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DAZN観戦 2023年J1リーグ第24節 横浜FCvsセレッソ大阪

2023-08-24 16:01:01 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

J2クラブからの「個人昇格」選手での編成も極まった感のあるセレッソ。
今夏も渡邉・柴山の獲得でその色を強めたものの、逆に加藤が(広島へ)移籍となったため、その効果も相殺といった感じでしょうか。

海外移籍により多額の移籍金を獲得出来れば良いが、そうでなければこうしたやり繰りで予算を調整しなければならない。
債務超過という負の要素を抱えているセレッソは特にその傾向が強く、選手個人はともかく、クラブ自体の発展性は果たしてどうか。南野以降海外に行ける人材が払底している事ですし

そんな事を考えさせられる移籍事情となりましたが、この日の相手は横浜FC。
小川航基を海外(オランダ・NECナイメヘン)へ送り出したものの、レンタルなため移籍金を稼ぐという目論見は不透明であり。
J1定着のためにクラブ価値を高めたい所ですが、目の前の残留争いを凌ぐ事で手一杯といった状況にも映ります。

その残留を果たすため、シーズン途中からカウンター一辺倒に限りなく近いスタイルを採っている横浜FC。
そのため見るべきものは……といった感じで、セレッソサイドも様子見の入りをとったため、暫くは好機が生まれない時間が続いた立ち上がり。
横浜FCの自発的な攻撃はロングボールを送り、そのセカンドボールを敵陣で拾えれば……というもので、前半5分にその通りに井上が拾って右サイドの山根へ。
しかし前にスペースはあったにも拘らずアーリークロスを選択した山根を見て、偶発的な好機しか求められないのではという危惧が伺えました。(その後跳ね返りをユーリがミドルシュート、枠外)

様子見を終えたセレッソ、7分頃からボールポゼッションによる攻撃スタイルを採り始め。
それに対し横浜FCは大したプレッシャーを掛ける事無く、セレッソが陣内へとパスを送った時に初めて前に出るという、所謂ロープレスのスタイル。
当然ながら露骨なカウンター狙いなのは一目瞭然で、逆に言えば「リードを許すと終わりに近い」というものであり。
一方セレッソは主導権を握る事は容易なものの、専守の相手を崩しきる事が出来るかを常時強いられる試合となりました。

香川・喜田のドイスボランチの動きを中心に組み立て、サイドチェンジを多用しつつ、ラインブレイクを狙うセレッソの攻撃。
それでも自陣で5-4-1で守る横浜FCを崩す難易度は高く。
しかし14分そこから逸脱した攻撃で、喜田の中央への縦パスをカピシャーバが受けられずも、偶然フリックのような形になって裏に転がり。
横浜FCディフェンスが一瞬足が止まった所に上門が走り込むシーンとなり(結局ディフェンスの反応が間に合い繋がらず)、組織的な守備を貫くつもりでも、こうした偶発性には脆さがありそうに窺えました。

その後もセレッソが一方的に攻撃を仕掛ける展開は続き。
目立ったのが香川の働きで、ボランチの位置からボールを落ち着けつつ攻撃を組み立て。
サイドチェンジを含めたミドルパス・ロングパスはほぼ100%通していたと言って良く、流石は歴戦の名選手と言うべきでしょうか。

専守の覚悟はあっても、必然的に膨らむ守備陣のダメージに耐えられるかどうかという横浜FC。
22分に吉野があろう事かバックパスをミスしてしまい、セアラが拾った右サイド深めから始まるセレッソの攻め。
そしてカットインからマイナスのクロスを送り、中央で受けた香川がカピシャーバと被りながらもボールを確保し、最後はカピシャーバがシュート。
GK永井が足でセーブし、跳ね返りに対してもクルークスがヘディングシュートを放つ(前に居た上門に当たる)などゴール目前まで押し込まれ。
一瞬でも集中力が切れれば、こうした危機を招いてしまう状況であり。

飲水タイム(24分)ののちも、猛攻を仕掛けるセレッソ。
28分には喜田が香川のお株を奪うようなミドルパスでの組み立てを見せたのち、セアラが中央からミドルシュート。(ンドカがブロック)
29分には敵陣でこぼれ球を拾って右から素早く前進し、スルーパスに走り込んだ毎熊のクロス。
これはブロックされるもこぼれ球を喜田がシュート、ユーリにブロックされた所をクルークスがシュート(枠外)と連撃。

セレッソにとってはこのままペースを維持したい所でしたが、腹部でブロックしたユーリが暫く倒れ込むブレイクが生まれ。
これがそんな展開にもブレイクを齎しました。
33分に業を煮やしたか、GKからのロングフィードを選択したセレッソ、これを回収されて横浜FCのポゼッションとなり。(パスを繋ぐも結局戻して作り直し)

これで一息ついた横浜FC。
36分にセレッソはカピシャーバがドリブルからミドルシュート、ブロックを掠めてゴール左へ外れた事で左コーナーキックに。
しかしショートコーナーからのクロスが乱れるとカウンターを招き、山下諒がドリブルで一気に敵陣へ運び。
これは鳥海に反則気味に止められ(笛は鳴らず)フィニッシュには繋がらずも、カウンターの恐怖を植え付ける事には成功します。

それでも攻め急ぐ事はしないセレッソ、香川を中心とした組み立ては相変わらず健在であり。
42分には喜田の左→右へのサイドチェンジから、右奥を突いたのちの戻しを受けた香川、エリア手前という位置でミドルシュートの姿勢を取ったのちそれをキャンセル。
そして右へと叩き、毎熊クロス→ファーでカピシャーバヘディングシュート(ジャストミートせず)と、局面で相手を揺さぶるべくの技術の高さを見せ付けます。

勝ち筋を得たい横浜FC、43分にパスを繋いだ末に、山下諒のボールキープが喜田の反則を呼んで中央遠目からのフリーキック。
キッカー井上がエリア内やや左へロビングを入れると、合わせにいったンドカがディフェンスと縺れその足元にボールが落ち。
即ち混戦が生まれかかる願っても無いシチュエーションが発生するも、拾った吉野もシュートは撃てず終わり。
その後も敵陣深めのスローインから押し込む、「窮鼠猫を噛む」という表現が相応しいかのように先制点を狙いにいく横浜FC。
しかし最後にコーナーキックに持ち込んだと思ったら、既にアディショナルタイムの目安時間(2分)を回っていたためやらせて貰えず、前半終了が告げられました。

後半のキックオフは横浜FCで、その最初の攻めは後方から吉野右サイドへロングパス→山根スペースへ落としという、サイドの選手がターゲットマンではない事を逆手にとったパターンで好機到来。
しかし走り込んで拾った伊藤がクロスを上げるのみに留まり、依然重厚な攻撃が出来ない流れは変わりません。

すると前半同様の攻勢に入るセレッソ。
後半2分右スローインから組み立て、香川が右ハーフレーンからミドルシュート、ンドカがエリア内でブロックしたのちも尚も繋ぎ。
そして同サイドからクルークスのクロスが上がり、ボックスに入っていた喜田がヘディングシュート(ゴール左へ外れ)と、遠目・近目双方でフィニッシュ。

決壊はすぐそこというような攻撃を見せると、そこから間もない4分でした。
ここでも香川が中盤の底からサイドチェンジを2度敢行して揺さぶったのち、その2度目を左サイドで受けたカピシャーバがドリブルでポケット奥を抉り。
そして上げられたクロスを、ニア寄りで跳んだ毎熊の奥でセアラがヘディングシュートを放ち仕留めます。
流れ的には当然ながらやや遅い感もある、先制点をついに奪いました。

時間はまだまだあり、当然ながら横浜FCにとっては諦めるタイミングでは無く。
しかしカウンタースタイルのチーム宜しく、ここから前へとエネルギーを向ける作業自体が一苦労する事となり。
そしてその間にも、9分にセレッソが縦に素早い攻撃から、セアラスルーパス→毎熊右からクロス→セアラヘディングシュート(枠外)とゴールを脅かされ。

10分に右スローインから中央へと繋ぎ、山下諒がミドルシュートを放つもGKヤンハンビンがキャッチ。
フィニッシュには持ち込むも遠目からのみ、という流れは過去に見た神戸戦(12節・0-3)と同様の流れ。
何とか敗戦への道を断ち切りたいものの、11分にはあろう事か山根のスルーパスが舩木に読まれてカットされ、カウンターに持ち込まれた末にンドカが(セアラに対し)反則で止めてしまい警告。
これで得た左からのFK、クロスの跳ね返りを繋いで二次攻撃、上門のミドルシュートがゴールを襲うもGK永井がセーブ。
尚も繋がるセレッソの攻撃を断ち切るも、吉野のパスが毎熊にカットされてさらに継続、拾ったクルークスのシュートをまたもGK永井がセーブ。
フィニッシュを浴びまくる流れへと突入し、尚も15分にクルークスの右からのカットインシュート、16分に中央からカピシャーバのラストパスを受けたセアラがシュート(いずれも敵陣でのボールカットからの攻め)をセーブするGK永井。
GKが大忙しという面でも、神戸戦でのスベンド・ブローダーセンの姿を彷彿とさせる内容を描きます。(この日ブローダーセンはベンチ)

流れを変えるのは必須という状況で、横浜FCベンチは17分に動いて林・小川→近藤・カプリーニへと2枚替え。(山根が左サイドに回る)
それとともに、最終ラインからの組み立てという主体的な攻撃へと本格的に踏み込み、落ち着きと反撃体制を齎さんとします。

それでも不器用さは拭えず、19分には右サイドから持ち込み近藤がエリア内へ斜めの縦パスを送り、それを伊藤がポストプレイとセレッソ最終ラインを揺さぶる攻撃パターン。
しかし受けにいった山下諒とカプリーニが被ってしまい、こぼれ球を喜田に拾われてセレッソのカウンター(右奥へ進入も戻して作り直し)と、やる事が裏目に出る負の連鎖は続き。
気を取り直して以降も押し込みますが、決定的な好機には辿り着けないまま後半の飲水タイムへ。(23分)

守勢に入ったセレッソも、明ける際にベンチが動き上門・クルークス→鈴木・柴山へと2枚替え。
これで鈴木をアンカーにした4-1-4-1へとシフトしますが、守備時には4-5-1のスタイルと、ボランチ3人という色の強い布陣を採ります。

ンドカを最後方での舵取りとしたビルドアップから、何とか糸口を掴みたい横浜FC。
30分そのンドカが右サイド奥へとロングパスを通すも、受けた近藤の戻しを山下諒がトラップミスしてしまい、再度セレッソのカウンターを招き。
拾ったカピシャーバがドリブルで一気に左ポケットまで突撃してシュート、GK永井がセーブすると今度は横浜FCがカウンター。
岩武の縦パスを中央で受けたカプリーニが持ち運ぶも、こちらはミドルシュート(枠外)とあくまで遠目からのシュートに留まってしまう格差は振り払えずとなりました。
上記のシーンから、そんなカウンターの橋頭堡となっていた山下諒の疲労感は拭えず、32分に交代と相成り。
マルセロ・ヒアンと交代、同時にユーリ→三田へと交代し、以降井上をアンカーとした3-3-2-2(3-1-4-2)で戦います。

しかしそれを見たセレッソも、35分にすかさずセアラと喜田に代え、渡邉とマテイ・ヨニッチを投入。
ヨニッチをリベロに置いて3-4-2-1へシフトと、守備的な布陣をとります。
立て続けに36分、前述の突破のシーンで足を痛めた風であったカピシャーバに代えて新井を投入。

そんなセレッソに対し、最終ラインでのパスワークで何とか穴を探さんとする横浜FC。
しかしそれは傍らから見ても厳しいものであり、以前J3で観た2年前の讃岐の姿(宮崎戦、0-2)を彷彿とさせ。
最後の駒として高井を投入(伊藤と交代)するも、当然ながら流れを変えるには至りません。
舩木がハイボールの競り合いの際、近藤との交錯で着地に失敗し長らく倒れ込む(ピッチ外→復帰)というシーンもあり、ブツ切りな流れも強いられます。

そして突入したAT、セレッソが香川が足を攣らせるなど退潮が目立つなか、遅まきながら攻勢に入る横浜FC。
それでも5-4-1ブロックの崩しを強いられる前半とは真逆の試合絵図で、しかもビハインド付きという一層厳しい状況を押し付けられ。
3バックが大きく幅を取り、長い距離のパスでセレッソディフェンスを揺さぶったうえでサイド突破と、やりたい事は伺えたものの時間が決定的に足りず。

クロスには持ち込むも、一度CKから高井がヘディングで合わせたのみ(枠外)という、ビハインド特有のパターンが延々と続くAT。
しかし最終盤左サイド奥で組み立ててそのままクロスか、という場面で(スローインからの攻めでボールがピッチに2つ入ったため)試合が止まり、ドロップボールで再開後(山根が)即クロスという中々レアな絵図に。
これをニアでマルセロが収め、エリア内でキープして何とか隙を窺う横浜FCでしたが、結局戻しを経ての井上の手前からのクロスはファーへ流れてしまい実らず。

結局0-1のまま試合終了となりセレッソが勝利し、ロースコアながらも厳しい試合を強いられた横浜FC。
ホーム(ニッパツ三ツ沢球技場)のスタンドからもそれが伺え、J1にしては少ない集客(8,195人)なうえメインスタンドまでセレッソサポーターが集結するという、所謂「ホームジャック」気味の様相も目立つ事に。
このままではJ1⇔J2の無限ループ状態は避けられないですが、果たして抜本的な改革は今後あるのか、あるいはJ2でも苦戦している元J1クラブよりはずっと良いと納得するしかないか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第31節 ファジアーノ岡山vs大分トリニータ

2023-08-23 16:01:16 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の岡山の記事はこちら(29節・町田戦、1-3)
※前回の大分の記事はこちら(26節・熊本戦、3-1)

<岡山スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(大宮戦、1-1)出場停止の仙波がスタメンに復帰。
  • 野口が(J3・富山へ)レンタル移籍となり、前節をもって登録抹消。
  • 佐野の(オランダ・NECナイメヘンへの)完全移籍が決定。(登録抹消は未だ)
  • 負傷離脱していたチアゴが前節復帰し途中出場、今節はスタメンに。
  • 負傷?離脱していたルカオが前節復帰しスタメン出場。
  • ユース出身のGKナジ・ウマル、GK脇谷が2種登録に。

<大分スタメン>

  • 離脱していたGK高木駿が29節(山口戦、2-2)に復帰、前節(藤枝戦、1-0)スタメン出場。
  • しかしその高木駿が(J1・札幌へ)完全移籍となり、今節をもって登録抹消。
  • 前節負傷交代した中川は今節ベンチ外に。
  • 負傷離脱していた高畑・香川・宇津元がともに28節(山形戦、0-1)復帰し、高畑は以降全試合スタメン出場。
  • 負傷離脱していたペレイラ・町田がともに前節復帰し、ペレイラは前節からスタメン、町田は前節途中出場を経て今節スタメン。

折り返し以降、岡山は既に3敗(2勝4分)、大分は4敗(2勝3分)と敗戦が込み。
昇格争いへ正念場、という両クラブの対戦となりました。

そんな折、岡山では佐野の海外移籍が決定。
「J2クラブから海外へ挑戦」というコンセプト付きの一報は、多くのサッカーファンにも受け入れられるものとなったでしょうが、当然ながら再編成を強いられるのは移籍元である岡山。

個人的に挙げる今季の岡山の特徴として、背番号40番台の選手の台頭。
5人とも移籍選手で前年からの継続は仙波のみ、今季移籍してきた選手も、鈴木を除いては恐らくバックアップとしての期待の方が高かったと推測します。
しかし離脱者が目立つ事もあり出場数を膨らませ、今節は初の5人揃ってのスタメンと今や立派な戦力。
この苦境の中、彼らの一層の飛躍を追い風としたいという一心が伺えるメンバー構成となりました。

前半2分、そのうちの1人である仙波の遠目からのミドルシュート(枠外)で幕を開けた一戦。
しかし大分は後方からのアバウトな前進から、敵陣でボールを確保して繋いだのち急所へ縦パスを送る攻撃で脅かしに掛かります。

それを防がんと前からのプレッシングを強める岡山、ウイングバックも前に出て大分のビルドアップに規制を掛け。
6分にはそれが実り高橋諒が左サイド深めでカット、坂本がポケット奥を突いて戻し、田部井がシュート(ブロック)とフィニッシュに繋げ。

すると大分はショートパスでのビルドアップに切り替え、丁の字型の最終ライン(アンカーの位置には保田)を下地としてプレッシングに対抗。
そこにGK西川も加わる事で鉄板のものとしたうえで、敵陣では両CBも攻撃参加と、ポゼッションを確保しての攻撃を繰り広げます。
押し込みを見せた末に、コーナーキック攻勢に入ったのが13分。
3本続きその3本目での二次攻撃、町田のロビングもクリアされるもそのボールを右から羽田が落とし、中央で松尾がシュートするも枠外に。

そんな大分の姿勢を受けた岡山。
16分にカウンターに持ち込みかけた所を、仙波のボールキープを後ろから腕でチャージして止めんとした保田が反則・警告。
入りに見せた積極性然り、岡山に欠かせない存在になりつつある仙波。(19分に再び遠目からミドルシュート、ゴール右へと外れる)
彼に釣られるようにペースを確保し、その内容もしっかり最終ラインから繋いでの攻撃を展開と、あくまで大分と同じ土俵で勝負せんとします。
大分のプレッシングも受けるなか、降りて来る坂本が大分の前線5人の中に入ってパスを受けるという絵図が目立ち。

そんな流れで、チアゴがデルランとの交錯で痛み倒れたというタイミングで飲水タイムが挟まれたのが25分。(チアゴは無事)
以降もボールポゼッションによる攻めを繰り広げる大分に対し、岡山はチアゴを中心とした裏抜けを多く見せる攻撃。
それが悉くオフサイドとなりますが、前述の坂本の動きと併さる事で、大分は最終ラインは裏を警戒・ボランチは五角形の中を警戒という意識が強まったでしょうか。

それを突くように、35分以降は岡山が攻撃権を独占する流れに。
大分は五角形の形自体を変えんと長沢がアンカー輪笠を見つつ、両シャドーが最前線でプレッシャーを掛けるという役割へと変わりましたが、却ってバランスを崩した感があり。
攻撃が途切れたのちも、大分のクリアボールを回収、ないしはタッチを割ってのスローインからの攻めを悉く好機に繋げます。

38分GK西川のロングフィードを鈴木が跳ね返し、そのボールを輪笠がフリックしてチアゴに繋ぎ。
チアゴは逆向きでのヒールパスで羽田・ペレイラを出し抜くと、受けた坂本がエリア内を突いてシュート。
GK西川がセーブするも左サイドで拾って継続し、パスを繋ぐ最中にCBの鈴木もエリア内まで上がってターゲットとなる中、左ワイドでカットインする高橋諒はクロスと見せかけて中央へ横パス。
受けたチアゴが左ポケットを切り込んでシュートと、長い攻めから決定的なフィニッシュを放ちましたが惜しくもゴール上へと外れモノに出来ません。

その後も41分に田部井がグラウンダーのクロスに合わせてゴールネットを揺らすもオフサイドと、惜しいシーンが続いた岡山。
しかし先制点は奪えないまま、逆に終盤に鮎川がドリブルを仕掛けた所、剥がされかかった柳が腕で倒してしまい反則・警告を受け。
嫌な雰囲気が漂いかねないシーンで、前半を終える事となりました。

ハーフタイムを挟み、共に交代無く迎えた後半。
大分はバランスを崩していた前線のプレッシングを修正し、長沢がキチンと頂点を務めるものへと戻し。
そして確保した攻撃権では、スペースを長いパスで突く攻めを目立たせ、CKを多く獲得します。
そこから長沢のヘディングシュートが2本生まれるも、いずれも浮いてしまいモノに出来ず。

しかしその流れが一段落した後半7分、岡山のビルドアップに対し大分は再び長沢がアンカー脇・シャドーが最前線という体勢を採り。
このプレスをいなした岡山、スルーパスを受けた高橋諒が左ワイド奥からマイナスのクロスを入れ、ニアサイドで坂本が合わせシュート。(ブロックに当たりGK西川キャッチ)
すると再び岡山に傾く試合展開、9分に決定機を迎え再びスルーパスに反応した高橋諒の左からのクロス。
この低いボールが、中央に走り込むチアゴを過ぎてファーの坂本に収まり、高畑を剥がした末にシュートが放たれるもGK西川が身体でセーブして防がれ。

このシュートでCKを獲得した岡山。
ここでは実らずも、11分の右サイドアタックで再度右CKと、大分のお株を奪うCK量産の流れを得ます。
そしてこのCKから、キッカー田部井ファーにクロス→柳折り返し→中央で高橋諒跳び込みと流れるような好機、こぼれた所を拾った鈴木がシュート。
これでゴールネットを揺らし、背番号40番台勢の活躍に相応しい、レギュラーを確保している鈴木のゴールで先制します。

先手を許した大分、直後に長沢・町田→サムエル・渡邉へと2枚替え。
以降岡山に攻撃させず、痛烈に攻め続けてサイド奥から何度もクロスを送ります。
フィニッシュに繋がったのは17分、右サイドで野村のスルーパスを受けた松尾、カットインを経てポケットから低いクロス。
ファーサイドまで流れた所を渡邉が合わせましたが、ジャストミート出来ずに左へ逸れてしまいモノに出来ず。

一気に劣勢となった岡山、20分に坂本→ルカオへと交代。
そのルカオ、直後の21分に右スローインを収めたのち強引なドリブルで奥へと切り込み、そのままマイナスのクロスを入れ。(誰にも合わず)
その直後に今度は左スローインから、ポストプレイを経て輪笠の裏へのボールを受けたルカオが再びマイナスのクロス。
今度はペナルティアークでチアゴに繋がり、シュートが放たれるもGK西川がキャッチ。
文字通り前線の橋頭堡となるルカオ、落ち着く時間と好機の双方を齎します。

しかしそれも束の間、22分の大分はペレイラの前進・サムエルのポストワークを絡めて右から攻め上がりアタッキングサードへ。
そして渡邉のマイナスのクロスから尚も細かく繋ぎ、逆の左から高畑のクロスがファーサイド奥のサムエルの下へ上がり。
GK堀田の跳び出しでこぼれるも、尚も右ポケットから渡邉がクロスと執拗に攻め込む大分、中央で跳んだ鮎川を越えた奥で高畑が走り込んでのボレーで合わせます。
これが左ポストを直撃し、跳ね返りをサムエルが反応しシュートするもゴール右へと外れ、結局決定機を逃す事となりました。

直後に飲水タイムが挟まれ(23分)、明ける際に大分は2枚替え。(松尾・鮎川→藤本・伊佐)
その後もモチベーション旺盛で攻め込む大分に対し、何とか対抗姿勢を採りたい岡山。
29分にベンチが動き、チアゴ・仙波→ムーク・木村へと2枚替え。
それだけで無くルカオの1トップとし、田部井がボランチに降りて3-4-2-1へとシフトします。(シャドーは交代で入った2人)

その布陣変更の通り、守備力強化を図る岡山。
しかし31分、柳のパスを受けた鈴木のトラップが乱れるも、そこに掛けられた大分のプレッシャーをかわすように裏へとミドルパスを出した鈴木。
これを受けて一気にドリブルで切り込む木村、エリア手前まで進んだ所で後ろからペレイラのショルダーチャージを受けて反則・警告。
エリアからすぐ手前・左ハーフレーンでの直接フリーキックを得て、ここでも落ち着きと得点チャンスの双方を得るに至った岡山。
このFKをキッカー田部井が直接シュート、壁に当たるも跳ね返りを高橋諒がダイレクトでシュートし、これがゴール左へ惜しくも外れる際どいものに。

岡山は後ろに下がった重心に従うように、36分に今度はカウンターを仕掛けての決定機。
クリアボールをルカオが収め、ディフェンスに阻まれるも拾った木村が前進と、交代選手が各個役割を果たしてそれを生み出し。
そして今度は左ポケットへ切り込んだ木村、カットインを経て中央からシュートしましたが保田のブロックに阻まれます。

更に守備を固めんとする岡山、39分にバイスを投入。(田部井と交代・同時に高橋諒→高木へと交代、本山がボランチに回る)
そのバイスも、エリア内での渡邉の決定的なシュートをスライディングでブロック(アディショナルタイム)と、ルカオ・木村同様に役割を全うします。

一方大分の最後の交代は38分で、ペレイラ→上夷。
以降右CBの上夷は上がりっぱなしとなり、殆ど2CBの状態で攻勢を掛ける大分。

サイド奥を突いてのクロス攻勢は最後まで一貫していましたが、岡山ディフェンスを打ち破る事は叶わず。
そして攻勢を切った岡山、敵陣で時間稼ぎの展開へ持ち込む事に成功します。
その最中左タッチライン際で蹴り出して相手に当ててラインアウトさせたルカオ、思い切り渡邉にぶち当てる格好となったため、渡邉のヒートアップを招いてしまい。
しかし乱闘には発展せず、大勢に影響無く時間は進んでいき。

大分がそこからの岡山スローインの連続の流れを切れないまま、試合終了の笛を迎え。
1-0で逃げ切り勝利した岡山、後半戦の星もほぼ五分(3勝4分3敗)と持ち直し。
ここから引き分けの多さを活かすべく、勝利を重ねたい所でしょう。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第31節 V・ファーレン長崎vs栃木SC

2023-08-22 16:01:45 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の長崎の記事はこちら(27節・山形戦、1-5)
※前回の栃木の記事はこちら(28節・甲府戦、3-0)

<長崎スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • yahooスポーツナビでは4-1-2-3で、いずれにせよ前節(水戸戦、3-3)のドイスボランチ(4-2-3-1)からの微調整。
  • カルロス・グティエレスが町田から完全移籍で加入し、前節から登録されて即スタメン出場。
  • マテウス・ジェズスがブラジル・コリンチャンスから完全移籍で加入し、今節登録されて即スタメン出場。
  • 宮城が(山形へ)レンタル先変更という形で移籍となり(レンタル元はJ1・川崎)、28節(熊本戦、4-1)をもって登録抹消。
  • カイケが(大宮へ)レンタル移籍となり(以下同文)
  • 加藤聖が(J1・マリノスへ)完全移籍となり、29節(いわき戦、0-0)をもって登録抹消。
  • クリスティアーノが(甲府へ)レンタル移籍となり(以下同文)
  • 五月田が(JFL・レイラック滋賀へ)レンタル移籍となり、今節をもって登録抹消。
  • エジガル・ジュニオの負傷の詳細が発表され、21節(大宮戦、2-0)で発生して7/22に手術実施、全治(発生日・手術日のどちらからかは不明)3~4ヶ月との事。

<栃木スタメン>

  • 前節(徳島戦、2-2)は3-3-2-2(3-1-4-2)との事で、今節3-4-2-1とどちらかなのはイマイチ不明。
  • 前節退場(警告2度)となった佐藤が出場停止。
  • 元ガンバのレアンドロ・ペレイラが(イラン・ペルセポリスFCから)完全移籍で加入し、前節から登録しベンチ入り。(ただし未出場・今節はベンチ外)
  • 面矢が(JFL・レイラック滋賀へ)レンタル移籍となり、今節をもって登録抹消。
  • 五十嵐が(JFL・レイラック滋賀へ)レンタル移籍となり(以下同文)

前回観た時以降も、選手編成で活発に動く長崎。
何としても昇格、少なくともプレーオフ圏の6位には入りたいという思いが溢れ出たようなその姿勢は、果たして良いのか悪いのか。

特に長崎の場合は、シーズン途中でも助っ人の補強が圧倒的に多く、それもビクトル・イバルボ(2019年途中)やエジガル(2020年途中)など元J1選手の名が多いのが特徴であり。
イバルボ獲得の際は「J2の生態圏の破壊」の危惧の声が上がるほどでしたが、故障との戦いが続き極端な稼働率の低さを改善出来ぬまま前年をもってチームを去る事となりました。
今季もその例に漏れずクリスティアーノがチームを去るなど、「アイツが駄目だったから次はこっちの駒で」といったフロントの思考が見え隠れする風でもあり。
しかも結局長く在籍していたイバルボから、「たとえ働けなくても財政破綻の心配は無い」というような、経営媒体(ジャパネット)をアテにした怠慢な姿勢ともなっていないか。

そんな状況下で集められた助っ人選手が勢揃いしたこの日の長崎のスタメン。
そのため枠の関係でカイオがベンチ外となる程で、昇格に向け形振り構わないといった感じでしょうか。
そしてこの日はそのうちの1人である、グティエレスの元在籍クラブである栃木との対戦。

メンバー入れ替えに伴ってか、アンカーシステムを採用したファビオ・カリーレ監督。
そのアンカーを務めたのが秋野とあり、長期離脱から復帰後スタメン出場も減っている状況で重責を任され。

それでも栃木サイドは、これまでとは違った長崎のビルドアップにどう規制を掛けていくか対策を迫られる前半となり。
オリジナルの3-4-2-1の布陣で前からいくとなるとどうしてもバランスを崩しがちなので、シャドーの小堀が秋野を見るという形を採ります。
それ故に長崎最終ラインにはイスマイラ・根本の2人でプレッシャーを掛けるシーンが多く、結局前節の3-3-2-2に近い布陣に見える事が多々あり。

一方でビルドアップの出口となる前線は、右の澤田が常時ワイドに張った状態で、逆サイドのギリェルメの動きがカギに。
中央寄りでボールを受ける場面が多く、栃木サイドに的を絞らせずパスの出し入れを務め、隙あればその突破力を発揮せんとするスタイルを採るギリェルメ。
前半10分、左ワイドで下がって受けたギリェルメはボールキープからサイドチェンジ、右から岡野→中村→米田と渡って再度左サイドへ。
米田が細かなドリブルからグラウンダーで左ポケットへ送ると、走り込んで受けた中村がそのまま奥へ切り込みループシュートを狙います。
GK藤田が腕を伸ばして何とか触れ、こぼれた所を大森がクリアして凌ぐ栃木。

しかし栃木は長崎がサイドにボールを送った際、果敢にウイングバックが前に出る姿勢で対抗。
特に左サイドは、小堀が中央に張る分福森が岡野の所にまで詰めていく体勢で、そのプレッシャーで奪われる事が目立つようになる長崎。
18分にはその福森のパスカットからのスルーパスがイスマイラに通り、左ポケットからのマイナスのカットインを経てミドルシュート(エリア内で今津ブロック)と、1トップのイスマイラの脅威に繋げ。

そんなハイプレスが得意手の栃木ですが、自身でボールを握る機会も多く。
それに対する長崎は、澤田が引き気味となったうえで、インサイドハーフの中村・ジェズスの2人が前に出るというやや奇妙な形でのプレッシング。
WBが前に出て攻撃の肝となる栃木への対策か、あるいは逆に福森にピン止めされている格好か。

いずれにせよ、押し込まれている訳では無いにしろやや不良な流れの長崎。
22分には秋野が小堀のプレッシャーを嫌ってか、最終ライン左へと降りてのビルドアップを敢行するなど変化を強いられ。
そんななか栃木は24分、右スローイン→最終ラインへの戻しを経て左から前進し、福森がカットインからエリア内へラストパス。
これが遮断されるも自ら拾い直しミドルシュートを放つ福森、グティエレスにブロックされるも尚も繋ぐ栃木、今度は左から突破を図った福森がグラウンダーでクロス。
中央のイスマイラに渡りかけるもこぼされ、混戦模様から脱した所を神戸がシュートしましたがこれも秋野がブロック。
さらにイスマイラが詰めにいくもクリアされるという波状攻撃を見せるも、ゴールは奪えません。

飲水タイムが挟まれ(26分)修正したい長崎は29分、GK波多野の縦パスを中村が降りて受け、栃木のプレッシングを打開しにかかり。
そこから長くボール保持したのち、左サイドでギリェルメの突破シーンに繋げ、奥へ切り込んで上がったクロス。
これをニアサイドで中村がヘディングシュートを放ちましたが、GK藤田がセーブして防ぎます。
しかし尚もクリアボールを繋ぎ、今度は秋野→ギリェルメと渡って中央から仕掛け、ギリェルメのパスを入れ替わって受けたフアンマがエリア内へ。
そして放たれたシュートがゴール右へと突き刺さり、早速微調整の結果を見せて先制点を奪いました。

しかし栃木はその後反撃。
最終ラインでは、神戸が最終ラインに降りる「ミシャ式」での組み立てを見せるなど、ビハインドの状況故にボールポゼッションを肝として体制を整えます。
対する長崎は4-5-1のブロックで凌がんとしますが、左ワイドで守るギリェルメの守備力が今一つに映り。
2列目がしっかり5レーンを張る姿勢を取りながら、栃木に最終ラインからの繋ぎのみで右からの攻めを許すシーン(アディショナルタイム)など、アタッカー能力とのトレードオフを強いられているようであり。

38分にクロスに合わせにいったイスマイラが、パンチングでクリアしたGK波多野と交錯し、波多野が倒れ込み。
ATには逆に長崎のセットプレー(左サイドからのフリーキック)で、キッカー中村のクロスをグティエレスが合わせにいき、これもGK藤田のパンチングの後に両者交錯。
今度はターゲットのグティエレスの方が倒れ込み、起き上がったグティエレスがヒートアップを見せるという具合に、ゴール前での競り合いは迫力満点ながらも難色を示したのは長崎の方。

結局1-0のまま前半が終わり、共に交代無く迎えた後半。

後半2分にロングパスを受けたギリェルメが左ポケットを突き、米田のクロスからフアンマがヘディングシュート(ゴール上へ外れる)と最初にフィニッシュを見せた長崎。
しかしその後は競り負けの様相を引きずるかのようにデュエル勝負で苦戦する事となり、3分にロングボールを収めたイスマイラを岡野が後ろから腕でチャージして反則。
この左サイドからのFKで、キッカー福森のクロスの跳ね返りを西谷がダイレクトでシュートし、これがフアンマのブロックを掠め左ポストに当たる際どいものとなります。(この際フアンマの腕に当たったとして栃木サイドはハンドをアピールも実らず)
その後も栃木の前線でのポストワークに対し反則を取られる長崎、セットプレーでのピンチが膨らんでいき。

そしてそんな流れのなか事件は起きてしまい、中盤でこぼれ球を両者拾いに行く場面となり、秋野がスライディングを敢行した結果神戸を足裏で削ってしまう絵図が発生。
たまらず反則となりカードが出されると、その色が赤である故に一発退場処分となった秋野。
まさかのアンカーの選手の退場で、建て直しを余儀なくされます。
結局IHの2人(中村・ジェズス)をそのままドイスボランチにした、4-4-1の布陣を採り、交代を温存する選択をした長崎。

以降栃木のボールポゼッションの時間となる、数的優位が齎す当然といえる展開となります。
よってブロックを固める事を強いられる長崎ですが、敵陣へ進入して攻撃が途切れたのちの、ギリェルメの戻りが遅く再び守備面での不安を感じさせるシーンを描き。(12分)
傍らから見て、早めに交代させて守備を固めた方が良いのでは……とも思わされましたが、ベンチは我慢を続けます。

左サイドが不安に映る長崎でした、その後栃木は左サイド(長崎の右サイド)からの攻めを続け。
この日好調の福森に加え、数的優位故にクロス精度の高い大森も前に出るようになり、ひたすらサイド奥を取らんと攻め上がります。
16分にベンチも先んじて動き、黒﨑・小堀→石田・大島へと2枚替え。

押し込み続けるも得点出来ない栃木。
その隙を突かれるように、22分長崎はGK波多野のロングフィードが一気に裏を取り、平松の対応ミスも絡みエリア内右で澤田が収めにいくシーンが生まれます。
そしてシュートを放った澤田でしたがゴール左へと外れ、栃木は冷や汗を掻く事に。
前節は自分達が数的不利となり、そこから勝ち越し点を奪ったという流れがこの日は跳ね返って来たようであり。

しかし続く23分、やるべきである(自分の主観です)右サイドからの前進を図り、イスマイラのポストプレイも絡み成功。
そしてパスワークを経てイスマイラがクロスを上げると、根本がマーカーの岡野を振りきってヘディングシュートを放ち、ゴールネットに突き刺します。
ターゲット役が多かったイスマイラでしたが、クロッサーとなったこの状況で良いクロスを上げきるというギャップも絡んだ同点弾となりました。

24分に挟まれた飲水タイムののち、長崎ベンチが動き2枚替え。(中村・澤田→鍬先・増山)
それでも懸念の左サイドは変えず、同点とされた事であくまで攻めの手段(ギリェルメ)を残す選択を採ったでしょうか。
一方の栃木も29分に神戸→高萩へと交代。

高萩の加入で浮き球(クロス・ミドルパス)の精度を高める栃木。
その攻撃を耐え凌ぎ一撃を放ちたい長崎、29分にラフな繋ぎを経てフアンマが右ポケットでパスを受ける好機となるも、角度の無い所からのシュートは右ポスト外を叩き枠外に。

そんな流れが変わりかけたのが33分で、長崎は数的不利ながらもGKからの繋ぎで前進を図り。
そしてギリェルメがドリブルで運び、中央からミドルシュートを放ちましたが福森が頭部でブロック。
倒れ込む福森を尻目に尚も攻撃を続けんとした長崎でしたが流石に試合が止められ、これに対し選手総出で異議が唱えられた(スタンドからブーイング)ものの、脳震盪の疑い故に仕方ない事であり。(福森は1分程で起き上がりピッチ外→復帰)

しかし攻撃が形になる事で勝利への道筋が見えたでしょうか。(35分にギリェルメ→松澤に交代)
37分には栃木のポゼッションを増山が奪い、そこから単騎突撃してのカウンター。
一気に右ポケットまで切り込みシュートしますが、GK藤田のセーブに阻まれ。

有利にも拘らず、敗戦がチラつきかねない状況となった栃木。
38分に最後の交代を敢行し、福森・根本→吉田・矢野へと2枚替え。
福森が退き、以降逆の右から石田がゴールに迫る場面も何度か見られましたが、長崎の粘りの守備を崩せず。

しかし43分、岡野が足を痛めてしまった事で交代を強いられる長崎。
セリンサリウと交代し、増山がSBにシフトとポジションチェンジが絡んだ右サイド。
そしてそこを突かれる形となり、44分に栃木は自陣左から飛距離の長いスローインで一気にイスマイラへ。
ドリブルでポケットを突くイスマイラ、グティエレスが対応して事無きを得たかに見えた長崎でしたが、その刹那最奥からのグティエレスのパスをすかさず大島がカット。
そしてシュートを放ち、GK波多野の右を抜いてサイドネットを揺らします。
これまでこじ開けられなかった栃木でしたが、相手が隙を見せた事で勝ち越しを果たしました。

土壇場で勝ち越された長崎ですが諦めずに攻め込み、45分浮き球を繋いでエリア内でチャンスとなるも、受けた松澤が石田のショルダーチャージを受けて倒れ込み。
反則の笛が鳴らなかった事でヒートアップする長崎サイド。
同時にATへと突入し、8分と長い(さらにこのシーンの影響で伸びる)その時間帯は怒りをパワーに……というような姿勢となりました。

しかしそれが拙かったでしょうか。
その後栃木にボールを確保されて深めまで運ばれる事が多く、空回りするかのように攻撃機会を得れない長崎。
何とかその時間稼ぎの姿勢を切って反撃、左から松澤がカットインし、鍬先のポストプレイを挟んで中央からシュートを放つも平松のブロックに阻まれ。

そして+9分が過ぎ、吉田の(増山への)軽率な反則で右からのFKを得た長崎、最後のチャンスという所でGK波多野も前線へ。
キッカー増山クロス→セリンサリウ折り返し→鍬先バイシクルでロビングと浮き球を繋いでいき、GK波多野がそれを合わせにいき。
跳ね返され、尚も松澤が浮き球を送って再び合わせにいく波多野。
その結果GK藤田が抑えた所に波多野が交錯と、あろう事かGKによるキーパーチャージという珍妙な絵図が描かれた末に試合終了の笛が鳴り。
1-2で栃木が勝利と、前節とは違い無事逃げ切りを果たしました。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第31節 清水エスパルスvsFC町田ゼルビア

2023-08-21 16:02:17 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の清水の記事はこちら(26節・千葉戦、2-2)
※前回の町田の記事はこちら(29節・岡山戦、3-1)

<清水スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 徳島に育成型レンタル中だった千葉がJ3・今治へレンタル先変更。
  • 齊藤が(J3・相模原へ)育成型レンタル移籍となり、29節(ヴェルディ戦、1-0)をもって登録抹消。
  • 夏に加入(復帰)した鈴木唯人が再度移籍(ブレンビヤネス・イドラーツファーイーニングへ、完全移籍)となり、今節をもって登録抹消。(チーム離脱は8/9)
  • 成岡が(山口へ、2度目)レンタル移籍となり(以下同文)
  • 負傷離脱していた山原が前節に復帰しスタメン出場。
  • 離脱していたサンタナ(負傷では無く、家族の体調不良によるケアとの事)が29節で復帰(途中出場)、前節からスタメンに。

<町田スタメン>

  • 樋口が(JFL・沖縄SVへ)育成型レンタル移籍となり、前節(磐田戦、2-1)をもって登録抹消。
  • カルロス・グティエレスが(長崎へ)完全移籍となり(以下同文)
  • J3・松本からレンタル加入中の山口が、レンタル終了という形で松本へ復帰し、今節をもって登録抹消。
  • 28節(徳島戦、2-1)で負傷交代した池田の詳細が発表され、既に手術実施済みでそこから全治約4週間との事。

昇格を賭けた上位対決は、当然ながら周囲のモチベーションをも爆上げする要素であり。
しかし今季それがやや特殊に感じるのは、首位チームが頭一つ抜け出している事。
そしてそのチームが、反感を買いかねない動向(フロントレベルのものは前回触れたので割愛)を見せている町田である事だからでしょうか。

IAIスタジアム日本平で今季最多となる観衆(17,989人)を集め、一挙一動に非常に盛り上がりを見せた試合。
しかし激しいデュエルに伴いその席から数多ブーイングが発生、反則・警告も多発するという具合にその内容も荒れ模様となり。
またアウェイの町田サポーターは昇格間近故のその多さから、緩衝地帯からはみ出してしまう程に。
まさに一歩間違えれば天皇杯4回戦での浦和サポーターのように……という状況でしたが、その中で行われた試合もとても一言では表せないものなりました。

ロングボールの蹴り合いでボールが落ち着かない、という例に漏れない入りを経て、先に際立った動きを見せたのが町田。
そのロングボールが敵陣左サイドにこぼれた所、エリキが原に対し激しくチャージし(クリアさせずに)スローインを得たのが前半4分。
ここで逆サイドから鈴木準が駆け込む、即ち彼のロングスローという姿勢を採った刹那、意表を突いてエリキが鈴木準の下へスローして素早いリスタートに。
そして彼のクロスがファーサイドに上がり、合わせにいった松井によりこぼれた所をすかさずシュートしたのは高橋大。
ゴールへ突き刺し、見事古巣相手に叩き込んだという格好で先制点を生み出しました。

早くも先制点を許した清水、直後の5分にハイボールを競り合ったサンタナがヒートアップしチャンミンギュとやり合うシーンが生まれ。
不穏な空気、つまりはサッカー以外での事象に神経を使う事を強いられます。
苛立つサンタナは、10分に松井へのアフターチャージで反則・警告を受け。
その後も町田の激しいアタックに対し攻撃の流れを掴めず、逆に町田のロングボール中心のシンプルな攻撃に手を焼く事となり。
尚も16分には、清水が攻撃を切ったのちのGK権田のパントキックを、あろう事か妨害しようとした藤尾の足が権田に入ってしまい。
これにより更なるヒートアップを生んでしまい主審の下へ猛抗議、その際にホナウドがエリキを押し倒すという事態まで生まれてしまいます。(ホナウドに警告)

つまりは町田の必勝パターンと言っても良く。
「俺たちは平常運転、相手が勝手に苛立っただけ」と言わんばかりのその流れに、確かにサッカー面でも反感を買いやすいといった印象を受けました。

そんな順風な町田でしたが、不安材料はエリキの故障。
6分にパスカットからドリブルで切り込んだ際に中山のチャージを受けて倒れ、しかも着地の際ホナウドと交錯するという二重攻撃?を受け。
そして足を痛め、スタッフに支えられてピッチ外へ出るという心配なシーンを描きます。(約2分後に復帰)

清水は19分にカウンターの好機を迎えるも、ここでも松井の反則で止められ(松井に警告)、それ以外ではさしたる好機を作れず。
逆にラフな攻撃でも脅威となる町田、スローインからの攻撃が冴え渡り、ターゲットへスロー→ポストプレイ→ダイレクトで前へという流れで組み立てます。
そしてそれが報われたのが23分、左スローインからその流れで裏を突き、跳ね返されるもそのボールをダイレクトで宇野がサイドチェンジ。
このラフなボールが繋がった事で、平河がカットインからグラウンダーでクロスを送ると、ニアでの高橋大のスルーを経てエリキが合わせシュート。
負傷の影響を感じさせないゴールでリードを広げ、直後に飲水タイムが挟まれます。

再開直後の攻撃でも、パスミスを拾われて逆に町田に深くまで運ばれる(シュートには繋がらず)等、一向にリズムが生まれない清水。
29分にようやく右サイドから運んで原の低いクロスに繋げ、ニアでサンタナが合わせたものの枠外に。

尚も町田は31分ロングパスを収めたエリキが起点となり、敵陣で繋いだのちそのエリキのミドルシュートが炸裂。(GK権田セーブ)
後は必勝パターンをなぞるだけでしたが、そのエリキに限界が訪れてしまいます。
35分に前線で原に対しパスコースを塞ぎにいったた所、切り返しの際に痛んで倒れ込み。
動けず担架で運ばれる事態となり、交代の措置が採られます。(バイロンを投入、バイロンが右サイドハーフに入り平河が左SHへ)

相手の不測の事態で不謹慎ながら、とにかく流れを変えたい清水。
しかし今度は乾が主審の判定に対し苛立つシーンを多発させてしまい。
38分にバイロンのドリブルを後ろから倒して反則・警告を受けると、激しく主審に詰め寄るというベテランらしくない絵図を作ります。
恐らく「町田のアタックが反則とならないのに何故……」という思いからだったのでしょうが、その後40分に今度は乾のドリブルがバイロンに倒される先程と逆の絵図で反則。
これに警告が出なかった事で更にヒートアップする乾。(正面からの反則だったので(ここだけを切り抜けば)まあまあ納得の判定ではある)

反撃ムードを高めるためにはあってはならない事象でしたが、その後42分に再びの(山原のドリブルに対し)反則を犯したバイロンが警告を貰い。
これで幾ばくか冷静さを取り戻したでしょうか、直後の43分に再び乾が(チャンミンギュに)反則を受けると、今度は苛立たずにフリーキックに入り。
中盤中央という位置でしたがDFを前線へ上げる放り込み体制を採り、それを逆手にとってショートパスで再開した乾。
左から山原がドリブルからクロスを送ると、高橋祐のヘディングシュートが放たれ。
GKポープがこれをセーブするも、カルリーニョスが詰めてゴールネットを揺らします。
前半のうちに、しかも町田の先制点と同じトリックプレーで1点を返した清水。

とうとう好循環を得た清水に対し、町田は防ぎにいくも、前線はエリキが抜けた事でプレッシングの勢いを失い気味に。
藤尾がボランチを切り、その前で高橋大1人が追い回すという状態では清水のビルドアップを阻む事は出来ず。
アディショナルタイム(エリキの故障のため5分と長い)、度々エリア内まで進入するシーンを作る清水。
最後は山原のクロスからサンタナがヘディングシュート(ゴール上へ外れる)と、ポイントゲッターに惜しいシーンも生まれます。

1-2で迎えたハーフタイム。
清水は押せ押せムードを加速させるため、交代とともにフォーメーション変更も敢行し。
中山→北爪へと交代し、3-4-2-1へとシフトします。

入りの様子見を経て、今度は流れを掴んだのは清水。
3バックとなった事でビルドアップが強化され、また乾がワイドに動く事によるポジションチェンジも脅威となり。
後半3分、最終ラインから左へ展開ののち、中央裏へのミドルパスを最前線で受けたのは本来右ウイングバックの北爪。(その後裏へさらに浮き球を送るもカルリーニョスには繋がらず)
乾のポジションにより可変するという流動性も二割増し、といった所でしょうか。

一転して劣勢を強いられる町田。
何とか清水の攻撃を切っても、その後のロングパスが繋がらずに連続して攻撃を受ける絵図が続きます。
7分の鈴木準の遠目からのシュート(地を這うものの枠外)も、そうした苦しさが露わになってのものであり。
正直早めに強力なターゲット(デューク)を投入すべきだと思いましたが、既にアクシデントによるカードを切っていたため安易に動けないベンチ。

一方良い攻めを続けるも、フィニッシュ数は膨らまない清水。(10分に山原→吉田へと交代)
こちらも16分、鈴木義のパスに入れ替わった乾がドリブルで持ち運ぶと、そのまま遠目からシュートを狙いにいきます。
しかし好循環に押されるように、松井のブロックに当たるとそのままゴール方向へと浮き上がり、GKポープの上を越えてゴールへ吸い込まれ。
前半の事もあり、まさに負から正へと好転したような乾のゴールで同点に追い付きました。

このまま押しきり逆転したい清水、19分に吉田の左からのクロスで、再びサンタナのヘディングシュートが放たれるも枠を捉えられず。
それを堰き止めたい町田は、その直後にベンチが動き3枚替えを敢行。
高橋大・松井・平河→松本・下田・荒木へと交代、センターバック(松本)を加える事で清水と同様の3-4-2-1へとシフトします。
しかしデュークは温存と、この日は彼を最後のジョーカーとして割り切ったでしょうか。

ミラーゲームに持ち込んだ事で、清水のビルドアップを阻むシーンも増えた町田ですが、フィニッシュには持ち込めず。
未だどちらに転ぶか判らない中、後半の飲水タイムに。(23分)

そして明ける際に再度交代カード使用とともに、布陣を微調整する清水。
白崎→オセフンへと交代し、FWに入ったオセフンにより3-3-2-2(3-1-4-2)へとシフトします
シャドーは右がカルリーニョス・左が乾ですが、やや下がり目でボールを受ける乾の存在もあり、一見では先程までのドイスボランチと区別がつき辛く。

これで再びペースを掴む清水、掛けられる町田のプレッシングも悠々いなし、最終ラインから攻撃を作っていきます。
28分には原のボールカットから素早く運び、右からのクロスでオセフンのヘディングシュートが放たれるも枠外に。
直後の29分にも右サイドを突き、スルーパスに走り込んだカルリーニョスがそのままシュートを放ちますがこれも枠には飛ばず。

好循環を保ったまま、36分に最後の交代カードを切る清水、乾・カルリーニョス→宮本・西澤へと2枚替え。
ホナウド・宮本とボランチが再び2人揃ったものの、宮本はシャドーを務め以降も1アンカーの姿勢は変えず。

対する町田は、37分に攻撃が途切れた際、ベンチから判定に異議を飛ばしたエリキが警告を受ける事態に。(しかも4枚目で出場停止)
苦戦の色が濃くなる中、何時の間にか判定に対し醜態を晒すのは町田サイドとなっていたようでした。

そんな状況では、清水に結果が齎されるのも早く。
39分最終ラインからパスワークで右サイドを前進していき、巧くフリーの西澤へと渡した末にクロスが上がり。
これが慌ててブロックに入った奥山政に当たるも、綺麗にサンタナへのお誂え向きのボールとなる辺りが流れの恐ろしさでしょうか。
ヘディングシュートをゴールに突き刺し、実に3か月ぶりの得点を挙げたサンタナ。
劇的な逆転ゴールに、ゴール裏の最前線サポーター達とタッチを交わして喜びを露わにします。

一方それ以前からデュークを準備していた町田ベンチですが、結局ビハインドでの投入となってしまい。
両チーム疲労感が膨らむ中でデュークは良きターゲットとなり得るものの、サイドに開いて受ける事もあり直接的な好機は中々作れず。
そのままデュークがサイドからクロスを入れるという具合に、役割が逆だというようなシーンも見られます。
やはりリードしている段階で投入し、収め所・落ち着き役を務めさせるべき……と考えても後悔先に立たず。

そんな苦し紛れの攻めを続ける町田に対しシュートを撃たせずと、最後まで集中力を切らさない清水。
AT後もそれは続きますが、最終盤にこぼれ球を拾いにいった宇野を西澤が倒してしまい反則、FKに。
遠目の位置からでしたが、GKポープも前線に上げて放り込み体制を採る町田。
キッカー鈴木準はそのポープへロビングを送りましたが、実らずに終わると逆に清水がカウンター。
当然ながらGK不在で攻めきれば1点という攻撃で、スルーパスを受けた北爪がドリブルで右ハーフレーンを持ち上がった末に横パス。
これで最後のDFもかわし、後はオセフンが仕上げにいったものの、シュートはゴール左へと外れてしまい綺麗な大団円とはいきませんでした。
しかしその直後に試合終了に笛が鳴り、清水の勝利となり。

バチバチとやり合う……といった表現が相応しい内容となった一戦。
しかし前述の危惧のとおり、試合後暫く時を置いてサポーター絡みの事件が発生する事となってしまい。
インターネット上故に肉体的な被害は皆無なものの、それ故に卑劣さを強く感じてしまうものでしたが、チームの成績に水を差さない事を願うばかりでしょう。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第23節 アルビレックス新潟vs湘南ベルマーレ

2023-08-18 16:32:52 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

毎年残留争いを強いられている湘南ですが、何度も言うように今季の降格枠は1のみ。
しかしそれにも拘らず降格圏、つまり最下位に甘んじているシャレにならない状況であり。

残留に向けての補強策は常にピンポイントの域を出ないクラブですが、今回は得点源の町野が海外移籍と相成ったため、例年よりも激しく動いて来た感があり。
キムミンテ・田中・ディサロとセンターラインの選手を獲得し、登録即スタメンで起用するという具合に、切羽詰まった状態を隠す事無く示します。
その甲斐あって前節(広島戦、1-0)は実に16試合ぶりの勝利を挙げましたが、浮上のために勝ち点を落とす事は許されず。

新潟のホーム・デンカビッグスワンスタジアムで迎えたキックオフ。
すると移籍の動向のみならず、サッカーでも湘南はその後が無い状況故の焦りを早くも露呈します。
前半2分自陣でのボール奪取からダイレクトパスの連続で素早く前進、大橋がエリア内を突いて横パスを送るも、ディサロには渡らず。
その直後にも新潟のクリアボールを直接舘が縦パスを送り、小野瀬フリック→ディサロポストプレイ→小野瀬エリア内へミドルパスと、とにかく早くチャンスを作り出したい思考が現れたような攻撃を繰り広げ。

こうした相手には、新潟にとっては(前節の名古屋と異なり)得意のボールポゼッションからのゲームコントロールがやり易いと推測した視聴者の自分。
しかしそれは見事に大外れとなり、新潟もそれに応戦姿勢を見せるようなサッカーを繰り広げたのが仇となります。
具体的には、最終ラインでボールを繋ぐのもそこそこに、縦パスを鈴木孝に当てて素早い前進を図る攻撃。
両ウイングバックも前に出てのハイプレスを仕掛ける湘南に対しては確かに考えられる手でありますが、それを最終ラインでいなすビルドアップを簡単に放棄して良いのかどうか。
前節まさに「ボールを握らされる展開」による敗戦を喫したのですが、それを気に留めすぎな感がありました。

8分に湘南サイドの縦パス→フリックをカットしてから素早く運び、右ポケットを突いた鈴木孝がマイナスのクロス。
エリア外へ流れた所を、中央ペナルティアークで小見が合わせシュート(枠外)と、その姿勢は奏功して好機は作ります。
しかし続く10分、新潟は湘南の攻撃を切って最終ラインから組み立てるも、鈴木孝への縦パス→鈴木孝フリックを遮断されるという先程の湘南サイドのリプレイの如き流れで招くピンチ。
かくして素早い前進を図る湘南が、相手のトランジションの隙を突くという願っても無い絵図となり、ディサロのスルーパスに走り込んだ山田のグラウンダーのクロスをニアサイドで合わせたのは大橋。
ゴールネットを揺らし、持ち味の攻撃を出しきれるお膳立てをしっかりとモノにしたかのような先制点となりました。

らしくないスタイルでリードを許した新潟、以降もその傾向は加速気味。
12分に再び縦パスからダイレクトで繋ぐという繰り返しで前進、スルーパスを受けてエリア内を突く長谷川。
杉岡のスライディングを受けるも、すぐさま体勢を立て直してこぼれ球をシュートしましたがGKソンボムグンのブロックに遭い同点ならず。
直後にボールのパンクにより意図しないブレイクが挟まれたのは、新潟サイドに「落ち着け」と言っているかのようでした。

以降試合を落ち着かせたい新潟と、変わらず縦に速い運びで仕留めにいく湘南の交錯という展開に。
14分に再び湘南の攻撃、右サイドでまたも舘縦パス→ディサロフリックが遮断されるも、今度はこぼれ球を舘が拾い継続。
そのまま奥へ切り込んでグラウンダーでクロス、これをニアサイドでまたも大橋が合わせシュート(枠外)と、先制点の時を左右対称にしたかのようなシュートシーンとなります。
その後も攻撃機会で後れを取る新潟、焦るように再び素早く縦パスを送る傾向が膨らみ始め。
それを悉くカットされるという具合に、反撃への流れは膨らまないまま飲水タイムを迎える(23分)事になりました。

あれだけボールを握るスタイルを通していた新潟(といっても21節・札幌戦で既にそれとはかけ離れたサッカーで勝利していましたが)が、縦に速く運ぶ思想へと傾倒するとは……といったこれまでの展開。
近年のJ1の強度の高さ・ハイテンションぶりに呑まれれば、その中で生き残りを図るためにはある意味当然といった結末ですが、同時にそうしたお決まりのパターンから逸脱させる事は出来ないのかという思いが膨れ上がり。
そんな事を考えているうちに、試合は尚も進み。

そしてそんな思考を嘲笑うかのように、第2クォーターの最初に好機を掴んだ湘南がそれをモノにします。
最終ラインから大野が左裏へロングパスを送ると、蓋をしたデンに対し大橋が反則気味のアタックを仕掛けて奥でボール奪取に成功。
主審の笛が鳴らないのを見るやすかさずカットインでポケットに入り込むと、予想外の展開に新潟ディフェンスは全く整っておらず、フリーの中央へグラウンダーのクロスを送る大橋。
そして合わせたのはディサロで、悠々ゴールに突き刺して貴重な追加点を挙げる事に成功しました。
新潟サイドは当然異議を唱えるも、判定は覆らず。

2点ビハインドとなり、ここからようやくボールポゼッションを高めての反撃体制を取る新潟。
しかしここでも、右サイドバックの新井が最終ラインに残る事による3枚の最終ラインと、前年のJ2では殆ど見なかったスタイルからの繋ぎであり。
DFに離脱者続出という負の要素の影響か、今まで培ってきた土台が揺らぎ始めている風でした。

前に来る湘南の2人の間を通すパスでかわす、三戸と小見の位置を入れ替えて目線を変える等、繋ぐビルドアップの神髄を見せる事は見せる新潟。
それでも敵陣に進入すると、素早く形成される湘南のブロックを崩す作業は容易では無く。
メインは遠目からのミドルシュートとなり、三戸が2本・星が2本・高が1本とシュートを重ねましたがゴールを奪う事は出来ません。

逆に2点リードを得た湘南、こちらもここからマイボールの際はポゼッション確保の意識を高めるという、当然過ぎる振る舞いを見せ。
38分にはそこからGKまで戻した末に、ソンボムグンロングフィード→杉岡落としで裏を突き、2点目と同様に大橋とデンのボール争いが生まれるも今度はデンの勝ち。

ミドルシュート攻勢は結局前半終了まで続く事となった新潟。
45分にはその星のシュートをGKソンボムグンがセーブ、尚も右サイドから入れられた新井のクロスを山田が頭部でブロック。
これにより倒れ込んだ山田に脳震盪チェックが入るなど、(シュートでは無かったものの)遠目からパンチの利いたボールを防ぎ続ける側にも影響が出始め。

結局0-2のまま終えた前半。
ハーフタイムで新潟は高木の投入に踏みきった(三戸と交代)のを余所に、湘南は先程倒れ込んだ山田を退かせる選択を採ります。(平岡を投入)

後半も、「ボールを握らされる展開」を強いられる中で何とかゴールを狙う新潟という絵図。
前半のような積極的にシュートを撃っていく展開とはならず、サイドでの崩しに賭ける体勢へとシフトします。
相手に高さで劣る状態でクロス攻勢にいくのは無謀なものの、それしか選択肢は無い状況故に仕方無く。

すると湘南へと流れが傾くのは早く、シュートを撃てないまま時間は進み、後半7分に大橋の前進を反則で止めた新井に警告。
直後の8分、杉岡縦パス→ディサロポストプレイ→大橋スルーパスで左サイドを前進し、ディサロがダイレクトでクロス。
合わずに流れるも、その後の新潟スローインからのクリアを回収して敵陣で繋ぎ、田中がミドルシュートを放つも枠外に。
続く9分に今度は長くパスを繋いだ末のフィニッシュ、平岡のロビングでエリア内を突いて畑落とし→小野瀬シュート(枠外)と、速攻と遅攻を使い分けて3点目を意識させます。

途中から湘南にゲームコントロールの意識が高まった事で、このままではポゼッションスタイルの名倒れとなりかねない新潟。
14分に長谷川→松田へ交代と、早めに動きを見せる松橋力蔵監督。

それでもフィニッシュを生み出せずに時間が経過し、再び動きを見せたのが20分。
小見・星→長倉・島田へと2枚替えし、それと同時に湘南ベンチもディサロ・畑→タリク・石原へと2枚替え。

後半頭から投入した高木が、広範囲に動く事でパスワークの流れを維持せんとしていた後半の新潟。
彼への負担が激しい印象が拭えなかったという所でしたが、流動的に動く長倉を左サイドハーフとした事で、無理に左に開く必要が無くなった風となりました。
長倉が代わってパスの出し入れを行う事で、堀米との関係性での崩しが容易となり。

23分に挟まれた飲水タイムの後、その効果を最大限発揮しにいく新潟。
26分にその長倉のボール奪取から前進、ドリブルから中央へ急所を突くパスを送ると、ペナルティアークで受けた鈴木孝がシュート。(GKソンボムグンキャッチ)
28分にも左サイドで、後方から堀米のスルーパスで一気に裏を取った長倉。
左ポケット奥を突いてマイナスのクロスを入れ、これを石原がスライディングで遮断し(この際腕に当たったとしてVARが挟まれるも反則無し)何とか防ぐという具合。

大分掻き回されるようになってきた湘南ディフェンス。
迎えた30分、ここも左からの前進姿勢を採った新潟ですが、中央からの攻撃を選択。
この前進は湘南ディフェンスに阻まれるも、陣形が乱れた事で右サイドから松田が持ち運ぶ展開を作り上げます。
そしてエリア内中央へパスを送ると、長倉がトラップから巧みに浮き球を操った末に戻し、島田を経由して高木がダイレクトでミドルシュート。
鮮やかにゴール右へと突き刺さり、とうとう崩しの本領を発揮(といってもディフェンスに遭ってのこぼれ球を繋げていなければどうなっていたか)して1点を返しました。

一方失点してしまった湘南、その後フリーキックを得て(31分)押し込むものの結果には結び付かず。
33分に小野瀬→奥野へ交代したものの、これ以降勢いは萎んでいく事となります。

ボールを握り、怒涛の攻撃を仕掛ける新潟。
全体前掛かりとなり、最終ラインでのビルドアップに努めていた新井も、その体勢からハーフレーンで上がる事で「偽SB」のような動きで前線に参加。
敵陣に押し込めば、センターバックもワイドに開いてパスワークに加わるなど、本来の新潟の姿が戻ってきたようでした。
38分には右ワイドで拾ったデンが、そのまま新井とのワンツーで奥を突いた末にクロスに辿り着き。

それでも守備を固める湘南に対し、サイド奥を突いてCKを量産という流れを得るに止まり。
新潟は40分に堀米→田上へ交代、湘南は45分に大橋→阿部浩之へ交代と、共に最後のカードを切って試合は最終局面へ。

アディショナルタイムに入っても、決してパワープレイの色は見せずに繋ぎから攻め上がる新潟。
そしてついにそれが実を結んだのが+3分で、最終ラインでの繋ぎを経て右サイドから新井がスルーパス。
湘南の5バックの中から、大野が(高の動きに釣られたのか)一瞬前に出たのを見逃さずにそのスペースへ送られ、走り込んだ鈴木孝がマイナスのクロス。
これを中央で受けた高木、ワントラップで舘を剥がしてのシュートがゴールネットを揺らします。
土壇場で同点に追い付いた新潟、ホームの熱気も最高潮となり。

一方で、明らかに大野の動きが失点に直結する事となった湘南。
これが負け癖が付いてしまったチームの悲しい性といった所でしょうか。
それでも、右スペースに走り込んだ石原が長倉と交錯して長倉の反則という、ややラッキーな形で得たFKからの攻撃。
キッカー阿部浩のクロスをファーサイドでキムミンテが合わせるも、枠を捉えられず。

決して諦めはしないという湘南に対し、直後のゴールキックから短く繋いでのビルドアップと、あくまで本来のスタイルで勝負する新潟。
ここから12本のパスでサイドを揺さぶった末に、右奥を取って新井のクロスに辿り着き。
ブロックに当たり、中央にこぼれたボールを高木が狙ったもののシュートは撃てず。
これをタリクが拾いカウンターに持ち込まんとした湘南でしたが、右サイド裏へのロングパスが阿部浩に通ったものの、トラップが若干乱れた事により主審が試合終了の笛を鳴らし。
攻撃を完結させられず、残尿感の強い引き分けとなったでしょうか。

負けに等しい引き分けとなってしまったのは湘南。
良いサッカーを見せても勝てなければ意味が無い、という典型となりましたが、一方の新潟も本来のスタイルを取り戻すにはあまりにも時間が掛かり過ぎ。
評価のし難い一戦といった格好ですが、今後に繋げて貰いたい所です。

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