本日3月2日は、『将棋界で一番長い日』すなわち、A級順位戦の最終局、一斉対局の日であります。会場は、静岡県静岡市の『浮月楼』。以下のとおり、A級棋士10名が一斉に対局を行います。
①永瀬拓矢王座(5勝3敗) 対 斎藤慎太郎八段(5勝3敗)
②藤井聡太五冠(6勝2敗) 対 稲葉陽八段(4勝4敗)
③広瀬章人八段(6勝2敗) 対 菅井竜也八段(5勝3敗)
④豊島将之九段(5勝3敗) 対 佐藤天彦九段(3勝5敗)
⑤糸谷哲郎八段(1勝7敗) 対 佐藤康光九段(0勝8敗)
対局開始は、すべて朝9時。全局が終了するのは、翌日の深夜1時あるいは2時頃になる見込で、すべての対局が終わった時に、第81紀の名人位挑戦者が決まります。『将棋界で一番長い日』と言われる所以であります。
さて上記のとおり、2月1日の一斉対局の結果、大混戦模様となっています。
現在トップを走っているのが、藤井聡太五冠と広瀬章人八段の2名で6勝2敗で並んでいます。その次の第2グループには、永瀬拓矢王座、斎藤慎太郎八段、菅井竜也八段、豊島将之九段の4名が5勝3敗で続いています。この6名に挑戦権獲得のチャンスが残っています。
現時点でトップに立っている藤井聡太五冠と広瀬章人八段が、最終戦をともに勝てば、この二人によるプレーオフとなります。また、どちらかが勝って、どちらかが負けると、勝者がプレーオフを待たずに、挑戦者に決定いたします。
問題はどちらも負けた場合。どちらも負けるとすると、まず藤井五冠、広瀬八段および菅井八段が6勝3敗で並びます。そして、永瀬王座と斎藤八段の勝者が同じく6勝3敗となりまず。また豊島九段と佐藤天九段の対局で、豊島九段が勝つとこれもまた6勝3敗。すなわち、少なくとも4名によるプレーオフ、最大5名によるプレーオフの可能性が出て参ります。
トップに立つ棋士が最大5名となった場合は、5名の変則トーナメント=パラマス方式によるプレーオフが開催されることになります。パラマス方式のプレーオフとは、すなわち、A級は開催前に「ランキング順位」が決まっていますので、まずランキング下位の順位の者2名が戦って、勝った者がその一つ上のランキング順位の者と戦い、さらにその勝者がその上のランキングの者と戦って、最後にその勝者と最上位のランキングの者が戦って、それで挑戦者が決まる仕組みです。
仮に、永瀬王座、藤井五冠、広瀬八段、菅井八段、豊島九段の5名によるプレーオフになると、今のランキング順位では、永瀬王座(6位)、藤井五冠(9位)、広瀬八段(5位)、菅井八段(8位)、豊島九段(4位)となりますので、まずは菅井八段と藤井五冠の対局となり、その勝者が永瀬王座と対局、その勝者が広瀬八段と対局して、さらにその勝者が豊島九段と対局、この勝者が晴れて、名人位挑戦者となる仕組みです。
ちなみに、A級に昇級したばかりの藤井聡太五冠が1番下位の9位にいますので、藤井五冠はプレーオフで4連勝しないと挑戦者になれないことに。
藤井五冠としては、まず先手番が決まっている最終局に勝って、そのうえで、広瀬八段とのプレーオフに向かうシナリオが頭の中にはあるでしょう。ただでさえ、王将戦七番勝負と、棋王戦五番勝負を、並行して戦っているところに、A級順位戦のプレーオフを4局もプラスオンで戦わないといけない状況なんて、とてもやってられないという気持ちでしょう。
だいたい、忙しい藤井聡太五冠に、3月末までに最大5局ものプレーオフ日程が組めるのかどうか?
とにもかくにも、『将棋界で一番長い日』。注目致しましょう‼