酒談義

ツレが倒れて退院してからの平素
二人とも検査を受けても数値が正常なので
いまは、ほぼ毎晩のようにお酒を楽しんでいる

しかし一定のルールは二人で決めてあり
余程のことがない限り、一晩に二杯までである

それも
ツレは一晩には同じ物しか飲まないけれど
毎晩、いろんなお酒を楽しみたがる

先日ジョニ黒を飲んでいた時
ツレが「久しぶりに今度はジョニ赤を飲んでみたいな」と言う

今日
たまたま安売りの酒屋さんの隣に行く用事があったので
帰りがけに、その酒屋さんに寄ってみたところ
ジョニ赤の隣に
グレングラントというシングルモルトのスコッチウイスキーを見つけ
「これってパパが好きそうだよね～」と思いこれも買ってかえる

夕飯にジョニ赤のソーダ割りで一杯目を飲んだ
ツレ「こんな味だったっけ？？」とむにゃむにゃ
私「まあ、こんな味かもね」とむにゃむにゃ

しかし
私は、二杯目を黙ってグレングラントを取り出し
少量をストレートで飲んでみて「コッチは旨い・・・」と心で思って
ソーダで割って飲み始める

その時
すかさずツレが私の飲んでいるボトルを見つけ
サット指さし「それ！なに～～～～！！！」と聞く
(普段よく見えないと言い
テーブルにあるものを殆ど見分けないはずなのだ)

ツレはメガネをかけて、ボトルのラベルを読む
その頃
私は「あれ！ソーダ割りは失敗だ！」と呟く

ツレ「あのグラスを持って来て～」
わたし「面倒だな・・・どっこいしょ」と重い腰をあげる
ツレは香りを嗅いで
「これは水割りだ」
「お水下さい！」と俄然張り切る
「やっぱり、これは水割りの方が旨いよ。
おれに相談してからにすれば良かったね」とにんまり

今夜は銘柄は違っても同じウイスキーなので
グレングラントを私は差し出したし
ツレも楽しんで、これも飲んだ

味わって飲み始めて
ツレ「これに、ミントを一枚欲しいな」
はいよ！と入れる

ふと見るとツレが泣いている・・・
私「どうした？？父ちゃん！！」
ツレ「・・・・嬉しいんだよ・・・」
「何がってお前・・・こうして酒談義が出来るほど
俺たちが元気でいれるってさ・・・！
どんな酒を飲むよりも
お前とこうして酒談義が出来るってことが旨いんだよ・・・」

なるほどねぇ・・・
明日は談義して
ツレはジョニ赤で私はグレングラントにしようっと