も数多く祝福祈願しなければならない。

4. 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)への祝福祈願は、義務ではないが、推奨されているものとみなされる。

<祝福祈願の徳>

1-至高のアッラーからの祝福があります。
アブー・フライラ(رضى الله عنه)によると、アッラーのみ使いさま(صلى الله عليه و سلم)は言われました。
「私に一回祝福を祈ってくれる人には、アッラーが10回祝福を送ってくださるでしょう。」(ムスリム)

2-預言者さま(صلى الله عليه و سلم)に近しくなれます。
預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は言われました。「審判の日に私にとっていちばん大切な人たちとは、いちばん多く私に祝福を祈ってくれた人たちです。」
(ティルミズィー)
 アリー(رضى الله عنه)によると、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は言われました。「けちな人とは、私のことを耳にしながら私に祝福を祈らない人のことをいいます。」(ティルミズィー)

3. 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)から祝福してもらえます。
アナス(رضى الله عنه)によると、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)はこう言われました。
「私に祝福を祈ってくれる人の祝福は私のもとに届きます。ですから私はその人に祝福を送り返します。それからその人にはそのほかに10の善行が加えられるでしょう。」(タバラーニー)
アブー・フライラ(رضى الله عنه)によると、アッラーのみ使いさま(صلى الله عليه و سلم)は言われました。
「私に平安を送ってくれる人がある度に、私がその人に平安を返すまでアッラーは必ず私の魂を私に戻してくださいます。」(アブー・ダーウード)

4.祝福送った者の位階を高めてくれます。
アブー・タルハ・アル=アンサーリー(رضى الله عنه)によると、「ある朝アッラーのみ使いさま(صلى الله عليه و سلم)は嬉しそうなお顔をされていました。そこで周りの者たちが、「アッラーのみ使いさま、今日はお目覚めもよろしいようで、何か喜ばしいことでもあったようですか…」と尋ねました。すると彼(صلى الله عليه و سلم)は言われました。「そのとおりです。至高の主の御許より使いがやって来て私にこう言ったからです。『あなたに従う人々の中で、あなたに祝福を祈る人には、アッラーが10の善行を記録してくだり、10の悪行を消してくださるでしょう。そして10の段階を高められ、同じように祝福を送り返してくれるでしょう。』」(ナサーイー、アフマドほか)

5.心のやすらぎ、罪の赦しを得られる
アッラーはこうおっしゃっています。
《あなたが、かれらをそれで清めて罪滅しをさせ、またかれらのために祈るためである。本当にあなたの祈りは、かれらへの安らぎである。》(9-103)

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アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام



最後の審判の日 ― (預言者さまSの執り成し)

2010-11-01 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم


最後の審判の日 ― (預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成し)


前回まで、死後に起こることを順番に見てきました。
  ①死の天使が、体から魂を抜き取る。
→ ②(墓の中の)バルザフの世界 
→ ③ 最初のラッパによって、生きている物がすべて死ぬ 
→ ④ 次のラッパによって、全員復活、再生する。 
→ ⑤ 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のハウド(水飲み場)で、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にお会いする。
→ ⑥ 全ての人類が、結集され、自分の清算の番を待つ。

今回は、インシャアッラーその後、私たちに何が起こるかを見て行きます。

最後の審判の日に行われる執り成しは、2種類あります。一つ目は、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成し、そしてそれ以外に他の預言者たち(عليهم السلام)や敬虔な人たちやクルアーンによる執り成しがあります。まずこちらから見ていくと、アッラーはクルアーンの中でこう仰っています。

【その日は、慈悲深いお方にお許しを得ているもの以外の執り成しは無益であろう。
その者の言葉はかれ(アッラー)に受け入れられる。】20章ターハー章109節 日訳P390

また預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。
≪最後の審判の日には、3種類の人々が執り成しをします。
預言者たち(عليهم السلام)、そしてイスラーム学者たち、そして殉教者たちです。≫
(イブン・マージャの伝承)

この種の執り成しは、不信者のまま亡くなった人には、役に立ちません。アッラーは、クルアーンの中で言われています。
【本当にアッラーは、(何ものをも)彼に配する事を赦されません。
それ以外のことについては、御心にかなうものを赦されます。】
4章 婦人章 48節 日訳P101

その日は、太陽がものすごく近づいて灼熱の中、アッラーの玉座の影に入らない人たちは、ものすごく暑く、自分の汗が罪の度合いによって、のど元まで迫る程、大変な状態で清算を待ち続けなければならず、その辛さに耐えかねて、人々は行き先が地獄でもいいから、この状況から何とか逃れたいと切望するようになります。まさに、そのとき預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が皆の前に進み出て、すべての人類のためにアッラーに執り成しをしてくださいます。この執り成しを、アラビア語で「シャファーア」と言います。これが執り成しの2つめの種類です。

この「執り成し(シャファーア)」は、クルアーンにもハディースにも記述があり、確実に起こることです。まずクルアーンでは、こう言われています。

【かれ(アッラー)が受け入れる者の外は、執り成しをしない。】
21章預言者章28節日訳P395

【かれ(アッラー)の許しなくして、誰がアッラーのみもと御許で執り成す事ができようか。】
2章雌牛章255節日訳P50 (アーヤトゥ・ル・クルシーの一部)

またハディースで、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。

≪私は、私以前の誰にも与えられなかった5つのものを授かりました。第一に、一ヶ月の行程(も遠くにいる)敵の(心にアッラーが吹き込んだ)恐れによって勝利を与えられました。第二に、全ての地は、私にとって礼拝の場所、そして清めの手段とされました。ですから私のウンマに属する人は誰でも、どこで礼拝の時が来ようと礼拝しなさい。第三に、私は以前の誰にも許されなかった戦利品を得ることが許されました。第四に、私は執り成しする権威を与えられました。第五に、他の預言者たちは自分たちの民だけに特別に遣わされましたが、私は全人類に対して遣わされました。≫ (アル=ブハーリー伝承)

他の預言者たち(عليهم السلام)には与えられなかった預言者さま(صلى الله عليه و سلم)だけに与えられた特別な執り成しが、最後の審判の日に行われるわけです。

まず、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成し、これには2種類あります。
一つ目は、太陽がものすごく近づいて灼熱の中、人々が地獄でもいいからこの状況を何とか終わらせたいと切望するようになるとき、人々はこの世で自分が信じていた預言者たちのところへそれぞれ自分の番が早く来るように自分のことをアッラーに執り成してくれるよう、お願いに行きます。しかし全ての預言者たち(عليهم السلام)は、その日「自分のことで精一杯だ。」と言って誰も取り合ってくれません。しかし預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は皆の前に進み出て、すべての人類とジン達すべてのために、アッラーに執り成しをしてくださるのです。ムスリムであっても、不信者であっても、ジンさえも、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成しは、すべての清算を待つ創造物たちに与えられます。この全創造物に対する執り成しはハディースにも記述があります。

≪私は天国で最初に執り成しをする者となるだろう。そして、使徒たちの中で復活の日には、私は最も多くの追従者を持つことだろう。≫ (ムスリム出典)

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成しの2つ目は、イスラームのウンマだけに対して行われるものです。一部のムスリムたちが、清算なしの天国入りを得るための執り成し、またムスリムが、天国での段階の上昇を得るための執り成し、そして、自分の悪い行いから、地獄に入ることが決定しているムスリムたちに対する執り成しまでなさいます。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成しによって、地獄入りが決定しているムスリムたちの中にも救われる者がいます。また預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成しによって、誰でも「ラー イラーハ イッラッラー(アッラーの他に崇める対象はない)」と言った者は、地獄の炎から救い出されます。

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。

≪すべての預言者には、各一回の懇願のための祈りが認められる機会が与えられています。その預言者たちは、祈りを急いで行うが、私は復活の日まで私の信者の執り成しを祈願するために、残しておくつもりです。もしアッラーがお望みになられれば、アッラーに何者をも同意に配することなく死んだ、私の信者に対する執り成しは、認められるでしょう。≫(ムスリム伝承)

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成しは、最後の審判の日に全てのムスリムのために使われます。それは預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の私たちへの愛情を表します。次のハディースにもそれは現れています。アブドゥッラー・ブン・アムル・アース(رضى الله عنه)はこう伝えています。

≪預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、アッラーの啓示をお読みになったが、それはイブラーヒームさま(عليه السلام)の言葉【主よ、彼らは人々の多くを迷わせました。私の道に従う者は、本当に私の身内であります。】(第14章36節)及び、イーサーさま(عليه السلام)の言葉【あなたがたとえ彼らを罰せられても、誠に彼らはあなたの僕です。またあなたが、彼らをお赦しになるとしたら、本当にあなたこそは威力並びなく、英明であられます。】(第5章118節)に関するものでした。その後、彼(預言者さま(صلى الله عليه و سلم)))は両手を上に上げて、「おお、主よ、私のウンマを!私のウンマを!(お赦しください!)」と仰り、お泣きになりました。それを見て、アッラーは、『ジブリールよ、ムハンマドのところに行き、-もとより私はその理由を十分知っているが-何が彼を泣かせているのか、彼に尋ねなさい。』とお命じになりました。それゆえ、ジブリールは彼のところに来て、尋ねました。そこで、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、訴えた言葉を-アッラーは十分ご存知でありますが-告げました。すると、アッラーは仰いました。『ジブリールよ、ムハンマドのところへ言って、告げるがよい。誠にアッラーは、あなたのウンマに関し、あなたを満足させるであろう。あなたを悲しませる事はないであろう。と。』≫ (ムスリム伝承)

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の私たちのウンマ、全てのムスリムに対する心配と愛情の深さがどれほど大きなものかがわかります。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は、1400年前から後々ムスリムになるであろう私たちのことをとてもとても心配されて、私たちのために泣きながらアッラーに懇願されました。このハディースは、クルアーンのドハー(朝)章にある、【やがて主は、あなたの満足するものをお授けになる。(وَلَسَوْفَ يُعْطِيكَ رَبُّكَ فَتَرْضَى ワ ラサウファ ユウティーカ ラッブカ ファタルダー)】で言われる、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)が満足するもの、というのが、この世の飾り(お金・地位・名誉・自分の幸せなど)ではまったくなく、私達ムスリムのことであるということ、私達ムスリムが天国に入ることであることだということを示しています。預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)は、私たちのために祈り、私たちのために啓示を伝え、私たちのために尽くしてくださいました。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)ほど私たちのために親身になって尽くしてくださった方はいらっしゃいません。最後の審判の日、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の執り成しによって地獄から助けられる私達は、本当に幸せです。

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام