満月通信

「満月(バドル)」とは「美しくて目立つこと」心(カリブ)も美しくなるような交流の場になるといいですね。

心の浄化(ナフスを清めるための方法)①

2005-01-22 | ハルカ
بسم الله الرحمان الرحيم

السلام عليكم

عيد مبارك

サラート=ル=イードの後、シスターの家でランチをご馳走になりました。その際に、夏に来名した「やすらぎ」の面々とのハラカに参加していたのは、そこでは、私ともう一人のシスターだけだったということに気がつきました。

その時のレジュメがあるので、ここで紹介しようと思います。

<導入>
・聖クルアーンの第50章「カーフ章」を読誦し、その意味を把握しましょう。
・預言者が遣わされた理由・・
ー「われはあなたがたの一人をわが使徒として遣わし、わが印をあなたがたに読論誦して、あなたがたを清め、また啓典と英知を教え、あなたがたの知らなかったことを教えさせた。 」(2:151、3:164,62:2)

*アラビア語の意味
1)タズキーヤとは何か?
①清潔にする、きれいにする・・・罪の汚れから、悪事をきれいにする
②しつける・・・・悪い性格、習慣をなおす
③純化、浄化する・・・偽善や見栄など不純なものからきれいにする
④増やす、成長させる・・・善いこと(善行)を増やす、恩恵を増やす

2)ナフスとは何か?
あるものの性質、それ自身、本能、人間自身のこと、アーダム(عليه السلام)の意味もある

*カザーリー「宗教諸学の再生」より
①怒り、欲望の原動力となるもの
②人間自身のこと(人間の本質)、人間性、心
イ)体と心からなる存在としての人間のこと
ロ)人間の内部にあるもの・・・心、性格、人間を動かすもの

・聖クルアーンの中でのナフスの使われ方
人間は体と魂からなっているという意味で使われている(15:29)
アーダム(عليه السلام)の意味、またその子孫である人間の意味(4:1、7:189)
人間自身という意味(2:286,29:57,17:33)

*心を浄化するためのプログラム
Ⅰ)タトヒール(清める)・・・消毒
Ⅱ)タハズィーブ(しつける)・・・薬をつける
Ⅲ)ムアーラジャ(治療法)・・・予防

【Ⅰ心を清めるための方法(タトヒール)】
1)ナフスの本質を知ること
*ナフスの特徴
①安楽、楽しいもの(時間の無駄になること)を望む
②反抗(決められたことに従わない)、禁じられたことをやりたがる
③見栄、嫉妬。うぬぼれ、怠慢など心の病を抱えている
ー「魂は悪に傾きやすい」(12:53)

2)ナフスの病気を発見すること
ー「(復活の日)人間は、自分自身に対し証人である。 」(75:14)
・人間はいつ成長したといえるか?・・・自分自身の欠点を知り、それに関心をもつ時
(カザーリー)アッラーが欠点を見えるようにしてくれる・・アッラーは僕をよくしようとするとき(これもアッラーの恩寵にによるものであるが)→自分自身の中の欠点に気づく

「知識」には「イルムعلم」(誰でも勉強すればわかる知識)と「マアーリフ」(アッラーを全身全霊で知る。直感。行によってしか得られない・・・アッラーの恩恵による。)の二種類あります。

3)この病気の治療法
聖クルアーン、スンナにそったやり方

4)反省
自分の行為、ニーヤをふりかえって(アッラーに精算される眼前に)自分自身で精算してみる
ー「アッラーを畏れなさい。明日のために何をしたか、それぞれ考えなさい。そしてアッラーを畏れなさい。」(59:18)「明日」とは「来世」のことを指します。

5)心と戦うこと(ミジャーハダトゥ=ン=ナフシ)
ー「主の御前に立つことを恐れた者、また低劣な欲望に対し(自分の)魂を抑制した者」(79:40)
ー「われ(の道)のために奮闘努力〔ジハード〕する者は、必ずわが道に導くであろう。」(29:69)
預言者(صلى الله عليه و سلم)の言葉・・「ジハードする人とは自分の心と戦う人」

アブー・フライラ(رضى الله عنه)はアッラーの使徒(صلى الله عليه و سلم)が次のように語ったとして伝えています。
ー「本当の強さは戦う人の力にあるのではなく怒った時に自分自身を制御出来る人にあります。」(サヒーフムスリムⅢ549p)

*ジハードのやり方
①欲望を自制する
②アッラーに服従する
・断食、礼拝、サダカ、定められたこと以上の事を(スンナ)をやる
(崇拝行為は心を伴って全身全霊で行うこと。実践することによってはじめてアッラーからの恩寵や祝福が得られる)
・自分のふだんの行動からは一段たいへんなことを自分に課してみる=訓練
(*①、②は自分の力にたよっているが)
③最終的にはアッラーに(力を貸してくれるように)助けを求める、それと同時にズィクルをする
・ザーキリーン(常にアッラーを想い起こしている人)、善行や知識のある人のまわりにいて、よいものを得る

*(具体的には)ヤフヤー・イブン・ム’アーズ・ラージーのことば
イ)アッラーに服従する(ターアー)
ロ)睡眠時間を減らす(深夜の礼拝)・・・眠りを少なくすると意欲が研ぎ澄まされる
ハ)言葉を少なくする・・・しゃべらなければつまならいことを言わなくてすむ
ニ)人々からの害に耐える・・・人から嫌なことをされるのを我慢する
ホ)食を少なくする・・・(ギリシャ哲学)食ーお腹ー怒りやよくないものとつながっている

6)自分を責める
自分はなぜここまでしかできないのだろう、なぜ自分は怠け者なのだろうと考えるようにする(’ウマルレベルのサハーバたちは自分を責めていた)
ー「自責する魂において誓う。 」(75:2)

信仰の純度が高まると、自分の欠点がみえてくる。心中のささいな悪に対しても敏感になる。(サヒーフムスリムⅢ637p)
悪への誘惑ー「それは純粋な信仰を持つためにはのためには有益である」(サヒーフムスリムⅠ99p)

付記:(フサイニー師「イスラーム神学五〇の教理」タウヒード学入門:奥田敦氏訳:慶應義塾大学出版会186p~189p)
「宗教の三つの基礎」
イスラームの教えにおいては、「イスラーム」「イーマーン」「イフサーン」が三つの基礎をなす。
「イスラーム」とは感覚があるいは身体がいかにあるべきか・・法の部分
「イーマーン」とは心あるいは理性がどうあるべきか・・・・・信仰の部分
「イフサーン」とは霊魂がどうあるべきかを示す柱である。・・霊魂の救済の部分(倫理の部分)
単に霊魂の救済を求めるのだけでなく、身体、理性をも必須の構成要素とする教えであることを端的に示している。一つに偏らずに3つのバランスがとれていることが必要。どれが欠けてもそれはイスラームではない。

タウヒード学の位相
アッラーマ、イブン・ア=ッ=スブキーが述べているように宗教の原則が三つであるならばシャリーアの諸学もまた三つである
1)フィクフ・・・イスラームに対応
2)ウスール=ッ=ディーン・・・イーマーンに対応
3)タサウワォフ・・・イフサーンに対応

’ウマル・ビン・ハッターブ(رضى الله عنه)によると

ある日われわれがアッラーの使徒(صلى الله عليه و سلم)と一緒に坐りこんでいると,真白な服を身にまとい,真黒な髪をした男がこちらにやってきた。この男には旅をしてきたという風情は少しもなかったが,われわれは誰も彼も知らなかった。彼は預言者(صلى الله عليه و سلم)の前に,膝と膝をつきあわせて座り,両の掌を両腿の上に置いた姿勢でこう訊ねた。「ムハンマドよ,イスラームについて説明願いたい。」するとアッラーの使徒(صلى الله عليه و سلم)は答えられた。「イスラームとは,アッラー以外に神はなく,ムハンマドはアッラーの使者であると証言し,礼拝を行ない,喜捨を払い,ラマダーン月に断食し,可能な場合に〔アッラーの〕家に巡礼を果すことです。」すると男はいった。「その通りだ。」われわれは預言者(صلى الله عليه و سلم)にこのような質問をし,その答を肯なう男に驚きの眼をみはった。男はまた訊ねた。「それではイーマーン〔信仰〕について説明して欲しい。」すると預言者は答えた。「それはアッラーとその諸天使,〔啓典の〕書と使徒たち,審判の日,善悪2つの相をもつて〔アッラーが定めたまう〕宿命を信ずることです。」男は「その通り」と繰り返してから訊ねた。「それではイフサーン〔善行〕について話して欲しい。」預言者は答えた。「それは貴方がまじまじとアッラーを見るように彼を敬い崇めることです。貴方が眼にしていなくとも,アッラーは貴方を見ておられるのですから。」そして男が件の時〔最後の審判の日〕について訊ねると,預言者(صلى الله عليه و سلم)は答えた。「その問題については,訊ねられた者も訊ね手以上に知っている訳ではありません。」男がさらにその〔時がやってくる〕徴侯について訊ねると預言者(صلى الله عليه و سلم)はこう答えた。「奴隷女が女主人を産み,また貴方は,はだしで素っ裸の文なし牧童どもが,競って豪華な殿堂を建てる姿を見かけるでしょう。」そこで男は立ち去り,私はそのまま暫らくじっとしていたが,預言者(صلى الله عليه و سلم)がこう尋ねられた。「ウマルよ,いろいろものを尋ねたあの人が誰だか解るかね。」私は答えた。「アッラーとその御使い〔だけ〕が御存知です。」すると預言者は(صلى الله عليه و سلم)いわれた。「あの方は天使ジブリールだよ。お前たちにお前たちの宗教について教えるためにいらっしゃったのだ。 
(サヒーフムスリムほか)

インシャーアッラーان شاء الله長くなったので
Ⅱ)自分の心をしつける(鍛える)方法(タハズィーブ)以降はまた次回アップします。

アッラーのご加護と祝福がありますように
و السلام

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