セブン&アイHDに買収提案したカナダのアリマンタシォン・クシュタールは8月19日、拘束力のない友好的な提案をしていると発表しました。M&A(合併・買収)巧者として知られ、過去には仏カルフールの買収に乗り出したこともある先です。次なる拡大戦略として世界に8万5000店あるセブンイレブンに目を付けた様子。
それにしても、時価総額で5兆円を超えるセブン&アイに海外から買収提案が為されるとは、日本の資本市場には大きな衝撃が走るニュースでありました。ただ、ある意味、これは予想された事態であり、当然の成行きと見る市場関係者は多いと申し上げておきましょう。
当blogでは、現在の日本の資本市場が、1990年代の北米の資本市場に酷似していると再三申し上げてきました。「資本効率化」「ROE経営」「選択と集中」などが叫ばれて、激しいスピードで変化していった1990年代の北米資本市場ですが、その時の象徴的な現象が「活性化するM&Aマーケット」でありました。
日本で言えば「武田薬品」クラスの北米を代表的薬品会社に対して、連日TOBの発表が為されて、それをきっかけに1日で株価が倍になる銘柄が続出する・・それが1990年代の北米でありました。
一度変化が始まると、そのスピード感は日本とは比べものにならないのが北米市場。これが株式市場のダイナミズムそのものであり、1990年~2000年の10年間で、北米株価指数が5倍にも上昇した原動力でありました。
「同じことが今、日本の資本市場で起きようとしているだけ」であります。世界の投資家のお金が日本の株式市場に集まろうとしていますが、彼らのスピード感はこれまでの日本の常識を超えるものだとお考え下さい。そして、日本の金融当局や経済産業省としても、ある程度の「激震」は覚悟のうえで、現在の資本市場改革を推し進めていますから、めったなことでは、資本市場に介入して「資本効率化」の流れを止めることはしないと思います。
まだまだ、この動きは序章に過ぎません。
今年中には、もっと大きなサプライズだってあるかもしれませんよ・・!