イトーヨーカ堂創業者で、セブン＆アイHDの名誉会長 伊藤雅俊氏が3月10日に亡くなりました。98歳でした。
家業の洋品店「羊華堂」を再興した後、1958年に『ヨーカ堂』（現イトーヨーカ堂）を設立。『セブン・イレブン・ジャパン』やファミリーレストラン『デニーズ』などを立ち上げ、戦後の小売業界を代表する経営者となられました。1992年の総会屋事件でキッパリと引責辞任。2005年のセブン＆アイHD設立以降については、名誉会長として影から経営を見守り続けました。特に2016年、盟友であった鈴木敏文氏の解任騒動の時には、強い指導力を発揮されておりました。
ちなみに、ワタクシの所属する信託銀行は、セブン＆アイHDと特に親しくさせて頂いていたことから、伊藤名誉会長の教えに、密に接する機会がございました。
口癖は「働かざる者、食うべからず」。
伊藤名誉会長のご子息とは、職場で一緒に働いた経験もありますが、ご子息も父上の口癖をよく口にしながら、どんな業務であっても、一所懸命に取り組んでおられました。
1992年の引責辞任の際は、あまりの潔さに頭が下がった覚えがあります。また、2016年の解任劇の際も、伊藤名誉会長の信念と人柄が滲み出るような決着のさせ方で、「お見事」の一言でありました。
名誉会長が育てた日本の小売業界ですが、あのイトーヨーカ堂ですら、時代の変化に苦しむ状況になっています。戦後の日本人の生活を豊かに、そして暖かなものに変えていった小売りの巨人は、今の日本をどのように見ていらしたのでしょうか。
意外に、悲観ではなく、楽観されていたのかもしれません。若い日本人たちの潜在能力を高く評価されている方だったようですから。
長い間、大変お疲れ様でした。ゆっくりとお休み下さい。 合掌
