満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

【最後の審判の日 ― 清算】

2011-07-02 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

前回まで、死後に起こることを順番に見てきました。
① 死の天使が、体から魂を抜き取る。 → ②(墓の中の)バルザフの世界  → ③ 最初のラッパによって、生きている物がすべて死ぬ → ④ 次のラッパによって、全員復活、再生する。 → ⑤ 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)のハウド(水飲み場)で、預言者さま(صلى الله عليه و سلم)にお会いする。 → ⑥ 全ての人類が結集され、自分の清算の番を待つ。  → ⑦ 預言者さま(صلى الله عليه و سلم)の取成しを受ける

今回は、インシャアッラー、その後、私たちに何が起こるかを見て行きます。



⑧整列、清算、秤、記録書


全ての創造物は、清算のために、アッラーの御前に引き出されます。アッラーは、クルアーンの中で仰っています。

【 かれらは列をなして、主の御前の所定の位置に付かされる。(主は仰せられるであろう。)「あなた方は、われが最初に創ったように、今、正にわれの元に来た。いや、われがあなた方に対し(会見の)約束を果たさないと、決め付けていた。」 】クルアーン洞窟章 48節 日訳P361

その後、アッラーの清算が、一人ひとり始まります。

【 われは審判の日のために、公正なはかり秤を設ける。一人としてたとえ芥子粒の重さであっても、
不当に扱われることはない。われはそれを(計算に)持ち出す。われは清算者として万全である。 】
クルアーン預言者章 47節 日訳P397

クルアーンではっきりと何度も述べられているように、その日、誰一人として不当に扱われることはなく、分不相応に優遇されることもありません。すべては、最も公正なアッラーが、まったく間違いなく、まったく少しの狂いもなく、公正にきっちりと私達のこの世でした行いを、清算してくださいます。

【 その日人々は分別された集団となって、(地中から)進み出て、かれらの行ったことが示されるであろう。
一微塵の重さであっても、善を行った者はそれを見る。一微塵の重さであっても、悪を行った者はそれを見る。】
クルアーン 地震章 6~8節 日訳P793

【 その日各人は行ったことによって報いられる。不正のない日である。
本当にアッラーは清算に迅速であられる。】クルアーン ガーフィル章 16節 日訳P580

この清算を受けるときには、私達は3グループに分けられます。
・グループA:何の清算もなく、直接天国に入る人たち。

・グループB:清算のときに、言い争うこともなく、厳しい清算も受けず、簡単な清算で済む人たち。
【そのとき右手にその書冊を渡される者については、かれの計算はすぐ容易に清算され、かれらは喜んで
自分の人々の元に帰るであろう。】クルアーン割れる章7~9節 日訳P765

預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。
《あなた方のうちの誰でも、主に近づき、その御翼の陰に入るほどになるとき、アッラーは彼に彼の罪について告げられます。「これこれの罪の事をわかっていますか?」(信者は)言います。「知っています。」― 繰り返し ―「主よ、知っています。」すると、(アッラーは)こう仰います。「この世で、私はそれを隠しました。そして、今日はあなたのために、それを許しましょう。」》アル=ブハーリーの伝承

そして、彼の善行の記録書はしまわれます。一方、他の人々や不信者達は、証人たちの前に呼び出され、その悪行を証言されます。【 彼らは主の身元に引き出され、その証人達は、「これらの者は、主に関していつわった偽った者です。」と言うであろう。】クルアーンフード章18節 日訳P264

・グループC:困難な清算を受ける人たち。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。
《誰でも清算を受ける者は、すでに罰せられている。》アーイシャさま(رضي الله عنها)が、「至高のアッラーは、【かれの計算はすぐ容易に清算され、】と言われたのではありませんか?」と言うと、仰いました。「それは、提出(最初に簡単に見せられること)です。だが、清算について討論される者は、滅びます。」アル=ブハーリーの伝承

この清算を無事に乗り切るために、私達が知らなければならないのは、私達の行いの何を、まず、アッラーは、清算なさるのか?アッラーにとって、私達のこの世の行いの中で、何が一番の重要事項なのかということです。これを知らないと、審判の日にアッラーに清算を受けるときになって、「ええ~~!それがそんなに重要だとは知らなかった!!」と言っても、後の祭りです。

清算の上で、最も重要視される最初のものは、2種類あります。
一つ目は、アッラーの権利を侵したことに関するもの、もう一つは、僕たち、つまり、人間の権利を侵したことに関するものです。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。

《実に、審判の日に、僕がその行いの中からまず最初に清算されるのは、彼の礼拝です。もし、正しく行われていれば、すでに彼は喜ばされ、救われます。もし、怠っていたら、失敗し、損をします。そして、もし彼の義務の礼拝から足りない所があれば、至高偉大なるアッラーはこう仰います。「私の僕に、スンナの(礼拝)はあるか見なさい。」そして、それによって義務の足りない所は補われ、そして、彼の残りの行いもこのようにされます。 》

そして、二つ目の重要事項は、人間の権利に関するもので、それは殺された者の血の清算です。

また、アッラーが決して許してくださらない罪のことをここで話しておかなければなりません。

【 本当にアッラーは、(何ものをも)彼に配することを許されない。
それ以外のことについては、御心にかなう者を許される。】クルアーン婦人章48節 日訳P101

また、人に対して犯した罪は、その人が許してくれるまで許されないので、注意が必要です。預言者さま(صلى الله عليه و سلم)は仰いました。

《 破産者とは、誰のことは知っていますか?》人々は、「私達のところで破産者とは、ディラハム(通貨単位)も物も持っていない人のことです。」すると、仰いました。「実に、私のウンマ(共同体)の中で破産者とは、審判の日に、礼拝や、断食や、ザカート(義務の喜捨)を持ってやって来るが、彼は、ある人をけなし、ある人を中傷し、ある人のお金を不正に手に入れ、また、ある人の血を流し、ある人を殴り、これに対し、彼の善行から与えられ、また、これに関しても善行から与えられ、そうして彼の義務を清算される前に、すでに彼の善行が無くなってしまい、彼らの悪行を受け取ることになり、彼にそれが投げ捨てられ、ついには、(地獄の」炎の中に投げ込まれる者です。」》ムスリムの伝承

そして、私達のこの世の行いが全て書かれた記録書を、渡されます。

【 その日あなた方は、(審判のために)皆さらけ出され、何一つとして隠しおおせないであろう。それで右手にその記録所を渡される者は言う。「ここに(来て)あなた方は私の記録書を読みなさい。いずれ私が、清算に合うことが、本当にわかっていました。」こうして彼は至福な生活に浸り、高い(丘の)園の中で、様々な果実が手近にある。「あなた方は、過ぎ去った日に行った(善行の)ために、満悦して食べ、かつ、飲みなさい。」(と言われよう。)だが、左手にその記録書を渡される者は言う。「ああ、私の記録書が渡されなかったならば。私は自分の清算がどんなものであるかを知らなかった。ああ、死が私の終末であったならば(よかったのに)。」 】クルアーン真実章18節から27節 日訳721p

そして、いよいよ私達の行いが、秤にかけられます。行った善行と悪行を天秤の秤にかけ、どちらが多いかによって、自分の永遠の行き先が決まります。
このときになって、「もう一度この世に返してくれたら、きっとお祈りを5回して、人の悪口も決して言いませんから」、とアッラーに誓っても、誰一人この世に戻されることはありません。試験はもう終わってしまったのです。試験会場から出て、合格発表の日になって、「もう一度試験を受けさせてください。今度はきっと頑張りますから。」と受験生が泣いて頼んでも、誰も聞いてくれないのと同じです。

私達が生きているこの世は、試験会場です。それを忘れてしまっていようと、試験は、続いています。そして、発表の日は、必ず来ます。そのときになって、後悔しても遅いのです。
私達が、試験会場にいるとき、私達はどんな気持ちでいるでしょうか?試験会場で試験を受けている最中に、リラックスして、好きなときに居眠りして、好きなときに食べたいだけ食べて、試験中なことをすっかり忘れて遊んでいたら、合格できるでしょうか?この世は、試験会場です。私達がそれを思い出していても、忘れていても、その事実は変わりません。
この世には、病気や、災難や、うまく行かないことや、辛いことが、沢山沢山あります。時には疲れてしまって、生きているのが辛くなることさえあるかもしれません。それは、なぜなら、私達が試験中だからです。試験を受けているときには、解けない問題があってあせったり、どきどきしたり、悩んだり、パニックになったり、試験に合格するために、必死になり大変なのが普通です。リラックスするのは、試験が終わった後、試験会場から出てからです。私達は、試験会場であるこの世で、いろいろな災難にあうのは、言ってみれば当然のことなのです。試験中だからです。アッラーは、私達を何とかして天国に入れてくださろうと、試験をしてくださっているのですから、私達は自分の試験問題に真剣に取り組んで、自分が試験中なことを忘れないようにすべきです。リラックスをするのは、試験会場から出た後です。

さて次回は、いよいよ私達の行いが、秤にかけられます。
إن شاء الله

アッラーのご加護と祝福がありますように
والسلام








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