紫陽花記

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別館★写真と俳句「めいちゃところ」

★38 果て? どうする

2024-01-20 09:02:00 | 「と・ある日のこと」2024年度
 

昨年十二月の半ばの、と、ある日のこと。
固定電話に8キロほど離れた駅近くの葬儀社からの電話があった。受話器を取った私の口から出たのは、「ワタシ、今にも死にそうなのよ」といういたずら言葉。電話の向こうのセールスレディは、「え? それにしては、お声が元気ですねぇ」との返答。

さぁ、それからが大変。葬儀用の積立金の誘いである。以前、喫茶店を経営していた時の客に、近くの葬儀社のセールスレディがいて、粘りに粘られて入った、もしもの時の積み立て。それは、息子の葬儀に使われてしまった。息子の死を予想して入った積み立てではなかったのだが、図らずもそのような結果となったのである。どうやら、それと同様の誘いらしい。セールスレディの話術は、あらゆる客の話題に対処できる豊富な知識に裏打ちされていた。

「私の場合、家族葬でいいと思っているのよ。でなければ、直葬で十分。菩提寺の住職に読経を頂き、菩提寺の墓所の我が家の墓の息子の隣へ納めてもらえば、それでいいわ」という私の言葉から、現代の葬儀事情に話題は盛り上がっていった。

 近年、エンディングノートというものに、自分の終末期と、葬儀などの希望を書いておくと言うことが話題になっている。私の場合、様々な希望などを書き残したなら、遺った家族は困らないかと心配になる。希望通りに出来る時間と予算が無い場合、遺族は心残りでもあるし、思い通りにしてやれなかった後悔さえ持ってしまうのではないか? そう思うと、遺族の都合に合せた見送り方で十分だと思う。だから、エンディングノートなどは絶対書かないつもりだ。

 そのような話までしたが、今更ながら、人生の終わり方まで考えなければならないお年頃になったのかなぁと、ため息が漏れた。




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