ところで、先般の欧州議会選挙の結果を見ると、英国内では保守党・労働党の2大政党に入れられた票数を合わせても15%程度に落ち込んでいて、その代わりに複数の第三勢力向け票数の合計が大きく膨らんでいることが判っています。保守党にしても、労働党にしても、今や、自分たちの存在意義が消えてなくなりそうな、極めて危機的状況なのです。
ちなみに、「合意なき離脱」を支持している票の合計が30%強、「離脱撤回・再国民投票」を支持している票の合計が約30%なので、労働党にとって起死回生の手段は、後者の30%世論を背景として「再国民投票」を訴えて総選挙に突入できれば、とりあえず政権奪取を実現することはできるかもしれません。そして、その先にはEU離脱中止が見えてきます。
一方、保守党は総選挙に追い込まれれば、党の崩壊に繋がりますので、そうならないように前者の30%強の世論をバックに「合意なき離脱」へ強引に突き進む戦略になるでしょう。ただし大きなリスクは、「合意なき離脱」の時期が近づくと、その破滅的な実態がだんだんと明らかになるにつれて反対勢力が膨れ上がっていくこと。交渉相手であるEUも、英国保守党の思惑どおりにはさせまいと、交渉では簡単に折れるはずがありませんので、ジョンソン氏 対 離脱反対派+EU のチキンゲームが10月まで続くということのようです。
出口なきチキンゲームですから、このままではギリギリまで決着しませんし、その結果はどちらに転んでも悲惨なもの。
本当に困ったもんです! (続く)