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DAZN観戦 2023年J2リーグ第30節 ブラウブリッツ秋田vs東京ヴェルディ

2023-08-17 16:01:00 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の秋田の記事はこちら(27節・山口戦、2-1)
※前回のヴェルディの記事はこちら(24節・長崎戦、1-2)

<秋田スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 松本ケンチザンガ(駒沢大)の来季加入が決定し、同時に特別指定選手となり今節から登録。

<ヴェルディスタメン>

  • 中原がJ1・セレッソからレンタルで加入し、27節(仙台戦、4-3)から登録されて毎試合スタメン出場。
  • バスケス・バイロンが(町田へ)完全移籍となり、26節(徳島戦、0-0)をもって登録抹消。
  • マリオ・エンゲルスが契約解除となり、27節をもって登録抹消。
  • 加藤弘堅が(J3・長野へ)完全移籍となり、28節(水戸戦、0-0)をもって登録抹消。
  • 杉本が(群馬へ)レンタル移籍となり(以下同文)
  • 橋本が(J3・YS横浜へ)育成型レンタル移籍となり、29節(清水戦、0-1)をもって登録抹消。
  • 阪野が(J3・今治へ)完全移籍となり、今節をもって登録抹消。
  • 谷口の故障が発表され、25節・町田戦(2-2)で発生して全治4~6週間との事。
  • 林の故障が発表され、28節に発生して全治6週間との事。
  • 来季加入が内定している食野(京都産業大)が特別指定となり、今節から登録。
  • ユース所属の山本が2種登録となり、今節から登録。
  • 山田剛がプロA契約を締結。

試合前のインタビューからも推測されるように、ヴェルディ・城福浩監督の、秋田のサッカースタイルに対する警戒心は並々ならぬものがあり。
前半戦こそ勝利した(2-1)ものの、果たして主力選手の入れ替わりを経て挑む事となった後半の同カードも、同じように勝利できるかどうかが注目されました。

ここからは勝手な予想となりますが、恐らく前年初めて秋田と戦った際の敗戦(36節、0-1)が、城福氏の脳内に強烈にインプットされていたと思われます。
フィジカルの強度を存分に生かしたスタイルに難儀しただけでなく、主力選手だった杉本の負傷退場にも見舞われ。(その際に城福氏が発した「信じられないよ!」という異議が今でも印象に残る)
そんな秋田のスタイルに屈する事無く、強靭なチームへと変貌した今季のヴェルディ。
その秋田から千田を移籍加入させたのみならず、生え抜きのメンバーにも稲見・綱島・佐川・山田剛とフィジカル面に特徴ある選手を戦力に仕立て上げ。

かくしてパワーサッカーの趣が年々強まっているJ2において、昇格争いの片翼を担う戦いを繰り広げているヴェルディ。
それでも自動昇格圏から押し出され、再びその中に入るための試金石となった感のあるこの日の秋田戦。

立ち上がりに秋田の攻撃でロングスローには持ち込ませなかったものの、前半2分で秋田の自陣からのフリーキック、GK圍のロングフィードを防ぐもコーナーキックを献上。(そこからニアにクロス→フリックを経て齋藤恵がヘディングシュートも枠外)
つまりは秋田に普段通りの戦いを許す入りとなりましたが、この日のヴェルディはロングボール攻勢への対策にウェイトが置かれ。
即ち、秋田がこぼれ球を回収したり最終ラインで攻撃を切った際に、前線がキッチリ寄せる事でロングパス自体を抑制する立ち回りを貫きます。

得意手を一つ封じられる形となった秋田。
同サイドでの細かい繋ぎからのスルーパス攻勢へと舵を切るも、その裏抜けもヴェルディの最終ラインが対応して中々繋がらず。

そんななか14分に敵陣でボール奪取という違った形での好機を迎え、ヴェルディのトランジションを受けて速攻は出来ずも、藤山の左→中央へのミドルパスを水谷がスルーし、エリア内の梶谷へと渡り。
これを反転シュートに持っていった梶谷ですが、ゴール左へと僅かに外れて先制はなりません。

秋田のストロングポイントを消す事に意識を割くヴェルディですが、反面自身からの攻撃は殆ど形にならず。
典型的なトレードオフといった内容でしたが、20分に自陣からのスローインを空中で繋ぎ、齋藤功の胸での落としを経て地上から前進。
稲見の左→右へのサイドチェンジが決まったのち、宮原の手前からのクロスを加藤蓮が大外から合わせにいく(クリアされて撃てず)という具合に、ワイドをくまなく使った攻撃を見せたもののそれだけといった第1クォーターに。

24分に挟まれた飲水タイム。
ヴェルディは27分に最初に好機を掴み、空中戦を経て中原がドリブルからグラウンダーでのクロスに持ち込むもやはりシュートには繋がらず。
これ以降打ち止めとなり、再び受けに回る事に。

相変わらず秋田対策が光るものの、34分に諸岡のパスカットを受け、彼のドリブルを後ろから反則で止める形となった森田が警告を受け。
やはりショートカウンターに持ち込まれる事がこの日一番の脅威といった感じで、秋田はこれで得たFK(右サイドかなり手前)から、キッカー水谷ファーにクロス→河野折り返しという定番の形で好機。
こぼれ球を才藤が拾ってシュートに持ち込みます。(ブロックに当たり枠外)
38分は自陣からのスローインを、GKへと戻したうえで圍がロングフィードを送った事で敵陣奥でのスローイン(=ロングスロー)に持ち込むなど、ヴェルディの対策にも慣れを示し始め。

良い守備が続いているうちに、良い攻撃を見せたいヴェルディ。
次第に秋田のプレッシングも、2トップがアンカー側で構えるスタイルへと移行するとボール保持も上がり。
40分に奈良輪の対角線へのロングパスからの攻撃、セカンドボールを確保して細かく繋ぎ、奥を窺う姿勢から宮原が戻りながらのキープでプレスを誘った末にスルーパス。
走り込んだ染野が最奥からグラウンダーでクロスを送ると、ニアに走り込んだ加藤蓮が合わせましたがGK圍が眼前でセーブと、際どく防がれます。

これがこの日のヴェルディの初シュートで、かなりゴールに近付いたものの依然として攻撃機会は秋田が圧倒する流れ。
しかしその秋田も長所を発揮する機会は少なく、ヴェルディのプレッシングに対して後方でパスワークでいなすという、これが本当に秋田なのかと疑うようなシーンも作ります。(あくまでロングパスを送る隙を作る意味合いでしょうが)

結局スコアレスで前半が終了。
お互い攻撃で本来の持ち味を出す事が少ない、我慢比べという内容だったでしょうか。

後半の入り、秋田は自陣からのスローインを受けた畑がそのまま右サイドをドリブル、一気に奥へと切り込んでCKへと持ち込み。
ヴェルディの対策の外からの攻撃パターンで、何とか均衡を崩さんという立ち回り。

一方のヴェルディは相変わらずで、後半4分に左サイド深めで染野がボール奪取した事でCKを得たように、チャンスが来れば……という戦い。
それでも8分にGKマテウスからのビルドアップで、戻しを経てマテウスのフィードで秋田のプレッシングを脱出。
ここからヴェルディらしいポゼッション……では無く、齋藤功の対角線のロングパスに走り込んだ奈良輪、そのままダイレクトで左ポケットへ送り。
受けた加藤蓮のクロスを染野が合わせヘディングシュート(枠外)と、主体的な崩しの中でも速攻気味の攻めで好機を作ります。

しかし9分、秋田にロングボール攻勢に持ち込まれると、平の対応ミスも絡み齋藤恵に裏に抜け出されかかり。
何とかクリアするもセカンドボールを繋がれ、千田が高田に対する反則で止めてしまう始末。(しかも警告)
これで得た右サイドからのFK、それと同時に齋藤恵→丹羽へ交代と、早くも動きを見せた秋田。
キッカー水谷ファーにクロス→才藤ヘディングシュート(枠外)と、しっかりフィニッシュに繋げ。

とうとう守備陣にミスが生まれたヴェルディ、以降も空中戦を制される事で秋田に攻撃を許すシーンが目立ち始め。
17分には千田と梶谷のボール争いの中、顔にチャージを受けた千田が蹲り。
これに対し尚も梶谷が抗戦姿勢を見せた事でヴェルディサイドのヒートアップを呼ぶなど、試合の流れ以外での醜悪なシーンも生まれてしまい。

そんな不穏な空気が覆う相手の隙を突きたい秋田、ベンチは19分に3枚替えを敢行します。(水谷・畑・梶谷→三上・中村・青木)
青木・中村というターゲットマンが出来た事と、ヴェルディサイドの守備強度が落ちて来た事でロングボール攻勢も巧くいくようになり。
21分には左サイドで阿部ミドルパス→青木フリックという流れから組み立て、ワイドから前進する丹羽がそのままシュートを狙ったものの枠を捉えられず。

退潮気配が漂うヴェルディですが、24分に挟まれた飲水タイムの明け方に最初のカードを切り。
加藤蓮・中原→山田剛・綱島へと交代し、齋藤功が右ウイングへ回ります。

27分に右スローイン→綱島フリックでアタッキングサードに持ち込むヴェルディ。
綱島のクロスをキャッチしたGK圍から、素早いスローでカウンターに持ち込む秋田、高田が右サイドをドリブルで駆け上がり。
そして追い越してパスを貰う中村からダイレクトでクロス、中央でバウンドするもその奥で三上が跳び込みましたがクリアされ撃てず。

慌ただしい双方の攻撃シーンが生まれた事で、試合も乱戦模様に。
29分にヴェルディのパスミスをカットして攻め上がる秋田、青木の右サイドでのスルーパスに中村が走り込み、山田剛に蓋をされるものの反則気味に入れ替わって確保に成功。
そしてカットインの姿勢から入れられたクロスに、三上が跳び込みましたがこれも僅かに合わずとモノに出来ません。
一方のヴェルディは、アンカーに入ると思われた綱島が前線に飛び出す事で、そのフィジカルの強さで秋田ディフェンスを苦しめ。
31分には左サイドで受けた綱島がそのまま前進からカットイン、左ポケット奥を突いてGKの眼前からシュートするも、阿部のブロックに防がれます。

その後秋田がGK圍フィード→フリックという流れを何度も通すなど、ヴェルディの対策も既に意味をなさなくなり。
それでも38分に再度ベンチが動き、奈良輪・齊藤功→山越・北島へと2枚替え。(宮原が左サイドバックへ・山田剛が右WGへシフト)
交代の後出しにより、強度で相手を上回れたでしょうか。
更に44分に佐川を投入(染野と交代)と、フィジカル旺盛な選手を入れる事でそれを加速させ。

45分に中盤で奪い合いとなるも、左へこぼれたボールを北島がスライディングで繋ぎ(高田がチャージされるも反則無し)、受けた佐川が中央へ向かってドリブルで持ち運び。
そしてエリア内へラストパスを送りましたが山田剛には合わずと、投入された選手が良く期待に応えて好機を作るヴェルディ。
ここに来て守勢に回る秋田、最後の交代は高田→加賀と守備的なものを強いられます。

そして突入したアディショナルタイム、ゴールキックからのロングフィードを佐川がフリックと、秋田のような攻め手を見せるヴェルディ。
ヘッドで収めた山田剛がそのままエリア内を突き、GKと一対一でシュートを放ちますがGK圍がこれをビッグセーブ。
最終盤で得た決定機も決まらずと、意気消沈しがちな流れのなか尚も押し込むヴェルディ。
左スローインを最奥で受けた山田剛、そのキープを防ぎにいくも加賀が倒してしまい反則。
これでほぼCKに近い左からのFKと、以前の岡山戦を彷彿とさせる最終盤のセットプレー。
そしてキッカー北島のクロスが入ると、中央で合わせにいった平を越え、その奥で佐川がヘディングシュート。
前に出たGK圍に当たりながらもゴールに吸い込まれる、まさに執念と呼ぶに相応しい絵図での先制点をもぎ取ります。

しかし残り少ない時間で諦めない秋田。
ヴェルディの左コーナーでの時間稼ぎを切り(その際ゴールキックの判定への異議で北島に警告)、ロングボールから最後の攻撃へ。
こぼれ球を拾ってラフにロビング、の繰り返しでゴールに迫らんとしますが、右サイド奥で青木→中村へのパスが繋がらずに万事休す。

そしてすぐさま試合終了の笛が鳴り、0-1のスコア通りに紙一重となった試合はヴェルディが制しました。
内容も前述の通り、秋田の戦いを研究、かつ自身も取り入れるという具合にその入れ込み度合が半端無く。
一方それだけJ2で3年目となった秋田の存在感の増大が窺えますが、同時に他クラブがそれをインスパイアする事となると、どうしても秋田自身はハイブリットさに欠けてしまうといった所でしょうか。

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2023年J2リーグ第30節 いわきFCvsヴァンフォーレ甲府 inいわきグリーンフィールド

2023-08-16 16:38:22 | サッカー観戦記

現在、観戦には日曜しか行けない状況とあり、遠征となるとさらに日程を選ばなければならない身。
さらにはウィルス感染状況が切迫している故、安易な東京都内への旅行は死を招きかねない。
そんな事から弾き出した遠征先は、夏季のナイトゲームかつ、それほど大都市では無い場所での試合でした。それなのにお盆の時期を選択する辺り矛盾は避けられない
それに合致したのが今季J2昇格を果たしたいわき。
飛行機で仙台空港へ→電車でいわき駅へ、という大まかな旅路を作り上げ、当日を迎え。

メインとなるのはJR東日本・常磐線で、これが乗り換え2本を含めて約2時間半という長さ。
約1時間毎に1本というダイヤ故に、乗り換えをミスったら終わりという思いを常時抱きながら、睡眠不足に耐え忍んでの長期路線となり。

そして無事にいわき駅へ到達。
早速いわきFCカラーに染め上げられた構内がお出迎え。

達成感もそこそこに、宿到着→スタジアムに向けて出発と慌ただしさは変わらずであり。
この時点で16時。

そして最寄りの湯本駅へと到着。
尚、ここまでの交通の便は「Googleマップ」「駅すぱあと」でリサーチしたもので、いわきの公式HPでの情報はほとんど見ず。
その軽率な行動の報いを、この後嫌というほど味わう事に……

 

 

 

 

 

 

という訳で、肝心のシャトルバスの情報を全く仕入れていなかったが故に、駅から徒歩を選択します。
Googleマップを見ながら(今夏ようやくスマホ入手に踏みきった)という要素もあったので、「エスコン(フィールド北海道/プロ野球・日本ハムの本拠地)まで歩いて行けたんだから余裕」という思いがいかに浅はかなものであったか。
砂利混じりの道路・年季の入った住宅街・勾配激しい歩道無しの道路を歩いていくにつれ、そんな後悔の念に身を包まされ。

そしてやっとの思いで21世紀の森公園に到達しても、まだまだ続く急な坂道。
当然ながら写真を収める余裕は体力的・精神的ともに無く。

そんなこんなで、大量の汗とともにようやく試合の場であるいわきグリーンフィールドへ辿り着きました。

既に時間は17時を窺っており、スタジアムグルメのブースは何処も大行列。
止む無く食事は見過ごし、席の確保に努める事に……

 

まだスタジアムが発展途上という事もあり、チケットの値段はダイナミックプライシングを利用している札幌とは雲泥の差格安なもの。
しかし2度目があるかどうか不明故に、折角だからと利用したのがUAシート。
プラス2,000円(事前申告制)で、VIPのような席での観戦が出来るというシステムであり。
これがゆったりとピッチ状況を楽しめ、かつ密の心配が無いという文句のつけ所が無いものでありました。

そんなピッチの情景は、既にGK練習の最中。
サブのゴールを利用してグラウンド外で行うという、やや違和感を覚えるものでした。

 

集客力は5,000人強という小規模ながら、逆にそれが織り成す集客率の高さ。
熱狂必須の環境は、正直羨ましくあり。(この日の観衆は4,386人)

元がラグビー場という事を示す、電光掲示板とは対称の場にあるスコアボード。

そんな景観を堪能している内に、全体練習の時間に。

身体を大事にするフィジカル養成クラブらしく、真っ先に体幹運動を行ういわき。

 

一方の甲府、注目はやはりピーター・ウタカ。
以前甲府に観に行った際にも在籍していたウタカ(2019年)ですが、その時はモロ休養日にぶち当たってしまったが故にその姿は見れず。
外観的には、その独特なヘアースタイルが注目の的で、三平と並んだ際のその光景は一種の壮観であり。

 

練習内容としては、いわきサイドの「クロスからのシュート練習」が印象に残り。
試合前というタイミングで、このピンポイントなテーマの練習を選択する辺り、いかにセットプレー含めたクロスボールに合わせるかを大事にしているようでした。

そして練習終盤で、甲府のスタメン発表が行われ。

それが終わった直後という、図ったようなタイミングで照明がライトアップ。
ホームのスタメン発表に則しての演出の一環か、と思わされたものの、(練習終了を経て)挟まれたのはイベント。

 

ついに現れました、Jリーグ参入から間も無くいわきのアイドルの座を彗星のように獲得?したマスコットのハーマー&ドリー。(以下ハマドリ)
まずはゲストとスポンサーを立たせる事に努め。

 

「フラガールの街」でもあるいわきらしい、「スパリゾートハワイアンズダンシングチーム」によるフラダンスパフォーマンス。
流石にフラダンスは取得していないハマドリ、その脇で見届けたのち、自身のパフォーマンスに入ります。

メインスタンドに愛想を振りまいたのち……

 

センターサークルで音楽に合わせ踊りまくり、この辺りはDAZNでもおなじみの一幕。
曲自体はコミカルさに針が振れているものの、現地で聞くとそれなりに味わい深い雰囲気を持つのだから、臨場感は重要といった所でしょうか。

こうして渇望感を持たせつつ、ホームのメンバー発表へ。

ニュートラルの絵図から、アニメーションでポージングするというのが特徴の選手シーン。
しかしそのポージングも、次第に「腕組み」「腕を腰に当てる」「ユニフォームのチームロゴを掴む」「両手でガッツポーズ」のいずれかに固定化されている感が強くなり。
↑の江川のような独特なものがもっと増えれば……といった所。

 

中心選手の2人。
離脱者とシステム変更が合わさり、中々ドイスボランチを組めない(組まない)試合が目立っているものの、新境地開拓の一環でしょうか。

今季途中に監督の座に返り咲きとなった田村雄三氏。
引き出しの多さを見せ、単なるフィジカル強靭のチームとは一変させた姿を見せていますが、その仕事に安堵するのは残留決定が果たされた時でしょう。

選手紹介の間も、ピッチ内でパフォーマンスに徹していたハマドリ。
選手入場の時間を迎えた事で、メインスタンドの方に向かい、選手の最後列に並ぶと思いきや……

何とカメラマンのすぐ後ろに位置取り。
そして入場してきたいわき選手全員とタッチを交わす独特のスタイルを見せました。

 

この愛くるしい姿に、こちらとしてはもうメロメロでした。

 

あまりのハマドリの存在感に、この時甲府のマスコット・ヴァンくんの姿に初めて気付いたのは笑えない……(試合前イベントは到着時に既に終わっていたし)

選手・審判団全員と握手を交わすその姿もお馴染みとなった、ヴァンくんの礼儀正しさ。ただししょっちゅう脱ぐ
この後マスコット両者がいちゃいちゃとする姿が描かれ、試合前の憩いの一時もそろそろ終焉を迎え。

 

観客席の大部分を埋めた会場での、試合の行方は如何に。

この日のスタメン。
しかし開始して間も無く、早々に名前を入れ替える時が来るとは誰にも想像はつかなく。

甲府には、長崎からクリスティアーノを完全移籍で獲得と、新戦力が加わり。
昇格へ向けた最後のピース、としたい所でしょうが……。
尚、電光掲示板のスタメン表は完全に取り忘れてしまい。(駄目じゃん)

試合が始まり、前半2分にウタカが下田に反則を受けた事で、早速そのクリスティアーノの見せ場となるフリーキック。
左ワイドという位置でしたが、直接シュートを選択したクリスティアーノ。
これをGK高木和がセーブし、こぼれ球を攻撃に繋げたいわき、このカウンターが事件を生み出します。
裏へ送り込まれたロングボールに対し、敵陣でのセットプレー故に前に出ていた甲府GK河田、一旦クリアに向かう姿勢を見せるも永井の走り込みを見て戻りを選択。
しかしこの動きが転倒を招いてしまい、その隙を突いて受けた永井が左ポケットへ持ち運んだ事で、ガラ空きのゴールへシュートという願っても無い好機が作られます。

このシュートは角度が足りず、左サイドネット外側に終わってしまいましたが、問題のシーンはその後。
必死に永井を追ったGK河田、そのまま倒れ込んで動けなくなってしまいます。
どうやら転倒の原因は切り替えた事での故障発生らしく、大ピンチ故にプレーを止める事すら許されなかった影響が色濃く表れ。
そのまま続行不可能のサインが出され、慌ただしくアップを始める控えGKの山内。
河田は起き上がり自力でピッチ外に出たものの、結局7分に交代となり、早くもGK交代というアクシデントに塗れた甲府。
山内はこれが2試合目の出場(前回=28節・栃木戦、0-3)で、奇しくも自分は両方とも見届ける事となりました。

デビュー戦は3失点とほろ苦いものだったその山内、この日も早速苦汁を味わう事に。
10分、いわきも先程の甲府と同じ左サイドでFKを得ます。(岩渕が佐藤に反則を受ける)
しかし位置的には深めでほぼコーナーキックの攻め方を強いられるものの、エリアラインから直ぐ近くという絶好のもの。
これをキッカー岩渕がグラウンダーでニアサイドへクロス、このシュートと見間違うようなボールを、密集のなかで合わせたのは山口。
弱々しくもボールはゴール内へと転がり、先制点を奪ったいわき。
しかしその刹那甲府サイドが総出で猛抗議を浴びせます。
どうやら密集の中なので、山口とは別の選手(のちに映像を見返したら、これは江川)がオフサイドポジションに居た事を主張してのものだったでしょうか。(推測)
主審も副審と相談したものの、結局判定は覆らず。

アクシデントの余韻が冷めやらぬうちに、リードを得たいわき。
そのシステムを凝視すると、どうやら宮本を左センターバックに置いた3バックのようであり。
しかし守備時には、左ウイングバックの永井は降りて来ず、4-4-2の布陣で対抗姿勢を採ります。
高い位置を取るWBを軸に、細かなパスワークで崩しにかかるいわき。

飲水タイムは23分に挟まれ。
ここでも広告は無し。プロテインの広告一つあればいわきらしかったかも

いわきの圧力に苦戦がちだった甲府も、その後テクニシャン揃いの前線を軸に反撃体制に。
26分ウタカとクリスティアーノのパス交換を左サイドで行ったのち、中央への展開を経て林田がミドルシュートを放つもブロックに阻まれ。
しかし直後の28分、いわきも細かなパスワークを経てエリア内を突き、谷村のキープを経て岩渕がシュートを放ちましたがGK山内がセーブ。

依然としていわきの攻撃の脅威に晒されますが、敵陣に進入してCK獲得を量産(+反則によるFK)という流れに入る甲府。
これを良く凌いでいたいわきですが、終盤についに決壊する事に。
44分スローインを入れ替わりで受けたウタカが中央を持ち運んだのち右へ展開、関口がグラウンダーでクロス→逆サイドへ流れて三浦がクロスと、ゴール前で右往左往するボール。
そしてクリアボールを確保した甲府、佐藤のミドルシュートがゴールネットを揺らし、良い時間帯で同点に追い付きます。

しかし迎えたアディショナルタイムは、河田の負傷交代もあり6分という長さ。
演じられたのはいわきの怒涛の攻撃タイムで、右から有馬のマイナスのクロスを山口が合わせシュート(枠外)したのが始まりとなり。

そしてその後も攻め続けるいわきに対し、野澤のクリアミスが生まれた事で岩渕が拾ってエリア内でGKと一対一に。
しかし放たれたシュートは僅かに右へ外れてしまい。
これでもまだ終わらず、今度は左奥を突いた永井のグラウンダーのクロスから、有馬のスルーを経てファーサイドでフリーとなっていた谷村がシュート。
ゴール上を強烈に襲ったこのシュートも、バーを叩いてしまい惜しくも決められません。
スタンドから何度も喝采と嘆息が交錯しましたが、結局2点目を挙げられずに前半を終えました。

ハーフタイムもフラダンスショーがあったものの、試合前に寄れなかったグッズショップブースを物色したため観れず。

そして後半開始を迎えるに辺り、いわきサイドにもアクシデントが襲います。
選手の大部分がピッチへと戻る中、一人タッチラインの外で倒れ込んでしまったのは黒宮。
その倒れ方も故障では無いもので、試合とは別の危機感も生まれる絵図となりましたが、それでも試合開始の流れを止める訳にはいかず。
石田が投入されるとともに、いわき選手全員がUターンしてベンチの示す戦術ボードを確認する事となりました。
(黒宮は試合後に無事が発表される)

江川が中央CBへと回り、石田が右CBに入る調整を強いられたいわき。
それでも始まった後半は、アクシデントの影響を感じさせず普段通りの攻撃を貫きます。

そして後半5分に得た右CK、キッカー山下のクロスはグラウンダーでエリア外と、サインプレーを選択。
これをフリーで岩渕が合わせ、放たれたシュートを甲府ディフェンスがブロックして枠外となると、すかさずハンドのアピールをする岩渕。
そして鳴らされる主審の笛、エリア内という事でPKとなります。(腕でブロックする形となった佐藤に警告)

絶好の勝ち越し機を得たいわき、キッカーはハンドを誘発した岩渕。
その得点センスに期待が掛かるとともに、GK山内にとってはデビュー戦に続きPKを経験する事態となり。
そして勇んでキックに入った岩渕ですが、独特の助走モーションを経てゴール左へと放たれたそのシュートは力無く。
読みきったGK山内がキャッチと、決めるどころか完璧に止められる始末となってしまいました。

九死に一生を得た甲府、その後CKから武富のヘディングシュート(8分、枠外)とにわかに勢い付き。
それでもいわきの圧力をかわしきる事は困難で、ミスプレーも絡んで膨らむピンチ。

そしてベンチが動く甲府。
15分にいわきのCKというタイミングでしたが、武富に代えてエドゥアルド・マンシャを投入。
CBを一枚増やすという事は、即ち3バックへのシフト(3-4-2-1)となり。
そのCKで早速クロスをマンシャがクリアという場面となったものの、いわきはそれを繋いで山口がヘディングシュート。(枠外)

以降布陣変更した甲府に対し勢いを失ういわき。
縦に速い攻めへと意識が傾くに伴い、流れを失うという悪循環に陥っていた風であり。
それを尻目に甲府は22分に野澤がヘディングシュート(GK高木和キャッチ)、23分に林田がシュート(枠外)とフィニッシュを重ね。
いわきはそのフィジカルを活かした果敢なアタックも裏目に出るようになり、21分にはウタカに対し反則した江川が警告を受け。

後半の飲水タイムが採られ、押され気味となってきたいわきはここで3枚替えを敢行します。
山口・岩渕・永井→吉澤・有田・河村へと交代。

その第4クォーターの入り、関口がバックパスをミスしていわきのCKとなる(24分)など、甲府が再び圧を受けるような絵図が生まれ。(このCKからクリアボールを宮本がシュートするも枠外)
それでも立て続けに決定機を外し続けたいわき、既にこの日の運気は使い果たしていたでしょうか。
27分には蓮川に対し反則を犯した山下が警告を受けるなど、良い流れを作れず。

一方の甲府もさしたる好機は生まれず、31分にいわき同様に3枚替えを敢行。
佐藤・クリスティアーノ・ウタカ→品田・宮崎・三平へと交代します。
34分にその三平にエリア内中央へとボールが渡りかかり、ディフェンスに遭うもCKに。
キッカーは品田に代わり、クリアされるも林田を経由し再び右サイドの品田へ。
ここからクロスでは無くシュートを狙いにいった品田、GK高木和が辛うじてセーブ(再度CKへ)する際どい一幕を生みます。

再びゴールを脅かされたいわき、36分に谷村→近藤へと交代。
ここから4バックへと移した(CBは江川・石田、サイドバックは右が宮本・左が河村)しょうか。(下田・山下がドイスボランチのオーソドックスな4-4-2)

勝負手は使いきったものの、一向に流れは良くならないいわき。
判定に対しても(観客席も併せて)不満を持つシーンが増え、その結果40分に反則の際に河村が異議で警告を貰ってしまい。
それでもこの時間帯まで来れば、強引でも何でもいいから勝ち越し点が欲しい展開であり。
41分にその河村が左サイドをドリブルし、ポケットを突いてシュート。(ブロック)
44分にはロングパスを左サイド奥で受けた近藤、そのままカットインを経て角度の無い所からシュート(枠外)という具合に、その意識を結果に結び付けんとします。

しかし45分パスミスを犯してしまい、ボールカットした宮崎は遠目からロングシュートを狙い。
枠外に終わるも、力強さと雑さが両立しかねない展開となった終盤戦。

ATは前半より短くなったものの、それでも5分。
その最中に敵陣中央で下田のボール奪取から好機を作るいわき、有田シュート(ブロック)→山下シュート(ブロック)と連撃を浴びせましたが打ち破れず。
押しまくるも得点出来ずにいると、最後は甲府にCKの好機が。
ここで失点すればすべてが水の泡、という所でしたが三平のヘディングシュートは枠外となり。
負けはせずに済んだものの、1-1のまま引き分けで幕を閉じる事となりました。

試合終了後の整列。
その後そさくさとハマドリも挨拶の輪に加わるなど、勝ちを逃したという試合にも拘らず悲壮感を感じさせないいわき。
いかにも発展途上のクラブらしい、次に切り替えるスムーズさは他のクラブも見習う所がある。
そんな事を考えさせながら、流石にシャトルバスでスタジアムを後にしました。

いわき駅・湯本駅周辺の風景はこちら

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第21節 FC大阪vsY.S.C.C.横浜

2023-08-11 18:19:52 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 前半は、↓とは逆のコートでスタート。
  • DAZNの予想スタメンでは、YS横浜のフォーメーションは3-3-1-3。(萱沼がトップ下で、アローヨ・道本が両ウイングとなっていた)

今季からJリーグでの戦いをスタートさせたFC大阪。
初めて観る場合は、そのホームグラウンドが東大阪市花園ラグビー場という、他競技のものを使用している事に面食らうでしょう。
第3グラウンドまであり、前年のJFLでの試合の際は主に第2グラウンドを利用。(服部緑地陸上競技場との併用)
しかし観客動員が昇格の課題となるや、最終節では集客力のある第1グラウンドを使用。
その際の相手が鈴鹿ポイントゲッターズというカズのおかげで圧倒的な集客力を誇るクラブが相手だったため、無事に大観衆を集めて条件クリアに至りました。

それでも第2グラウンドが1,000人強という集客力しかない故に、J3へと舞台を移した今季は全て第1グラウンドでの開催。
これに対して「花園は聖地」という思いを抱くラグビーファンから異論の声が噴出したものの、既に東大阪市は(2020年から)指定管理者を東大阪花園活性化マネージメント共同体(FC大阪を含む3社で構成)とする事としていたので、慌てて反対した所で後の祭りという状況でした。
そんな訳で、ラグビー場での戦いを繰り広げているFC大阪。

しかしそのピッチコンディションは、遠目からでも非常に芝の状態がまちまちなのが解り、メインスタンド側の剥げ具合が酷いといった感じであり。
パスサッカーを繰り広げる相手のYS横浜にしてはとてもやり辛そうで、加えてFC大阪のハイプレスに悩まされる二重苦となり。
何とか誤魔化しながら、前半4分にスローインを直接受けにいったアローヨが舘野に反則を受けた事で得た右サイドからのフリーキック。
キッカー中里のクロスから萱沼がヘディングシュート(枠外)と、ファーストシュートに辿り着き。

攻撃サッカーの名倒れは避けたいYS横浜でしたが、その後はFC大阪のアバウトな前進に難儀。
ロングボールで前進し、その都度スローインを獲得の繰り返しという、ストーミングっぽいスタイルで文字通り地の利を得ようとするスタイル。
何とか対抗したいYS横浜ですが、10分には後方からロングパスを出そうとした所、二階堂がスリップしてしまい蹴られたボールは禹がカット。
そして拾った木匠のドリブルを柳が反則気味に止めてしまう(笛は無し)という具合に、苦境の色を示し。

そんな試合絵図を変えんとしたのが、リアルストライカーの福田。
以前観た際(13節・愛媛戦、3-2)以降ノーゴールが続いているものの、相変わらずゴールへの意欲は旺盛であり。
11分に左サイドでのスローインからの繋ぎから、ワイドからカットインでポケットを突き、そのままシュートを放つ福田。(ブロック)
守備面でも、18分に激しいプレッシングでFC大阪最終ラインを乱した末に右サイド深めでボール奪取。
そしてこぼれ球を萱沼が果敢にダイレクトでシュート(GK永井キャッチ)と、福田の前向きなベクトルを軸にペースを掴まんとしたYS横浜。
26分にはGK児玉のロングフィードを収めるも、腕に当ててしまいハンドで途切れてしまう等、それが空回りするのも不変でしたが。

しかしこの辺りから、FC大阪はストーミングに近いそのスタイルを改め、最終ラインから繋ぐ攻撃へと変遷。
前述のシーンこそ福田のプレッシャーの脅威を受けたものの、その後はしっかりと敵陣で攻撃を終え。
プレッシングも相変わらず冴え渡り、ボランチの禹が前に出るキツい前線の守備に対し、YS横浜はとても繋ぐ余裕は作れず。

そんな流れで挟まれた飲水タイム。(26分)
このままでは苦しいYS横浜、ロングボールをアローヨに当てる攻撃を取り入れて何とかFC大阪のプレッシングをかわしに行きます。
それでもポゼッションスタイルを捨てる事も無く、最終ラインでプレスをいなした末のロングボールで、しっかりとFWに当てにいくのが中心の攻撃。
33分には花房がロングパスを出し、アローヨでは無く福田が落下点に入ったものの、その頭を越えてバウンドしたボールにアローヨが走り込むナチュラルなトリックプレーに。
そして左ポケットからアローヨのシュートが放たれるも、ゴール右へと外れてしまい先制ならず。

これで無事ペースを掴んだYS横浜、36分に再び花房のロングパス、今度はアローヨが収めてそこから敵陣で繋ぎ。
そして左ポケットで縦パスを受けた福田、エリア外へと戻ったその刹那ミドルシュートを放つと、GK永井がセーブした跳ね返りを萱沼が詰めてシュート。
しかしオフサイドを取られてしまい、これも惜しいフィニッシュに止まります。
直後の37分にも、敵陣でキープする道本が(美馬に)反則を受けた事で、良い位置での直接FKと好機は続き。
これをキッカー道本が壁の間を通してシュート、ゴール右を襲ったこのボールをGK永井がセーブ、右へこぼれた所をすかさず詰めにいった花房。
ここでマイナスのクロスを選択しますが、中央で走り込んだ萱沼・福田のどちらにも合わずと、これまた際どい好機を逃し。

この影響でYS横浜が勢いを失った事で、極端に攻撃機会が少ない展開(自分の集計です)へと移行した前半の残り時間。
散発的にFC大阪が好機を作るもフィニッシュには繋げられず。
結局スコアレスのまま前半を折り返します。

後半が始まる前に、動いたのはFC大阪の方で木匠→島田に交代。
チームのトップスコアラーの島田(5点)ですが、この日は後半まで温存という形となっており、ギアを上げに掛かったでしょうか。

長いブレイクが挟まれた事で、再びやり直しを強いられるように中々攻撃機会を作れないYS横浜。
それを尻目にペースを掴みたいFC大阪、後半は主に左肩上がりでのビルドアップの形を取り。
その狙いは後半4分に端的に現れ、前に出た左サイドバックの舘野、田中の戻しを受けるとそのままアーリークロス。
この角度を付けたクロスを、投入された島田がファーサイドで合わせましたが、放たれたヘディングシュートは花房が腹部でブロックして防ぎ。(鳩尾を突かれた事で暫く蹲る)
舘野のクロス精度を利用するシステムと理解出来ましたが、本格的に威力を発揮するのは暫く後となり。

不本意な入りを強いられたYS横浜ですが、以降本腰を入れ本来のパスワークを貫きに掛かり。
前半はあまりの繋がらなさに、アンカー中里が最終ラインに降りてカバーする場面も見受けられましたが、後半はそれはほぼ皆無であり覚悟を持った物の強さを発揮。
敵陣でポゼッションを高める流れを無事に作り上げます。

そして10分、その敵陣でのパスワークから、一旦戻されたのち中里が斜めの縦パスをペナルティアークへと打ち込み。
これを萱沼がポストプレイで繋ぎ、受けた冨士田がエリア内を突いてシュート。
ゴール左へと突き刺さり、綺麗な縦パス→ポストプレイの流れを描いたゴールで先制点に辿り着きました。

リードを奪われてしまったFC大阪。
以降島田をターゲットとし、彼のポストワークを軸にペースを掴まんとします。
ディフェンスに遭いながらも頑張りを見せる島田でしたが、残念ながらそこからはフィニッシュを生み出せず。
15分に再度カードを切るFC大阪、禹・田中→日高慶太・利根へと2枚替え。

一方のYS横浜も動き、先日ヴェルディから育成型レンタルで加入した橋本を投入したのが18分。(アローヨと交代)
ポゼッションを確保できた以上、必要なのはターゲットマンよりもドリブラーという選択を採ったでしょうか。
その後も、パスワークに橋本のドリブルを加えるという形でペースを確保するYS横浜。
FC大阪に攻撃機会をロクに与えず、後半の飲水タイム(23分)まで時間を進めました。

ブレイクが明ける際、町田→渋谷へと交代とさらに動いてきたFC大阪。
これで4人目の交代と積極的に動くこの日の志垣良監督。

しかし流れは依然として変わらず、27分に橋本のドリブルから右コーナーキックを獲得したYS横浜。
ここから試合は動き、キッカー中里のクロスを花房が合わせヘディングシュート。
これをキャッチしたGK永井、低いロングフィードで素早い攻めを選択したものの、これが完全に裏目に出る事に。
古川を走らせたものの届かず、逆に前に出たGK児玉が前線へ蹴り込むと、これがFC大阪最終ラインの裏を突くボールとなり、そこに福田が走り込む泣きっ面に蜂の状況に。
ピッチコンディション故の不規則なバウンドも絡み、クリア出来ず福田に収まった末にシュート。
ゴールネットが揺らされ、トランジションの連続と呼ぶのも生易しすぎるといった流れで、YS横浜がリードを広げました。

これで攻めるしか無くなったFC大阪。
久保の推進力を前面に押し出したうえ、ボランチの位置から前線へ飛び出す渋谷の動きも絡めてYS横浜ディフェンスを低い位置に押し込み。
そうしたうえで、前述の舘野を中心とした左手前からのクロス攻勢に活路を見出す事となります。

それが具現化したのが最後の交代カード投入で、美馬→坂本。
本来DFの坂本をFW起用する(ただしFW経験はあり、2017年はJFL(奈良・当時)で18得点)という苦肉の策に近いものでしたが、それが最高の結果を齎します。
右CKを得られたというタイミングで敢行したこの交代策で、その坂本のファーストプレイが、キッカー日高のニアサイドへのクロスを合わせてのヘディングシュート。
これが綺麗に対角線を描き左サイドネットへ突き刺さる、まさに起死回生のゴールとなりました。

勢いを得たFC大阪、坂本が最前線となった事で古川が右サイドハーフ・久保が右サイドバックとそれぞれ一列下がった位置へシフト。
続く34分にも舘野の手前からのクロス、これを坂本が身体で落とした所を渋谷が拾い。
全てのピースが嵌るかのように繋がりましたが、放たれた渋谷のシュートはゴールバーを直撃して枠外と、惜しくもモノに出来ません。

それでもその勢いに任せ攻め上がり、続く35分には右スローイン、久保が一気に裏へと投げ込んだ事が奏功。
奥で受けた渋谷のクロスが上がり、坂本が合わせにいきこぼれた所を日高が繋ぎ。
勢い余って橋本と交錯した(正直日高の反則に見えたが笛は鳴らず)事でYS横浜サイドの足が止まってしまったでしょうか、拾った舘野のシュートが豪快にゴール上部に突き刺さります。
立て続けの得点による同点劇で、ホームの観衆を熱狂に包む事に成功したFC大阪。

以降も舘野のクロスを中心に攻め込み、一気に逆転を狙いにいくFC大阪。
37分に坂本の落としから、ポイントゲッターの島田にチャンスが訪れるも、あろう事か空振りで逃してしまい。
その直後にも同じく坂本の落としを経てボレーシュートを放った島田でしたが枠を捉えられず。

怒涛の攻撃を許すYS横浜。(38分に冨士田→大嶋に交代)
40分には福田が反則気味に日高に奪われてさらに攻撃を許し、例によって福田が激しく異議を唱える等そのフラストレーションも最大近くとなり。
とりあえず一息つきたいのは当然であり、42分に何とか橋本のボール奪取からのキープでそれを果たす事に。
そしてその直後に最後の交代カードを使用(中里・福田→土館・松村)と、こちらも手を打ち尽くします。

その後は大嶋をターゲットとしたロングボールが中心と、既に試合も最終盤故に細かい組み立てに頼れる余裕は無く。
そして突入したアディショナルタイム、GK児玉のロングフィード、低い弾道ながらバウンドが高く跳ね上がり。
これを橋本がフリックで繋いで好機を作るYS横浜、拾った萱沼の右ポケットへのスルーパスに走り込んだ松村。
マイナスのクロスを送るもブロックされ、ワイドで拾い直して再度クロス、今度は高いボールを経て大嶋がヘディングシュート。
しかしフリーで放たれたこのシュート、GK永井がファインセーブで勝ち越しは許さず。
FC大阪の方が攻撃機会が多かったATですが、最も印象を残したのはこの決定機となりました。

そして2-2のまま試合終了。
引き分けに終わり、これで4戦連続引き分けとなったFC大阪。
しかも以前の3試合はスコアレスドローと、J初年度ながら整然とした戦いは出来ているという印象です。
とりあえず降格の危機は今の所無さそうで、この特異なホームスタジアムの中、どれだけ地元のファンを惹きつけられるかどうか。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第22節 川崎フロンターレvsガンバ大阪

2023-08-10 16:01:09 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

王者奪還に向けて敗戦は許されない状況の川崎。
それに立ちはだかるのは目下8戦無敗(7勝1分)のガンバと、勝利とともにその「負けない運」も奪い取りたい一戦となりました。
前回観た天皇杯4回戦(高知ユナイテッドSC戦、1-0)のメンバーに、故障明けのダミアン・マルシーニョ(+脇坂)を加えて挑んだ試合。

立ち上がり、ロングボール中心の配給でボールを失うという事を繰り返していたガンバ。(とはいえ難しい一戦に備えた様子見の立ち回りとしては納得できるものであり)
それを尻目に攻撃権を確保する川崎は、助っ人2人の出来を確かめるような攻め。
早々の前半1分にマルシーニョが左サイドをドリブルで切り込み(その後家長とのパス交換で奥を突いてクロス)、4分にはダミアンが山根のグラウンダーでのクロスをニアで受けると、浮かせたボールをそのままバイシクルシュート(枠外)と得意のプレーを見せます。

期待に応える2人を見るや、中盤もその2人目掛けてのスルーパスを中心に組み立て。
しかしオフサイドを量産してしまう結果に終わり、成果は上がりません。
11分には最後方から、ミドルパスをダミアンフリック→橘田左へパス→マルシーニョカットインでゴールに迫り、ボックス右角の家長へ。
良い流れでチャンスエリアに到達しましたが、家長はボールキープから戻し、結局作り直しを選択してシュートにはいけず。

川崎がボール支配するが故の倦怠感を覚えるなか、13分にガンバの反撃。
このタイミングで本来のスタイルであるボールポゼッションによる攻めを繰り出し、最終ラインでボールを持つなか、アンカーのラヴィの脇にインサイドハーフ(ダワン・山本)が2人とも降りて来る布陣を取り。
するとそこを使わずに右サイドからの前進を選択、高尾縦パス→ジェバリダイレクトでスルーパスと素早い運びを経てアラーノのクロス。
このグラウンダーで入れられたボールを、中央でシュートにいったジェバリは空振りするも、その奥で拾った石毛が果敢にシュート。
これが左ポストを叩いたのちにゴールネットを揺らし、先制に成功します。
この試合初めてのビルドアップ成功を見事結果に繋げたガンバ。

一方良い具合に攻め続けながらリードを許した川崎。
以降も同点を目指し攻めるのは変わらず、15分に早くもこの試合3本目のコーナーキック。(キッカーは全て脇坂、ここはシュートには繋がらず)
18分には左サイドの登里から、再びダミアンを走らせるスルーパスをポケットに送りましたが、ダミアンのシュートには繋がったもののこれもオフサイドとなり不発。(シュート自体もGK東口がセーブ)

するとリードしているガンバが攻撃権も剥ぎ取りに掛かり。
19分のダワンのミドルシュート(GKチョンソンリョンセーブ)を境に、川崎が量産していたCKも飲水タイムまでに3本とあっという間に同数となります。
20分に再び右サイドから早い前進で、スルーパスを受けたジェバリが高井を股抜きで剥がしてのカットイン。
これでゴール前まで迫りボールキープするも、ディフェンスに遭いシュートは撃てず。
一方の川崎はガンバ3本目のCKからカウンターに持ち込む(24分)も、マルシーニョのドリブルが藤春に対応されて終わり、これ以降マルシーニョはほとんど目立たなくなってしまいます。

25分に飲水タイムが挟まれ。
流れを変えたい川崎、27分に大南ロングパス→ダミアン胸でポストプレイで敵陣へ運び、パスワークで組み立て。
その最中にエリア内へ脇坂が走り込み、そこに登里のミドルパスが収まる決定機となると、中央へ流れシュートを放つ脇坂。
ゴールネットを揺らし、ブレイク明け最初の攻撃で同点と良い流れを予感させるゴールとなりました。

しかしその思いは浅はかだったか。
直後のガンバの攻撃(29分)、ロングパスのセカンドボールを繋ぎ再び右サイドから攻め、高尾の右ポケットへのパス。
スペースに出したようなパスでしたがいち早く拾いにいったのはシミッチで、攻撃終了を予感させた所にその後方から石毛が走り込み。
そしてボールタッチした刹那シミッチのチャージを受ける形となり、反則の笛が鳴りPKゲットとなったガンバ。
カタールW杯のブラジルvs韓国の一幕が思い出される与PKでしたが、ともかくこれをキッカー・ジェバリがゴール左隅へと決め。
川崎にとっては束の間の安堵といった感じで、再びガンバリードとなりました。

その後はガンバがすっかり立ち上がりの堅さが取れたようで、敵陣でのボールポゼッションから、戻して作り直しを選択という具合にゲームコントロールも巧みになり。
早めに追い付きたい川崎は、35分に左→右へのサイドチェンジのパスを受けようとした山根が、藤春に足裏でチャージされて反則。(藤春に警告)
これで得たFKからの二次攻撃で、左サイド奥を突いたマルシーニョのパスから、橘田がエリア内でカットイン。
しかし三浦のチャージを受けて倒れ、反則無しとなった事で「こちらにはPK無しなのか」というヘイトが溜まるのみに終わってしまいます。

終盤に入り、何とか攻撃権を確保せんと再びポゼッションを高めに入る川崎。
40~41分に長らくパスを繋ぐものの、結局攻めきれず作り直しを選択。
しかしこれが運命の分かれ道となり、ジェバリのプレッシャーを浴びながら出した高井のバックパスがズレてしまい、アラーノが前に出て掻っ攫い。
そのままGKと一対一に持ち込み、前に出たチョンソンリョンを右にかわし、大南のブロックもループシュートで無効化してゴールを奪います。
以前はこうした最終ラインのミスはガンバが犯す方(この試合とか)でしたが、チーム状況の好転とともにこちらの面でも逆転を果たしたようでした。

2点差を付けられた川崎、アディショナルタイムに怒涛の攻撃を仕掛けるもフィニッシュには辿り着けず。
結局1-3で前半を終えると、ハーフタイムで交代敢行。
埋没気味となっていたマルシーニョに代えて瀬川を投入します。

賽が振られた後半ですが、お互いにロングボールを送る立ち回りで中々好機が生まれず。
最初の好機は後半4分と遅めで手にしたのはガンバでしたが、ここでもハイボールでの争いを制してのもので、確保したのち山本のスルーパスを受けた藤春が左ポケットを突き。
そしてグラウンダーでクロスが入るも、ニアで受けた石毛が収められず。

すると川崎が圧を持って反撃に掛かり。
5分にボールカットで浮かんだボールをダミアンが左ポケットへ落とし、そこに瀬川が走り込むという強引な好機に。
一旦拾われるも奪い返した瀬川、そのままシュートを放ちましたが角度が足りずゴール右へと外れ。
この場面然り、ハイボールやポストワークで奮戦するダミアンですが、肝心のシュートシーンでは7分にエリア内中央で撃ちにいったもののジャストミート出来ず。

攻め込むもゴールは奪えず、12分にはCKからガンバのカウンターを招いてしまう(シュートにはいけず)など、流れは決して良くない川崎。
13分に再び動くベンチ、登里・シミッチ→佐々木・瀬古へと2枚替え。(橘田がアンカーに回る)
そして矢継ぎ早に18分にも交代、ダミアンに代えて山田を投入します。

佐々木が入った左サイドからの仕掛けに、家長も逆サイドから加わるお馴染みの流れで攻め上がる川崎。
19分にそこから上がったクロスの跳ね返りから、瀬川がミドルシュートを放ちますがダワンが頭でブロックして防ぎます。
これにより脳震盪の疑いで試合が止まる(ダワンは無事にプレー続行)も、これで得た流れは止まらず。
22分にも佐々木のクロスからの二次攻撃で、左ポケットを突いて瀬古がグラウンダーでクロス。
ファーサイドまで流れた所家長が合わせましたが、ブロックを掠めてゴール左へと外れ。
しかし怒涛の攻撃により再びCKの数も増えていきます。

そして飲水タイム(23分)の後の26分。
家長のクロスがブロックされて右サイド奥からスローインとなると、直接ポケットへと投げ込み山田がポストプレイで繋ぎ。
脇坂が中央へ運んだ末に瀬川がダイレクトでシュート、これがGK東口の左脇を抜いてゴールとなり1点差に迫ります。

追い上げられるガンバ。
直後の27分にアラーノが敵陣深めでボール奪取するシーンがありましたが、ショートカウンターには繋げられず。
それどころかここから川崎のロングカウンターが発動する(シュートには繋がらず)という具合に、勢いの差が如実に表れます。
それに拍車を掛けるように、スローインの際にアラーノが遅延行為で警告を受けてしまうなど、弱気な面も見せてしまうガンバ。

そして29分に再び右CKを得た川崎。
キッカー脇坂のクロスがニアで跳んだ高井を越え、中央の家長にも収まらずも、こぼれ球を橘田がシュート。
三浦がブロックで防ぐもここからシュートラッシュを見せる川崎、ヘッドで送られたボールがこぼれた所を山田がシュート。(ブロック)
エリア外へこぼれるも、右サイドで拾った脇坂のクロスを山田が折り返し、拾った瀬古がシュート。
眼前からのシュートでしたがGK東口がセーブ、跳ね返りを佐々木がシュートするもこれもセーブした東口。
しかし続く瀬川のシュートは防げず、合計5本のシュートでようやく攻めきった川崎、とうとう同点に追い付きました。

尚も31分にGKチョンソンリョンのフィードから左サイドで前進、瀬古スルーパス→瀬川グラウンダーでクロス→山田シュート(枠外)と川崎の勢いは続き。
一気に劣勢となったガンバ、これまで手を付けなかった交代カードを切ったのが35分。
ラヴィ・ジェバリ・アラーノ→宇佐美・鈴木・食野へと一挙に3枚替えを敢行します。(山本がアンカーに回る)

それでも流れを変えるには至らず、投入された宇佐美は38分に脇坂への反則チャージ(アドバンテージ)で早々に警告を受けるなど厳しい船出に。
ジョーカーの期待がかかる鈴木は、裏抜けというよりはターゲットの役目が目立つなど、その長所が理解されているかどうか疑問符が付く立ち回りを強いられ。

42分に石毛が足を攣らせた事で再度交代を敢行するガンバ。(柳澤と交代)
同時に川崎も家長→遠野と交代。
ガンバはあと一度交代枠があったものの、残り2人はともにセンターバック(佐藤・江川)なので実質これが最後の勝負カードに。
のちに三浦が足を攣らせても、それを切る事無く耐え凌ぎを選択しました。

そして勝負のアディショナルタイムへ。
ガンバが、食野の右からのクロスをダワンが後ろ回し蹴りのような恰好で合わせる(GKチョンソンリョンキャッチ)などこの段階でも巧みなプレーを見せに掛かり。
一方の川崎は、瀬川のエリア内へのスルーパスに脇坂が走り出せずという具合に、(天皇杯を戦った影響か)疲労感漂う終盤を強いられたでしょうか。

それが勝敗を左右したか、食野のシュートがブロックされて左CKを得たガンバ。
キッカー山本のクロスをニアサイドでダワンが合わせヘディングシュート、ゴールに突き刺さり三度勝ち越しに成功します。
最終局面はセットプレーでスコアが動くという、ありがちながら劇的な展開を描きました。

そのセットプレーは、最後の最後に川崎もCKを獲得し、GKチョンソンリョンも前線に上がる体勢に全てを賭け。
そのチョンソンリョン目掛けてクロスが上がるもクリアされ、セカンドボールを拾ったもののそこで試合終了の笛が鳴り。
結局川崎はマリノス戦では劇的勝利を挙げたものの、この日は逆に劇的勝利を献上してしまう形となりました。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第22節 鹿島アントラーズvs北海道コンサドーレ札幌

2023-08-09 18:28:27 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

  • 前半は↓とは逆のコートでキックオフ。

J1でスターダムにのし上がる=息つく間も無く海外移籍という構図は避けては通れない近年。
札幌もそれは例外では無く、夏のマーケットでは金子が移籍と相成りました。

単なる主力の一選手どころか、近年はその突破力にかなり依存する攻撃スタイルに傾倒しつつあった札幌。
それだけに、彼が抜けた際にどういったサッカーを模索するのか非常に興味がありました。
穴の右ウイングバックにはルーカスが入り、その他のポジションも、クソンユンの移籍(京都へレンタル)・菅野の故障が発生したGK以外は実績あるメンバーが並び。
一見しただけでは他クラブと渡り合えるような感じでしたが、現実は予想以上に悲惨なものとなりました。

完全アウェイに近い環境である、鹿島のホーム(県立カシマサッカースタジアム)に乗り込んでの一戦。
その雰囲気に呑まれたわけではないでしょうが、鹿島のキックオフで試合が始まると、グラウンダーで繋ぐ鹿島の攻撃によりいきなり到来する危機。
左サイドへの展開から、溝口の縦パスからダイレクトで繋がるパスワークを寸断出来ずにエリア内に運ばれると、左へ開いた2トップを余所に樋口がフリーで走り込み。
そして放たれたシュートがゴールネットを揺らし、その間実に僅か12秒。
あっという間に先制点を挙げた鹿島に対し、その対応力という点での組織力の欠如が晒される格好となりました。

それに従うように、その後もビルドアップを次々と遮断されてしまう札幌。
そしてショートカウンターを頻発させる鹿島、前半4分には佐野のカットから右サイドを運んでいき、奥でスルーパスを受けた垣田がカットインでエリア内へ。
これを後追いで馬場が倒してしまうも、反則の笛は鳴らずとヒヤリ。
しかしそれも束の間、直後(同じく4分)にも佐野のボール奪取から、左ポケットでパスを受けた樋口。
そして戻しを経て鈴木のミドルシュートが放たれゴール右へ外れと、命が幾つあっても足りないというような立ち上がりを強いられ。

気を取り直したい札幌、7分にようやく攻撃ターンが回り、長いサイドチェンジを繰り返しての前進。
しかしこれもルーカス→菅へのパスを遮断され、ロングカウンターに持ち込んでエリア内まで進入した鹿島。(垣田のスルーパスが仲間に繋がらず)

それでも11分に再び後方から対角線のロングパスを受けたルーカス、そのままクロスを上げると、ファーサイドで小柏がヘディングシュート。
しかしGK早川にセーブされ、早期に追い付く事は出来ず。
ともかくこれらの攻めにより、金子の役目がルーカスに代わったのみで、ロングボールを良い形で彼に預けるというイメージが傍らから見て伝わって来たでしょうか。

その効果が生まれる前に、軽いプレーで台無しにしたくない所でしたがそれは叶わず。
14分に鹿島の攻撃を防ぐも、クリアボールをダイレクトで繋がんとした荒野のパス(かどうかも疑問)が眼前で樋口に遮断されて再び鹿島の攻め。
右サイド奥を突いた須貝のクロスで(クリアにより)右コーナーキックを得た鹿島、ターゲット豊富な面子のなかキッカー樋口は中央へクロス。
これを植田がパワーで岡村を剥がした末に、強烈なヘディングシュートをネットに突き刺します。
ペースを握りっぱなしに映る展開の通りに、点差を広げる鹿島。

その後も札幌の攻めのパターンはサイドを変えるロングボール中心で、これをルーカスがどう仕上げるかが生命線といった感じ。
他の選択を採ろうとしても、敵陣で展開されるパスワークは、荒野がダイレクトで繋がんとするパスがズレたり(29分)と今一つ機能せず。
それでもポケットを突く能力は金子に大きく劣るルーカス、どうしてもクロス中心になるのが辛い所でしょうか。
それをカバーせんと、田中のスルーパスを受けた小柏が右ポケットからシュートしたのが28分でしたが、植田に内を切られて放たれたそのシュートは枠を捉えられず。
33分にはゴールキックから短く繋ぐ姿勢を見せたのち、GK大谷のフィードが通って左から前進、左ポケットを突いた小柏。
しかし中央への横パスが駒井の手前でカットされ、この好機もモノに出来ず。

次第に攻めが通り始めるも、そうなると前掛かりになり逆に窮地に陥りがちなのが札幌。
点を奪えないまま突入したアディショナルタイム、鹿島は後方での繋ぎを経てGK早川が右サイド裏へロングパス。
そこにサイドバックの須貝が走り込み、何とかクリアした札幌でしたが、ロングボール一本で裏を取られる危惧は相変わらずのようで。
その後も右に開いた植田のロングパスが一気に右ポケットを突き、垣田が受けた所GK大谷が前に出て防ぐなど、脆さが常に隣合わせという状況を強いられます。

結局2-0で前半を折り返し。
巻き返しを図りたい札幌ですが、ハーフタイムでは動かずと、ここでも金子を失った事(と、夏の補強選手の皆無)による手駒不足の影響が見られ。

その結果、後半1分に佐野のパスカットからショートカウンターというシーンを2連発で作る鹿島と、前半の立ち上がりとさして変わらぬ展開が描かれ。
そこで得た右CKから、クロスの跳ね返りを拾ったピトゥカが右ハーフレーンからミドルシュート。
これを中で仲間がヘッドでコースを変えたものの、ゴール左へと外れ。

しかしその後押し返す札幌。
4分敵陣での展開でルーカスが中央へ縦パスを打ち込み、ズレてカットされるも関川から小柏が反則気味に奪って継続。
荒野のエリア内へのパスを浅野がダイレクトでシュート(ゴール上へ外れる)と、多少強引ながら鹿島ゴールに迫ります。
その後も反則に見えるディフェンスでボールを奪うシーンを連発し、その結果判定に異議を唱えた関川が警告を受ける鹿島サイド。
2点差故に攻めなければ後が無い、所謂背水の陣の姿勢がペースを生み出したでしょうか。

以降も右サイドでの攻めの中心を担うルーカス。
ボールを持てばクロスあり、サイドチェンジあり、手前からエリア内を突くミドルパスありと多種多様な展開を見せ。
しかし自ら決定的な仕事は出来ずと、どうしても金子との違いを感じさせてしまうのが厳しい所でもあり。

潮目が変わった影響か、鹿島ベンチの方が先に動く展開に。
9分に仲間→藤井、18分に垣田→松村と、早くも2度の交代を敢行するに至った岩政大樹監督。
先程の警告然り悩まされる判定面でも、13分にGK大谷に詰めにいった鈴木が勢い余ってチャージしてしまい、反則を取られると思わずヒートアップする場面もあり(正直この鈴木の態度には疑問、故意では無いにせよ)相変わらず。

流れ的にこのまま行けば……という札幌。
しかし19分、馬場のパスカットから荒野縦パス→小柏ポストプレイを経て駒井が中央突破を図りましたが、これをピトゥカに倒されて止められるも反則の笛は鳴らず。
これを境に鹿島のターンになるという、審判の判定により得たペースは、審判の判定によって失う因果応報のような展開を強いられます。

20分に低いクロスに合わせた松村のシュート(枠外)、21分にピトゥカの右ポケットへのパスから鈴木がダイレクトシュート(右サイドネット外)と、再びフィニッシュ地獄を浴びせにいく鹿島。
そして続く22分、藤井が左サイドからドリブルで突き進みカットインからクロス、これをGK大谷がセーブするも左CKに。
するとキッカー樋口のクロスを鈴木が合わせヘディングシュートと、再度CKから仕留めます。
強烈なシュートにGK大谷も止めきれず、ダメ押しに成功した鹿島。

直後に飲水タイムが挟まれても、中々交代カードの使用に踏みきれない札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督。
ようやく動いたのが29分で3枚替えを敢行、浅野・荒野・菅に代えてスパチョーク・小林・青木を投入(駒井がボランチに回る)しましたが、正直2点差のうちに刷新を図りたかった所でしょう。

代わった人員は左サイドからの攻めに使われ、細かなパスワークで前進を図る姿勢へと傾倒する札幌。
33分その細かい繋ぎを経て、スパチョークのラストパスが左ポケットの小柏へ。
しかし須貝に腕固めのような形でチャージされると、倒れて肩を痛め続行不能に陥ってしまいます。(反則無し)
古傷へのチャージとはいかにも鹿島っぽい陰湿な……(ただし移籍したての須貝は知らなかった可能性あり)という事を考えさせながら、ピッチを後にする事となった小柏。(キムゴンヒと交代)
これと同じタイミングで、鹿島も最後の交代を敢行し一挙3枚替え。(関川・溝口・鈴木→昌子・舩橋・荒木、佐野が左SBに回る)

それでも泣き言は言っていられない札幌、直後の36分に決定機。
再び左サイドを細かなパスで繋いだ末に、またもスパチョークが左ポケットへ送ると、受けた青木はさらに奥を突くスルーパス。
走り込んだ中村からマイナスのクロスが入れられ、ディフェンスを掠めた所に後方から小林がシュートを放ち。
しかしこのシュートも昌子が頭部でブロックと、身体を張って止められます。
防いだ昌子は倒れ込み脳震盪も疑われましたが、直ぐに起き上がりプレー続行と、気合を見せ。

その後も攻め続ける札幌、小柏に代わって入ったキムゴンヒをフィニッシャーとしつつ、押し込み続け。
39分小林の縦パスを(駒井のスルーを挟み)受けたキムゴンヒ、そのままエリア内に進入してシュート。
しかしこれも須貝がブロックと、昌子の気迫に乗せられたかのように良く防ぐ鹿島ディフェンス。

どうしても1点が奪えない札幌、44分に最後の交代を敢行し駒井→福森。
しかし既に状況は何とか一矢報いたいというものでしか無く、その後鹿島の逆襲を受ける等気合負けは否めません。
45分にCK、ATに右からのフリーキックとセットプレーを獲得するも、既に3点差だったためか通称「鹿島る」絵図は見せない鹿島。
これらの好機も、ターゲットとなるセンターバックを前に送ってクロス攻勢に。

何とか打開しようとしたのが小林で、その後パスワークからエリア内を突いてフィニッシュを放つ事2度。
それでもゴールは割る事が出来ず、結局3-0のまま試合終了の笛を聴く事となりました。

選手交代以降は、特定の選手に頼らず全員で崩すという姿勢が見えた札幌。
ルーカス一辺倒の攻めではマークされたら厳しいという印象で、その方が組織的にも健全といった所。(問題はビハインドになる前にその姿勢に入れるかどうか)
ただしそれは前半の荒野のような、何処か気の抜けたプレーをしてしまう選手が居れば成り立たなくなるものでもあり。
個人の力頼みになるにしても、何処に力点を置いてそしてそれを貫くための組織力をどうするのか、最低限整えたい所でしょう。というかインターバル期間に何をやっていたのかという疑問が残るが

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