自分が海外出張している間に、映画「ブレードランナー」のレプリカント役、ルトガー・ハウアーさんが亡くなっていました。ご冥福を祈りたいと思います。
「ブレードランナー」の公開は1982年で、監督のリドリー・スコットが細部に拘り過ぎた結果、コストが膨らみ、興行的には失敗作となりましたが、その後、VHSによるビデオレンタル時代になってから、この作品が見直されて、SF界のレジェンド的な作品に上り詰めるという、数奇な運命を辿った映画であります。そして、この映画で最も輝きを放ったのは、主演のハリソン・フォードではなく、怖くて切ない敵役を演じ切ったルトガー・ハウアーさんでありました。
あまりのはまり役だったために、その後、これ以外に代表作を残せませんでしたが、この「ブレードランナー」のラストで、「TDK」の看板を背に、静かに息を引き取るシーンは、まさにSF映画の金字塔だと思います。
なお、一昨年に封切られた続編「ブレードランナー2049」も非常によく出来ていましたが、映画の途中で出てくる街中での格闘シーンの背景は、前作の「TDK」の看板ではなく、「SONY」の看板でした。ちなみに、Columbia映画の親会社はSONYですので、いわゆるシャレって奴。こういう「細かい拘り」も、このシリーズの魅力でありました。
興行的には、スパイダーマンとか、アベンジャーズといったシリーズが大きな比重を占めるハリウッド映画界ですが、「ブレードランナー」みたいな映画を作らなくなったら、SONYもColumbiaにも未来はないと思います。